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大阪高等裁判所 昭和60年(く)142号 決定 1985年11月19日

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣意は、弁護人篠田健一、同畑良武、同武川襄共同作成の抗告申立書記載のとおりであるから、これを引用する。

ところで、記録によれば、被告人は昭和六〇年九月一〇日本件公訴事実と同じ被疑事実により通常逮捕され、翌一一日勾留(同月二〇日に同月三〇日まで延長)、同月三〇日勾留のまま京都地方裁判所に起訴されたところ、右弁護人三名及び弁護人阪本政敬は、一〇月二二日保釈請求をなし、同月二五日同裁判所裁判官金村敏彦により刑事訴訟法八九条四号及び五号の場合にあたるとして右請求が却下されたこと、同月二八日開かれた第一回公判期日において、起訴状の朗読、被告人及び弁護人の被告事件についての陳述、検察官の証拠調請求まで行なわれた後、同日本件抗告の申立がなされたことが明らかである。

右事実によれば、本件抗告の対象となっている原裁判は、第一回公判期日前の裁判官による勾留に関する処分(同法二八〇条一項)であるから、本件のようにその不服申立が第一回公判期日の後に行なわれている場合であっても、同法四一九条の規定からみて抗告の方法による不服申立は許されないものと解される。

従って、本件抗告の申立は不適法であるから、同法四二六条一項により、これを棄却することとして主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 石松竹雄 裁判官 鈴木清子 小熊桂)

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