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奈良地方裁判所 昭和44年(わ)11号・昭44年(わ)12号 判決

一、事件名

昭和四四年(わ)第一一号被告人奈良生コンクリート株式会社、被告人浅川清に対する法人税法違反、同年(わ)第一二号被告人株式会社浅川組、被告人浅川清に対する法人税法違反各被告併合事件

一、被告法人及び被告人

(一)

名称 奈良生コンクリート株式会社

代表者代表取締役氏名

浅川清

本店所在地

奈良市八条町二四五番地ノ一

(二)

名称 株式会社 浅川組

代表者代表取締役氏名

浅川清

本店所在地

奈良市八条町二四五番地ノ一

(三)

氏名 浅川清

年令

昭和二年一二月一〇日生

職業

会社役員

住居

奈良市法蓮町九四六番地ノ二

本籍

同市古市町一四八七番地ノ一

一、立会検察官検事

小沢輝子

一、主文

被告会社奈良生コンクリート株式会社を罰金四三〇万円に処する。

被告会社株式会社浅川組を罰金二二〇万円に処する。

被告人浅川清を罰金二〇〇万円に処する。

被告人浅川清において右罰金を完納することができないときは金五、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

一、理由

(イ)  罰となるべき事実

第一、被告会社である株式会社浅川組は資本金三〇〇万円、各種土木工事並に建築の設計、施行、請負などを目的として昭和三四年七月二四日設立された会社(昭和四二年四月一〇〇〇万円に増資)で被告人浅川清は右会社設立当時より代表取締役として会社業務全般を統括掌理し、右会社は昭和三八年八月ごろより被告人浅川清の実弟浅川清一を経営に関与させて生コンクリートの製造販売をも行つていたが、昭和四一年三月ごろ生コンクリート部門で取引のあつた土木請負業者大橋組が倒産し、多額の売掛金及び受取手形が取立不能となつたため運転資金に窮し融資の獲得に腐心したことより被告人浅川清は将来起り得る景気の変動や金融引締め等による取引先の倒産融資の途絶に対処するには約五、六千万円の裏資金を常備しておく必要ありと考え、右浅川清一と共謀の上同会社の業務に関しその所得を隠匿して法人税を免れようと企て

(1)  昭和四一年四月一日より同四二年三月三一日までの事業年度における右被告会社の所得額は二四、四八七、八四二円これに対する法人税額は八三三八、五〇〇円であつたのにかかわらず架空の外註工賃を計上して同会社名義の小切手約束手形を振出し、その支払金を奈良市信用金庫等に架空人名義で預金を設定して留保するなどの不正の手段によつて所得を隠匿し昭和四二年五月三一日所轄の奈良税務署長に対し右被告会社の事業年度の所得額は九、四九七、八四二円その法人税額は三〇九二、二八〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し以て同事業年度の法人税五二四六、二〇〇円をほ脱し

(2)  昭和四二年四月一日より同四三年三月三一日までの事業年度における右被告会社の所得額は一五五八九、六七五円これに対する法人税額は五二四六、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段によつて所得を隠匿し昭和四三年五月三一日前記奈良税務署長に対し右被告会社の右事業年度の所得額は五八三一、二三三円、その法人税額は一八三〇、八〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し以て同事業年度の法人税三四一五、三〇〇円をほ脱し

第二、被告会社である奈良生コンクリート株式会社は前記株式会社浅川組が昭和三八年八月ごろより行つていた生コンクリートの製造販売部門を独立させて昭和四二年四月二一日資本金一〇〇〇万円で設立された会社で被告人浅川清が同会社代表取締役として同会社の業務全般を総括掌理し被告人の実弟浅川清一が専務取締役として被告人浅川清を補佐していたが右両名共謀の上、同会社の業務に関しその所得を隠匿して法人税を免れようと企て、昭和四二年四月二一日より同四三年三月三一日までの事業年度における右被告会社の所得額は五七、一九一、七九四円、これに対する法人税額は一九、八〇六、八〇〇円であつたのにかかわらず架空の仕入および経費を計上して、同会社名義の約束手形を振出し、その支払期日に取立てた右手形金を奈良市信用金庫等に架空人名義で預金を設定して留保するなどの不正手段によつて所得を隠匿し昭和四三年五月三一日所轄の奈良税務署長に対し右被告会社の右事業年度の所得額は一五五二九、五九九円その法人税額は五二二五、一〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し以て同事業年度の法人税一四五八一、七〇〇円をほ脱し

たものである。

(ロ)  証拠の標目

(1)  登記官元持五郎作成の昭和四三年一二月一九日付株式会社浅川組登記簿謄本

(2)  右会社代表取締役浅川清作成の同月二四日付右会社の定款与

(3)  右浅川清作成の同年一〇月一六日付確認書と題する書面二通

(4)  収税官吏大蔵事務官長田和昭作成の同月二八日付調査書

(5)  同人作成の同月三一日付調査書

(6)  同人作成の同年一一月四日付調査書

(7)  東元吉太郎の検察事務官に対する同年七月四日付同月一五日付各供述調書

(8)  中村俊吉の検察事務官に対する同年七月三日付供述調書

(9)  同人の収税官吏大蔵事務官に対する同年九月一八日付質問てん末書

(10)  山本明の検察事務官に対する同年七月三日付供述調書

(11)  山本幸雄の検察事務官に対する同日付供述調書

(12)  収税官吏大蔵事務官の山本幸雄に対する同年一〇月三日付質問てん末書

(13)  駒井源太郎の検察事務官に対する同年七月四日付供述調書

(14)  堀徳夫の検察事務官に対する同月六日付供述調書

(15)  収税官吏大蔵事務官の堀徳夫に対する同年九月一三日付質問てん末書

(16)  上田定男の検察事務官に対する同年七月一六日付供述調書

(17)  山本清の検察事務官に対する同月一三日付供述調書

(18)  収税官吏大蔵事務官の山本清に対する同年九月一二日付質問てん末書

(19)  収税官吏大蔵事務官の川本岩松に対する同月一八日付質問てん末書

(20)  収税官吏大蔵事務官の植木初女に対する同月一六日付質問てん末書

(21)  収税官吏大蔵事務官の吉田博に対する同月二六日付質問てん末書

(22)  収税官吏大蔵事務官の和島恭次に対する同月二七日付質問てん末書

(23)  検察事務官の同年七月三日付捜査報告書

(24)  収税官吏大蔵事務官の松井古祐に対する同年九月三〇日付質問てん末書

(25)  収税官吏大蔵事務官の前川穂積に対する同年七月一八日付質問てん末書

(26)  検察事務官作成の同年六月二七日付報告書(小切手等の写真添付)

(27)  検察事務官作成の同年七月一日付報告書

(28)  検察事務官西岡芳郎の昭和四四年一月七日付報告書(約束手形等の写真添付)

(29)  小間喜三郎の検察官に対する昭和四三年七月二日付同月一一日付昭和四四年一月二五日付各供述調書

(30)  収税官吏大蔵事務官の右小間喜三郎に対する昭和四三年七月一八日付質問てん末書

(31)  岡田義一の検察官に対する同月一日付供述調書

(32)  収税官吏大蔵事務官の右岡田に対する同月一八日付質問てん末書

(33)  大畑茂二の検察官に対する同月四日付供述調書

(34)  収税官吏大蔵事務官の右大畑に対する同月一八日付質問てん末書

(35)  奈良市信用金庫東支店係長田遠信明の同日付大蔵事務官宛供述書

(36)  収税官吏大蔵事務官の松石圭司に対する同日付質問てん末書

(37)  住友銀行片江支店の大蔵事務官宛同月一九日付上申書

(38)  中川明の検察官に対する同月一二日付供述調書

(39)  豊嶋惟士の検察官に対する同日付供述調書

(40)  収税官吏大蔵事務官の籔武治に対する同月一八日付質問てん末書

(41)  収税官吏大蔵事務官の徳田明信に対する同日付質問てん末書

(42)  収税官吏大蔵事務官の小林幸夫に対する同日付質問てん末書

(43)  収税官吏大蔵事務官の竹林日出男に対する同月一九日付質問てん末書

(44)  収税官吏大蔵事務官の米沢源一に対する同日付及び同月二二日付各質問てん末書

(45)  浅川清一の検察官に対する同年七月六日付昭和四四年一月二三日付同月二四日付各供述書

(46)  収税官吏大蔵事務官の右浅川清一に対する昭和四三年七月一八日付同月一九日付同月二二日付同月二三日付同月二四日付同月二五日付同年一〇月一六日付各質問てん末書

(47)  収税官吏大蔵事務官津村兤男作成の同年一二月二四日付証明書(別紙株式会社浅川組の法人税申告書写が原本と相違ない旨の)二通

(48)  大阪国税局収税官吏大蔵事務官長田和昭作成の同年一二月二一日付右会社の脱税額計算書二通

(49)  収税官吏同事務官作成の昭和四三年度一三号告発書

(50)  浅川清(被告人)の検察官に対する昭和四三年七月一〇日付同月一九日付昭和四四年一月二七日付各供述調書

(51)  収税官吏大蔵事務官の右浅川清に対する昭和四三年七月一八日付同月一九日付(二通)同年一〇月八日付同年一一月四日付同年一二月三日付各質問てん末書

(右(1)ないし(51)は(イ)第一関係)

(52)  登記官元持五郎作成の昭和四三年一二月一九日付奈良生コンクリート株式会社の登記簿謄本

(53)  右会社代表取締役浅川清作成の同月二四日付右会社定款の写

(54)  浅川清一作成の同年一〇月一六日付確認書と題する書面二通

(55)  収税官吏大蔵事務官長田和昭作成の同年一〇月三一日付調査書

(56)  同人の同月二八日付調査書

(57)  今田武の検察事務官に対する同年七月一五日付供述調書

(58)  森高玲子の検察官に対する同月一三日付供述調書

(59)  収税官吏大蔵事務官の右森高玲子に対する同年九月一二日付質問てん末書

(60)  川井又蔵の検察事務官に対する同年七月一三日付供述調書

(61)  収税官吏大蔵事務官の右川井に対する同年九月一三日付質問てん末書

(62)  収税官吏大蔵事務官の福西信太郎に対する同月一六日付質問てん末書

(63)  中川清仁の検察事務官に対する同年七月一三日付供述調書

(64)  収税官吏大蔵事務官の石田亀一に対する同年九月一六日付質問てん末書

(65)  北浦倭文子の検察事務官に対する同年七月一三日付供述調書

(66)  尾白明の検察事務官に対する同日付供述調書

(67)  収税官吏大蔵事務官の福田稔に対する同年九月二六日付質問てん末書

(68)  収税官吏大蔵事務官の丸谷鶴松に対する同月一三日付質問てん末書

(69)  収税官吏大蔵事務官の丸谷正代に対する同日付質問てん末書

(70)  収税官吏大蔵事務官の南浦幸一に対する同月一二日付質問てん末書

(71)  収税官吏大蔵事務官の榧木金助に対する同月一三日付質問てん末書

(72)  収税官吏大蔵事務官の榧木喜代治に対する同月一七日付質問てん末書

(73)  収税官吏大蔵事務官の門田照和に対する同月二四日付質問てん末書

(74)  収税官吏右門田照和の同日付大蔵事務官宛確認書

(75)  収税官吏大蔵事務官の山中純一に対する同年七月一九日付質問てん末書

(76)  収税官吏大蔵事務官津村兤男作成の同年一二月二四日付証明書(別紙奈良生コンクリート株式会社の法人税申告書写が原本と相違ない旨の)

(77)  収税官吏同事務官作成の同月二一日付会社の脱税額計算書

(右(52)ないし(77)及び(7)(13)(14)(15)(26)(27)(29)(30)(45)(46)(50)(51)は(イ)第二関係)

(78)  白井潔の昭和四三年七月一五日付任意提出書

(79)  検察事務官中井総門の同日付領置調書

(80)  収税官吏大蔵事務官中田安憲の同月一八日付差押てん末書

(81)  白井潔の同月一一日付任意提出書

(82)  検察事務官大谷繁の同日付領置調書

(87) 収税官吏大蔵事務官佐渡照海の同月一九日付領置てん末書

(86) 昭和四四年押第五三号の符号一ないし三七

(85)  被告人浅川清の当公判定における供述

(右(78)ないし(85)は本件全般関係)

(ハ)  適用法案

(一)  被告会社奈良生コンクリート株式会社に対し(イ)第二関係につき法人税法(昭和四〇年法律第三四号以下同じ)第一六四条第一項第一五九条第一項

(二)  被告会社株式会社浅川組に対し(イ)第一の(1)(2)関係につきそれぞれ法人税法第一六四条第一項第一五九条第一項

以上は刑法第四五条前段の併合罪につき第四八条第二項

(三)  被告人浅川清に対し(イ)第一の(1)(2)及び(イ)第二につきそれぞれ法人税法第一五九条第一項刑法第六〇条

右被告人は昭和二七年以降土木建築業を始めその後本件各会社を設立して今日まで真面目に事業に専念して来たもので本件犯行の動機も(イ)各事実摘示のとおり取引先の到産により融資の獲得に苦労した経験から経済状勢の変動に対処するため所謂裏資金を常備しようとしたもので私腹を肥やすためのものでなく本件犯行後は深くその非を反省して右各会社の納付すべき正規の税額を加算税、延滞税と共に完納し又会社の経理を厳正にして納税につき再び本件の如き違反行為をなさざるよう配慮している等の事情を考慮して本件各違反行為につきそれぞれ罰金刑を選択し以上は刑法第四五条前段の併合罪につき同法第四八条第二項に則り罰金二〇〇万円とし刑法第一八条に則り主文記載のとおり労役場労置期間を定めた。

(裁判官 坂口公男)

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