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富山地方裁判所 昭和42年(わ)98号 判決 1968年1月15日

本籍

石川県金沢市本町二丁目六二番地

住居

富山県高岡市京町五番一三号

医師

川田行雄

大正一〇年一〇月二八日生

本籍並びに住居

富山県射水郡小杉町三ケ一、二三七番地

川田病院事務長

大江武志

大正一四年一一月二六日生

右両名に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官遠藤安夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人川田行雄を罰金四五〇万円に、被告人大江武志を懲役八月に各処する。

被告人川田行雄において右罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

被告人大江武志に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人川田行雄は、医師にして高岡市京町八番一号(旧町名番地は同市溜町一番地)所定の川田病院を営むものであり、被告人大江武志は、同病院の事務長にしてその経理事務等を統治しているものであるが、被告人大江武志において、被告人川田行雄の所得税を免れようと企て、右川田病院の業務に関し、窓口収入金の一部を正規会計帳簿に記載せず、あるいは架空仕入等を同帳簿に計上する等の方法により所得を秘匿し(その秘匿所得費は別紙修正損益計算書(一)(二)の各犯則金額欄に記載のとおりである)たうえ、

第一、昭和二九年分の所得金額が、別紙修正損益計算書(一)記載のとおり、二、五〇六万二、〇四三円(その納税額は九四二万七、一五〇円)であつたにもかかわらず、昭和四〇年三月一三日、所属高岡税務署長に対し、昭和三九年分の所得金額が一、一九八万五八五〇円(その被告納税額は二〇〇万一〇円)である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右正当税額との差額七四一万七、一四〇円のうち七〇一万三、〇八〇円(別紙修正損益計算書(一)記載の犯則所得金一、二三八万六、一〇五円と右申告所得金額との合計額に対する納税額九〇一万二、〇九〇円から右申告納税額を差引いた差額)の所得税を免れ

第二、昭和四〇年分の所得金額が、別紙修正損益計算書(二)記載のとおり、二、九四一万七、七三四円(その納税額は一、一一八万八、四〇〇円)であつたにもかかわらず、昭和四一年三月一一日所轄高岡税務署長に対し、昭和四〇年分の所得金額が一、二九六万七、一二三円(その申告納税額は二二四万五〇〇円)である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右正当税額との差額八九四万七、九〇〇円のうち七九八万二〇八〇円(別紙修正損益計算書(二)記載の犯則所得金一、三八四万九四六円と右申告所得金額との合計額に対する納税額一、〇二二万二、五八〇円から右申告納税額を差引いた差額)の所得税を免れ

たものである。

(証拠の様目)

一、被告人川田行雄、同大江武志の当公判廷における各供述

一、被告人川田行雄、同大江武志(二通)の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の被告人川田行雄(三通)、同大江武志(一一通)に対する各質問顛末書

一、被告人川田行雄外二名作成の上申書

一、証人京藤一雄の当公判廷における供述

一、八島仁市郎、川田光子の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の川田光子に対する質問顛末書三通

一、大蔵事務官作成の犯則事件報告書、査察事件調査事績報告書(三四通)、上申書

一、高岡税務署長作成の証明書二通

一、朝日他席、鈴木博三、丸山渉、津田友吉(二通)、滑谷悦則(二通)、武部敏元、奥山雄三、一柳道夫、中山吉昭余西間平作成の各上申書

一、大蔵事務官京藤一雄作成の納税額計算書説明資料

一、高岡税務署作成の所得税の更正決議書二通

一、押収してある金銭出納帳二冊(昭和四二年押第三三号の1、6)、元帳二冊(同押号の2、7)、仕入帳二冊(同押号の3、8)、売上帳二冊(同押号の4、9)、経費明細帳二冊(同押号の5、10)、経費明細帳二冊(ルーズリーフのもの、同押号の11、12)、決算費料一〇円(同押号の13の1ないし10)、ノート一〇冊(同押号の14ないし23)、月別支払先明細書二枚(同押号の24、25)

一、大蔵事務官作成の差押てん末書二通

一、北陸銀行縄手町支店作成の領収証書二通(42・10・31付、42・11・30付)

(法令の適用)

被告人らの判示所為中、判示第一の所為は所得税法(昭和四〇年三月三一日法律第三三号)附則三五条により改正前の所得税法(昭和二二年三月三一日法律第二七号)六九条一項に、被告人川田行雄に対しては更に同法七二条一項に判示第二の所為は所得税法二三八条一項に、被告人川田行雄に対しては更に同法二四四条一項にそれぞれ該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人川田行雄については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人大江武志については所定刑中懲役刑を選択したうえ同法四七条本文一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人川田行雄を罰金四五六円に、被告人大江武志を懲役八月に各処する被告人川田行雄において右罰金を完納することができないときは同法一八条により金一万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置し、被告人大江武志に対し、諸般の情状を考慮し同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条を適用して被告人両名の連帯負担とする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栄枝清一郎 裁判官 伊藤邦晴 裁判官 窪田季夫)

修正損益計算書(一)

自 昭和39年1月1日

至 昭和39年12月31日

<省略>

修正損益計算書(二)

自 昭和40年1月1日

至 昭和40年12月31日

<省略>

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