大阪高等裁判所 昭和57年(行コ)17号 判決 1983年4月27日
大阪市旭区新森二丁目二番一号
控訴人
中山象一
右訴訟代理人弁護士
平正博
同市同区大宮一丁目一番二五号
被控訴人
旭税務署長
富永亀吉
右訴訟代理人弁護士
森勝治
右指定代理人
饒平名正也
同
国友純司
同
木澤勲
同
辻倉幸三
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一申立
一 控訴人
原判決を取消す。
被控訴人が昭和四九年一二月二六日付でした控訴人の昭和四七年分所得税のうち更正処分のうち、その総所得金額が六二一万六、〇五六円を超える部分及びこれに伴う過少申告加算税、重加算税の賦課決定処分をいずれも取消す。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二主張
当事者双方の主張は、控訴人において次のように付加したほか原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。
一 本件土地の買主大登興産から額面二億二、〇〇〇万円の小切手の交付をうけ、これを現金化し運用したのは、重大阪観光株式会社(以下「東大阪観光」という)又はその代表者金福竜であって、控訴人ではない。
右受領者が控訴人であるとするのは、被控訴人の単なる推測にすぎない。
二 東大阪観光は、金融機関と預金取引をし、大阪市東成区今里で従業員一〇名位を使用してレストランを営んでいた実在の会社であり、実体のない、登記のみの会社ではない。
もっとも同会社が法人税の申告をしていたかどうかは控訴人には不明であるが、税務申告の有無は、実体の存否とは無関係である。
第三証拠関係
原、当審の訴訟記録中の証拠に関する目録の記載を引用する。
理由
当裁判所の認定判断は、次のように訂正するほか原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。
一 原判決一二枚目裏五行目、八行目、一七枚目表三行目の「証人」を「原審並びに当審証人」に、一二枚目裏五行目の「同藤盛昭博」を「原審証人藤盛昭博」に、六行目、八行目、一七枚目表四行目の「原審並びに当審における控訴人本人」に訂正する。
二 一三枚目表六、七行目を「右のとおり控訴人が買主として本件不動産の売買代金を支払った事実は、当審において控訴人本人の認めるところであり、その供述によれば、右残代金を支払うまで中橋は買主の地位の移転を承諾したことのないことが明らかである。」に、同八行目を「(イ) しかるに右売買残代金の支払いが完了してから約一か月後に控訴人の要求により、」にそれぞれ訂正する。
三 一五枚目表二、三行目を「原審においては銀行が勝手にしたものであろうと供述し、当審では朝銀大阪信用組合新大阪支店副支店長姜基浩の指示によるものであると供述した。」に訂正する。
四 一六枚目表末行の「日興証券で」を「日興証券での」に、同裏八、九行目の「東大阪観光の実体がないから、」を「かつ、当審証人金福竜の証言によれば、東大阪観光は当時すでに飲食業等の営業を停止し、店舗を売却し、登記上の本店を東京都に移転する寸前であって、もはや会社の実体を有するものではなかったと認められるから、」に訂正する。
五 一七枚目表末行の「東大阪観光の実体がないこと」を「東大阪観光が前記のとおり会社の実体を有しなかったこと」に、同裏四行目ないし六行目を「前記認定にかゝる諸事実を総合すると、控訴人は、昭和四七年一二月七日大登興産に対し本件土地を二億二、〇〇〇万円で売却し、後記のとおり雑所得を得たと認めるのが相当である。」にそれぞれ訂正する。
六 一八枚目裏八行目の「認められるところ、」から一九枚目表四行目末尾までを「認められ、当審における証拠調べの結果によっても右認定を覆えすに足りない。」に訂正する。
よって、控訴人の請求を棄却した原判決は正当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 石川恭 裁判官 仲江利政 裁判官 蒲原範明)