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大阪高等裁判所 昭和58年(ネ)1924号 判決 1984年5月25日

【当事者】

控訴人

塩谷今代

外四九四名

右控訴人ら訴訟代理人

藤原光一

大江洋一

大槻守

河村利行

杉山彬

辻公雄

中西裕人

並河匡彦

福山孔市良

松岡康毅

守井雄一郎

被控訴人

近畿日本鉄道株式会社

右代表者

上山善紀

右訴訟代理人

小長谷国男

今井徹

石井通洋

山田忠史

山田長伸

中筋一朗

益田哲生

荒尾幸三

為近百合俊

高沢嘉昭

柏木斡正

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

一  当事者双方の申立

控訴人らは、「原判決を取り消す。大阪地方裁判所が同裁判所昭和四八年(ヨ)第二四五四号、同第二八〇三号建築続行禁止仮処分申請事件について昭和四八年一〇月一三日にした仮処分決定を認可する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文同旨の判決を求めた。

二  当事者双方の主張

左記のほか原判決事実摘示と同じであるからこれを引用する。

(一)  被控訴人の主張

控訴人らの本件仮処分申請は、原判決添付別紙物件目録記載の建築物につき昭和四八年五月一四日被控訴人が大阪府建築主事から確認を受けた原判決添付別紙工事内容目録記載の増改築工事のうち、同目録一の照明塔に関する工事(以下本件照明塔工事という)の続行の禁止を目的とするものである。しかし原判決によつて原仮処分決定が取消された後、被控訴人は右照明塔工事を再開し、昭和五九年三月五日右工事は完成した。

したがつて控訴人らの本件仮処分申請は、請求の対象ないし係争物が消滅したことに帰する。

(二)  右主張に対する控訴人らの認否等

本件照明塔工事が完成した事実は知らない。(なお控訴人らは本件仮処分申請の趣旨の変更はしない旨付陳した。)

三  疎明関係<省略>

理由

<証拠>によれば、原判決により原仮処分決定が取消された後、被控訴人において本件照明塔工事を再開し昭和五九年三月五日右工事が完成し、同月七日付で大阪府建築主事より建築基準法七条三項の規定による検査済証の交付を受けたことが一応認められる。

してみれば、控訴人らが人格権、環境権、物権的請求権等に基づき本件照明塔工事の差止めを求める本件仮処分申請は、その被保全権利の疎明の存否についての判断はさておき、右のとおり照明塔工事が完成し、しかも控訴人らにおいて仮処分申請の趣旨の追加変更をしない旨を明らかにしているのであるから、本件仮処分申請は将来の執行保全の目的を欠き仮処分申請の利益が消滅したものとしてこれを却下するのが相当である。

したがつて、本件照明塔工事の差止めを求める本件仮処分申請を却下した原判決は結論において相当であるから、控訴人らの本件控訴はこれを棄却することとし、控訴費用の負担について民訴法九五条、九三条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(今富滋 西池季彦 亀岡幹雄)

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