大阪高等裁判所 昭和60年(行コ)55号 判決 1987年2月25日
神戸市長田区西尻池町一丁目二番三号神戸エンタープライズビル五階
控訴人
ライトマン商事株式会社
右代表者代表取締役
吉田光男
右訴訟代理人弁護士
山下顕次
神戸市長田区大道通一丁目三七
被控訴人
長田税務署長
右指定代理人
森本翅充
同
徳島汎
同
保科隆一
同
佐治隆夫
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は、「原判決を取消す。神戸税務署長が控訴人の昭和五〇年八月一日から昭和五一年七月三一日までの事業年度の法人税について、昭和五三年五月四日付でした更正処分および過少申告加算税賦課決定処分を取消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張は、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。
当事者双方の証拠の関係は、本件記録中の原審における書証目録および原審および当審における承認等目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
当裁判所も、本件更正処分および過少申告加算税賦課決定処分は、いずれも適法であって、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないものと判断するものであるが、その理由は、左記に付加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。当審における控訴会社代表者本人尋問の結果中、右認定判断と抵触する部分は採用できず、他に右認定判断を左右するに足りる証拠はない。
1 原判決三三枚目表一〇行目末尾に「そして、かく解釈しても法文にない制限を加えるものでない。」を加える。
2 原判決三六枚目表九行目末尾に「控訴人は、賃貸料額(法定果実)と商品売上高(元本)という本来同列で比較できないものを同列で比較しているのは、全く論理を誤っているものであると主張(昭和六一年一月二三日付準備書面)するが、控訴会社のオリエンタル商事有限会社時代の昭和四五年度ないし同四八年度の各事業年度における利益の大半が土地の売却益および家賃収入で占められていたのに対し、控訴会社の組織変更後の昭和四九年度および同五〇年度の各事業年度の利益においては、商品売上金額に対し、賃料および敷金収入を合計した額の収入の占める割合が相当減少していることを認定判断したものであって、控訴人の右主張は採用できない。また、控訴人は、久保田鉄工、したがってクボタグリーンの賃貸期間終了時には、遡及効果が認められ、金銭の授受、物件移転等については、始めからなかったとする約定が交わされていたとの認定は、証拠に基づかないだけではなく、正しい証拠を無視した甚だしい誤判であるなどと主張(前同準備書面)するが、冒頭掲記の証拠関係、特に、原本の存在および成立に争いのない乙第一ないし第四号証によれば、優にこれを認めることができる。さらに、また、控訴人は、賃料月額一〇〇万円では欠損が生じ、事業の用に供したとはいえないと認定している旨主張(前同準備書面)したうえ、納税者として絶対に承服できない誤判であると主張(前同準備書面)するけれども、賃料月額一〇〇万円では欠損が生じることだけで、本件買換資産を事業の用に供したものとは認められないと認定しているのではなく、右に認定した各事実を総合して、本件買換資産を事業の用に供したものと認められないと認定判断しているのであって、成立に争いのない甲第五号証(新聞記事)によっても、右認定判断を左右することはできない。」を加える。
3 控訴人は、本件買換資産をスターラバー工業株式会社へ賃貸をすることを目的として取得したものであるから、租税特別措置法六五条の六第四項にいう「事業の用に供した」ものであると主張(前同準備書面)するが、仮に、控訴人が本件買換資産をスターラバー工業株式会社へ賃貸することを目的として取得したものであったとしても、本件買換資産の使用状況(引用の原判決三四枚目表三行目から同三六枚目裏二行目まで)からすると、控訴人が本件買換資産をいかなる意味においても「事業の用に供した」ものと認めることができないから、控訴人の右主張は採用できない。
よって、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないから、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条、行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を各適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 萩田健治郎 裁判官 阪井○朗 裁判官 渡部雄策)