宮崎家庭裁判所高千穂支部 昭和56年(家)77号 審判 1981年12月25日
申立人 新田祐助
遺言者 新田ウメノ
主文
本件申立を却下する。
理由
本件申立の要旨は遺言者の遺言につき、遺言執行者の選任を求めるというのであるが、申立人提出にかかる遺言書によると、遺言者の署名と目される「新田ウメノ」との記載部分とその余の記載部分とはその字体を異にし、別人の手になるものであることが、本件遺言書自体から明らかに看取し得るところ、申立人も本件審問において、上記事実を自認しているところである。
右事実によれば、申立人提出にかかる遺言書は、自筆証書遺言としてはその要件を欠くことが一見して明白であり、また、他の遺言方式によるものでないことも該書面自体により明らかである。
してみると、申立人提出にかかる遺言書による遺言は、遺言の方式に違反し、無効であることが該書面自体から明らかな場合であるから、右遺言書に基く遺言執行者の選任を求める本件申立は却下を免れない。
よつて、主文のとおり審判する。
(家事審判官 森脇勝)