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大阪高等裁判所 昭和56年(行コ)39号 判決 1982年10月22日

大阪市西区北堀江一丁目三番一二号

控訴人

西村一之丞

右訴訟代理人弁護士

杉谷義文

杉谷喜代

大阪市西区江戸堀五丁目一二三番地

被控訴人

西税務署長

伏木勝

東京都千代田区霞ケ関一丁目一番一号

被控訴人

右代表者法務大臣

坂田道太

右両名指定代理人

高須要子

国友純司

宮谷節

被控訴人国指定代理人

土屋一範

被控訴人西税務署長指定代理人

西浜温夫

中西昭

上田和幸

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立

一  控訴人

(主位的申立)

(一) 控訴人と被控訴人西税務署長との間において、同被控訴人が

(1) 昭和三九年一二月一九日付でした、控訴人の昭和三六年分所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分

(2) 昭和三九年一二月一九日付でした、控訴人の昭和三八年分所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分

(3) 昭和四〇年四月一二日付でした、控訴人の昭和三八年分所得税の再更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分

(4) 昭和四四年一一月二〇日付でした、控訴人の昭和四二年分所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分

がいずれも無効であることを確認する。

(二) 被控訴人国は控訴人に対し金一〇三万六九〇四円及びこれに対する昭和五〇年八月二〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(三) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

(四) 第(二)項につき仮執行の宣言。

(主位的申立第一項が認容されない場合の予備的申立)

(一) 被控訴人国は控訴人に対し金一八九万二四三六円及び内金一四〇万五三円に対する昭和四二年七月一九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(二) 仮執行宣言。

二  被控訴人ら

(主位的申立)

主文同旨

(予備的申立)

担保を条件とする仮執行免脱宣言。

第二主張、証拠

一  当事者双方の主張及び証拠の提出、援用、認否は、次に付加するほかは、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する(ただし、原判決七枚目裏九行目「によりす」の前に「及び還付金の充当(原判決添付別表(3)につき昭和五二年三月一四日五万六三〇〇円、同(4)につき昭和四六年三月五日七万一〇〇円)」を挿入し、八枚目裏三行目「同2項」の次に「冒頭記載事実」を付加する)。

二  控訴人の主張

1  控訴人は、昭和四〇年一二月一二日、西税務署署長室において、当時の署長芝本正春に対し原判決添付別表(1)ないし(3)の各処分の無効取消方を陳情し、その事情を詳細に説明したところ、同署長は約三〇分間にわたり控訴人の説明・不満・苦情等を慎重な態度で聴取した後、当時の所得税課長補佐民谷高之を呼び、同人に対し、「西村さんに対する右三件の更正処分等は、いずれも税務調査を行うことなく、また更正処分を予告する「お知らせ」の手続もとらず、だしぬけに行った税務者困らせの要素に基づく不当な処分であるから、右各処分を全部取消すための再更正の手続をしてあげなさい。」と言って控訴人の面前において右各処分の取消手続をとるよう指示した。その後直ちに右署長指示どおり右各処分を取消す再更正が行われ、同署長は右各処分を取消し追徴所得税額・加算税額を零とする再更正をする旨を記載した各通知書を控訴人宛に簡易配達証明便で送付し、控訴人は右各通知書を同月一四日(右面談の翌々日)に受領した。控訴人は右各再更正通知書を大切に保管していたが、保管したと思っていた場所に見当らず、現在これを証拠として提出することはできないが、それがため右各再更正がなかったことになるはずはない。

2  原判決添付別表の記載は正確に表現すると、次のとおりである。

(一) <2>の本税額一、二〇〇、五二〇とあるところは一、一三四、一六〇。

(二) (2)の(B)五三八、七〇〇とあるところは四一二、二四〇円。

(三) (1)及び(2)の取立充当日に各42・7・18とあるところは42・4・6。

(四) (3)の取立充当日に42・7・18とあるところは42・4・22。

三  証拠

1  控訴人

(一) 甲第五五、第五六号証を提出。

(二) 当審証人民谷高之の証言を援用。

2  被控訴人ら

甲第五五、第五六号証の成立は知らない。

理由

一  当裁判所は、当審における証拠調の結果を参酌しても、控訴人の被控訴人西税務署長に対する本件訴えをいずれも不適法として却下し、被控訴人国に対する本訴請求をいずれも失当として棄却すべきものと判断する。その理由は次に付加、訂正するほかは、原判決の理由と同一であるから、その記載を引用する。

1  原判決一一枚目裏一一行目「課税処分」を「(A)欄記載の金額に相当する税金」と改め、一二枚目表四行目「預金債権」を「右預金債権」と改め、同表末行「理由に」の次に「右預金債権差押処分の効力を」を付加し、同枚目裏二行目「自主納付」の次に「並びに他の還付金充当」を付加し、一三枚目裏六行目「更正決定」を「更正・決定」と改め、同裏六、七行目の括弧書を削除し、同裏七行目「いずれも」の前に「控訴人の主張が真実であったとしても、」を挿入し、同裏八、九行目「弁論の全趣旨により」を「原審における控訴人本人尋問の結果及び控訴人の主張自体から」と改める。

2  控訴人は、昭和四〇年一二月一二日、当時の西税務署長芝本正春が当時の所得税課長補佐民谷高之に対し原判決添付別表(1)ないし(3)の各処分の取消手続を指示し、その後直ちに右署長指示どおり右各処分を取消す再更正が行われ、同署長は右各処分を取消し追徴所得税額・加算税額を零とする再更正をする旨を記載した各通知書を控訴人宛に送付し、控訴人は右各通知書を同月一四日に受領した旨主張するが、控訴人の立証その他本件にあらわれた全証拠をもってしても、控訴人の右主張事実を認めるに足りない。

二  以上の次第であるから、控訴人の被控訴人西税務署長に対する本件訴えをいずれも却下し、被控訴人国に対する本訴請求をいずれも棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 今中道信 裁判官 仲江利政 裁判官 庵前重和)

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