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富山地方裁判所 昭和44年(ケ)74号 決定 1971年11月22日

申立人 江端慎二 外二名

主文

本件申立を棄却する。

申立費用は申立人らの負担とする。

理由

一、本件申立の要旨は、

「当庁昭和四四年(ケ)第七四号不動産競売事件につき、申立人らが、昭和四六年四月二六日、別紙目録記載の不動産の競落人として競落許可決定(競落代金一一、三九八、〇〇〇円)を受け、その後、右物件のうちの各宅地の面積(公簿地積合計六〇七・一三平方米=一八三・六六坪)を実測したところ、右公簿地積より合計三三・五八平方米=一〇・一六坪不足していることをはじめて発見したので、右競落代金よりその不足分に相当する代金一〇〇万円の減額を請求する。」

というにある。

二、当裁判所の判断

(1)  申立人らが、本件不動産競売事件につき、昭和四六年四月二六日別紙目録記載の不動産の競落人として競落許可決定を受け、同決定が同年五月四日確定したことは本件記録上明らかである。

(2)  ところで、競売法による競売の目的たる不動産に滅失、毀損あるいは坪数不足等の瑕疵があつた場合は、競落人は、競売手続終了前においては、競売裁判所に対し、落落代金の減額を請求することができ、競売裁判所は、審理のうえ債務者の承諾その他代金減額を相当とする特別事情があると認めた場合には、代金減額決定(競落許可決定の内容の変更)をなし得ると解するのが相当である(東京高等昭和三四年(ラ)第三〇九号昭和三四、九、二八決定下級民集一〇巻九号一九九五頁参照)。

(3)  そこで、右説示に照らし本件申立の当否につき審按するに、

本件競売記録、申立人ら提出の各地積測量図および法務局図面(写)債務者作成の陳述書、債務者提出の実測図並びに申立人江端慎二および債務者の各審尋の結果によれば、債務者(兼所有者)吉川昭が、本件土地につき坪数不足がないことを理由として、右減額請求を承認していないこと、その他本件土地の坪数不足の有無およびその範囲を明らかにするためには、本件土地と、その西側に隣接する各土地との境界を確定しなければならず、その境界につき、各土地所有者との間に争いがあることが認められるので、競落建物に一部滅失あるいは毀損等外形上明白な瑕疵があることによる代金減額のような場合はともかくとして、このような容易に確定し難い事実関係の下においては、競売手続中において減額を相当とする右特別事情があるものとは到底認め難く、申立人らは本件競売手続外に於て債務者に対し、その減額の義務のあること及び減額すべき金額の確定等を訴求する方途に出るべきものと解する(昭和六年七月八日東地民一〇決定昭和六年(ソ)三八四号新聞三、三〇〇号一三頁参照)。

よつて、本件申立は理由がないからこれを棄却することとし、申立費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 八重澤總治)

(別紙)不動産の表示

一 富山市曙町字大道割弐番壱

宅地 壱八壱坪弐合四勺(五九九・壱四平方メートル)

一 右同字弐番壱四

宅地 弐坪四合弐勺(七・九九平方メートル)

一 右同字弐番地壱、弐番地壱四

家屋番号弐番壱 鉄骨鉄筋コンクリート造壱部木造亜鉛メツキ鋼板葺参階建店輔兼旅館

床面積 壱階 参九四・六弐平方メートル

弐階 参四参・五四平方メートル

参階 参弐五・九四平方メートル

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