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大阪高等裁判所 昭和59年(ラ)126号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

抗告人は、本件引渡命令の対象となつた建物(以下「本件建物」という。)については本件不動産競売手続による差押えの効力発生前から抗告人において当時の所有者森本國臣(以下「件外森本」という。)から賃借して占有しているのであるから、抗告人は、民事執行法第八三条第一項に規定する引渡命令の相手方には該当しない旨主張する。

よつて案ずるに、一件記録によれば次の事実が認められる。

1 本件建物については、昭和四八年四月二〇日件外森本のために所有権保存登記がなされ、同日同人の株式会社池田銀行(以下「件外銀行」という。)に対する債務の担保として抵当権設定登記がなされていたところ、昭和五七年九月二九日、この抵当権の実行のために、競売手続開始決定がなされて、相手方が買受け、同五八年一二月八日相手方のために売却許可決定がなされた。

2 本件建物及びその敷地は抗告人が大阪に転居するに際し昭和四八年四月一〇日ころ抗告人において購入取得することとしたのであるが、購入代金を件外銀行から融資を受ける必要上抗告人の義弟である件外森本名義でこれを買受け、同人の所有名義とし、同人名義で件外銀行から融資を受け、その債務の担保として前記抵当権設定登記がなされた。

3 そして、抗告人の妻及び子は本件建物を購入した前記昭和四八年四月一〇日ころから、また、抗告人においては遅くとも同五三年二月六日ころから本件建物に継続して居住し、抗告人は、件外森本から本件建物を賃借した形をとつてはいるものの、件外銀行に対する前記債務についても抗告人が、件外森本の名義で分割払いの方法により弁済していた。しかし、右分割金の支払を怠つたため本件競売手続が開始された。

以上の事実によれば、抗告人は、本件建物を実質的には所有者として占有しているものであつて、このような地位にある抗告人は民事執行法第一八八条により準用される第八三条第一項にいう「債務者」(所有者)にほかならず、したがつて、引渡命令の相手方となると解すべきである。

そうすると、原決定は相当で本件抗告は理由がないからこれを棄却し、抗告費用は抗告人に負担させることとして主文のとおり判決する。

(村上明雄 寺﨑次郎 安倍嘉人)

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