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大阪高等裁判所 昭和56年(ラ)225号 決定 1981年5月26日

抗告人

渡部俊雄

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一抗告人の本件申立の趣旨は、「大阪地方裁判所が昭和五六年三月一三日になした担保変換決定を取消せ。」というのであり、その理由とするところは、「(1)市中銀行の保証に変換することは、抗告人としてその条件を関知しておらず不安である。(2)大蔵省が現在は市中銀行に対して監督保証をしているが、今後国会で法案の改正決議をして、以後国が市中銀行に対して監督保証義務を免除するといつた改正をした場合は、国の保証がなされなくなるので、市中銀行が倒産する危険性が生じ、市中銀行の保証というも危険性が存在する。もともと抗告人は、政治家がまつたく信頼できず、過去の実績からして政治家が国会に国(大蔵省)が民間金融機関に対する保護・保証をしないという改正法案を出し承認するおそれがあるので、原決定を取消し、供託金を元通りにする原状回復を求め異議を申立てる。」というにある。

二当裁判所の判断

まず抗告人の本件申立は異議を申立てるというのであるが、その趣旨は当裁判所に原決定の当否につき判断を求める抗告の申立と解されるので、以ド検討する。

一件記録によれば、原決定は、債権者の民訴法一一六条、民訴規則二条の二、民事執行法一五条一項、民事執行規則一〇条の規定に基く担保物変換の申立に基き、「当事者間の昭和五四年(ヨ)第四二九四号不動産差押申請事件につき、債権者が昭和五四年一〇月一五日大阪法務局に供託した保証(供託番号昭和五四年金第四五一一九号、金三三〇万円)は、これに相当する債権者が昭和五六年三月一一日株式会社大阪銀行(堂島支店)との間に金三三〇万円を限度とする支払保証委託契約を締結する方法による担保と変換を命ずる。」旨の決定であるが、もともと担保物をどのように変換するかは裁判所の裁量にまかされているものであるから、担保変換決定に対しては、担保義務者はもとより相手方たる担保権利者においても不服申立をすることはできないものと解するのが相当である。

してみると、抗告人の本件抗告は不適法というべきであるから却下することとし、抗告費用を抗告人に負担させることとして主文のとおり決定する。

(今富滋 藤野岩雄 坂詰幸次郎)

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