大阪高等裁判所 昭和58年(ネ)1079号 判決 1983年10月12日
主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 控訴代理人は、「1 原判決を取消す。2 債権者控訴人及び被控訴人両名・債務者日新商会こと竹中秀夫間の大阪地方裁判所昭和五七(リ)第五五一号配当等手続事件において作成された配当表を別紙控訴人主張の配当表のとおり変更する。3 訴訟費用は第一・二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人岩谷産業株式会社代理人は、主文と同旨の判決を求め、被控訴人南海信用金庫は、当審の最初になすべき口頭弁論期日に出頭しないが、陳述したものとみなされた答弁書によれば、主文と同旨の判決を求める、というものである。
二 当事者双方の主張及び証拠関係は、次に訂正・付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決四枚目裏五行目の「同」の次に「4、」を、九行目の「2」の次に「、3」をそれぞれ挿入する。
2 同五枚目表七行目の「また」の次に「一般の先取特権者の担保権行使としての債権(仮)差押とこれに先立つ一般債権者の債権(仮)差押とが競合した場合には、一般の先取特権者に優先権が認められるのに対し、動産売買の先取特権者にこれを認めないのは、不均衡である。さらに」を、九行目の「同条」の次に「項但書」を、裏初行の「とは、」の次に「同但書の「差押」と効力が相容れないもの、すなわち債権の消滅及び債務者以外の者への帰属をいうのであつて、」をそれぞれ挿入し、三行目の「一般債権者」から四行目の「仮差押」までを「債務者に対し取立てや処分を禁止し、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する効力を有するに過ぎない債権(仮)差押」と改める。
理由
一 当裁判所も控訴人の請求は失当として棄却すべきものと判断するものであつて、その理由は次に訂正・付加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。
1 原判決六枚目裏五行目の「配当期日に」を「日に配当期日が開かれたことは」と、六行目の「なき事実に」を「のない事実に、控訴人と被控訴人岩谷産業との間においては成立(甲第五号証については原本の存在も)に争いがなく、被控訴人南海信用金庫との間においては」と、七行目の「及び」を「(第五号証についてはその存在も)及び成立に争いがない」とそれぞれ改め、同行の「三号証」の次に「並びに弁論の全趣旨」を挿入する。
2 同七枚目裏一一行目の「を行使する」を「に基づく優先権保全の」と改め、一二行目の「ついても、」の次に「右法条の趣旨に則して決められるべきところ、」を挿入する。
3 同八枚目表三行目の「取得」の次に「、一般債権者の債権(仮)差押」を挿入し、四行目の「しかして」から裏四行目の「からである。」までを改行のうえ「なお、控訴人は同条項但書の「払渡又は引渡」には一般債権者の債権(仮)差押は含まれない旨主張するが、同但書の「差押」を先取特権者の物上代位権に基づく優先権保全のための対抗要件とみる以上、先取特権者のなす「差押」に先立ち第三者の債権(仮)差押の存在する場合には、先取特権者は、その第三者との関係ではその者が既に価値代表物に関与したものとして、右「差押」をもつて物上代位権に基づく優先権を主張し得ないものと解するのが合理的であり、右「支払又は引渡」のうちに、債務者に対する債権の取立てその他の処分の禁止及び第三債務者に対する債務者への弁済禁止の効力を内容とする債権(仮)差押を含めるのは、右法条に適合したものである。」と改める。
二 よつて、前記判断と同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条によりこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
(別紙)
控訴人主張の配当表
<省略>