大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

奈良地方裁判所 昭和48年(わ)49号 判決 1973年6月08日

(一)

事務所 奈良県大和高田市大字野口一三六番地

名称

医療法人 興生会

代表者

理事長 吉本恵則

(二)

本籍及び住居 奈良県大和高田市大字野口一三六番地

職業医師

吉本恵則

昭和二年三月六日生

右両名に対する各法人税違反被告事件につき、当裁判所は検察官和田博出席の上審理し、次の通り判決する。

主文

被告人医療法人興生会を罰金五〇〇万円に、被告人吉本恵則を懲役五月に処する。

被告人吉本恵則に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人医療法人興生会は奈良県大和高田市大字野口一三六番地に事務所を置き、同所で吉本整形外科病院を開設し、その維持経営等の事業を行うものであり、被告人吉本恵則は右被告法人の理事長として、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人吉本は被告法人の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一  昭和四四年四月一日から同四五年三月三一日までの事業年度において、所得金額が三八、八四八、五九二円であり、これに対する法人税額が一三、三八六、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上診療報酬の一部を除外し、架空の賄材料費を計上する等の行為により所得を秘匿した上、同四五年六月一日、所轄の葛城税務署長に対し、所得金額が二、三七四、六三五円であって、これに対する法人税額が六六四、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税額一二、七二二、一〇〇を免れ、

第二  同四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度において、所得金額が四四、五五〇、五九九円であり、これに対する法人税額が一六、一〇九、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様不正手段によって所得を秘匿した上、同四六年五月三一日、所轄の葛城税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、二八〇、六四〇円であって、これに対する法人税額が九四二、九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税額一五、一六六、七〇〇円を免れたものである。

(なお、各年度の所得金額の計算は別紙修正貸借対照表記載の通りである。)

(証拠の標目)

被告人吉本の当公判廷における供述の外は、第一回公判調書中の検察官請求証拠目録記載の、請求番号欄の番号、甲2ないし33甲34の1ないし5甲35ないし63甲66ないし72乙1ないし17(昭和四八年押第二九号の一ないし一七)乙19ないし25(同号の一九ないし二五)と同一であるから、これを引用する。

(法令の適用)

被告人吉本の判示所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するが、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条に従い、犯情の重い第二の罪の刑に法定の加重を行ない、その刑期の範囲内で同被告人を懲役五月に処し、情状により同法二五条一項に従いこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

被告法人の判示所為はいずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項に従い、各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同被告人を罰金五〇〇万円に処する。

よって主文の通り判決する。

(裁判官 高木實)

右は謄本である。

昭和四八年六月一一日

奈良地方裁判所

裁判所書記官 八田芳明

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例