大阪高等裁判所 昭和56年(人ナ)7号 決定 1981年8月04日
請求者 谷口勉
拘束者 大阪拘置所所長
代理人 小林茂雄 高田敏明 福原章 ほか四名
被拘束者 谷口繁義
主文
本件請求を棄却する。
本件手続費用は請求者の負担とする。
理由
本件請求の趣旨及び理由は別紙記載のとおりである。
疎明資料によれば、被拘束者は昭和二七年二月二〇日高松地方裁判所丸亀支部において強盗殺人罪により死刑の判決の言渡を受け、右判決に対し控訴の申立があつたが昭和三一年六月八日控訴棄却の判決があり、右判決に対し上告の申立があつたが、昭和三二年一月二二日上告棄却の判決があり、右判決訂正申立期間の経過により同年二月二日第一審判決が確定し、被拘束者は刑法一一条二項により死刑の執行に至るまで監獄に拘置されるに至つたこと、高松地方裁判所は昭和五四年六月六日付で右確定判決に対する再審開始決定をするとともに、同日付で右確定判決に基づく死刑の執行を死刑の執行部分に限り停止する旨の決定をし、右再審開始決定に対しては検察官から抗告の申立があつたが、高松高等裁判所は昭和五六年三月一四日付で右抗告を棄却し、これにより右再審開始決定が確定したこと、現在高松地方裁判所は右再審開始決定後の審判手続を続行中であり、被拘束者は大阪拘置所に拘置されていることを認めることができる。
請求者は、右再審開始決定の確定により、右確定判決はその執行力を失つたものと解すべきであり、また拘束者が再審開始後の公判における被告人たる地位を取得した以上同一犯罪につき受刑者たる地位を兼ねることは法律的に承認し難いし、更に死刑そのものの執行が停止されているのに死刑を前提としその準備のための身柄拘束である拘置のみを継続すべき必要性も法律上の理由もないから、被拘束者の拘置は違法であり、被拘束者は法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている旨主張するので、検討する。
我が国の現行刑事訴訟法には、再審開始決定の確定により原確定判決が効力を失う旨の規定も、再審開始決定をするにあたつて原確定判決を取消すべき旨の規定もなく、原確定判決は、再審開始決定後の審判手続における終局裁判の確定によつてはじめて失効することになると解されるのであつて、それまでは、原確定判決は再審開始決定確定後も依然その効力を保持するものといわなければならない。したがつて、原確定判決によつて言渡された刑の執行は、再審開始決定が確定しても、それによつて当然に停止されるものではなく、ただ、裁判所が刑事訴訟法四四八条二項に基づき裁量により決定でこれを停止することができるにすぎない。本件において、原確定判決は、前記のとおり死刑の執行部分(すなわち絞首)に限りその執行を停止されているのであつて、刑法一一条二項に基づき死刑の言渡を受けた者をその執行に至るまで監獄に拘置する効力は停止されていない。
そして、再審の審判手続は、原確定判決のされた手続とは独立の手続として行われるのであるから、同一人が原確定判決による受刑者たる地位と再審審判手続の被告人たる地位とを併有することは法律的にみて背理であるとは解されない。
また、再審開始決定は再審公判を開始する旨の決定であるにすぎず、再審開始決定後の審判手続の終局裁判における事実認定及び量刑に対しては何らの拘束力をも及ばすものではなく、再審開始決定後の審判手続において必ず無罪の終局裁判があるという保障は存在しないのであつて、再審開始決定が確定したからといつて、直ちに刑法一一条二項による拘置の法律上の理由や必要性が消滅するものと解するのは相当でない。
以上のとおり、本件において、被拘束者は原確定判決の効力により刑法一一条二項に基づいて拘置されているのであつて、拘束又は拘束に関する裁判若しくは処分が権限なしにされ又は法令の定める方式若しくは手続に著しく違反していることが顕著である場合ということはできない。
右認定判断に反する請求者の主張は、いずれも採用することができない。
よつて、本件請求はその理由がないことが明白であるから、人身保護法一一条一項に則りこれを棄却することとし、手続費用の負担につき同法一七条を適用して、主文のとおり決定する。
(裁判官 川添萬夫 露木靖郎 庵前重和)
(別紙)
請求の趣旨
被拘束者谷口繁義のため、拘束者に対し人身保護命令を発付し、被拘束者を釈放する旨の判決を求める。
請求の理由
一 被拘束者は、昭和三二年一月二二日確定した死刑判決の受刑者として大阪拘置所に拘束され現在に至つている。
二 被拘束者の受けた死刑判決は、被拘束者が「借金の支払いと小遣銭に窮し、財田村在住の闇米ブローカー香川重雄(当時六三年)が相当の金を持つていると考え、同人が一人暮らしで附近に人家も少ないことから、同人方で現金を窃取するか、もし同人が胴巻を身につけている場合または胴巻が容易に見つからない場合は、包丁を突きつけて同人を脅迫するか又はこれをいきなり突き殺して現金を強取しようと企て、昭和二五年二月二八日午前二時すぎころ、国防色ズボン(証二〇号)等を身につけ刺身包丁を腰にはさんで同人方に侵入し、就寝中の同人の枕許あたりを物色したが、胴巻が見つからなかつたので、とつさに同人を殺害して現金をとろうと決意し、右手に持つた刺身包丁で同人の顔面、頭部、腰部を多数回にわたつて突いたり切り下げるなどし、同人が間もなく仰向けに倒れるや、同人が身につけていた胴巻の中から現金一万三千円位を奪取した後、同人が生き返らぬようにその心臓部に刺身包丁を突き刺し、血が出なかつたので、包丁を全部抜かずに刃先の方向を変えて更に突き刺して同人を殺害した。」との犯罪事実につき有罪とされたものであつた。
三 被拘束者は、右判決は誤判であり、自分は無実であるとして昭和四四年再審請求をなし、棄却、即時抗告、棄却、特別抗告の経過を経た上、最高裁判所が昭和五一年右一、二審決定を取消し、高松地裁へ差戻し、高松地裁は再審開始及び死刑の執行を停止する旨の決定をし(五四、六、七)検察官の即時抗告も、五六年三月一四日棄却され、再審開始決定は確定し、現在再審手続中の者である。
四 ところで、被拘束者の身柄については、前記死刑判決の確定により、刑法一一条に基き拘置されたものであるが、同人は、再審開始決定と同時に高松地裁のなした執行停止決定により死刑の執行は停止されながら、同開始決定の確定した現在においても、尚拘置を継続されている。しかも、弁護人らが、高松地方裁判所に対し、昭和五六年六月二二日付をもつて、裁判所の職権発動を促した「拘置執行停止の申立」に対しても、同地裁は現在なお右申立に応じた決定をしないままとなつている。
五 しかしながら、現在の段階において、被拘束者に対し、拘束者がなしている「拘置」の名のもとにおける拘束は、人身の自由を不当に奪つているものであり、拘束者は、法律上正当な手続によらない身体の自由を拘束されている者であるので、救済を求める。その理由は以下にのべるとおりである。
六(1) 先ず本件を考えるに当つて必要な基本的理念についてのべておこう。その第一は再審制度の目的ないし理念である。現在の再審制度は、判決の確定力と真実の探究とのバランスの問題としてではなく、いわゆる二重の危険の排除を定めた憲法三五条に伴い、不利益再審を廃止し、専ら冤罪者の救済を目的とする制度となつており、これに関する諸法規は人権保障の根本理念をもとに解釈され運用されなければならないことである。このことは、学者もこぞつて論じているほか、弘前事件の再審開始決定においても「無辜の救済という基本理念」と表現されている(「刑事再審の研究」、二五頁、三九頁、一一三頁等)。
その第二は、本件被拘束者については、前記のとおり再審開始決定が確定している者であるが、再審開始決定の確定したことの法律的意味の重要性を考えなければならないことである。再審開始決定が確定したことは、新証拠によつて、「確定判決の有罪認定に合理的疑いを生じ、有罪認定に至ることはなかつたであろうことが明らかである」(開始決定)との判断が確定したことを意味し、したがつて法律的にこれを見るときは、人身の自由という重要な人権を保障した憲法のもとで、例外的に許されるとされている逮捕や勾留につき「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が要件とされている(刑訴法一九九条、六〇条)ことを考えるならば、被拘束者を拘束すべき法律的根拠が消滅したことを意味するといわねばならない。まして、本被告人が何十年もの間無実を主張してきた死刑囚として漸く、前記のような判断をされるに至つた事実を考えるならば、死刑の停止された被拘束者の自由をこれ以上更に奪いつづけることは人道上の見地から言つても到底許されないというべきである。
(2) 再審開始決定の確定と原判決の効力について
法務当局は現在被拘束者を拘束している理由として、再審開始決定後も原有罪判決はそのまま効力を有し、再審請求人は有罪判決の受刑者たる地位と再審の被告人たる地位とを併有するものとし、裁判所によつて停止されていない拘置は尚継続しているものとの見解をとつている。
原判決は再審公判による裁判の確定によつてはじめて失効するものであるとする説があり、現に再審請求の取下が再審開始後も許されるかの如き規定(刑訴四四三条)や再審開始後の刑の執行停止を当然とはせず、裁判官の裁量によらしめている規定(刑訴四四八条二項)の存在をその根拠としているものである。
しかしながら、前記のように、再審制度が憲法上の要請に基き、不利益再審を廃止し、専ら冤罪者救済の制度となる以前においては、右の説も通説であつたろうが、再審の理念が前記のとおり「無辜の救済」を理念とするに至つた現在においては、旧説に同調することは誤つている。
即ち、前記刑訴上の各規定は、再審制度の理念の変更に伴い不利益再審を廃止した刑訴法改正の際改正さるべきでありながらそのままとなつているにすぎない(前掲同著六一頁、六二頁)。例えば再審請求の取下げに関する刑訴四四三条の規定は、不利益再審を許していた旧刑訴のもとでは、検察官の請求にかかる不利益再審において再審開始決定確定後においても再審請求を取下げることは意味を有したであろうが、不利益再審を廃止した後は、少くとも開始決定確定前においてのみ再審請求の取下げを認めれば足るものであることは明らかである。このことは、一般に一定の法律手続を求める申立は、同申立の趣旨に沿う手続が決定した以後は取消せないとする他の立法例(刑訴二三七条、二五七条、四六六条、五〇三条)からしても当然のところであつて、不利益再審の廃止された現在としては、同条は少くとも再審開始決定が確定するに至つていない時期について規定したものと解釈すべきことは明らかである。つまり、これらの規定は、いずれも前述した再審の理念と、開始決定の確定したことの意味とを理解した上で解釈すれば、少くとも再審開始決定の確定以前について規定したものと解すべきであり、このことは前掲「刑事再審の研究」にも刑法学者らも論述しているところである(前掲書、光藤教授、三井教授各所論)。
なお右のように解釈することの正当性を示すものとして次の点も指摘されている。即ち、その一は西ドイツ刑訴法には、再審の「新たな公判においては、原判決を継持するか、または原判決を破棄した上で事件について異つた判断をするか、せねばならない」(三七三条)との規定があり、わが国の規定よりも一層再審開始後の原判決の有効性を示す如く解せられるにもかかわらず、西ドイツにおいては、開始決定によつて、原判決は事実上消滅し、刑の執行力を失うと解するのが、通説、判例とされている(前著六一、六二頁、一八八頁)。
更にまた、再審開始後の公判において、請求人は「被告人」として扱われることは、刑訴四五一条三項よりしても明らかであるが、同一犯罪につき、被告人たる地位と受刑者たる地位を兼ねる如きは、法律的に承認し難いことであることも指摘されており、(注解刑事訴訟法三五八頁高田教授所説)他の学者も賛同している(前掲、刑事再審研究六二頁光藤教授所説)。
以上にのべたところから明らかなとおり、再審開始決定が確定した以上、原有罪判決は少くとも、その執行力を失つたものと解すべきであり、再審請求人は「被告人」となつたものであつて、被拘束者は現在拘束さるべき法律上正当な理由なく拘束されていることは明らかといわねばならない。
(3) 「拘置」の違法
更に被拘束者は、前項にのべた理由のほか、次の点から言つても拘置を継続さるべきではない。
先ず、刑法第十一条第二項にいう拘置は、刑の執行でもなく未決勾留でもない特別の身柄拘束であるとされるが、いずれにしても、死刑を前提とし、その準備のための身柄拘束であることは刑法一一条の規定自体から明らかといわねばならない。
したがつて、死刑そのものの執行が停止され、再審開始事由が肯定されている現在、拘置のみを継続すべき必要性も理由も法律上存在しないことは原有罪判決の効力の如何を問わず明らかといわねばならない。
のみならず、かりに、法務当局見解の如く、現在請求人が受刑者と被告人の地位を併有しているとの解釈を採るにしても、死刑が絞首のみを意味し、拘置は刑ではないとすれば、死刑を停止されている以上、受刑者ではなく、受刑の準備たる拘置のみを執行されていることになるのである。再審開始後請求人が前記両地位を併有していると仮定しても、より重要視されるべきは、再審公判の被告人たる地位であつて、執行が停止されている刑の準備的身柄拘束の如きが継続されるべき合理性と必要性は、到底見出すことはできない。
即ち、再審開始決定が確定し、刑の執行を停止した上、果して有罪なのかが問いなおされている公判の被告人たる者が、一方で刑を前提とし刑の準備たる身柄拘束をされるということは、刑事訴訟法を貫く人権保障(刑訴第一条)の精神から言つて到底許さるべきことではない。
公判における被告人の裁判をうける権利を尊重し、防禦権を確保する上で最も重要な人身の自由は、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(刑訴一九九条六〇条)あるとき以外は許されないことは刑事訴訟の原則であるのに、しかも「有罪認定に至ることはなかつたであろうことが明らかである」とされている現段階における拘束者の人身の自由を奪うことにつき何ら法律上の理由の存しないことは明らかといわねばならない。
前述のとおり、被拘束者については、弁護人らから去る六月二二日高松地方裁判所に対し、刑訴法四四八条二項に基き拘置の停止をすべき旨職権発動を促す申立をしているが、現在も尚同職権の発動はない。
右のとおり、再審開始決定の確定による有罪判決の効力の消長を論ずるまでもなく、現在拘束者が被拘束者に対してなしている拘束は、法律上理由のないこと明らかといわねばならない。
七 特に、被拘束者は、誤つた裁判によつて三十年以上も死刑囚として自由を奪われてきた者であることを考えるならば、同人を一日も早く自由の身とし再審公判の被告人としての活動を保障すべきことは、健全な社会的常識から言つても、人権尊重の司法理念から言つても当然の要求といわねばならない。
一日も早く請求の趣旨の判決を下されたい。
【参考】答弁書
第一御庁が七月二八日付けをもつて求められた答弁事項に対する答弁
一 被拘束者の拘束の有無
被拘束者は、大阪拘置所に在監している。
その経緯は、次のとおりである。
被拘束者は、昭和二五年八月一日強盗殺人罪の容疑で逮捕され、同月四日勾留されたうえ、同月二三日身柄拘束のまま右罪名により高松地方裁判所丸亀支部に起訴され、昭和二七年二月二〇日、同支部において死刑の判決が宣告された。被拘束者は同判決を不服として控訴したが、昭和三一年六月八日高松高等裁判所において控訴棄却の判決の宣告を受け、さらに上告したが、昭和三二年一月二二日最高裁判所より上告棄却の判決の宣告を受け、同判決は、判決訂正申立期間の経過により、同年二月二日確定した。
この間、被拘束者は、刑事被告人として勾留されていたが、右判決の確定に伴い、勾留場所であつた高松刑務所において刑法一一条二項に基づき拘置されることとなり、その後、高松高等検察庁検察官の移監連絡に基づき、昭和三二年二月一五日高松刑務所から大阪拘置所に移監され、現在に至つているものである。
二 被拘束者を拘束している理由
1 被拘束者は、右一の経緯により死刑判決の宣告を受け、同判決が確定している者であるから、死刑判決確定者として刑法一一条二項により、その執行に至るまで監獄に拘置されているものである。
2 高松地方裁判所丸亀支部が宣告した前記有罪判決(以下「本件確定判決」という。)について昭和五四年六月六日高松地方裁判所において再審開始の決定がなされ、これに対する検察官の抗告は、昭和五六年三月一四日高松高等裁判所において棄却され、右決定は確定したが、しかし、本件確定判決の効力は失効するものではないのは勿論、なんらの影響を受けるものではなく、再審公判における終局裁判の確定によつてはじめて失効するにすぎないのである。
このことは、刑訴法四四八条二項が「再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。」と規定し、再審開始決定の確定によつて当然刑の執行を停止することはせず、これを裁判所の裁量に委ねていること、再審開始決定の理由には、無罪を言い渡すべき場合のほか、刑訴法四三五条六号後段の事由のように原判決において認めた罪より軽い罪ではあつてもなお刑の執行を要する場合もあることなどからみても極めて明白である。もし、再審開始決定の確定により確定判決の効力を失わしめるのであれば、法律に明文をもつて規定するのが当然であるのに、現行法上そのような規定は全く存しないのである。
3 なお、高松地方裁判所は、前記のとおり、昭和五四年六月六日本件確定判決について再審開始決定をした際、刑訴法四四八条二項に基づき「死刑の執行を停止する。」旨の決定をしたが、右決定は、死刑の執行すなわち絞首そのものを停止したにすぎず、その執行に至るまでの間刑法一一条二項に基づいてなされる拘置そのものを停止するものではない。
第二請求書に対する答弁
一 本案前の申立て
請求者の本件請求を却下する。
手続費用は請求者の負担とする。
との決定を求める。
二 本案前の申立て理由
人身保護法に基づく違法拘束救済の請求は、同法二条によれば法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている者について許されることとされ、その請求の要件として、人身保護規則四条本文は、拘束がその権限なしにされ又は法令の定める方式若しくは手続に著しく違反していることが顕著である場合に限ることとされているところ、本件においては、前記のとおり死刑確定者である被拘束者について刑法一一条二項に基づく拘置として拘束がなされているのであるから、右請求の要件には該当せず、したがつて、本件請求は、人身保護法七条により却下されるべきものである(最高裁大法廷、昭和二九年四月二六日決定・民集八巻四号八四八頁参照)。
三 請求の趣旨に対する答弁
請求者の本件請求を棄却する。
手続費用は請求者の負担とする。
との決定を求める。
四 請求の理由に対する認否・反論
1 請求の理由一について
被拘束者は、確定した死刑判決の受刑者として大阪拘置所に拘束され現在に至つていることは、認める。ただし、右判決が確定したのは昭和三二年二月二日である。
2 同二について
犯罪事実の要旨は請求者の摘示のとおりであるが、その正確な内容は疎乙第一号証のとおりである。被拘束者が右犯罪事実につき有罪とされたことは、認める。
3 同三について
本件確定判決が誤判であり被拘束者が無実であるとの点は争う。
その余の事実は認める。
4 同四について
認める。
5 同五について
争う。
被拘束者に対する本件拘置は、第一の一及び二において述べたとおり、法律上正当な手続により、法律上正当な理由によつてなされているものであつて、請求者の主張は理由がない。
6 同六について
再審開始決定の確定は、被拘束者を拘束すべき法律的根拠が消滅したことを意味するとの請求者の主張を否認する。
再審開始決定が確定しても本件確定判決の効力にはなんらの影響を受けるものでないことは、すでに第一の二の2において述べたとおりである。