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大阪高等裁判所 昭和60年(行コ)38号 判決 1986年5月14日

京都府船井郡園部町本町六三番地

小山吾一郎こと

控訴人

小山五一郎

右訴訟代理人弁護士

高田良爾

京都府船井郡園部町小山東町溝辺二一番地二

被控訴人

園部税務署長

菊池和夫

右指定代理人

森本翅充

杉山幸雄

河中恒雄

西岡達雄

山田勝嘉

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  申立

1  控訴人

(一)  原判決を取り消す。

(二)  被控訴人が控訴人に対し昭和五五年一月二一日付でなした控訴人の昭和五一年分ないし同五三年分の所得税更正処分のうち、昭和五一年分の総所得金額が一二〇万円、同五二年分の総所得金額が一三一万七、〇〇〇円、同五三年分の総所得金額が一四六万九、〇〇〇円をいずれも超える部分を取り消す。

(三)  控訴費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。

2  被控訴人

主文と同旨。

二  主張

次のほか原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決七枚目裏末行目末尾に左記のとおり加える。

「このことは、原審証人前田賢治の証言、同証言により成立を認めうる甲第二号証及び原審における控訴人本人尋問の結果によって認められるというべきである。この点に関し前田賢治振出の二五〇万円の約束手形金が控訴人の普通預金に入金され、同二〇〇万円の約束手形を控訴人がツルタ電機に裏書譲渡したのは、(1)右工事代金二六四万一、三一〇円が二五〇万円に減額され、(2)ツルタ電機は前田賢治に対しパチンコ店空調工事一式代金二五〇万円の請求権があり、控訴人は前田賢治に対しパチンコ店電気工事代金二〇〇万円の請求権があった、(3)控訴人は前田賢治に名義を貸したので、ツルタ電機は控訴人に対し右空調一式代金二五〇万円とその余の材料代金一五二万八、七二四円との合計三五二万八、七二四円を請求した、(4)控訴人は前田賢治から同人振出の二五〇万円の約束手形(ツルタ電機分)と二〇〇万円の約束手形(控訴人分)とを受領した。以上の経緯があったので、控訴人は右二五〇万円の約束手形金を控訴人の普通預金に入金し、二〇〇万円の約束手形を控訴人がツルタ電機に裏書譲渡すると同時に、控訴人は自己振出の一五二万八、七二四円の約束手形をツルタ電機に交付した。従って、空調工事一式は控訴人とツルタ電機との取引ではないことが明らかである。」

2  同九枚目裏一行目の「場合、」の次に「材料を仕入れて販売するのではなく、工事を請負って材料に加工するのであるから、」を加える。

3  同一〇枚目表六行目と七行目との間に左記のとおり挿入する。

「控訴人は空調工事一式の代金が二五〇万円に減額されたと主張するが、右主張は甲第一号証の記載にも反し失当というべきである。又、控訴人は一五二万八、七二四円が空調工事一式以外の材料代金であると主張するが、それは控訴人が原審で主張した九八七万七、六九三円(三六二万九、〇〇三円と二六四万一、三一〇円との差額)と明らかに矛盾する。更に、控訴人は右一五二万八、七二四円の自己振出の約束手形をツルタ電機に振出し交付したと主張するが、その事実のないことは乙第七号証、同第二五号証によって明らかである。」

4  同一一枚目裏三行目と四行目との間に左記のとおり挿入する。

「被控訴人は、控訴人との比準同業者を抽出するに当り、売上原価の類似性だけでなく、雇人費と外注費との合計額も類似性の条件として、平均売上原価率を採用しているので、売上原価と売上金額との間に相関関係があることは明らかである。」

三  証拠

本件記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も控訴人の本訴請求を棄却すべきものと判断する。その理由は、次のほか原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決一二枚目表六行目と七行目との間に左記のとおり挿入する。

「因に、所得税に関する調査についての所得税法二三四条一項の質問検査において、その理由及び必要性を相手方に告知することは、法律上の要件ではない(最高裁三小昭和四八年七月一〇日決定刑集二七巻一、二〇五頁)。」

2  同一三枚目表五行目末尾の「原」の前に「原・当審における」を加える。

同裏一〇行目の「支払のため」の次に「控訴人に対して」を加える。

3  同一四枚目の「つかない」の次に「(控訴人はるる主張するが、右主張事実を肯認するに足りる証拠はない。)」を加える。

同九行目末尾に「そして、前掲甲第四三号証及び乙第七号証を総合すれば、控訴人は前田賢治のパチンコ店の空調工事一式を請負い、その一式材料はツルタ電機から仕入れ、ツルタ電機はこれを右パチンコ店に納入し、控訴人は前田賢治から右工事代金の支払をうけて、ツルタ電機に対して右材料代金を支払ったと認めるのが相当である。従って前記記載・証言・供述部分は措信できないとしなければならない。」を加える。

同裏五行目の「しかし、」の次に「当審における控訴人本人尋問の結果によれば、控訴人のような電気工事業者が、家電製品を取扱うのは例外でないことが明らかであるところ、」を加える。

4  同一六枚目裏六行目の「当裁判所は、」の次に「同業者平均原価率の採用により」を加える。

5  同一八枚目表八行目の「その」を「原審における」に改め、同一〇行目の「供述している」の次に「(もっとも、当審における本人尋問では、原判決後に昭和五二年分の手帳を発見した旨供述し、これが甲第四九号証として提出されているが、その記載は簡単にすぎて採用できない。)」を加える。

同裏一行目末尾に「(仮に、控訴人主張のアルバイト分六万四、〇〇〇円を肯認しても、後記認定(原判決添付の別表9)の昭和五二年分所得金額が七三〇万三、八〇九円となるだけであるから、所得金額を過大に認定した違法のないことは明らかである。)」を加える。

6  同一九枚目表九行目の末尾に「なお、当審における控訴人本人尋問の結果によって成立を認める甲第四八、四九号証は、右甲第四、五号証とも一致しないし、後記乙第二二号証の一に照らして措信できない。」を加える。

二  以上の次第で、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるから、民訴法三八四条により本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山忍 裁判官 惣脇春雄 裁判官磯尾正は転任につき署名捺印できない。裁判長裁判官 栗山忍)

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