宮崎地方裁判所 昭和43年(ワ)389号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕<証拠略>を総合すると、本件事故現場は人通りの多い幹線道路(国道二一九号線)で、杉安橋から妻方面(南方)に向つて約2.5度の下り勾配をなしているのに、被告はこのような場所にその管理下にある前記タイヤを、ロープで標識柱にしばりつけるなど転倒の危険を防止するための措置をほどこすことなく立て掛けておいたものであるところ、そもそもかかるタイヤを保管する者は一般公衆が通行の用に供する公道上にタイヤを置くことなどすべきではないのみならず、もし本件のような勾配のある公道上に置かなければならない場合には幼児子供などがそれと戯れてタイヤを転回転倒させそのはずみなどで受傷することを慮り、そうした事態の発生しないように監視者を付したりロープなどで固定するなどの措置を採るべき保管上の注意義務があるのに、こうした措置を採らずに前記のごとく漫然立て掛けておいたものであり、そのために裕輔が右タイヤに後記過失相殺の項で述べるような形で戯れ前記一の事故が発生したことが認められるから本件事故は被告のタイヤ保管上の過失に基づくことが明らかである。
<証拠略> を総合すると、本件事故直後の状況は、倒れたタイヤのホイルが裕輔の腰部にはまつており、同人の頭・胸部などの上半身はその下敷になり、下半身はその上に乗つていたことが認められ、右事実によれば裕輔は右タイヤホイルをくぐり抜けようとして遊んでいるうちに身体が右ホイルに引つかかりタイヤが転倒するに至つたことを推認するに難くない。
しかしながら本件事故現場は住宅近辺の通路上であり、幼児にとつても生活環境の一部というべく、現時幼児むけの遊戯施設などに古タイヤが使用されていることなどからすると、右行為に出たからといつて、ただちに裕輔自身に過失があつたとはいえない。
ところで、裕輔は本件事故当時四歳八ケ月の幼児であつたから、原告両名は裕輔の監護義務者として子供が危険な遊びをしないよう日常充分注意し、子供がこれを守つているかどうか等細心の注意を払つて監督すべきであつたところ、<証拠略>によると、被告は本件事故のかなり以前から本件道路上にタイヤを立て掛けたり積み上げたりしており原告両名はそれに気付いていたのに、裕輔に対してタイヤに触れないよう注意を与えたわけでもなく、また同人がそれに近づかないよう配慮していたわけでもなかつたことが認められ、この点原告両名にも過失があつたというべきであるから、右各損害額につき二〇%の過失相殺を行うのが相当である。
(舟本信光 笹本忠男 鎌田義勝)