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宮崎地方裁判所 平成8年(行ウ)8号 判決 1998年11月13日

原告

谷口善典

被告

宮崎県知事

松形祐堯

右訴訟代理人弁護士

萩元重喜

右指定代理人

林謙二

外七名

主文

一  被告が原告に対して平成七年七月二四日付けでした公文書部分開示決定処分(ただし、平成八年八月二日付け異議決定により一部取り消された後のもの)のうち、別紙一覧表(一)の1記載の部分中の本件法人における担当業務が記載されている部分、同表2記載の部分中の「所有する株式」欄の記載部分、「略歴」欄の記載部分中の本件法人における担当業務が記載されている部分及び「当社との利害関係」欄の記載部分、同表3記載の部分中の「所有する株式」欄及び「当社との利害関係」欄の各記載部分並びに同表4の(1)、(2)、5ないし12記載の各部分を非開示とした部分を取り消す。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを六分し、その一を原告の、その余を被告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

被告が原告に対して平成七年七月二四日付けでした公文書部分開示決定処分(ただし、平成八年八月二日付け異議決定により一部取り消された後のもの。以下「本件処分」という。)のうち、別紙一覧表(以下「一覧表」という。)(一)記載の部分を非開示とした部分を取り消す。

第二  事案の概要

本件は、原審が被告に対し、宮崎県情報公開条例(平成元年宮崎県条例第三号。以下「本件条例」という。)に基づき、平成七年六月二二日開催のフェニックスリゾート株式会社(宮崎市大字塩路字浜山<番地略>所在。以下「本件法人」という。)の株主総会(以下「本件株主総会」という。)において株主である宮崎県に配布され、被告が取得管理している文書の開示を請求したところ、被告が一覧表(一)ないし(三)記載の部分を非開示とする部分開示決定をし(以下「原処分」という。)、その後原告の異議申立てを受けて、非開示部分の一部(一覧表(二)記載の部分)を開示する旨の決定をし、さらに、一覧表(三)記載の部分を開示したため、原告が本件処分のうち、残る一覧表(一)記載の部分を非開示とした部分の取消しを求めている事案である。

一  争いのない事実及び弁論の全趣旨により認められる事実

1  原告は宮崎県内に住所を有する者であり、被告は本件条例の実施機関である。

2  本件法人は、資本金三億円のうち、その四分の一を宮崎県が、同じく四分の一を宮崎市が、その余を一一社の民間企業が出資しているいわゆる第三セクター方式の株式会社である。同法人は、合計二〇〇億円以上の負債を抱えており、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「特例法」という。)の適用を受ける大会社に当たる。

宮崎県は、本件法人に対し、六〇億円の無利子融資を行っており、また、同県出納長が同法人の取締役に就任している。

3  本件法人は、本件株主総会において、各株主に対し、第七期(平成六年四月一日から平成七年三月三一日まで)の計算書類である「営業報告書」・「貸借対照表」・「損益計算書」・「貸借対照表及び損益計算書の註記」と題する文書・「損失処理案」、平成七年五月二四日付けセンチュリー監査法人作成及び同月二五日付け監査役作成の各「監査報告書」、「株主総会次第」と題する文書、取締役候補者及び監査役候補者が記載された文書、「第4号議案定款変更の件」と題する文書並びに「第5号議案」と題する文書をそれぞれ配布したことから、被告はこれらの文書(以下「本件文書」という。)を取得管理している。

4(一)  そこで、原告は、本件条例六条所定の方法により、平成七年六月二三日、被告に対し、本件文書の開示を請求したところ、被告は、同年七月二四日付けで、本件文書のうち一覧表(一)ないし(三)記載の部分を非開示とし、その余を開示する旨の公文書部分開示決定(原処分)をして、その旨原告に通知するとともに、同月三一日、原告に対し、本件文書の写し(ただし、右非開示部分を除いたもの。)を交付した。

(二)  被告は、右非開示の理由について、一覧表(一)の1ないし3、4の(1)、(2)及び同(二)の2記載の部分に記録されている情報は本件条例九条二号所定の非開示情報に当たり、一覧表(一)の5ないし12、同(二)の1、3及び同(三)記載の部分に記録されている情報は同条三号所定の非開示情報に当たる旨主張しているところ、右各規定の内容は次のとおりである。

第九条 実施機関は、開示の請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されているときは、当該公文書の開示をしないことができる。

二号 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

ア 法令等の定めるところにより、何人でも閲覧することができる情報

イ 公表することを目的として実施機関が作成し、又は取得した情報であって、当該情報の開示が個人の権利利益を侵害しないと認められるもの

ウ 法令等の規定による許可、認可、免許、届出等の際に実施機関が作成し、又は取得した情報であって、人の生命、身体又は健康の保護その他の公益上の理由により開示をすることが必要と認められるもの

三号 法人(国及び他の地方公共団体その他の公共団体を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示をすることにより、当該法人等又は当該個人の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

ア 法人等又は個人の事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある危害から人の生命、身体又は健康を保護するため、開示をすることが必要と認められる情報

イ 法人等又は個人の違法又は著しく不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある支障から人の生活を保護するため、開示をすることが必要と認められる情報

ウ ア又はイに掲げる情報に準ずる情報であって、公益上の理由により開示をすることが必要と認められるもの

5  これに対し、原告は、行政不服審査法に基づき、平成七年九月一三日、被告に対し、原処分を取り消し、全部開示を求める旨の異議申立てをしたところ、被告は、宮崎県公文書開示審査会への諮問を経て(本件条例一一条)、平成八年八月二日、原処分を変更し、原処分で非開示とした一覧表(二)記載の部分をさらに開示して、その余の部分(一覧表(一)及び(三)記載の部分)についての異議申立てを棄却する旨の決定をした。

そして、被告は、平成八年八月六日、原告に対し、右決定書及び本件文書の写し(ただし、一覧表(一)記載の部分(以下「本件非開示文書部分」という。)を除いたもの。)を交付した。なお、一覧表(三)記載の部分については、被告の非開示決定にかかわらず、開示がなされたものである。

二  主要な争点

1  一覧表(一)の1ないし3、4の(1)、(2)記載の各部分に記録されている情報は、本件条例九条二号所定の非開示情報に当たるか。

2  一覧表(一)の5ないし12記載の各部分に記録されている情報は、同条三号所定の非開示情報に当たるか。

3  仮に右の非開示情報にあたる場合であっても、本件条例の実施機関の裁量により開示すべき場合があるか。

第三  争点に対する判断

一  本件条例の条項の解釈について

本件条例は、宮崎県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加の開かれた県政を一層推進することを目的として、県民等一定の範囲の者(五条一項。以下単に「県民等」という。)の公文書(本件条例の実施機関が作成、取得した文書等で、決裁又は供覧の手続が終了し、実施機関が管理しているもの)の開示を請求する権利を明らかにするとともに、公文書の開示及び情報提供の推進に関し必要な事項を定めており(一条)、かかる県民等の情報開示請求権は本件条例によって具体的な権利とされたものであると解される。

また、本件条例は、その解釈及び運用について、実施機関は、県民等の公文書の開示を請求する権利が十分に保障されるよう留意しつつ、個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨定めている(三条)。

したがって、本件条例の条項の適用に当たっては、右の条例制定の目的、解釈運用指針及び各条項の趣旨を踏まえつつ、各条項の文言を合理的、客観的に解釈することによって行う必要がある。

二  非開示条項該当性の主張、立証責任について

被告は、公文書部分開示決定処分取消訴訟においては、通常の訴訟の主張立証責任の分配に関する理論は妥当せず、本件条例の実施機関である被告が、本件非開示文書部分に同条例所定の非開示条項に該当する情報が記録されていることについての主張、立証責任を負担していると解することはできない旨主張する。

しかしながら、(1) 本件非開示文書部分に非開示条項に該当する情報が記録されていることは、本件処分の適法性を基礎付ける事項であること、(2) 本件条例は、県民等はあらゆる公文書の開示を請求することができることを原則としつつ、非開示条項に該当する情報が記録されている公文書については、例外的にこれを開示しないことができる旨定めていること(二条、五条、九条)、(3) 被告は本件文書の記載内容を了知しているのに対し、原告はこれを知らないことを考慮すると、右の主張、立証責任は被告が負担すべきものと解される。

なお、情報公開にかかる訴訟手続にいわゆるインカメラ審理手続が採用されていないことにより、処分の適法性の主張、立証に一定の困難が伴うことは事実であるが、これは主張、立証上の工夫により回避すべき事柄であり、そのことによって右の判断が左右されるものではない。

三  一覧表(一)の1ないし3、4の(1)、(2)記載の各部分に記録されている情報が本件条例九条二号所定の非開示情報に当たるか否か(争点1)について

1  宮崎県は、平成元年一一月、本件条例による公文書開示制度の適正かつ円滑な実施のための事務処理に関する「情報公開事務の手引」を作成し、本件条例の解釈及び運用基準を示した(乙二)。

右「情報公開事務の手引」によれば、本件条例九条二号の趣旨は、個人情報はいったん開示されると当該個人に対して回復し難い損害を与えることがあり、特に、個人のプライバシーに関する情報については、個人の尊厳を確保し、基本的人権を尊重する観点から、最大限に保護されるよう配慮する必要があるところ、個人のプライバシーに関する情報をすべて類型化することは困難であることから、個人に関する情報(思想・宗教等個人の内心に関する情報、病歴・健康状態等個人の心身の状況に関する情報、生活記録・家庭状況等個人の家庭等の状況に関する情報、職歴・学歴・団体活動等個人の経歴・社会活動等に関する情報、所得・資産等個人の財産状況に関する情報、その他一切の個人に関する情報をいう。ただし、事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの(以下「個人識別情報」という。)は、原則として開示しないことができるとする(同号本文)一方、そのような情報であっても、法令等の定めるところにより、何人でも閲覧できる情報、個人のプライバシーを侵害しないことが明白な情報等一定の要件を満たすものについては開示することができるとしたものである(同号ただし書)と解されている。

そして、右の「個人のプライバシーを侵害しないことが明白は情報等」として開示要件を定めている同号ただし書イについて、右「情報公開事務の手引」は、個人識別情報であっても、① 個人が公表することについて了承している情報、② 公表することを前提として提供された情報、③ 個人が自主的に公表した資料等から何人でも知り得る情報、④ 従来から慣行上公表しており、かつ、公表しても社会通念上個人のプライバシーを侵害するおそれがないと認められる情報等は、これを開示することができると解説している。

2  ところで、一覧表(一)の1ないし3、4の(1)、(2)記載の各部分には、本件法人の取締役(退任取締役を含む。)、監査役又はそれらの候補者(以下「取締役等」という。)個人に関する情報が記録されており、その中には、氏名、住所といった直接特定の個人が識別される情報のほか、本件法人における担当業務、本件法人外における職業等、他の情報と組み合わせることなどにより間接的に特定の個人が識別され得る情報が含まれていることから、右各部分は、同号本文に該当し、原則として開示しないことができることになる。そこで、これらの情報が、本件条例九条二号ただし書所定の例外に当たるか否かが問題となる。

3(一)  本号ただし書イ該当性について

(1) 本号ただし書イは、個人識別情報であっても、①「公表することを目的として実施機関が作成し、又は取得した情報」であって、②「当該情報の開示が個人の権利利益を侵害しないと認められるもの」については、例外的に開示しなければならない旨定めているが、その趣旨は、本件条例の目的(一条)、解釈運用指針(三条)及び情報提供の推進(一五条、一六条)に関する諸規定並びに前記「情報公開事務の手引」の運用基準等によれば、個人のプライバシーに関する情報の類型化が困難であることから、原則として個人識別情報を一律非開示とする一方、開示しても当該個人のプライバシーを侵害しないと考えられる情報については、これを非開示とする理由がないことに基づくものと解される。そうすると、右条項の解釈に当たっては、右②の当該情報の開示により個人のプライバシーが侵害されるかどうかという観点を重視すべきであって、右①の実施機関による情報の作成・取得が公表を目的としていた場合だけでなく、慣行として公表されている情報や社会通念上(公益上)公表することが予定されている情報等についても、開示によりプライバシーを侵害しないと認められる限り、これを開示しなければならないと解するのが相当である。

(2) これを本件についてみるに、一覧表(一)の1ないし3、4の(1)、(2)記載の各部分に記録されている本件法人の取締役等に関する情報のうち氏名、本件法人における担当業務、所有する本件法人の株式数及び本件法人との利害関係に関する部分は、本号ただし書イに該当し、これを開示すべきものと解する。その理由は次のとおりである。

ア 本件法人は、総合保養地域整備法(以下「リゾート法」という。)に基づき、主務大臣が定めた基本方針に従って宮崎県が作成した「宮崎・日南海岸総合保養地域の整備に関する基本構想」に基づいて、その重点整備地区の一つである宮崎市一ツ葉地区におけるリゾート開発の中核とすべく、宮崎県、宮崎市(出資割合各四分の一)及び一一社の民間企業が共同出資して昭和六三年一二月二七日設立した株式会社であり(同法四条、五条、一三条一項)、宮崎県出納長牧野俊雄及び宮崎市長津村重光が公務員の地位を有しつつその取締役に就任している。同法人は、国有地を賃借してウォーターパーク、ホテル、国際会議場等の営業施設を設置するに当たり、同地上の国有林につき、平成二年四月一八日、森林法二六条二項所定の「公益上の理由により必要が生じたとき」に該当することを理由とする、農林水産大臣による保安林指定の解除を受けている(リゾート法一五条一項)ところ、右審査の過程において、林野庁は、宮崎県に対し、自然環境の保全に配慮しながら開発・公共基盤の整備を行う必要上、同法人を地方公共団体が五〇パーセント以上出資する第三セクターとするよう指導している。

また、同法人は、日本開発銀行を通じ、合計二〇〇億円の無利子ないし低利の政策融資を受けているほか、宮崎県から、六〇億円の無利子融資を受け、対象事業については税制面でも優遇措置を受けている(同法八条、九条)。さらに、右営業施設周辺の道路等の環境整備には巨額の公費支出がなされている(宮崎県は、道路建設を初めとする関連工事に約二一三億円の県費を投入しており、今後さらに、マリーナや人口ビーチの建設に約二六〇億円を投入する計画である。同法一一条参照)。(以下、甲三、七、九、一二ないし一四、四八の1・2、乙五、九、一〇、弁論の全趣旨)

これらの事実によると、本件法人は、営利を目的とする株式会社であるが、他面において、宮崎県及び宮崎市と密接な関係を保持しつつ、ゆとりのある国民生活のための利便の増進、当該地域及び周辺地域の振興・発展、雇用の促進等に寄与するという公共性の高い事業を目的としているものと認められる。

イ  そうすると、本件法人の経営を含む全般的な業務執行の意思決定を行う取締役及び右業務執行の監査にあたる監査役並びにこれらの候補者についての氏名、担当業務、所有する本件法人の株式数及び本件法人との利害関係に関する情報は、いずれも当該取締役等と本件法人との関係に関わるものであり、従来から慣行上公表されている公務員の氏名及び職に関する情報に準ずるものとして、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加の開かれた県政を推進するという本条例の目的や、県は、県民が必要とする情報を的確に把握し、収集するとともに、正確で分かりやすい情報を積極的に提供するよう努めることとするという基本姿勢(本件条例一五条)に照らしても、これを県民に開示する必要性が高いといえるから、社会通念上(公益上)公表することが予定されているものに当たると解すべきであり、またこれらを公表しても当該取締役等のプライバシーを侵害するおそれはないと認められる。付言するに、本件法人の株式を所有することは、当該取締役の選任に関与する地位を有することであって、本件法人の意思決定に間接的に関与することになること、他方、本件法人設立時の出資者(株主)及びその出資割合は公表されており、その公共的役割の維持のためにも、本件法人の意思決定に直接関与する取締役等が所有する株式数を開示する必要性は高く、これを公表したからといって当該取締役等のプライバシーを侵害するおそれは認められない。

ウ なお、一覧表(一)の4(1)、(2)記載の各部分を開示すると、既に開示された部分と合わせて、退任取締役二名が本件法人から退職慰労金を受領した事実が明らかになる。しかしながら、退職慰労金は、報酬の後払ないし在任中の功労に対する報奨といった性格を有するものであるから、それ自体、本件法人における担当業務と密接不可分なものであり、また、右開示部分には、「同法人所定の基準に従って相当額の退職慰労会が支給されること」及び「その具体的金額、支給の時期・方法等は取締役会に一任されること」が記載されているに止まる(甲三、七)のであり、右両名のプライバシーを侵害するものとは認められないから、これにつき格別の扱いをする理由は認められない。

また、被告は、本件株主総会の配布資料中の取締役候補者及び監査役候補者が記載された文書の、「取締役候補者」及び「監査役候補者」の各「主たる職業」欄のうち、本件法人における担当業務が記載された部分(本件営業報告書のうち、「2 会社の概況 (6)取締役及び監査役(平成7年3月31日現在)」の「担当又は主な職業」欄において、これと同じ担当業務が記載された部分についても同様。)を自ら開示しており(甲三、六、七)、その理由として、右情報は、本件法人が平成七年四月三〇日付けの宮崎日日新聞(乙八)において、各取締役らの了承を得た上で公表済みであり、個人が公表することについて了承している情報ないし個人が自主的に公表した資料等から何人でも知り得る情報(同号ただし書イ)に当たることを挙げるが、これは、当該取締役らが、右情報の公表により自己の権利利益を侵害するおそれがない旨の認識を有していることを示すものである。

さらに、本件法人の平成七年度の役員の担当業務についても、宮崎日日新聞社発行の「宮崎県企業・団体名鑑 平成七年度版」(甲四二)において公表されており、被告も、同様の記載のある同法人の第八期(平成七年四月一日から平成八年三月三一日まで)の営業報告書を開示している(甲一五)ところ、これも右と同様の理由に基づくものと推認される。

そして、右の情報の開示により、当該取締役等が何らかの権利利益を侵害されたことを認めるに足りる証拠はなく、また右担当業務に関する情報について、第七期と第八期において、開示・不開示の判断に影響のある事情の変化があったことを認めるに足りる証拠もない。

結局、右の情報が公表されることにより社会通念上個人のプライバシーを侵害するおそれはないものといわざるを得ない。

(3)  しかし、一覧表(一)の1ないし3記載の部分中の取締役等の住所及び本件法人外における職業に関する情報は、これらが開示されることにより当該取締役等の私生活等に影響を及ぼすことは明らかであり、前記②の要件である「当該情報の開示が個人の権利利益を侵害しないと認められるもの」に当たると認めることはできず、本号ただし書イに該当するとは解されない。

(二)  本号ただし書ウ該当性について

原告は、(1) 本件法人は、宮崎県及び宮崎市と密接な関係を有し、公共性・公益性の極めて高い事業を行う会社であり、その取締役等は、地域社会一般の正当な関心の対象となる公的な立場にある人物に当たるから、その適格性を判断するための資料として、真正な株主である納税者の県民に開示する必要があること、(2) 本件法人は、周辺の防風、防潮、飛砂、保健、風致について大きな影響を及ぼす約一三五ヘクタールにわたる広大な保安林を独占する所有者兼管理者であること、(3) 本件法人は、第七期末において三二三億円余の累積損失(第八期末は五四四億円余、第九期末は七五一億円余、第一〇期末は九三八億円余)を抱えており、さらなる公的資金の投入や宮崎県等による直営が必要となるなど、宮崎県の観光政策全体の見直しが迫られるおそれがあることに鑑みると、本件法人に関する情報は、たとえ個人識別情報に該当するものであっても、公益上の理由により開示することが必要と認められる情報に当たる旨主張する。

しかしながら、右の情報は、許可、認可、免許、届出等の際に作成又は取得された情報に当たらないほか、納税者であることから直ちに県民をして本件法人の真正な株主であると解することはできないし、また、本号ただし書ウにいう「その他の公益上の理由」とは、例示されている人の生命・身体・健康の保護と同程度の保護の緊要性がある公益上の理由であることが要求されていると解されるところ、本件法人の取締役等の住所や同法人外における職業に関する情報につき、かかる公益上の理由による開示の必要性を認めることはできない。したがって、原告の右主張は、これを採用することができない。

4  以上によれば、本件処分のうち、一覧表(一)の1記載の部分中の本件法人における担当業務が記載されている部分、同表2記載の部分中の「所有する株式」欄の記載部分、「略歴」欄の記載部分中の本件法人における担当業務が記載されている部分及び「当社との利害関係」欄の記載部分、同表3記載の部分中の「所有する株式」欄及び「当社との利害関係」欄の各記載部分並びに同表4の(1)、(2)記載の各部分を非開示とした部分は違法であって、取り消されるべきものであるが、同表1ないし3記載の部分中のその余の部分を本件条例九条二号に該当するとして開示しなかった部分は適法である。

四  一覧表(一)の5ないし12記載の各部分に記載されている情報が本件条例九条三号所定の非開示情報に当たるか否か(争点2)について

1  本号の趣旨は、前記「情報公開事務の手引」によれば、自由な事業活動が認められている法人等の正当な活動を保障する観点から、「法人等に関する情報」(事項的な要素による限定)であって、「開示をすることにより、法人等の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」(定性的な要素による限定)については原則として非開示としつつ、そのような情報であっても、法人等の事業活動によって、現に生じている危害又は生ずるおそれのある危害から、人の生命、身体、健康を保護するために開示をすることが必要と認められる情報その他開示をすることが公益上の理由により必要と認められる情報は、例外としてこれを開示することができるとしたものと解されている。

右の「競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」とは、右「情報公開事務の手引」によれば、(1) 法人等の保有する生産技術上又は販売営業上の情報であって、開示をすることにより、法人等の事業活動に対し、競争上の不利益を与えると認められるもの、(2) 法人等の経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理の属する情報であって、開示をすることにより、法人等に事業運営上の不利益を与えると認められるもの、(3) その他開示をすることにより、法人等の名誉、社会的評価、社会活動の自由等正当な利益を害すると認められる情報をいうものと解説されている。

2(一)  ところで、個人のプライバシー権と法人等の活動の自由とでは、自ずからその保護の緊要性に違いがあり、本件条例も、個人に関する情報については、特に、みだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならないと規定し(三条後段)、また個人のプライバシー権を侵害するかどうかにかかわらず、個人識別情報(事項的な要素)であれば、原則として非開示情報にあたるとする(九条二号)のに対し、法人等に関する情報については、事項的な要素及び定性的な要素をいずれも充足した場合にはじめて非開示情報にあたるとしていること、同条三号本文の文言も、「利益を害すると認められる」とされ、「害するおそれ」とはされていないこと(他方、同号ただし書ア、イは、法人等の活動から生じる危害ないし支障について、「生ずるおそれ」で足りるとしている。)によると、右の法人等が被る「不利益」ないし「正当な利益の侵害」とは、法人等の事業運営等に何らかの不利益が生じるおそれがあるというだけでは足りず、その有している正当な利益が当該情報の開示によって具体的に侵害されることが客観的に認められる場合をいうものと解するのが相当である。

この点、原告は、「具体的に侵害されることが客観的に明白な場合」をいうと解すべきと主張するが、本件条例の規定文言は「明白性」を要求するものではないこと、「明白性」を要件としなくとも、「害すると認められる」とする以上は侵害の可能性では足りず、具体的に侵害があることの蓋然性まで必要であるから、このような解釈をとっても非開示とされるべき情報が本件条例の趣旨等を越えて不当に広がるとは解されず、原告の主張は採用することができない。

(二)  また、法人等の有している正当な利益が当該情報の開示により具体的に侵害されることが客観的に認められるかどうかは、当該法人等と県政との関係及び当該情報の内容、性格等の諸般の事情を総合して判断されるべきである。

3  一覧表(一)の5記載の部分に記録された情報について

右の情報は、本件法人の第七期及び第六期の各事業所(施設)ごとの売上金額・その全施設における構成比率・及び当該施設の前年度(第六期)の売上金額との比率であるところ、それらが本件法人の販売営業上の情報ないし経理等の事業活動を行う上での内部管理の属する情報(以下「経理情報」という。)であることは明らかである。

被告は、右の施設ごとの売上金額に、別途に公表されている各施設ごとの入場者数と併せ考えると、各施設ごとの一人当たりの消費単価は明らかになることから、当該情報の開示により、本件法人に対し、同業他社との価格競争や当該法人と取引のある旅行業者からの値上げ要求といった競争上ないし事業運営上の不利益を与える旨主張する。

しかしながら、(1) 右の情報は、販売営業上の秘密やノウハウ等同業者との対抗上特に秘匿を要するものではなく、また、仮に施設ごとの売上金額ないし同利用者一人当たりの消費単価が明らかになったとしても、施設ごとの売上原価が明らかにならない以上各施設の採算は不明であるなど、抽象的な内容に止まること、(2) 本件法人の取締役は、営業報告書を定時総会に提出し、その内容について報告しなければならないほか(商法二八三条一項)、右報告書を定時総会の前後一定の期間、会社本店及び支店に備え置くことを義務づけれられており(同法二八二条一項)、本件法人の株主及び債権者は、右報告書を閲覧謄写することができるとされている(同条二項)のであるから、右の情報は、一三名の株主に加え、本件法人の従業員を含め相当多数の債権者が既に知っているか、又は容易に知り得る情報であることが認められ、これに、(3) 本件法人と宮崎県・宮崎市との密接な関係及びその事業活動の公益性を併せ考慮すると、右の情報の開示によって、本件法人の競争上ないし事業運営上の利益が具体的に侵害されることが客観的に認められるということはできない。

したがって、右の情報は、本件条例九条三号本文所定の非開示情報には当たらない。

4  一覧表(一)の6記載の部分及び同表8記載の部分(ただし、「借入先が有する当社の株式」欄を除く。)に記録された情報について

右の情報は、本件法人の第七期における借入金額及びその使用目的、並びに、本件法人の平成七年三月三一日現在における主要な借入先及び当該借入先ごとの借入金残高であるところ、それらが本件法人の経理情報であることは明らかである。

そして、被告が主張するように、右借入金額ないし借入金残高が多額である場合には、その開示により、本件法人の取引先や従業員に不安を与え、本件法人に事業運営上の不利益を与えるおそれがまったくないとはいえない。

しかしながら、右の情報は、営業報告書に掲載されているのであるから、前記のとおり、一三名の株主が入手しているほか、直接的な利害関係を有する従業員、取引先その他の債権者は、右備置期間内はいつでも閲覧、謄写できるので、その関係で信用不安が生ずべきものであれば既に生じていると考えられ、本件開示によって信用不安が生じるとしても、その範囲、程度は限定的であると解される。

また、本件法人の第六期(平成五年四月一日から平成六年三月三一日まで)末時点における負債合計が一四五〇億円余(うち固定負債は一四三六億円余)であること、同法人は、第七期において五三〇億円余の設備投資を行っており、同期末時点における負債合計が二一七二億円余(うち固定負債は二一三五億円余、さらにそのうちの長期借入金は二一〇六億円余)であることは、既に開示された営業報告書及び貸借対照表の記載(甲三、七、五四)から明らかであり、さらに、シーガイア観光施設財団登記簿(甲二六)によれば、本件法人は、第六期に、日本開発銀行外七社から合計四五二億円を借り入れており、第七期には、日本開発銀行他六社より合計四五八億円を借り入れたほか、株式会社第一勧業銀行との間で極度額七二七億円の銀行取引を行ったことが明らかであるから、右の情報のうち相当程度はすでに公表済みであり、本件開示により右の情報が明らかとなったとしても、本件法人の事業運営上の不利益が具体的に発生することが客観的に認められるとはいえない。この点、本件法人が資金調達するに際しシーガイア観光施設財団に担保権を設定するとは限らず、また、借入金については借換えによる弁済等がありうるのであるから、シーガイア観光施設財団登記簿記載の情報(抵当権者被担保債権額)により、本件法人の借入金額等の情報の内容を具体的に特定することもできないとしても、右の判断が左右されるものではない。

他方、右の情報は、借入先の企業にとっても経理情報にあたる。しかしながら、右の情報は、事業運営上の秘密やノウハウ等特に秘匿を要する情報には当たらないほか、前記のとおり、本件法人の株主や債権者が既に知り、又は容易に知り得べき情報であり、また右登記簿の記載によって相当程度公示されているのであるから、その関係において起こるべき不利益は既に起こっているものと解される。さらに、宮崎県・宮崎市と密接な関係を有し、公共性の高い事業を行う本件法人への資金協力の事実自体が、当該融資を行った者に対し、その社会的評価を下げるなどの不利益を与えることも考え難い。そうすると、当該情報の開示により、借入先の企業に事業運営上の不利益を与えることが客観的に認められるはいえず、それゆえ、本件法人と企業との信頼関係を損ねるということも認められない。

したがって、右の情報は、本件条例九条三号本文所定の非開示情報には当たらない。

5  一覧表(一)の7記載の部分、及び同表8記載の部分中の「借入先が有する当社の株式」欄に記録された情報について

右の情報は、本件法人の株主名、その所有する株式数及び発行済株式総数における比率であるところ、それらは、本件法人の資本構成に関する情報であると同時に、当該株主の資産に関する情報であるから、内部管理に属する情報に当たる。

この点、被告は、右情報を開示することによって本件法人ないしその株主である企業に生じる不利益として信頼関係、協力関係の侵害を主張するものの、この情報の開示が何故そのような侵害をもたらすかの具体的な主張、立証はないこと、右の情報は、それ自体が事業運営上の秘密やノウハウ等特に秘匿を要する情報には当たらないこと、現在の株主数は一三名であり、発行済株式数が六〇〇〇株であることはすでに開示されていること(甲三、七、一五)、本件法人の設立時における株主名(一三名)及び各株主が所有する株式数・所有比率も、既に県議会議事録(甲一九)や新聞記事(甲二〇)により公表されている(当時の発行済株式数は三〇〇〇株、資本金は一億五〇〇〇万円であり、宮崎県・宮崎市が各二五パーセント、フェニックス国際観光株式会社が25.8パーセント、旭洋が15.2パーセント、テレビ宮崎・宮崎銀行・宮崎日日新聞社・宮崎放送・全日空・丸十産業・三重野商事・宮崎ガス・宮崎交通が各一パーセントを保有していた。)が、それにより本件法人ないしその設立時の株主が何らかの不利益を被った事実は証拠上窺われないこと、本件法人は、宮崎県及び宮崎市と密接な関連性を有し、公共性ないし公益性の高い事業を行っているのであるから、同法人に対する出資金が株主の社会的評価を低下させるとは考えにくいこと、本件法人の株式には譲渡制限が付されている(乙一〇)ので、株主の交代が頻繁になされるとは考えにくいことを併せ考慮すると、これらの情報の開示によって、本件法人ないしその株主が事業運営上の不利益を受けることが客観的に認められるということはできない。

したがって、右の情報は、本件条例九条三号本文所定の非開示情報には当たらない。

6  一覧表(一)の9記載の部分に記録された情報について

右の情報は、本件法人と結合している相手方及びその結合の内容であるところ、それらは、本件法人及び結合の相手方のそれぞれにとって内部管理に属する情報である。

そして、被告は、右情報が開示されると、第三者と本件法人との取引や競争において、第三者が右情報を有利に利用することが十分予想されるので、本件法人や結合の相手方の競争上の地位その他正当な利益を害する旨主張するが、右情報の開示によって生じる利益侵害の内容につき、具体的な主張、立証がない。

さらに、右情報は、それ自体事業運営上の秘密やノウハウ等特に秘匿を要する情報には当たらないこと、前記のとおり、本件法人は宮崎県・宮崎市と密接な関係を有し、公共性ないし公益性の高い事業を行っているのであるから、そのような企業との結合が相手方の社会的評価を低下させるとは考えにくいことを併せ考慮すると、かかる情報が開示されることにより、直ちに本件法人や相手方に対して不利益が生じたり、本件法人と相手方との信頼関係、協力関係に悪影響を及ぼすことが客観的に認められるということはできない。

したがって、右の情報は、本件条例九条三号本文所定の非開示情報には当たらない。

7  一覧表(一)の10ないし12記載の各部分に記録された情報について

同表10記載の部分に記録された情報は、本件法人の第七期末の資産及び負債の一部、同表11記載の部分に記録された情報は、同期に発生した経常損益及び特別損益の一部、同表12記載の部分に記録された情報は、貸借対照表及び損益計算書と一体を成す注記部分のうち、固定資産の取得に係る支払利息の会計処理上の方法とその金額、リース資産の内容、担保に供している資産の種類・被担保債権額であり、いずれも本件法人の経理情報に当たる。

そして、被告は、同表10記載の部分に記録された情報が開示されると、本件法人の財産状況、支払能力、信用力、収益力等の把握が可能となり、その結果、同法人の資産の運用、資金調達を予想することも可能となって、同法人の取引関係に支障を来したり、他社に競争上の弱点を知得されて、同法人に事業運営上又は競争上の不利益を与えるし、同表11記載の部分に記録された情報が開示されると、本件法人の営業戦略上の情報を他者が知るところとなり、財務分析による営業活動の状況把握がなされることにより、本件法人の競争上の利益を害するほか、損益状況が明らかになることにより、本件法人の取引関係に支障を来す旨主張する。

しかしながら、同表10記載の情報は、第七期末の「流動資産」・「有形固定資産」・「無形固定資産」・「投資等」・「繰延資産」・「流動負債」・「固定負債」の各小科目の全部又は一部につき、また、同表11記載の情報は、同期に発生した「営業費用」・「営業外収益」・「営業外費用」・「特別損失」の各小科目につき、それぞれ科目名と合計金額が記載されているに止まり、本件法人の事業運営上の秘密やノウハウ等特に秘匿を要する情報には当たらないし、右各記載から直ちに本件法人の経理内容の詳細を把握し、その経営を分析することは必ずしも容易とはいえない。

さらに、本件法人の取締役は、貸借対照表及び損益計算書を定時総会に提出し、その承認を受け又はその内容について報告しなければならないほか(商法二八三条一項、特例法一六条一項)、その後遅滞なくこれらの書類又はその要旨を公告しなければならず(特例法一六条二項)、また、本件法人の株主及び債権者は、右定時総会の前後一定の期間、会社の本店及び支店に備え置かれたこれらの書類を閲覧謄写することができるとされている(商法二八二条)のであるから、右の情報は、一三名の株主が入手しているほか、相当多数の債権者が容易に知り得る情報ということができ、加えて、同表12記載の部分は、かかる貸借対照表及び損益計算書と一体をなす注記部分の一部であり、そのうち、担保に供している資産に関する情報は、前記シーガイア観光施設財団登記簿において、本件法人の施設に対して抵当権が設定されている旨記載されているのであるから、その範囲では既に右各情報の開示によって生ずべき不利益は生じているものと解される。

以上の事実に、本件法人と宮崎県・宮崎市との密接な関係及びその事業活動の公共性を併せ考慮すると、かかる情報の開示によって、本件法人の競争上ないし事業運営上の利益が具体的に侵害されることが客観的に認められるということはできず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。

したがって、右の情報は、本件条例九条三号本文所定の非開示情報には当たらない。

8  以上によれば、原告の一覧表(一)の5ないし12記載の各部分に記録されている情報は本件条例九条三号所定の非開示情報に当たるとして開示しなかった被告の本件処分は、違法であって、取り消されるべきものである。

五  仮に非開示情報にあたる場合であっても、本件条例の実施機関の裁量により開示すべき場合があるかどうか(争点3)について

この点、原告は、本件条例は、非開示条項に該当する情報が記録されている公文書を開示しないことが「できる」旨定めているに止まる(九条本文)から、非開示情報であっても、公開の必要性が非公開の必要性を上回る場合には、実施機関はこれを開示する義務を負い、これを懈怠した場合には、裁量権逸脱の違法がある旨主張する。

しかしながら、本件条例が、同条各号において、公開の必要性と非公開の必要性を総合考慮の上、非開示とされる範囲を規定していることが明らかであるから、原告の右主張はこれを採用することができない。

(裁判長裁判官横山秀憲 裁判官平田豊 裁判官立川毅)

別紙一覧表(一)

平成七年六月二二日開催のフェニックスリゾート株式会社(以下「本件法人」という。)の株主総会配布資料中の

1 本件法人の第七期(平成六年四月一日から平成七年三月三一日まで)分の「計算書類」(以下「本件計算書類」という。)中の「営業報告書」(以下「本件営業報告書」という。)のうち、「2.会社の概況 (6) 取締役及び監査役(平成7年3月31日現在)」の佐藤棟良、井上幹雄、片山望、岩切達郎、笹祐一郎、南健治、普勝清治、半渡大志、植村俊夫、中村浩、湯村嘉朗、清原秀治、加藤信也、坂本一夫、門田公、釜口史郎、林勇、大橋賢之郎、森宏雄及び三河啓二についての「担当又は主な職業」欄の各記載部分(前九者については本件法人外における職業が、後一一者については本件法人における担当業務が各記載されている。)

2 取締役候補者及び監査役候補者が記載された文書のうち、取締役候補者中、佐藤棟良、井上幹雄、成澤威、中村浩、津村重光及び牧野俊雄を除く一九名についての「住所」欄、井上幹雄、濱田親典(ただし、一部)、古市宏幸、普勝清治及び岩切達郎についての「主たる職業」欄(いずれも本件法人外における職業が記載されている。)、全員についての「所有する株式」欄(各人の所有する本件法人の株式数が記載されている。)、佐藤棟良、成澤威、中村浩、清原秀治、湯村嘉朗、足立三千男、加藤信也、釜口史郎、林勇、三河啓二、利根川康俊、古市宏幸、普勝清治、岩切達郎、浦部晃一、坂本一夫、門田公、三浦晃正、大橋賢之郎、森宏雄、朝広孝司、井上幹雄及び濱田親典についての「略歴」欄(前一四者については本件法人外における職業が、続く七者については本件法人における担当業務が、残二者についてはその双方が各記載されている。)、全員についての「当社との利害関係」欄(各人が同法人と何らかの利害関係を有するか否かが記載されている。)の各記載部分

3 取締役候補者及び監査役候補者が記載された文書のうち、監査役候補者中、全二名についての「住所」欄、「所有する株式」欄(各人の所有する本件法人の株式数が記載されている。)、「略歴」欄(いずれも本件法人外における職業が記載されている。)及び「当社との利害関係」欄(各人が同法人と何らかの利害関係を有するか否かが記載されている。)並びに半渡大志についての「主たる職業」欄(本件法人外における職業が記載されている。)の各記載部分

4(1) 「株主総会次第」と題する文書のうち、「1.議案 ・決議事項第5号議案」の記載部分(退任取締役二名の氏名が記載されている。)

(2) 「第5号議案」と題する文書のうち、冒頭部分、「氏名」欄及び「略歴」欄の各記載部分(前二者には退任取締役二名の氏名が、後者には同人らが本件法人において担当していた業務が記載されている。)

5 本件営業報告書のうち、「1.営業の概況 (2) 売上の状況」の「第7期」及び「第6期」の各「金額」欄及び「構成比」欄、「対前年比」欄並びに「(注)2.」の「「その他」の」から「は、」までの間の部分(金額が記載されている。)の各記載部分

6 本件営業報告書のうち、「1.営業の概況 (4) 資金調達の状況」の記載部分(本件法人の第七期の借入金額及びその使用目的が記載されている。)

7 本件営業報告書のうち、「2.会社の概況 (1) 株式の状況(平成7年3月31日現在) (ハ)株主数」の宮崎県及び宮崎市を除く一一名についての「株主名」欄、「所有株式数」欄及び「所有比率」欄の各記載部分

8 本件営業報告書のうち、「2.会社の概況 (5) 主要な借入先(平成7年3月31日現在)」の借入先全八名についての「借入先」欄、「借入金残高」欄及び「借入先が有する当社の株式」欄の各記載部分

9 本件営業報告書のうち、「2.会社の概況 (7) 企業結合の状況」の記載部分

10 本件計算書類中の「貸借対照表」(以下「本件貸借対照表」という。)のうち、「資産の部」中「流動資産」の部の三科目、「固定資産」の部の「有形固定資産」の部の六科目・「無形固定資産」の部の三科目・「投資等」の部の二科目及び「繰延資産」の部の二科目並びに「負債の部」中「流動負債」の部の五科目及び「固定負債」の部の二科目についての各「科目」欄及び「金額」欄の各記載部分

11 本件計算書類中の「損益計算書」のうち、「経常損益の部」中「営業損益の部」の「営業費用」の四科目及び「営業外損益の部」の「営業外収益」の二科目・「営業外費用」の三科目並びに「特別損益の部」中「特別損失」の一科目についての各「科目」欄及び「金額」欄の各記載部分

12 本件計算書類中の「貸借対照表及び損益計算書の注記」と題する文書のうち、「2.重要な会計方針 (5) 固定資産の取得に係る支払利息」(会計処理上の方法と金額が記載されている。)、「4.リース資産」(資産の具体的内容が記載されている。)、「5.担保に供している資産」(資産の種類とその金額が記載されている。)の各記載部分

別紙一覧表(二)、(三)<省略>

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