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奈良地方裁判所 昭和27年(行)2号 判決

原告 嶌田健治

被告 奈良県知事

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は、被告が昭和二十二年十月二日別紙目録記載の農地についてなした買収処分は無効であることを確認する。訴訟費用は被告の負担とする。との判決を求め、その請求の原因として、別紙目録記載の農地(以下本件農地と称する)はもと原告の母島田カツエの所有であつたが、同人が昭和二十年三月十一日死亡したので原告が同日遺産相続によりその所有権を取得したものである。しかるところ被告奈良県知事は、訴外朝和村農地委員会が昭和二十二年六月五日本件農地につき定めた買収計画にもとずいて、同年十月二日自作農創設特別措置法(以下自創法と称する)第三条、第十五条により買収処分をした。しかしながら右買収処分は左記の諸点において違法で当然無効である。すなわち、

(一)  朝和村農地委員会の右買収計画は本件農地を当時既に死亡していた前記島田カツエの所有であるとしてなされたもので、従つて右計画に基いてなされた買収処分は権利義務の主体となりえない死者を対象としてなしたものであること。

(二)  原告は本件農地が買収された事実を昭和二十四年四月二十五日頃口頭で告知されて始めて知つたものであつて、その買収令書は被告から亡島田カツエに対して交付されていないことは勿論、相続人である原告に対しても交付されていないこと。

(三)  本件農地の買収計画を定めた昭和二十二年六月五日開催の朝和村農地委員会の議事には、当時本件農地のうち奈良県山辺郡朝和村大字永原字池の北百三十三番地田六畝十四歩外畦畔九歩の小作人であり、自創法第十六条第一項により右農地の売渡を受くべき第一順位者で実際上もその売渡を受けた、すなわち本件農地につき利害関係のある中西一郎が農地委員として参与していること。

そして以上の違法は夫々重大な瑕疵であつて該処分を当然無効ならしめるものである。よつて原告は被告に対して該買収処分の無効であることの確認を求めるため本訴に及んだと述べ、被告主張の答弁事実を否認し、なお本件農地の所有名義が買収当時登記簿上亡島田カツエであつたことは認めるが、相続開始後相続登記が怠られていても該相続財産に関する行政処分は真実の所有者である相続人に対してなさるべきで死者である被相続人に対しての行政処分は無効である。殊に所謂農地買収の如き画期的の処分に際しては先ず土地の所有者が何人であるかを一筆毎に調査し確定することは農地の面積実態等を調査することと共に自創法や農地調整法を運用する上に極めて重要なことであるから戸籍簿と照合して真の所有者である相続人に対し買収処分をなすべきである。また買収令書の当時の様式が被告主張のとおりであつたとしても原告は朝和村農地委員会からの求めに応じ、使いの者に印顆を持参させたが、同委員会事務局係員は具体的の用途を告げずに印顆を受取つて捺印して農地等買収代金交付内訳書や領収証を作成したのであるから、たとえ右証書等の成立によつて原告が買収代金を受領したことに帰しても、当時原告は買収令書の交付が農地買収の成立要件であることを充分に認識せず従つて該令書の交付が無かつたに拘らず買収の事実を承諾し、或は錯誤によつてその代金を受領する場合もありうることであるから原告の農地等買収代金受領の委任状があつたとしてもそれ丈では買収令書の受領証がない以上本件農地についての買収令書の適法な交付があつた証拠になりえないと附陳し、

立証として、甲第一号証、同第二号証の一、二同第三号証を提出し、証人島田マサの証言(第一、二回)及び原告島田健治本人の訊問の結果を援用し、乙第三号証の二の成立を認め、同第二号証の二同第四、五号証の成立は不知、同第一号証、同第二、三号証の各一は夫々印影のみ成立を認めるが爾余の部分の成立は不知、尚同第二号証の二は原告の妻訴外島田マサの名義であるが同人の名下の印影は原告の印章と同一でこの様に名義人と同名義人のものとして押捺された印章が正確でないことで明白の様に農地買収に関する事務は適法正確でないと述べた。

被告指定代理人は原告の請求を棄却する。との判決を求め答弁として、原告主張事実中、本件農地がもと島田カツエの所有であつたが原告主張の日同人が死亡し原告が遺産相続によりその所有権を取得し、被告が朝和村農地委員会の本件農地に関して定めた買収計画に基いて昭和二十二年十月二日自創法第三条第十五条により本件農地につき買収処分をしたこと、右買収計画及び買収処分が当時既に死亡していた島田カツエに付て本件農地を同人名義のものとしてなされたこと及び右買収計画を定めた前同村農地委員会の総括的な議事に利害関係のある農地委員中西一郎が参与したことはいずれも認めるが、その余の事実は否認する。即ち、

(一)  農地の買収計画は土地台帳によつて定めることになつておるものであるが、本件農地については島田カツエの死亡により原告が遺産相続してその所有権を取得していたとしても、相続登記が怠られていれば土地台帳は変更されず登記簿上も依然として右島田カツエ名義になつているので、朝和村農地委員会は各公簿上の記載を信頼して買収計画を立て、被告もこれに基いて買収したものであるから其の所有者、従つて本件農地は特定し該処分は無効とはならないのみならず本件農地の買収手続はその記載は其の先代カツエに対してなされているが実際には相続人である原告に対してなされ原告もこれを承知の上各手続に応じ且つ右買収代金を受領しているのであるから結局相続人である原告に対して該処分の効力が生じたものである。

(二)  本件農地の買収期日当時使用されていた買収令書は同令書受領証、農地買収の対価及報償金受領の委任状と連結して一枚の用紙に印刷され、各連結部分は切取線個所でそれぞれ切り離すようになつておるのであるが、原告は朝和村農地委員会に対し農地買収の対価及報償金受領の委任状(乙第三号ノ一)を提出しているから前記の様に買収令書の様式の関係上原告が右委任状の用紙のみを入手して提出すべき理がなく必ず買収令書を受領してそれで右委任状の用紙を入手の上所要の記載と捺印をして提出したものと認められるから原告は他の被買収者と同様朝和村農地委員会から買収令書の交付を受け、右受領証及び委任状に捺印の上これを切取つて同委員会に返し、同委員会はこれを一括して奈良県農地課に、同課は該委任状を株式会社日本勧業銀行奈良支店にそれぞれ送付し、その後同委員会は同銀行から他の被買収者の分と一括して本件農地の買収代金(現金及び農地証券)を受取つて、これを原告に交付し、その際原告から農地買収代金交付内訳書(乙第一号証)及び右銀行宛の領収書(乙第二号証ノ一)に捺印を受けたものであつて、かかる手続が被買収者に対し一様になされたのであるから、右委任状が前示の様に農地委員会に返されている以上、買収令書の受領証が奈良県農地課の機構改正の際整理されて所在不明であつても、原告が他の被買収者と同様に買収令書の発行直後に本件農地の買収令書の交付を受けていることは明かで該買収処分に何等の違法はない。

(三)  右農地委員会は昭和二十二年六月五日自創法第三条第一項第二号の規定により原告所有の本件農地、すなわち原告所有の農地中六反歩を超える小作地につき、買収計画を樹立した。しかして同農地委員会の同日の議事録によれば、本件農地の一部である奈良県山辺郡朝和村大字永原字池の北第百三十三番地田六畝十四歩外畦畔九歩の小作人であつた訴外中西一郎が小作人側の農地委員として出席し、議事に参与した如き記載があるがこれは総括的に簡略に記載されたもので、審議に際しては被買収者各個人々々について一筆毎に審議し、直接利害のある委員はその件についての議事には発言しておらないし決議にも加わつておらないのであるが、これを一々議事録に明記することは煩瑣であつたため、形式上全員賛成と記載したが右は利害関係のある委員以外の全委員が賛成した意味で、単に議事録作成上の不備であるから、右中西一郎の小作していた農地についての買収計画は勿論、これと一括議決された本件農地の全部についての買収計画も当然無効とはならない。仮りに右中西一郎が右買収計画の議事に参与したとしても、本件農地の買収計画は在村地主である原告の所有農地中その希望選択による六反歩を除いた残余について行われたもので、即ち保有農地を事実上原告が決定したのであるからその中に右中西一郎が小作し売渡を受けた農地が含まれていても、該土地は当時既に自創法の規定上訴外中西が実質的にも売渡をうけることに定まつていたわけで、原告はこれについてもはや何等不服を持つ余地がないばかりでなく又右訴外中西もその意思を介入さす余地はなくむしろ右中西一郎は農地委員として原告の希望を伝えるため原告の利益代表として議事に参与したもので、其の間に以上の外新に利害関係を生ずることはなく従つて本件買収計画は実質上何等瑕疵がなく無効とならない。

以上の理由により本件農地についての買収処分はいずれの点からみても無効とはならないから原告の本訴請求は失当であると述べた(立証省略)。

三、理  由

本件農地がもと島田カツエの所有であつたが同人が昭和二十年三月十一日死亡し、原告が遺産相続によりその所有権を取得したこと並に形式上被告奈良県知事が朝和村農地委員会の本件農地につき定めた買収計画に基いて一応右農地を昭和二十二年十月二日附で自創法第三条第十五条により買収処分をしたことは当事者間に争がない。そこで右買収処分が原告主張の如く違法になされ、その違法が右処分を当然無効ならしめるものであるか否かについて以下順次検討してみることとする。

(一)  原告は本件農地の買収計画及びこれに基く買収処分は実在の本件農地の所有者である原告に付てなされないで権利義務の主体とならない死者である原告先代島田カツエに付てなされたのであるから当然無効であると主張するので、まずこの点について審按するに、右買収計画及び買収処分が何れもその形式は当時既に死亡していた原告の母島田カツエを相手方と記載してなされたこと及び買収当時本件農地の登記名義が島田カツエであつたことは当事者間に争がなく、相続開始後右処分迄原告が相続登記を怠つていたことは原告の明に争わないところである。而して乙第一号証同第三号証の一中の原告名下の印影が同第二号証の二の島田マサ名下の印影と同一であり同第二号証の二の右印影は原告が自己の印章によるものであることを主張する事実及び証人島田マサの証言(第二回)によると右乙第一号証同第三号証の一の原告名下の印影は原告の印章によるものであることを認めることができるし、従つて右各事実とその方式及び趣旨とを綜合してその成立を認めうる乙第一号証成立に争のない乙第三号証の二と同第三号証の一とは同一様式であり且つ右乙第一号証の原告相当欄の記載と乙第二号証の一の記載が、又乙第一号証の訴外島田マサ相当欄の記載と乙第二号証の二の記載が夫々同一であること叙上の印影に関する認定の事実並に証人島田マサの証言(第一、二回)証人福岡藤市郎の証言(第一、二回)原告本人訊問の結果を綜合してその成立を認めうる同第二号証の一、二同第三号証の一、成立に争のない同第三号証の二及び証人福岡藤市郎(第一、二回)、中西一郎、島田マサ(第一、二回、但し後記措信しない部分を除く)の各証言並びに原告本人訊問の結果(但し後記措信しない部分を除く)右原告本人訊問の結果によつて成立を認め得る甲第二号証の一、二を綜合考覈すると、朝和村農地委員会は昭和二十二年中本件農地の買収計画を立てるに当り同委員会委員中西一郎同補助員井田雅男に大字永原所在の農地の調査を委嘱したので、同人等は既に住居が極めて近い関係で原告先代カツエが死亡したのを知つていたが原告が当時相当以前から世帯主として活動し又右カツエの遺産を相続しているものとして原告方を訪ねて原告方が保有すべき六反歩の農地につき原告の意向を聞いたところ原告は図面を示して保有を希望する農地を提示したのでその希望に基いて原告を農地所有者として買収すべき本件農地を策定し爾後順次買収の手続を進展せしめたが同村農地委員会では原告方を表示するに当つて本件農地の土地台帳の記載が原告にまだ更正せられていなかつたため、右中西一郎委員等の調査報告中その所有者の変更の点を忽緒に附して唯原告家の概念の下に之を一世帯として相手方を亡島田カツエと表示し爾後手続を進行したので買収計画同令書は何れも相手方は亡島田カツエと記載され、一方原告も自らか又はその妻島田マサの何れか若くはその使者が前記乙第二号証の一、二に表示されている印章を持参して右委員会に出頭し、その都度係職員の説明を受け各手続に応じたところ買収令書交付の際原告側では買収令書等の記載はその先代亡島田カツエであることを指摘したので一応戸籍関係の書類の提示を求められたが、爾後はその相手方は原告と記載せられて右手続が完了したこと、例えば朝和村農地委員会備付の農地等買収代金交付内訳書(乙第一号証)には原告を島田カツエ相続人の肩書を附して記載し又買収農地の対価及び報償金受領委任状及び農地証券及現金領収証には夫々島田健治と原告の名義を記載(乙第二、三号証の各一)(原告は本件農地以外に自創法で買収せられた農地を所有していたとの何等の主張立証がない)した様に本件農地買収の手続は相手方を原告として当時相互に何等異議紛争なく進行していたことを認めることができる。即ち本件農地の買収に付ては調査者と事務当局の連絡の不備のため偶々買収令書にはその相手方を原告と記載すべきにその先代亡カツエと記載した誤謬はあつたがその実質は終始原告を相手方としてなされてきたと認定することができるのである。蓋し農地買収は当時施行の自創法第四条第一項に示す様に世帯毎に保有面積を計算したので世帯を基礎として考慮せられた関係上、特定の世帯の一員として認められるか否かは重大な利害関係があるが、すでに特定の世帯の一員の所有に属するものとして確定せられた以上その一員の誰であるか否かは土地の実状と土地台帳の記載との相違程の重大な要素となり得ないから叙上の様な瑕疵は本件農地の買収処分を当然無効たらしめるものとは論断するを得ない。右認定に反する証人島田マサの証言(第一、二回)及び原告本人の供述中の部分は之を措信することはできないし又叙上認定を左右にする証拠はない。

(二)  次に原告は買収令書の交付がなかつたから本件農地の買収処分は当然無効である旨主張するのでこの点審究するに前顕乙第二、三号証の各一、二及び本件農地並に原告の妻島田マサ名義農地の各買収代金(現金及農地証券)の各受領証及び右代金受取委任状が被告の手裡にある事実、証人福岡藤市郎(第一、二回)同中西末広の各証言によつて成立を認めうる甲第四号証及び右各証言によれば本件農地買収期日当時の買収令書は被告主張の様に買収令書と切取線で連結した是又切取線で一枚の紙面を買収令書受領証と農地買収の対価及び報償金の受取を株式会社日本勧業銀行に委任する委任状とに区画したものとからなつているが、当時朝和村農地委員会では被買収者に買収令書を交付したときには前記受領証と委任状にいずれも被買収者の捺印を受けて返却を求め、之を奈良県農地課に送付し、同課を経て右勧業銀行(奈良支店)に右委任状を送りよつて同行から買収代金即ち農地証券並に現金の送付を受けて現金は農業協同組合で農地証券は農地委員会でいずれも被買収者に渡したこと、そして原告に対しても買収令書の交付の点は暫く之を措き他の被買収者と同様本件農地買収代金に付ては之を交付した事実を認め得るから叙上認定の事実と前記認定の様に買収令書、同受領証及び買収代金受領委任状が一体となつている関係上本件農地に関してその買収代金受領委任状が原告の捺印を受けて前記農地委員会従つて被告側に返還されている事実とは、先ず右委任状と連結していた買収令書の交付があり然る後に右委任状が作成されたと認めるのに十分である。買収令書、同受領委任状が存在しなかつたのにひとり右委任状のみ作成せられ前示農地委員会に交付せられた事由に付原告から何等の主張立証のなく単に買収令書の交付のなかつたことのみ主張してその立証のない本件では、本件農地の買収令書は昭和二十三年十月二日頃原告に交付せられたものと認定せざるを得ない。

以上認定に反する証人島田マサの証言(第一、二回)及び原告本人の供述部分は採用しないし他に右認定を覆えすに足る証拠はない。故に本件買収処分は何等違法ではない。

(三)  次に原告は本件農地の買収計画には利害関係のある訴外中西一郎が農地委員として議事に参与しているから右買収計画は無効であると主張するのでこの点検討を加えることとする。本件農地の買収計画を決定した昭和二十二年六月五日開催の朝和村農地委員会に小作側委員として右中西一郎が出席しており、同委員は本件農地の一部の小作人であつたことは当事者間に争がない。而して成立に争ない甲第三号証及証人福岡藤市郎(第一回)同中西一郎の各証言原告本人訊問の結果によれば本件農地の買収計画に関しては一筆毎に審議した後他の買収計画と共に一括して決議したものであるが、右中西一郎は農地委員として同人が本件土地のうち所謂基準日である昭和二十年十一月二十三日現在小作していた前同村大字永原字池の北第百三十三番地田六畝十四歩外畦畔九歩の審議に際しては何等発言しておらないが本件農地をも含めて全部一括して買収計画を決議した場合には該決議に加つて議事に参与していたことをいずれも認めることができるから一応右は当時の農地調整法第十五条ノ十二(改正法同条ノ十三、同条ノ二十四、農業委員会法第三十九条該当)の「委員は自己及自己と同一戸籍内に在る者に関する事件に付議事に与ることを得ず」との規定に反して利害関係ある委員が総括的であつたにせよ議事に参与したことになつて違法の様でもあるが元来農地委員会は農地買収に当つては自作農となるべき者の農地買受の機会を公正にし且自作農の耕地となるべく集団化し各地の実情に応じて農地中田畑の割合を適正にすることを目的として運営せらるべきものであるから、仮令利害関係のある者が農地委員として委員会の議事に参与しても、右目的殊に農地買受の機会の公正を阻害しない限り該委員会の議決は瑕疵があるものであつても常に必ず当然無効となるべき程の重大な瑕疵であるとは謂えない、之を右議決に付て観ると、本件農地の買収計画を策定するに当つては、その所有者である原告の意思を多分に斟酌したから原告として何等不服のあるべき筈なく、むしろ農地改革が遂行せらるゝ限りでは原告にとつて最善の案であるべきで一方前記田は所謂基準日に於て右訴外人が小作していた農地であるから自創法によつて謂はば同訴外人に売渡さるべきことが既に客観的に定まつていたと断言しても過言でない場合で、而も右の場合右基準日以後右小作地の解除、解約、更新の拒絶、耕作者の変更又該当農地の買収の請求が信義に反すべきものであり若くは買取を請求する右訴外人の耕作面積が所定の面積を超過するとの点に付原告から何等の主張立証のない右議決に付ては事実上各委員の自由裁量の余地少く、而も審議に際しては該農地委員会の許可があれば発言し得たのに、何等右訴外人からも発言もなかつたに拘らず、出席(定員と同数)委員一致の議決を得たのであつて、従つて右訴外中西が議決に加らなかつたとしても当該議案は採決によつて農地買収計画として成立を得べかりしものであり其他同訴外人の議決参与によりその結果が左右されるような別段の事情があつたことに付て是又原告から何等主張立証もないから結局前示認定の違法はまだ本件農地の買収計画を当然無効ならしめる瑕疵であるとはいえないと解するを相当とすべきである。

よつて本件農地の買収手続に付ては何等重大な瑕疵はないからその買収処分は有効と云うべく、従つて原告の本訴請求はいずれの点からみても理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十五条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 菰淵鋭夫 谷野英俊 田坂友男)

(目録省略)

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