山口地方裁判所 平成8年(わ)105号 判決 1996年10月18日
裁判所書記官
持田伸治
本店所在地
山口県岩国市南岩国町三丁目二一番二〇号
共進株式会社
(右代表者代表取締役 高瀬政博)
本籍
山口県岩国市楠町三丁目一〇番地
住居
山口県岩国市南岩国町四丁目六四番一五号
会社役員
高瀬政博
昭和一六年一一月六日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官野島光博出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人共進株式会社を罰金四〇〇〇万円に、被告人高瀬政博を懲役一年六月にそれぞれ処する。
被告人高瀬政博に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人共進株式会社(以下「被告人会社」という。)は、山口県岩国市南岩国町三丁目二一番二〇号に本店を置き、貨物自動車運送事業等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人高瀬政博(以下「被告人高瀬」という。)は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人高瀬は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、傭車料を水増し計上する方法により所得を秘匿した上、
第一 平成四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が、五億四三四六万〇九一一円であったにもかかわらず、平成五年二月一六日、同市麻里布町六丁目一四番二五号所在の所轄岩国税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四億〇〇五一万二七四四円でこれに対する法人税額が一億五一七三万二一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二億〇一二八万九一〇〇円と右申告税額との差額四九五五万七〇〇〇円を免れ
第二 平成五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が、五億二七一五万一三五八円であったにもかかわらず、平成六年二月二三日、前記岩国税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三億二九九七万二四五八円でこれに対する法人税額が一億二三三四万九〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一億九五四二万二〇〇〇円と右申告税額との差額七二〇七万三〇〇〇円を免れ
第三 平成六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が、四億六七六五万四三四六円であったにもかかわらず、平成七年二月二二日、前記岩国税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三億二〇五六万三一五一円でこれに対する法人税額が一億一六〇三万八四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一億七〇八八万二二〇〇円と右申告税額との差額五四八四万三八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
括弧内の番号は検察官の請求番号を示す。
判示事実全部について
一 被告人高瀬の当公判廷における供述
一 被告人高瀬の検察官(乙19)及び大蔵事務官(一四通、乙1ないし11、15ないし17)に対する各供述調書
一 和泉武の検察官(甲18)及び大蔵事務官(甲17)に対する各供述調書
一 曽村信雄(甲7)、佐々木勝也(二通、甲8、9)、大石光司(三通、甲13ないし15)及び岡本功(甲16)の大蔵事務官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(甲24)
一 押収してある請求資料綴一綴(平成八年押第二八号の4)、メモ一枚(同号の5)及びトラック傭車料支払明細表綴一綴(同号の6)
判示冒頭の事実について
一 商業登記簿謄本(甲2)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲21)
一 押収してある法人税確定申告書(平成四年度分)一綴(平成八年押第二八号の1)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲22)
一 押収してある法人税確定申告書(平成五年度分)一綴(平成八年押第二八号の2)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲23)
一 押収してある法人税確定申告書(平成六年度分)一綴(平成八年押第二八号の3)
(法令の適用)
法律に照らすと、判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人高瀬については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は平成七年法律第九一号による改正前の刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金四〇〇〇万円に、被告人高瀬については同法四七条本文、一〇条により犯情が最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年六月にそれぞれ処し、被告人高瀬に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 渡邉了造)