大判例

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宇都宮家庭裁判所 事件番号不詳 決定

少年 T(昭二〇・三・二生)

主文

この事件については審判を開始しない。

理由

本件検察官送致事実の要旨は、

少年は昭和三四年二月二七日午後七時頃鹿沼市○○地内○○橋北方約一〇〇米の○○○街道上において、A子(当二三年)が自転車に搭乗して前方を同一方向に進行中の後姿を発見するや俄かに劣情を催し同女を姦淫せんことを決意し、同女の自転車に追いつき「待つてろ。一発貸せ」と叫んで右自転車後部荷掛を押えて停車せしめたが同女が拒むや、同女の左肩を突きとばして道路下の水田に転落させ、更に同所において同女の上に馬乗りとなり強いて姦淫しようとしたが、偶々右街道を自転車に搭乗し接近し来る通行人を認めたためその目的を遂げることができなかつた。と謂うのであり、右事実は一件記録に徴し、これを認めることができる。而して検察官は右事実を以て少年が少年法第三条第一項第三号に該当するものとしてこの事件を当裁判所に送致したのであるが、右認定事実は刑法第一七七条前段第一七九条の強姦未遂罪に該当することが明らかであるから、これを以て右少年法第三条第一項第三号に該当するものということはできない。ところで少年は右非行当時一四歳に満たなかつたことは一件記録中の日光市役所作成名義の鹿沼警察署長宛回答書により明らかであるから、同条第一項第二号の「一四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年」に該当するというべく、同条第二項によればいわゆる触法少年は都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができるのであるから、検察官から事件送致がなされたとき既に少年が満一四年に達していたとしても右手続の履践されていないこの事件については当裁判所は審判権を有しないというべきである。(なお少年に対しては昭和三四年少第三〇一五号強姦未遂暴行事件が別個に係属しているので更に虞犯性の有無を調査する必要がない)

よつて少年法第一九条第一項前段により主文のとおり決定する。

(裁判官 竹田稔)

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