宇都宮地方裁判所 平成10年(わ)484号
主文
被告人を懲役一年及び罰金二〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、栃木県黒磯市野間一二五番地一において、大野養蜂園の名称で、健康補助食品の製造販売業などを営んでいた者であるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一 平成六年分の実際総所得金額が七六一五万八五一六円であったにもかかわらず、所得金額を過少にした所得税確定申告書を作成するなどして、総所得金額のうち、七三二八万八五一六円を秘匿し、平成七年三月一三日、同県大田原市紫塚一丁目五番五四号所在の所轄大田原税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二八七万円で、課税総所得金額が一〇四万九〇〇〇円であり、これに対する所得税額が八万三九〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成六年分の正規の所得税額三一二六万一五〇〇円との差額三一一七万七六〇〇円を免れ、
第二 平成七年分の実際総所得金額が七六二二万三〇六三円であったにもかかわらず、所得金額を過少にした所得税確定申告書を作成するなどして、総所得金額のうち、七二五四万八〇六三円を秘匿し、平成八年三月一三日、前記大田原税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三六七万五〇〇〇円で、課税総所得金額が一五二万一〇〇〇円であり、これに対する所得税額が一二万九二〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成七年分の正規の所得税額三〇九四万七〇〇〇円との差額三〇八一万七八〇〇円を免れ、
第三 平成八年分の実際総所得金額が七八二九万三九三七円であったにもかかわらず、所得金額を過少にした所得税確定申告書を作成するなどして、総所得金額のうち、七四四九万〇五三七円を秘匿し、平成九年三月一三日、前記大田原税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三八〇万三四〇〇円で、課税総所得金額が一六五万五〇〇〇円であり、これに対する所得税額が一四万円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成八年分の正規の所得税額三一九八万五〇〇〇円との差額三一八四万四四〇〇円を免れ
たものである。
(証拠)
判示全部の事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書四通
一 大蔵事務官作成の現金調査書、預貯金調査書、売掛金調査書、有価証券調査書、棚卸資産調査書、前払金調査書、貸付金調査書、建物調査書、機械装置調査書、車両運搬具調査書、出資金調査書、保証金調査書、土地調査書、絵画調査書、建設仮勘定調査書、保険積立金(生命保険)調査書、保険積立金(損害保険)調査書、事業主貸調査書、買掛金調査書、未払金調査書、事業主借調査書、元入金額調査書、事業専従者控除調査書、申告事業所得調査書、不動産所得調査書、一時所得調査書
一 大田原税務署長作成の回答書
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 検察事務官作成の電話聴取書
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検一号)
一 大蔵事務官作成の所得金額総括表(検一号)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検二号)
一 大蔵事務官作成の所得金額総括表(検二号)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検三号)
一 大蔵事務官作成の所得金額総括表(検三号)
一 大野正俊の検察官に対する供述調書
(適条)
罰条 いずれも平成一〇年法律第二四号による改正前の所得税法二三八条一項、二項(なお、判示第一の罪についての罰金の寡額は、平成七年法律第九一号による改正前の刑法一五条本文により、その余は、刑法一五条本文による。)
刑種の選択 懲役刑と罰金刑の併科
併合罪の処理 刑法四五条前段
懲役刑につき
刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)
罰金刑につき
刑法四八条二項
労役場留置 刑法一八条
懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項
(情状)
被告人は、税金の使われ方に不満があったことや、将来に不安があったことから、本件犯行に及んだというのであるが、ほ脱した額は合計九三八三万九八〇〇円と多額であり、ほ脱率は約九九・六二パーセントと極めて高率である。他方、本件ほ脱の手口は虚偽の過少申告という比較的単純なものであること、本件後、修正申告をし重加算税などの全額を支払ったほか、適正な申告を期すべく事業を法人化するとともに、税理士に経理事務を見てもらうようにしたことなど、被告人のために酌むべき事情もある。そこで、懲役刑の執行は猶予することにした(求刑 懲役一年及び罰金二八〇〇万円)。
(裁判官 肥留間健一)