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大阪高等裁判所 昭和58年(ラ)194号 決定 1983年6月06日

抗告人 徳岡修身

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一、抗告の趣旨及び理由

抗告人は、「原決定を取消し、本件売却を許可しない。」との裁判を求め、抗告の理由は、次のとおりである。

即ち抗告人(債務者)に対する本件入札期日の通知が抗告人の住所の記載が不正確であつたため、到達しなかつた。そのため、抗告人は、売却期日までに債権者と本件債務の適当な法的手続をする機会を失つた。

二、当裁判所の判断

民事執行規則第一七三条第一項、第三七条によれば、入札期日等の通知は債務者に対してしなければならない旨規定されているが、債務者は買受けの申出をすることができないのであるから(民事執行法--以下法という。--第一八八条、第六八条)、債務者に対する入札期日等の通知は、債務者に売却の許可又は不許可に関し意見の陳述(法第七〇条)の機会を与える等により手続の公正を担保するにあると解するのが相当である。従つて、右通知の欠缺は、売却の効果に影響を及ぼす重大な手続上の誤りということはできない。

してみれば、抗告人の主張は、法第七一条第七号に掲げる「売却の手続に重大な誤りがある。」に当らないから、本件執行抗告は許されないといわねばならない(法第七四条第二項)。

なお、抗告人は、債務弁済の法的手続をとる機会を失つたと主張するが、通知の欠缺との間の因果関係の有無はともかくとして、かかる事由をもつて手続に重大な誤りがあるとなしえないことはいうまでもない。

よつて、本件抗告は理由がないから、これを棄却し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 小林定人 坂上弘 山本博文)

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