大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。
官報全文検索 KANPO.ORG
月額980円・今日から使える・メール通知機能・弁護士に必須
AD

大阪高等裁判所 昭和56年(行コ)29号 判決 1982年11月18日

控訴人(原告) 大島正

被控訴人(被告) 右京税務署長

訴訟代理人 高田敏明 西峰邦男 外二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立

一  控訴人

1  原判決を取消す。

2  左京税務署長が控訴人に対しなした控訴人の所得税についての次の各処分(以下「本件各処分」という。)を取消す。

(一) 昭和四三年分所得税の昭和四六年七月一〇日付更正処分及び過少申告加算税の賦課決定

(二) 被控訴人の昭和五三年一一月九日付再更正処分及び過少申告加算税の賦課決定により減額更正された昭和四四年分所得税の昭和四六年七月一〇日付更正処分及び過少申告加算税の賦課決定

(三) 被控訴人の昭和五三年一一月九日付再更正処分により減額更正された昭和四五年分所得税の昭和四六年七月一〇日付更正処分及び過少申告加算税の賦課決定

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二主張と証拠

次のとおり付加、訂正する他原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決五枚目表七行目の「において」を「において継続的に行われる講演の」と、同六枚目裏七行目の「ものである。」を「ものである(国税通則法二四条、所得税法施行令二六七条四項参照。)。」と各訂正する。

二  当審における控訴人の補充主張

1  大学における非常勤講師と同様の関係にある、社団法人京都勤労者学園が設立運営する京都労働学校の講師の手当は給与所得として取扱われていない。

2  本件雑所得(原稿料、テレビ等の出演料、講演料)は、控訴人がかつて提起、遂行した課税処分取消訴訟に関する論述及び講演に対するものであつて、右訴訟遂行のために要した諸費用は右所得と密接不可分の関係にあるから、右所得の必要経費として控除されるべきである。

三  控訴人は甲第一四ないし第一九号証を提出し、控訴人本人尋問の結果を援用し、被控訴人は甲第一八号証の成立は不知、その余の甲号各証の成立は認めると述べた。

理由

一  当裁判所も控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は次のとおり付加、訂正、削除する他原判決の理由説示と同一であるから、ここにこれを引用する。

1  原判決四四枚目表九行目の「当該」から同一〇行目の「として」までを削除し、同末行の「大学の」を「大学の他の専任教員らと同様大学の」と訂正し、同裏末行の「ないし」から同四五枚目表一行目の「支配」まで、同五行目の「労務」から同九行目の「しかも、」までを各削除する。

2  同四七枚目表五行目の「ところで」から同七行目の「そして、」までを「しかしながら、非常勤講師と専任教員との間に」と訂正し、同四八枚目表九、一〇行目の「必要」から同一一行目の「解されない。」までを削除し、同四九枚目表一一行目の「非常勤講師は」から同裏一行目の「として」までを「前述のとおり、非常勤講師は大学の目的に則り、その一般的指揮監督の下に当該大学の定めたカリキュラムに基き」と、同五行目の「あり、」を「あり(所得税法上、本件手当を給与所得とするか、雑所得とするかの差異は、同法三七条一項の必要経費の控除を認めるか否かにあるが、控訴人が本件諸大学で非常勤講師として行う講義と同志社大学において専任教授として行う講義との間に本質的差異はないのであるから、前者によつて得る収入である本件手当に必要経費の控除を認むべき実質的、合理的理由はない。)。」と各訂正する。

3  控訴人の補充主張について

成立に争いのない甲第一四ないし第一六号証によると、控訴人主張の京都労働学校における講師料は給与所得として取扱われていないことが認められるが、右事実は前記認定判断を覆すに足るものではない。又、控訴人の本件雑所得の必要経費についての主張は所得税法三七条一項に照らし、採用しえないことは明らかである。

4  控訴人の当審における供述によつても以上の説示を覆すことはできない。

よつて、控訴人の請求を棄却した原判決は正当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 石川恭 首藤武兵 蒲原範明)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例