大阪高等裁判所 昭和58年(ラ)392号 決定
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【判旨】
一件記録によれば、原審裁判所は抗告人稲尾ともえと抗告人田中むる江外七名間の遺産分割審判申立事件において、昭和五八年一〇月二四日家事審判法一五条の四、家事審判規則一〇七条、一〇八条の三に基づき、遺産分割実行のため、弁護士尾崎高司を遺産管理人に選任し、抗告人稲尾ともえを換価人と定め、同抗告人に対し、原審判添付別紙(2)記載の遺産を、昭和五九年四月末日までに、最低売却価額を五九〇〇万円と定め、任意売却するよう命じたことが認められる。
抗告人らは、右最低売却価額は廉価であるとして、本件抗告をするものであるが、しかし家事審判法一四条の規定によれば、家事審判に対する不服申立は、家事審判規則又は特別家事審判規則に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合にのみ許されると解せられる。
ところで家事審判規則一〇七条、一〇八条の三に基づく遺産分割実行のための遺産の換価を命じた審判に対し、即時抗告をすることができる旨を定めた規定は存在しないから、右審判に対する本件即時抗告は、不適法である(なお、一件記録中の鑑定人木口勝彦作成の鑑定書によれば、本件遺産(土地)の評価額は八五九五万六〇〇〇円(坪単価一一四万八四〇〇円)とされているが、一件記録中の調査結果によれば、右価額による売却は現実の問題として困難であり、坪当り八〇万円程度総額五九七六万八〇〇〇円を超える買主を捜すのは困難な事情にあることが認められるから、最低売却価額を五九〇〇万円と定めた原審判は相当と認められる。抗告人稲尾ともえは、右最低売却価額以上のできるだけ高額の価額で買い受ける買主を捜し、これに本件遺産を任意売却することは何らさまたげないものである。)。
(小林定人 坂上弘 小林茂雄)