山口地方裁判所 昭和57年(わ)12号 判決 1982年5月25日
本籍
山口県大津郡三隅町大字三隅中一五九一番地
住居
同県長門市東深川一八五八番地の一
医師
岡田新作
昭和二年二月二日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上野富司出席のうえ審理を終え、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金二、五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することが出来ないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、山口県長門市東深川一、八五八番地の一等において産婦人科医院を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て
第一 昭和五三年分の所得金額が九六、三二一、六四七円で、これに対する所得税額が五〇、四三七、五〇〇円であったにもかかわらず、入院療養費などの収入金の一部を除外し、あるいは経費を水増計上する等の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五四年三月一二日長門市東深川九六四番地の一所在の長門税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額が四三、〇三九、九一七円で、これに対する所得税額が一四、四五五、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税三五、九八一、八〇〇円を免れ
第二 同五四年分の所得金額が八八、五五八、〇六一円で、これに対する所得税額が四五、一八二、四〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五五年三月一二日前記長門税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額が三四、七八六、五八五円で、これに対する所得税額が一〇、〇八六、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税三五、〇九五、五〇〇円を免れ
第三 同五五年分の所得金額が六三、七七六、八七九円で、これに対する所得税額が三一、四八九、三〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五六年三月一四日前記長門税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額が一五、〇二〇、一六七円で、これに対する所得税額が二、五九四、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税二八、八九四、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 第一回公判調書中被告人の供述部分
一 被告人の検察官に対する供述調書
一 被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(三通)
一 被告人作成の上申書(四通)および答申書(二通)
一 久保田郁生および岡田美恵子(三通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官松田憲磨作成の脱税額計算書説明資料および調査事績報告書(三通)
一 長門電報電話局長作成の照会回答書
一 長門税務署長作成の青色申告取消決議書(写)
一 押収してある確定申告書綴(昭和五七年押第一四号の一)
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官松田憲磨作成の脱税額計算書(一)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官松田憲磨作成の脱税額計算書(二)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官松田憲磨作成の脱税額計算書(三)
(法令の適用)
判示各所為 昭和五六年法律第五四条による改正前の所得税法二三八条一項、二項(いずれも懲役刑と罰金刑を併科)
併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)(懲役刑につき)、同法四八条二項(罰金刑につき)
労役場留置 同法一八条
執行猶予 同法二五条一項
(裁判官 七澤章)