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山形地方裁判所 平成8年(ワ)233号 判決 1998年3月17日

ベルギー国二三四〇ビールセ・トウルンホウト・セバーン三〇

原告

ジャンセン・ファーマシューチカ・ナームローゼ・フェンメートシャップ

右代表者

ダーク コーリエ

右訴訟代理人弁護士

品川澄雄

吉利靖雄

山形県天童市大字清池字藤段一三三一番地

被告

日新製薬株式会社

右代表者代表取締役

大石俊樹

右訴訟代理人弁護士

田倉整

島田康男

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、別紙物件目録記載の物件を有効成分とする医薬品を製造し、該医薬品を販売してはならない。

二  被告は、被告の所有する別紙物件目録記載の物件並びにこれを有効成分とする医薬品を廃棄しなければならない。

三  被告は、被告の申請によってなされた薬事法に基づく別紙物件目録記載の物件を有効成分とする医薬品に対する製造承認につき厚生大臣に対し製造承認の整理届を提出しなければならない。

四  被告は、厚生大臣に対して前項の医薬品について健康保険法に基づく薬価基準収載の削除願を提出しなければならない。

五  被告は、原告に対し、被告が別紙物件目録記載の物件を有効成分とする医薬品について厚生大臣の製造承認を得るために別紙物件目録記載の物件を有効成分とする医薬品を用いて試験を行った試験データ及びその他の資料を返還しなければならない。

六  訴訟費用は被告の負担とする。

七  仮執行宣言

第二  事案の概要

本件は、存続期間の満了した後記特許権を有していた原告が、別紙物件目録記載の化合物を有効成分とする製剤の製造承認を得るために、存続期間満了前に、右化合物を含有する製剤を製造又は輸入し、右承認申請に添付する資料作成のために各種試験を行った被告に対し、後記特許発明の特許請求の範囲第一ないし第六及び第九項の記載にかかる特許権を侵害する行為であるとして、<1>特許権妨害に対する妨害排除請求権に基づき、右製剤の製造、販売の差止、当該製剤の廃棄、製造承認の整理届の提出、薬価基準収載からの削除願の提出、試験データ等の資料の返還の請求をなし、<2>被告が原告の特許発明に対する独占的占有を侵奪して不当な利得を得たとして、不当利得返還請求権に基づき、右<1>と同様の請求をしている事案である。

一  争いない事実

1  当事者

(一) 原告は、医薬品等の製造、販売を業とするベルギー国法人である。

(二) 被告は、医薬品等の製造、輸入、販売を業とする株式会社である。

2  原告の特許権

(一) 原告は、次の特許権(以下「本件特許権」という。)を有していた。

特許番号 特許第一三六四八九五号

発明の名称 新規な1-(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体

出願日 昭和五一年七月一九日

出願番号 特願昭五一-八五二一六号

優先権 一九七五年七月二一日及び一九七六年五月一七日の米国特許出願に基づく優先権

公告日 昭和六一年七月一七日

公告番号 特公昭六一-三一一〇九号

登録日 昭和六二年二月九日

(二) 本件特許権の特許請求の範囲は、本判決添付の特許公報の該当欄記載のとおりであり、右特許請求の範囲のうちの第一ないし第六及び第九項の記載は次のとおりである(以下、特許請求範囲第一ないし第六及び第九項の記載にかかる特許発明を「本件特許発明」と総称する。)。

(1) 式<省略>

〔式中、

R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、

Bは二価の基<省略>-N=N-及び-N=CH-、から成る群から選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群から選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、

m及びnはそれぞれ1乃至2の整数でありそして 基<省略>は、式

<省略>

(式中、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であってもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジン核の3及び4炭素原子間は単結合でありそしてMは水素であるものとする)

を有する基である〕

で示される1-(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体及びその医薬的に許容し得る酸付加塩から成る群より選ばれた化合物。

(2) 5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾ-ル-1-イル)-プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾ-ル-2-オン及びその医薬的に許容し得る酸付加塩がら成る群より選ばれた特許請求の範囲第1項記載の化合物

(3) 活性成分として式

<省略>

〔式中、R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、

<省略>

-N=N-及び-N=CH、から成る群から選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群から選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、

R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、

m及びnはそれぞれ1乃至2の整数でありそして 基<省略>は、一式から成る群から選ばれた一員であり、ここで

<省略>

(式中、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジン核の3及び4炭素原子間は単結合でありそしてMは水素であるものとする)

を有する基である〕

で示される化合物又はその医薬的に許容し得る酸付加塩を含有することを特徴とする制吐剤。

(4) 該式(Ⅰ)合物又はその医薬的に許容し得る酸付加塩の制吐的有効量と不活性担体物質とを含有して成る特許請求の範囲第3項記載の剤。

(5) 投与単位当り制吐的有効量の式(Ⅰ)化合物又はその医薬的に許容し得る酸付加塩を、医薬的担体との混合物として含有して成る投与単位形態の特許請求の範囲第3項記載の剤。

(6) 医薬的担体が固体の摂取可能な担体である特許請求の範囲第5項記載の剤。

(9) 投与単位当たり制吐的有効量の5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾ-ル-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1.3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾ-ル-2-オン及びその医薬的に許容し得る酸付加塩を、医薬的担体との混合物として含有して成る投与単位形態の特許請求の範囲第5項記載の剤。

3  被告の行為

(一) 右特許請求範囲第一項に記載の一般式に置いて、R1、R2及びR3に水素を選び、Bに<省略>を選び、さらに、Lに水素を選び、m及びnを各1とし、 基<省略>

の示す式中R7に水素、R8に5位クロール、Yにo、Mに水素を選び、破線を単結合として別紙物件目録記載の化合物は、一般名を「ドンペリドン」と称し、強い制吐活性を有する。

(二) 被告は、厚生大臣の製造承認を得て、本件特許権の満了後、ドンペリドンを有効成分とする医薬品(以下「被告製剤」という。)を製造、販売するために、被告製剤を製造し又は輸入し、これを使用して右承認の申請に添付する資料作成のための試験を行った(以下「本件試験」という。)。

(三) 被告は、右試験結果に基づき資料を作成した上、これを添付して、厚生大臣に対し、被告製剤の製造承認申請をしてその承認を得、また、健康保険法に基づく薬価基準収載への申請をし、平成八年七月五日薬価基準収載された。

二  争点

1  特許権の存続期間満了後に、存続期間中に行われた製造承認申請のための試験が特許権を侵害するとの理由で、妨害排除請求権に基づき、被告製剤の製造、販売の差止、被告製剤の廃棄、製造承認の整理届の提出、薬価基準収載からの削除願の提出、試験データ等の資料の返還を求めることができるか。

2(一)  特許権の存続期間満了後直ちに被告製剤を販売するために必要な薬事法所定の医薬品製造承認の申請に添付すべき資料を得るため、特許権の存続期間満了前に被告製剤を製造又は輸入し、これを使用して試験を行うことが「業としての特許発明の実施」にあたるか。

(二)  被告の右(一)の行為が特許法六九条一項所定の「試験又は研究」にあたるか。

3  被告の行為が、原告の本件特許発明に対する独占的占有を侵奪する不当利得にあたるか。

三  当事者の主張

1  争点1(存続期間満了後の請求)について

(一) (原告の主張)

(1) 医薬品は、その製造販売に先立ち、国の製造承認を受け、薬価基準に収載されることが不可欠であるところ、後発医薬品の場合、試験開始から薬価基準の収載に至るまでの所要期間は、二七か月をくだらない。そして、これに必要な試験は、特許権を侵害するものであるから、特許権存続期間満了直後に当該医薬品を販売することは不可能であり、結局、後発医薬品会社が特許権を侵害することなく医薬品を販売することができるのは、存続期間が満了してから二七か月後ということになる。したがって、先発医薬品会社は、右二七か月間は、その対象発明の実施品たる医薬品を独占的に製造販売し得る権能を法律上有しているといえる。この権能は、特許権に伴って生ずる法的利益と解すべきであり、単なる反射的利益と解することはできない。

被告が、本件特許権存続期間満了後二七か月を経過する前に被告製剤を製造販売することは、本件試験による本件特許権侵害に起因して、存続期間満了後二七か月間独占的製造販売し得るという権能を害する行為、すなわち、本件特許権に対する妨害行為である。

(2) 特許権は物権的権利であるから、その妨害に対しては、所有権の場合に準ずる妨害排除請求権を有し、その妨害排除請求権は、特許権の存続期間の満了後も妨害の存在し継続している限り存続するものであると解すべきである。

(二) (被告の主張)

(1) 薬事法による医薬品製造上の規制により、一定期間、先発の医薬品製造、販売業者が、事実上市場を独占できるという利益を享受し得ることとなっているとしても、それは薬事法の規制に伴う事実上の反射的利益北すぎず、先発の医薬品製造、販売業者に法的に保護された利益であるとか法的に保護すべき利益であるとかいうことではないし、それをもって特許権の効力ということもできない。これを法的に保護すべき利益であるとするならば、実質的に、明文の根拠もなく、また、手続きをとることもなく、特許権の存続期間を延長するのと同一の効果をもたらす結果となり、不合理である。

(2) 特許権に基づく物権的請求権として特許法一〇〇条による差止請求権、除去請求権とは異なる物権的請求権を観念する余地はない。

仮にこれが観念できるとしても、特許法一〇〇条に定める差止請求権に認められている以上の効力を有するものではあり得ないから、特許権自体が消滅し存在しないものとなった以上、原告の主張する妨害排除請求権の行使は認められない。

2  争点2(一)(「業としての特許発明の実施」)について

(一) (原告の主張)

被告は医薬品を製造販売することを業とする会社であるから、医薬品を製造販売することは被告の業としての行為であるところ、医薬品の製造販売の開始に当たってする行政的許可等処分取得のための行為は、その医薬品の製造販売のみを目的とするものであって、その製造販売行為の端緒と評価されるべきものであるから、行政的許可等処分を取得するためになす被告の行為はそれ自体も業としての行為にほかならない。また、ドンペリドンを製造又は輸入し、使用する被告の行為は、本件特許発明の実施に当たる。

(二) (被告の主張)

(1) 特許法が特許権の付与によって発明を保護するのは、産業の発達の観点からであり、したがって、特許発明を専有することによって特許権者に付与されている保護は市場における利益を独占させるというものである。

したがって、第三者が特許期間中に当該市場に参入しなければ、製品開発のために試験研究をしたり、特許期間終了後の実施に向けて薬事法上の製造承認手続きの申請をしたとしても、特許権者は市場における利益を独占できるのであって、特許権の侵害にはならない。

これを本件に当てはめると、製造承認は期間終了後に付与される運用になっているため、特許権の存続期間中に製造販売がなされることはないから、被告が本件特許権の存続期間中に市場に参入することはないのであり、したがって、本件特許権の侵害にはならない。

(2) 平成六年法律第一一六号による改正法(以下「改正法」という。)附則五条二項が、特許発明の実施である事業の準備を行っていた者に対し保護を与えているということは、業として実施することの準備が「業として」「実施する」ことには当たらず、特許権を侵害するものではないことを明らかにするものである。

そして、被告の行った本件試験及び薬事法上の製造承認手続きの申請は、業として実施することの準備であって、本件特許発明の業としての実施ではないから、本件特許権を侵害するものではない。

(3) 特許法六七条二項は、薬事法による製造承認等手続のため、「その特許発明の実施をすることが二年以上できなかった」ことを特許権の存続期間の延長登録出願の要件としている。

この条項から明らかなとおり、特許法は、薬事法に基づく製造承認手続き期間中は特許発明の実施ができないと認めているのであって、薬事法に基づく製造承認手続きのための特許発明の技術的範囲に属する特許権者の行為(臨床試験行為等)を特許発明の実施に当たらないとしているのである。

先発者が行う臨床試験等薬事法上の製造承認手続きに必要とされる行為及び製造承認申請が業としての実施に当たらない以上、後発者が行う臨床試験等薬事法上の製造承認手続きに必要とされる行為及び製造承認申請をもって業としての実施に当たらないというのは当然の帰結である。

3  争点2(二)(「試験又は研究」)について

(原告の主張)

特許権の効力が及ばない試験又は研究とは、その特許発明の技術をさらに技術的に進歩せしめるものでなければならない。

被告の行為は、特許発明の医薬品と同効のものとして販売するための行政上の許可を得るために、これと同一の薬効を有する医薬品であること、及びそれが必要最低期間は同一薬効を保持して変質しないことを証明する資料を得ることのみを目的とする行為であって、いかなる意味においても、その特許発明技術をさらに技術的に進歩せしめる目的を有するものではない。

したがって、被告の行為は特許法六九条一項の試験又は研究に該当しない。

(被告の主張)

(一) 特許法六九条一項が「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には及ばない。」と規定しているだけで、それ以上に格別の要件を規定しているものではない上、試験又は研究のためにする実施に特許権の効力が及ばないとされる趣旨が、特許法の、発明を公開させることによって産業の発展を図るという目的から導かれるものであることからすると、同条の「試験又は研究」を目的や結果(寄与の程度)によって限定的に解するべきではなく、産業、技術の発展に直接間接に寄与する可能性のあるものであればよいと解すべきである。試験等の目的などによって制限を加えることは、自由な試験又は研究を妨げ、産業の発展を阻害することになり、特許法の目的に反することとなる。

(二) 被告の行った本件試験は、いわゆる医学的同等性試験と言われるものであり、本件の特許請求の範囲に記載された化学式で表された物質を試作するとしても、公報に記載されていない各種の知識が必要であり、被告のノウハウや試験又は研究によってはじめて試作可能になるものである。また、医薬品は、化学式としては同一でも、人体への作用は異なるというものも多く見られ、また、実際の医薬品として提供する場面では、その化学物質を経口その他の方法で人体に吸収できるように加工しなければならず、その加工によって人体に対する効果が異なってくるから、被告製剤の試作に当たっては、被告の知見に基づいて各種の配合物質を検討し、その試作方法を検討することを繰返し、また、臨床試験を行ったのであって、公報記載の技術を公報の記載どおりに行ったのではない。

さらに、実際に、ドンペリドンの医薬品としての利用については未だ副作用など解明されていない問題が残されているが、被告の行った試験又は研究において試作された医薬品には現在問題となるような副作用が生じていないことが明らかとなっている。すなわち、被告の試験又は研究において行われた製造方法によれば問題となるような副作用が生じないという新しい知見、技術的進歩が獲得されたのである。

したがって、被告において行った本件試験は、科学技術の進歩に寄与し得る性質のものとして、特許法六九条一項の「試験又は研究」に該当するというべきである。

4  争点3(不当利得返還請求)について

(原告の主張)

原告は、本件特許権の対象である発明につき、本件特許権存続期間中、法律上独占的な占有権に基づき、これを独占占有し続けてきた。被告は、遅くとも、本件特許権存続期間満了の二七か月前から、何ら法律上の原因なくして本件発明を実施することによって、他人の財産である原告の右の独占的な占有を侵奪して、原告に、独占的占有の喪失という損害を生ぜしめ、よって、行政上の製造承認及び薬価基準収載を取得し、これに基づいて被告製剤を製造販売し得るという有利な地位を得た。

したがって、被告は、原告に対し、不当に取得した右の利得を返還すべきであり、被告は、右占有侵奪によって取得した製造承認及び薬価基準収載手続を一旦白紙に戻し、もって被告が被告製剤を製造販売することができない地位に戻るべきである。

(被告の主張)

発明について、「占有権」(民法第二編第二章)が成立することを争い、原告が本件発明を占有してきたことを争う。

仮に「発明の占有」という概念が認められるとしても、それは発明の占有者(発明者)が発明について特許権を取得するまでの過渡的な状況を説明するためのものであって、発明の占有者(発明者)が当該発明について特許権を取得すれば、その目的を達して同概念によって法的保護を図る必要はなくなるのであり、発明者が特許権を取得しその特許権が期間満了により消滅した後において、発明者に特許権が存続しているのと同様の保護を与えるために「発明の占有」という概念を持ち出すのは失当である。

第三  当裁判所の判断

一  争点1(存続期間満了後の請求)について

1  特許法は、六八条において「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する」と規定し、また、一〇〇条一項において「特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」と規定しており、特許権者又は専用実施権者は、当該特許権の効力として、自己の特許権又は専用実施権の侵害の停止又は予防を請求することができるものである。

ところで、特許法六七条一項は、「特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。」と規定しており、特許権の存続期間が明確に定められているのであって、特許権の存続期間の経過とともに特許権が消滅することは明らかである。

したがって、特許権の存続期間を経過すれば、特許権者又は専用実施権者による特許権の行使を論ずる余地はなくなるのであるから、存続期間満了後に侵害の停止又は予防を請求することもできなくなるものと解される。

2  原告は、被告が、本件特許権存続期間満了後二七か月を経過する前に被告製剤を製造販売することは、本件試験による本件特許権侵害に起因して、存続期間満了後二七か月間独占的製造販売し得るという権能を害する行為、すなわち、本件特許権に対する妨害行為である旨主張する。しかし、医薬品の製造承認を取得するための試験を開始してから薬価基準収載に至るまで相当の期間を要し、その間、特許権者が独占的に実施品を製造販売できるとしても、それは、薬事行政の運用によって後発医薬品メーカーが市場へ参入することができないことに伴う反射的な利益であり、これを法的に保護された利益ということはできない。したがって原告の右主張は理由がない。

3  原告は、特許権は物権的権利であるから、その妨害に対しては、所有権の場合に準ずる妨害排除請求権を有し、その妨害排除請求権は、特許権の存続期間の満了後も妨害の存在し継続している限り存続するものであると解すべきである旨主張する。しかし、特許権の存続期間が満了した後に、なお特許権が妨害されているという状況はありえず、特許権の存続期間の満了後も消滅した権利について法的保護が与えられることがないことは明らかであり、原告の右主張は理由がない。

二  争点2(一)(「業としての特許発明の実施」)について

1  特許法は、前記のとおり、六八条において「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。」と規定しており、特許権者は、当該権利の存続期間において、業として特許発明の実施をする権利を独占しており、反面、当該特許権の効力は、「業として」の実施以外の実施に及ばないことは明らかである。

2  そこで、特許発明の「業として」の実施の意味について検討する。

(一) 「業」とは、広く事業と同義であり、当然に反復、継続してなされることを内包するものと解される。また、「業として」が、「業のために」より狭い概念であることは文言上明らかである。

(二) 特許法一条は、「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」と規定するところ、発明を奨励し、技術の進歩を図り、産業の発展に寄与するためには、発明者に独占させるのみでは社会の技術水準の向上は望めないので、特許法は、発明者に対して、発明の内容を、第三者が実施可能な程度に公開する義務を負わせ、発明者に対しては、公開した特許発明について一定期間発明の業としての実施を独占させるとともに、特許発明を開示することで発明の一般的な利用を促進し、社会の技術水準の向上を図っていると解される。そして、特許法三六条四項は、特許出願の願書に、「発明の詳細な説明は、通商産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載しなければならない」と規定して、公開された発明が当業者に実施可能な状態に置くことにしている。このような特許法の規定の仕方に鑑みると、「業として」とは、特許発明者の利益の保護と公開された特許発明の一般的な利用による社会の技術水準の向上との調和においてその意味が解釈されるべきであり、たとえば、個人的な実施、家庭的な実施以外の実施は全て権利侵害となるというように特許権の効力の及ぶ範囲を広く解するのは相当ではない。

(三) 改正法附則五条二項は、旧特許法の規定の下において、他人の特許権の存続期間が満了とされる日より前にその特許権にかかる発明の実施である事業の準備をしていた者に対し、同法により延長された存続期間内において、延長がなければ存続期間が満了していたであろう日以降について、その準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において通常実施権を与えることにしているところ、その趣旨は、改正法によって存続期間が延長されることにより発明の実施である事業の準備をしている者に不測の不利益を生じさせないようにし、特許権者と改正法公布の日の前から旧法による存続期間満了後の実施に向けて事業の準備をしている者との公平を図ることを目的とした規定であり、特許権の存続期間内に特許発明の実施である事業を遂行していた者については、右行為が特許侵害行為であって保護を図る必要はないから除外されていると解される。そうすると、改正法附則五条二項は、特許侵害行為、すなわち、他人が特許発明の実施である事業をなす行為とは区別して、一般第三者の「発明の実施である事業の準備」という状態に対して保護を与えているものである。そして、「発明の実施である事業の準備」とは、特許発明の実施である事業と区別されているのであるから、いまだ事業として特許発明を実施する段階に至らず、その準備をしている状態をいうと解される。

(四) 以上によると、「業として」とは、特許発明の実施である事業を遂行することを意味し、存続期間満了後の特許発明にかかる製品の製造、販売のために準備をする行為は、「業として」に含まれず、一般第三者において自由に実施することができるものと解するのが相当である。

3  薬事法一四条は、厚生大臣が基準を定めて指定する医薬品以外の医薬品を製造しようとする者は、厚生大臣の承認を受けることを要し、右承認を受けようとする者は、薬事法施行規則一八条の三の規定に従って資料を添付しなければならず、右添付資料を得るためには、臨床試験その他種々の試験を実施しなければならないところ、前記争いのない事実及び弁論の全趣旨によれば、被告は、本件特許権の存続期間満了後に、本件特許発明にかかる医薬品の製造、販売を開始するために、本件特許権の存続期間中に、厚生大臣に対し被告製剤の製造承認申請をするために、被告製剤の原末を製造し、又は輸入し、これを使用して本件試験を行った上、ドンペリドンを有効成分とする医薬品について、厚生大臣に対し、製造承認申請をしてその承認を得、また、健康保険法に基づく薬価収載への申請をしてこれが収載されたことが認められる。

薬事法は、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品等の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより保健衛生の向上を図ることを目的としており(同法一条)、同法に基づく医薬品の製造承認のための審査は、医薬品の有効性や安全性の確保を目的とし、その承認申請に添付する審査資料を得るために、各種試験が要求されているのである。

右認定の事実によれば、被告の行った被告製剤の製造、輸入及び本件試験は、将来の本件特許発明にかかる製品を製造、販売するためのものではあるが、直接的には、薬事法の医薬品の有効性や安全性の確保の要請により、所定の資料を得るために実施されているのであって、本件特許発明の実施である事業を遂行しているのではないことは明らかであり、被告の右行為をもって特許法六八条にいう本件特許発明の「業として」の実施に当たると認めるに足りない。他に被告の行為が「業として」実施されたと認めるに足りる証拠はない。

4  原告は、医薬品の製造販売の開始に当たってする行政的許可等処分取得のための行為は、その医薬品の製造販売のみを目的とするものであって、その製造販売行為の端緒と評価されるべきものであるから、行政的許可等処分を取得するために為す被告の行為はそれ自体も業としての行為にほかならない旨主張するが、前記認定及び判断に照らせば、医薬品の製造販売の前提としでの行政的許可等処分取得のための被告製剤の製造、輸入及び本件試験をなす行為を製造販売行為の端緒と評価することはできないから、原告の右主張は採用の限りでない。

5  そうすると、本件試験が本件特許権に対する侵害行為であることを前提とする原告の妨害排除請求権に基づく請求は、その余の点につき判断するまでもなく理由がない。

三  争点2(二)(「試験又は研究」)について

1  前記二の判断によれば、原告の妨害排除請求権に基づく請求は理由がないことに帰するが、事案に鑑み、本件試験が特許法六九条一項にいう「試験又は研究」に該当するかどうかについて検討する。

2  特許法六九条一項は、「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には及ばない。」と規定している。この規定にいう「試験又は研究」がいかなる意義であるかについては、法文上必ずしも明らかでないが、特許法一条の趣旨に照らせば、右試験又は研究が、一般的に、それ自体、特許にかかる物の生産、使用、譲渡等を目的とするものではなく、技術を次の段階に進歩させることを目的としているものであるから、このような試験又は研究のための特許発明の実施についてまで、特許権の効力を及ぼすのはかえって技術の進歩を阻害することになるため、特許権の効力が及ばないことを明示するために規定したものと解される。

そうすると、全ての「試験又は研究」に特許権の効力が及ばないのではなく、本条項の目的、特許法の目的に照らせば、一定の限界があり、少なくとも、およそ「試験又は研究」というに値しない、すなわち何ら技術の進歩と関係のない試験、研究は保護する必要がなく、特許法六九条一項にいう「試験又は研究」には該当しないと解される。

3  本件試験は、薬事法に基づく医薬品の製造承認のため、その承認申請に添付する審査資料を得るためになされたいわゆる臨床試験であるが、同試験は、医薬品の有効性や安全性を確保するためになされるものである。

ところで、本件のような医薬品は、単に明細書に記載された方法を模倣すれば、目的の医薬品を製造することができるものではない。後発医薬品メーカーが本件特許発明にかかる医薬品を試作するに当たっては、当然、特許明細書を参照することになろうが、本件公報の発明の詳細な説明の項には、たとえば、「当業界で公知の通常の方法に従つて該保護基を除去することができる」(本件公報一〇欄一行ないし三行)などと記載されて、具体性を欠いた記載となっており、特許明細書のみでは医薬品を製造することはできず、自己の物的、人的設備を動員し、かつ自己が独自に蓄積してきたノウハウを利用して試行錯誤を重ね、有効性及び安全性を兼備えた医薬品を製造しなければならない。

前記認定のとおり、被告が、被告製剤を使用して各種試験を行い、その結果に基づく資料を添付して承認申請をなし、厚生大臣から被告製剤の製造承認を得たことからすれば、被告は、独自の物的、人的設備、ノウハウによって薬事法の要請にしたがい有効性、安全性を有する医薬品を製造したものと推認することができる。

4  以上によれば、被告の行った本件試験は、直接的には自らの技術水準を向上させるとともに、間接的には社会一般の医薬技術の進歩に貢献する可能性がある試験又は研究であって、特許法六九条一項にいう「試験又は研究」に該当するものと認めるのが相当である。そうすると、被告の行った本件試験には、本件特許権の効力は及ばず、この点でも原告の妨害排除請求権に基づく請求は理由がないことに帰する。

四  争点3(不当利得返還請求)について

原告は、被告が、遅くとも、本件特許権存続期間満了の二七か月前から、何ら法律上の原因なくして本件発明を実施することによって、他人の財産である原告の右の独占的な占有を侵奪して、原告に、独占的占有の喪失という損害を生ぜしめ、よって、行政上の製造承認及び薬価基準収載を取得し、これに基づいて被告製剤を製造販売し得るという有利な地位を得たものであり、これは不当利得にあたる旨主張する。

しかし、被告が本件特許権の存続期間前に本件特許発明を業として実施していないこと及び本件試験が特許法六九条一項にいう「試験又は研究」に該当しないことは前記認定のとおりであるから、原告の右主張は、その前提を欠き失当である。

五  結論

以上によれば、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。

(平成九年一一月二五日口頭弁論終結)

(裁判長裁判官 山野井勇作 裁判官 宍戸充 裁判官 白川純子)

別紙 物件目録

左式で示す5-クロロ-1-〔1-〔3-(2-オキソ-1-ベンゾイミダゾリニル)プロピル〕-4-ピペリジル〕-2-ベンゾイミダゾリノン(一般名・ドンベリドン)

<省略>

<19>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告

<12>特許公報(B2) 昭61-31109

<51>Int.Cl.4C 07 D 401/14 A 61 K 31/44 31/445 C 07 D 413/14 417/14 //(C 07 D 401/14 211:00 235:00) (C 07 D 401/14 211:00 235:00 249:00) (C 07 D 413/14 211:00 235:00 263:00) (C 07 D 417/14 211:00 235:00 277:00) 識別記号 ACP 庁内整理番号 7431-4C 7431-4C 7431-4C <24><44>公告 昭和61年(1986)7月17日

発明の数 2

<34>発明の名称 新規な1・(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体

<21>特願 昭51-85216 <15>公開 昭52-17475

<22>出願 昭51(1976)7月19日 <13>昭52(1977)2月9日

優先権主張 <32>1975年7月21日<33>米国(US)<31>597793

<32>1976年5月17日<33>米国(US)<31>687139

<72>発明者 ジヤン・バンデンベルク ベルギー国2340ビールセ・ケンペンラーン15

<72>発明者 ルド・イー・ジエイ・ケニス ベルギー国2350フオゼラール・パークラーン5

<72>発明者 マルセル・ジエイ・エム・シー・フアン・デル・アー ベルギー国2305フオゼラール・メレラーン46

<72>発明者 アルベルト・エイ・エム・テイーエイチ・フアン・ヘールトウム ベルギー国2350フオゼラール・アルベルトストラート10

<71>出願人 ジヤンセン・フアーマシユー・チカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツブ ベルギー国2340ピールセ・トウルンホウトセバーン30

<70>代理人 弁理士 小田島平吉

審査官 塚中直子

<57>特許請求の範囲

1 式

(Ⅰ)

<省略>

(式中、

R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、

Bは二価の基<省略>-N=N-及び-N=CH-、から成る群から選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群から選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、

R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、

m及びnはそれぞれ1乃至2の整数でありそして基<省略>は、

<省略>

(式中、R及びRは水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群よる選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジン核の3及び4炭素原子間は単結合でありそしてMは水素であるものとする)

を有する基である)

で示される1-(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体及びその医薬的に許容し得る酸付加塩から成る群より選ばれた化合物.

2 5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン及びその医薬的に許容し得る酸付加塩から成る群より選ばれた特許請求の範囲第1項記載の化合物.

3 活性成分として式

(Ⅰ)

<省略>

(式中、R1吸びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、

Bは二価の基<省略>-N=N-及び-N=CH-、から成る群から選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群から選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、

R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、

m及びnはそれぞれ1乃至2の整数でありそして基<省略>は、

一式から成る群から選ばれた一員であり、ここで

<省略>

(式中、R及びRは水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジソ核の3及び4炭素原子問は単結合でありそしてMは水素であるものとする)

を有する基である〕

で示される化合物又はその医薬的に許容し得る酸付加塩を含有することを特徴とする制吐剤.

4 該式(Ⅰ)化合物又はその医薬的に許容し得る酸付加塩の制吐的有効量と不活性担体物質とを含有して成る特許請求の範囲第3項記載の剤.

5 投与単位当り制吐的有効量の式(Ⅰ)化合物又はその医薬的に許容し得る酸付加塩を、医薬的担体との混合物として含有して成る投与単位形態の特許請求の範囲第3項記載の剤.

6 医薬的担体が固体の摂取可能な担体である特許請求の範囲第5項記載の剤.

7 医薬的担体が液体の摂取可能な担体である特許請求の範囲第5項記載の医薬的組成物.

8 医薬的担体が非経口的使用に適した無菌の液体である特許請求の範囲第5項記載の医薬的組成物.

9 投与単位当り制吐的有効量の5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン及びその医薬的に許容し得る酸付加塩を、医薬的担体との混合物として含有して成る投与単位形態の特許請求の範囲第5項記載の剤.

発明の詳細な脱明

従来技術において多数のベンゾアゾリルアルキル及びインドリルアルキル置換ピペリジン誘導体並びに多数のアミノアルキル置換ベンゾアゾールが見出されており、それらのいくらかは薬理学的活性、たとえば抗抑制性(antidepressant)、鎮座性(anticonvulsant)、抗ヒスタミン(antihistaminic)又は抗座準性(antispasmogenic)活性を有する.

異なつている点の中でも特に、本発明の化合物はそれらの構造内のそれぞれベンゾアゾール及び/又は置換ピペリジン部分の性質によりかかる公知化合物とは異なつている.

多数の前記従来枝術の化合物は下記の参考文献中に見出すことができる.

Int.Pharmacopsychall.1968(1)P.214:

C.A.、64、2093b(1966):

C.A.、72、111466(1970):

C.A.、81、120632b(1974):

フランス特許第2042321号(Derw.Fr.week S16、Pharm.P.12):及び

ベルギー特許第753472号.

本発明の新規Ⅰ-(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体は、構造的には下記式により表わすことができる:

(Ⅰ)

<省略>

及びその医薬的に許容され得る酸付加塩.

上記式中、R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、

Bは二価の基<省略>-N=N-及び-N=CH

一、から成る群から選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群から選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、

R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、m及びnはそれぞれ1乃至2の整数でありそして基<省略>は、

<省略>

(式中、R及びRは水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジン核の3及び4炭素原子間は単結合でありそしてMは水素であるものとする)有する基である.

本明細書中に使用された「低級アルキル」は直銷状又は分岐銷状であつてもよく且つ1乃至5個の炭素原子を有しており、たとえばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、ベンチル及び同様なものであり、「低級アルケニル」は2乃至5個の炭素原子を有する直銷又は分岐銷状のアルケニル基、たとえば、1-メチルエテニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ベンテニル及び同様なものであることができ、そして「ハロ」なる用語は127より小さい原子量のハロゲンの総称であり、たとえばフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードである.

(Ⅰ-a)

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、m、n、及び<省略>は前記した通りでありそしてB1は-NH-C(S)を除いて前記式(Ⅰ)においてBに対して定義して通りである〕

により表わすことができる式(Ⅰ)の化合物は、下記式(Ⅱ)の適当な反応性エステルを下記式(Ⅲ)の適当なピペリジン誘導体と反応させることにより便利に製造することができる.

<省略>

〔式中、Xは対応するアルコールから誘導された適当な反応性エステル基、たとえば、ハロ、メタンスルホニル、4-メチルベンゼンスルホニル及び同様なものであり、そしてB1、R1、R2、R3、m、n、及び<省略>基は前記した通りである〕.

上記縮合反応は、たとえば:低級アルカノール、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及び同様なもの:芳香族炭化水素、たとえば、ベンゼン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン及び同様なもの:ケトン、たとえば4-メチル-2-ベンタノン:エーテル、たとえば、1.4-ジオキサソ、1.1-オキシビスエタン及び同様なもの:N.N-ジメチルホルムアミド:ニトロベンゼン:及び同様なものの如き適当な有機溶媒中で行なうのが好ましい.反応の進行中に遊離される酸を取出すために、たとえばアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩或いは炭酸水素塩の如き適当な塩基を添加することができる.特に式(Ⅱ)の反応性エステルが塩化物である場合たは、少量の適当な金属ヨウ化物、たとえばヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムを反応促進剤として加えることができる.いくらか高い温度が反応速度を高めるのには適当であり、そして反応混合物の還流温度で反応を行なうのが好ましい.この方法及び下記の方法においては、反応生成物は媒体から分離され、そして必要に応じて当業界で公知の方法を適用して更に精製される。

(Ⅰ-b)

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、m、n及び<省略>は前記した通りである〕

により表わすことができる式(Ⅰ)の範囲内の化合物は、式(Ⅳ)

(Ⅳ)

<省略>

〔式中、Pは適当な保護基であり、そしてR1、R2、R3、m、n及び<省略>は前記した通りである〕

で示される対応ずる化合物から出発して、当業界で公知の通常の方法に従つて該保護基を除去することにより製造することができる.かかる保護基の例は、中でも、低級アルキルオキシカルボニル、4-メチルベンゼンスルホニル、メタンスルホニルであり、そして好ましくは式

<省略>

〔式中、R11及びR12は異なつた基を表わすことができるが好ましくはR11は低級アルキルでありそして好ましくはR12は水素、低級アルキル又はフエニルである〕

の置換エテニル基である.保護基が低級アルキルオキシカルボニル、4-メチルベンゼンスルホニル又はメタソスルホニルである場合には、それはアルカリ性加水分解により容易に除去することができ、そして保護基が置換エテニル基である場合には、それは適当な中間体(Ⅳ)を酸性加水分解に付することにより便利に除去される.酸性加水分解を行なつて置換エテニル基(Ⅳ)から除去する際には、広な種類のプロトン酸を使用することができ、該プロトン酸にはたとえば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸の如き拡酸並びに、たとえば酢酸、プロパン酸及び同様な酸の如き有機酸が包含される.更に、この反応は、かかる種類の加水分解反応において通常使用される反応不活性有機溶媒、たとえばメタノール、エタノール、2-プロパノン及び同様なものの中で行なうことができる.

(Ⅰ-c)

<省略>

〔式中、R1、R2、m、n、R3及び<省略>は前記した通りでありそしてB2は-NH-C(O)-、-NH-C(S)-及び-N=CH-、から成る群より選ばれる〕

により表わすことができる式(Ⅰ)の範囲内の化合物は式(Ⅴ)の適当なベンゼンジアミンを、適当な環化剤により閉環に付すことにより製造することができ、その際環化剤の性質は所望の生成物中のB2の性質に依存する.

<省略>

(式中、R1、R2、R3、m、n及び-N Aは前記した通りである).

上記環化反応は、1.2-ベンゼンジアミンから出発して1H-ベンゾイミダゾール、1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン及び1・3-ジヒドロ-2H-べンゾイミダゾール-2-チオンを製造する当業界で公知の方法に従つて行なうことができる.B2が-NH-C(O)・を表わす場合の化合物(Ⅰ-c)を製造するために有利に使用できる好適な環化剤には、尿素、ホスゲン、及びアルカリ金属イソシアン酸塩が包含されそして環化反応は当業界で公知の方法に從つて行なうことができる.たとえば、環化剤として尿素を使用する場合には、何ら溶媒を存在せしめないで反応体を-緒に撹拌しそして加熱することによつて所望の化合物が容易に得られら.

所望の化合物(Ⅰ-c)中のB3が-NH-C(S)-を表わす場合には、たとえば二硫化炭素、チオ尿素、カルボノチオイツク ジクロリド(carbonothioic dichloridc)、チオシアン酸アンモニウム及び同様なものの如き環化剤を使用することができ、そしてB2が-N=CH-を表わす場合には環化剤としてギ酸又は適当なトリ(アルキルオキシ)メタンを使用することができる.

前記したと同様にして、下記式(Ⅵ)の化合物を適当な環化剤で環化することにより、式

(Ⅰ-d)

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、m、n、B1及びYは前記した通りである〕

mの化合物を製造することができる.

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、B1、m及びnは前記した通りである〕.

該環化反応を行なうに際しては、(V)から出発する化合物(Ⅰ-c)の製造に対して、更に特定的にはB2がそれぞれ-NH-C(O)-及び-NH-C(S)-を表わす場合の化合物(Ⅰ-c)の製造に対して前記したと同じ環化剤を使用することができる.

更に同様に、下記止(Ⅶ)で示される対応する中間体より出発して、該(Ⅶ)中の両ベンゼソジアミン基を、それぞれ1・3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダソール-2-オン及び1・3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-チオソに対して前記した適当な環化剤により一反応工程で環化することにより、式

(Ⅰ-e)

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは前記した通りであり、そして2個のY基は両方がO又は丙方がSである〕

の化合物を製造することができる.

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは前記した通りである〕.

更に、式

(Ⅰ-f)

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、m、n及びB1は前記した通りであり、そしてM1は低級アルキル又は低級アルキルカルボニルである〕

の化合物に対応する未置換化合物を、それぞれ適当なアルキル化剤、又はアシル化剤で当業界公知の方法によりそれぞれN-アルキル化又はN-アシル化することによつて上記式(Ⅰ-f)の化合物を製造することができる.該N-アルキル化はたとえば、前記式(Ⅱ)及び(Ⅲ)の化合物から出発する化合物(Ⅰ-a)の製造に対して前記したと同様な条件下に上記未置換化合物を、適当な

低級アルカノールから誘導された適当な反応性エステル、たとえばハロー低級アルカン又は低級アルキルメタンスルホネートもしくはーメチルベソゼンスルホネートと反応させることにより行なうことができる.該アシル化は、当業界公知の標準的N-アシル化方法に従つて、上記未置換化合物そ、適当な低級アルキルカルボン酸から誘導された無水物又は酸ハロゲン化物と反応させることにより行なうことができる.

化合物(Ⅰ-f)中のB1が-NH-C(O)-を表わす場合には、式

(Ⅳ-a)

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R11、R12、m及びnは前記した通りである〕

の適当な化合物から出発して、次いでこのものを前記した如くしてそれぞれN-アルキル化又はN-アシル化し、然る後置換エテニル保護基を酸性加水分解により除去するのが適当である.

B1が-N(L)-C(O)-、を表わし、そしてLがM1と同一の低級アルキル又は低級アルキルカルボニル基である場合の前記式(Ⅰ-f)の化台物は、YがOを表わす場合の前記式(Ⅰ-c)の適当な化合物から出発して、その両1H-ベンゾイミダゾール基を一反応工程でアルキル化又はアシル化することにより製造することができる.

前記の各製造に対して使用された出発物質は以下に示した方法に従つて得ることができる.

(Ⅱ-a)

<省略>

(式中、R1、R2、R3、m、n,B2及びXは前記した通りである)

により表わすことができる式(Ⅱ)の反応性エステルは下記の如くして製造することができる.

下記式(Ⅷ)の適当に置換された2-クロロニトロベンゼンを適当なアミノアルカノール(Ⅸ)と反応させる.この反応は、たとえば、低級アルカノール、たとえばエタノール、2-プロパノール、ブタノール及び同様なものの如き適当な反応不活性有機溶媒中で反応体を-緒に還流することにより行なわれる.反応の結果式(Ⅹ)の((2-ニトロフエニル)アミノ)アルカノールが得られ、このものをたとえば、ラネーニツケルを使用

する接触水素化によりニトロからアミンへの還元に付す.かくして得られた式(ⅩⅠ)の((2-アミノフエニル)アミノ)アルカノールを、式(Ⅴ)の化合物から出発する化合物(Ⅰ-c)の製造に対して前記した適当な環化剤と反応させ、次いで得られたアルコール(Ⅷ)を、当業界で公知の方法を適用して所望の反応性エステル(Ⅱ-a)に転換する.

ハロゲン化物は、式(ⅩⅡ)の化合物を、たとえばスルフイニルクロリド、塩化スルフリル、五塩化リン、五臭化リン塩化ホスホリル及び同様なものの如き適当なハロゲン化剤と反応させることにより便利に製造することができる.反応性エステルがヨウ化物である場合には、対応する塩化物又は臭化物から、そのハロゲンをヨウ素で置換することにより誘導するのが好ましい.メタソスルホネート及び4-メテルンゼンスルホネートの如き他の反応性エステルは式(ⅩⅡ)のアルコールを、たとえばメタンスルホニルクロリド及び4-メチルベンゼンスルホニルクロリドの如き適当なスルホニルハライドと反応させることにより得られる.

上記諸反応を下記反応式に従つて更に明確に説明する.

<省略>

(Ⅱ-b)

<省略>

(式中、R1、R2、R3、m,n及びXは前記した通りでありそしてB3は-S-C(O)-、-O-C(O)-、-N=N-、-N=CH-、及び-N(L1)-C(O)-、から成る群より選ばれ、ここでL1は低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキルカルボニルである)

により表わすことができる式(Ⅱ)の中間体はまた、当業界で公知の方法に従つて式

(ⅩⅢ)

<省略>

〔式中、B1、R1、R2は前記した通りである〕

の出発物質中に反応性エステル側鎖を導入することにより便利に製造することができる.たとえば、通常のN-アルキル化方法に従つて式(ⅩⅣ)の適当なハロアルカノールで式(ⅩⅢ)の出発物質をN-アルキル化することによりヒドロキシアルキル鎖を先ず導入して式(ⅩⅤ)のアルコールを得ることができ、次いでそのヒドロキシル基を前記した通常の方法に従つて反応性エステル基に転換する.ハロアルカノール(ⅩⅣ)の代わりにそのテトラヒドロ-2H-ビラン-2-イルエーテル誘導体を使用することができ、その場合において式(ⅩⅤ)のアルコールの対応するエーテルが得られ、そのエーテル基は、酸性加水分解たとえば希塩酸中で該エーテル化合物を撹拌及び加熱することによつて開裂される.

反応性エステル(Ⅱ-b)がハロゲン化物、即ち(Ⅱ-b-1)である場合にはこのものは、別法して、たとえばナトリウムメタノラートの如き適当強塩基の存在において或いは水性アルカリ及び第四級アンモニウム触媒たとえばN・N・N-トリエチルベンゼンメタンアミニウムクロリドを使用してマツコスツア(Mackosza)の方法に

従つて式(ⅩⅢ)の化合物を等量の適量なジハロアルカン(ⅩⅥ)と反応させて所望の中間体(Ⅱ-b-1)を生成させることより製造され得る.

上記の方法は下記の如く説明できる.

<省略>

(Ⅱ-c)

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、m、n及びXは前記した通りである〕

の中間体は、式(ⅩⅦ)

(ⅩⅦ)

<省略>

(式中、Pは前記した保護基である)

の出発物質中に反応性側鎖を導入し、次いで得られた(ⅩⅨ)の保護基を前記した当業界公知の方法に従つて脱離させることにより製造することができる.反応性エステルの側鎖の導入は、式(ⅩⅢ)の出発物質中への側鎖の導入に対して前記した方法と同願な方法に従つて行なうことができる.更に詳しく言えば、ヒドロキシアルキル鎖を先ず導入し次いで得られた中間体(ⅩⅧ)のヒドロキシル基を反応性エステル基に転換して(ⅩⅨ)を得るか、或いは、反応性エステルがハロゲン化物(ⅩⅨ-a)である場合には、該ハロゲン化物は(ⅩⅦ)を適当なジハロアルカンと反応させることにより直接得ることができる.保護基P

がアルカリ性加水分解に付されるべき基、たとえば低級アルキルオキシカルボニル、メタンスルホニル又は4-メチルベンゼンスルホニルである場合には、ヒドロキシアルキル又はハロアルキル鎖を導入するためのN-アルキル化反応は、たとえば水素化ナトリウム又はナトリウムメタノラートの如きたとえば適当な金属塩基を使用して、たとえばN・N-ジメチルホルムアミド、N・N-ジメチルアセトアミド又はヘキサメチルホスホリツクトリァミドの如き適当な非ブロトン性有機溶媒中で、非加水分解性条件下で行なわれるべきである.

上記反応を下記反応式により更に明確に説明する.

<省略>

<省略>

(Ⅱ-d)

<省略>

(式中、R1、R2、R3、及びXは前記した通りでありそしてL2は低級アルキル又は低級アルケニルであり、該低級アルケニルはβ、γ又はδ-位置にその不飽和を有する)

で示される中間体は下記の如くして製造できる.

m及びnが各々Ⅰである場合の式(Ⅱ-c)の.適当な中間体、(Ⅱ-c-2)、を無水エタノール中で金属ナトリウムにより処理し、その結果式(ⅩⅩ)の環状エーテルが形成される.次いでこのものをたとえば2-プロパノンの如き適当な有機溶媒中で反応体を一緒にして遠流させることにより、適当な反応性エステルL2X(式中L2及ひXは前記した通りである)と、反応させ、その結果所望の中間体(Ⅱ-d)が得られる.

<省略>

化合物(Ⅰ-b)の製造における中間体として使用した式(Ⅳ)の化合物は、一般に、(Ⅱ)及び(Ⅲ)から出発する化合物(Ⅰ-a)の製造に対して前記したと条件と同様な条件下に式(ⅩⅨ)の中問体を式(Ⅲ)の適当な中間体と縮合反応させることにより得ることができる.

(ⅩⅨ)+(Ⅲ)→(Ⅳ)

<省略>が式

<省略>

を有する場合の式(Ⅳ)の中間体は(Ⅳ-b)として示され、このものは、式(ⅩⅨ)の適当な反応性エステルを式ⅩⅩⅡの適当なN-(2-ニトロフエニル)-4-ピペリジンアミンと縮合させ、続いて、得られた(ⅩⅩⅢ)のニトロ基を標準的なニトロからアミンへの還元方法に従つて、たとえば該ニトロ化合物と発生期の水素との反応又はたとえばラネーニツケルの如き適当な触媒の存在下での接触水素化により還元し、そして得られるベンゼンジアミン(ⅩⅩⅣ)を前記した適当な環化剤で環化することにより製造することができる.

上記反応は下記反応式において説明される.

<省略>

本明細書中式(ⅩⅩⅡ)の出発物質は米国特許第3910930号に略述された方法に従つて製造することができる.

式(Ⅴ)の中間体は、式(ⅩⅩⅤ)の適当な反応性エステルを式(Ⅲ)の適当なピペリジン誘導体と縮合させ、続いて得られた中間体(ⅩⅩⅥ)のニトロ基を標準的なニトロからアミンへの還元方法に従つてアミノ基に還元することにより得られる.

<省略>

本明細書中出発物質として使用した式(ⅩⅩⅤ)の反応性エステルは式(Ⅹ)のアルコールから出発して、そのヒドロキシル基を前記した標準的な方法に従つて反応性エステル基に転換することによつて容易に製造される.

式(Ⅵ)の中間体は一般に、式(Ⅱ)の適当な反応性エステルを式(ⅩⅩⅡ)の適当なN-(2-ニトロフエニル)-4-ピペリジンアミンと縮合させ次いで得られた(ⅩⅩⅦ)のニトロ基を前記した標準的なニトロからアミンへの還元方法に従つてアミン基に還元することにより製造することができる.ニトロからアミンへの還元を木炭上のパラジウム触媒を使用して接触水素化により達成する場合には、芳香族ハロゲン置換基を有する化合物において脱ハロゲン化が起こり得ることに注意されたい.

<省略>

式(Ⅶ)の中間体は、式(ⅩⅩⅤ)の反応性エステルを式(ⅩⅩⅡ)のピペリジン誘導体と縮合させ、続いて、得られた(ⅩⅧ)中の両ニトロ基を前記した標準的方法に従つて還元することにより同様に製造することができる.

<省略>

<省略>

により表わされた式(Ⅲ)の出発物質及びその製造方法は下記の参考文献中に見出すことができる:

米国特許第3161645号、

ベルギー特許第830403号、

<省略>

により表わされる式(Ⅲ)の出発物質は、

<省略>

の適当なN-(2-アミノフエニル)-4-ピペリジンアミンから出発して製造することができる.

出発物質(Ⅲ-d)は、便利には(ⅩⅩⅨ)を適当な環化剤たとえば二硫化炭素により環化し、次いで得られた(ⅩⅩⅩ)の低級アルキルオキシカルボニル基をアルカリ性加水分解により除去することにより製造される.

式(ⅩⅩⅨ)のN-(2-アミノフエニル)-4-ピペリジンアミンは、その多数が公知化合物であり、そして米国特許第3910930号及びベルギー特許第830403号に略述した方法に従つて製造することができる.

上記の各方法を下記反応式により説明する.

<省略>

すべての上記製造における最終出発物質は公知であるか又はそれらの製造は同様な化合物を製造するための当業界で公知の方法に従つて行なうことができる.

たとえば、Pが適当に置換されたエテニル基である場台の式(ⅩⅦ)の好ましい出発物質、(ⅩⅦ-a)はそれらの相当な数のものが公知化合物であり、そしてJ.Chem.Soc、1960、p.308及びp.314に略述された方法に従つて製造することができる.更に詳しくは、かかる化合物は、R11及びR12が前記した意味を有する場合の式(ⅩⅩⅩⅡ)の適当なエステルを式(ⅩⅩⅩⅢ)の適当なベンゼンジアミンと反応させることにより便利に製造することができる.該反応は好ましくは、適当な反応不活性有機溶媒中で反応体を一縮にして共沸的に水を除去しながら攪拌及び還流することによつて行なうことができる.この目的に対する好適な反応不活性有機溶媒には、たとえば、ベンゼン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン及び同様なものの如き芳香族炭化水素が包含される.

<省略>

式(Ⅴ)、(Ⅵ)及び(Ⅶ)の中間体は新規であると考えられそして式(Ⅰ)の所望の化合物の製造における有用な中間体としてそれらは本発明の追加的特徴を構成する.

本発明の化含物は、適当な酸、たとえば塩化水素酸、臭化水素酸及び同様なものの如きハロゲン化水素酸;及び硫酸、硝酸、リン酸及び同様なもの;の如き無機酸、或いは、たとえば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、プロパン二酸、ブタン二酸、(Z)-2-ブテン二酸、(E)-2-ブテン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、2・3-ジヒドロキシブクン二酸、2-ヒドロキシル-1・2・3-プロパントリカルボン酸、安息香酸、3-フエニル-2-プロペン酸、α-ヒドロキシベンゼン酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルフアミン酸、2-ヒドロキシ安息香酸、4-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸及び同様な酸の如き有機酸で処理することにより、それらの治療学上有用な酸付加塩に転換するちとができる.逆に言えば、塩形態はアルカリで処理することにより遊離の塩基形態に転換することができる.

式(Ⅰ)の化合物及びその治療学的に活性な酸付加塩は、犬におけるアポモルフインで誘起された嘔吐の防能力により証明される強い制吐活性(antiemetic activity)を有することが見出された.使用された方法は、Arzneim-Forsh.(Druy Rec.)、9、765-767(1959)においてP.A.J.Janssen及びC.J.E.Niemegeersにより以前に説明されている.

下記表に記載した化合物は、異なつた投与量でビーグル犬に皮下投与されそして該動物は1時間後標準的投与量0.31mg/kg(皮下)のアポモルフインで挑戦された(challenged).

下記表は、本発明の重要な多数の化合物のED値を与える.ここで使用されたED値は50%の動物を嘔吐から防止する投与量を表わす.

下記表に示された化合物は本発明を限定する目的でリストされたのではなく、式(Ⅰ)の範囲内のすべての化合物の顕著な制吐性を説明するためのものである.

第Ⅰ表

<省略>

第Ⅱ表

<省略>

有用な制吐活性により、本発明の化合物は投与目的に対して種々の医薬的形態に処方することができる.本発明の医薬組成物を製造するために、活性成分として遊離又は酸付加塩形態における制吐的有効量の本発明化合物を、投与に対して所望される製剤の形態に依存して広範なさまざまの形態をとり得る医薬的に許容し得る担体と密接な混合物として一緒にする.これらの医薬的組成物は、好ましくは経口、直内又は非経口的注射による投与に適する単位投与形態であることが望ましい.たとえば、経口投与形態の組成物を調製するに際しては、懸濁剤、シロツプ剤、エリキシル剤及び溶液剤の如き経口的液体製剤の場合には、たとえば、水、グリコール油、アルコール及び同様なものの如き任意の有用な医薬的媒体を、或いは、粉剤、丸剤、カプセル剤及び錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、滑沢剤、崩壊剤の如き固体担体を使用することができる.投与が最も容易であるという理由で、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口投与単位形態を代表し、この場合に固体の医薬的単体を使用することは明らかである.非経口的組成物に対しては、たとえば担体が塩(saline)溶液、グルコール溶液又は塩溶液とグルコース溶液との混合物を含有して成つているような他の成分を調製することができるけれども、担体は通常少なくとも大部分の無菌水を含んで成るべきである.注射可能な懸濁剤もまた調製することができ、その場合には適当な液体担体、懸濁化剤及び同様なものを使用することができる.(Ⅰ)の酸付加塩は、対応する塩基形態を上回るそれらの増加した水溶性により、水性組成物の調製においてより好適であることが明らかである.

投与を容易にし且つ投与量を均一性とするために投与単位形態の前述の医薬的組成物を処方するのが特に有利である.本明細書の詳細な説明及び特許請求の範囲に使用した投与単位形態は単位投与に適した物理的に別々の単位を意味しており、各単位は、所望の治療学的効果を生み出すように計算された予め定められた量の活性成分を必要な医薬的担体と共に含有する.かかる投与単位形態の例は錠剤(刻み目をつけた(scored)又は被覆された錠剤)、カプセル剤、丸剤、粉末パケツト(powder packet)、オブラート(wafers)、注射可能の溶液剤又は懸濁剤、テープルスプーンフル(tables poonfuls)及び同様なもの並びにそれらの分離された複合体(segregated multiples)である.

投与単位当りの活性成分の量は約0.25mg乃至約100mg、好ましくは約1mg乃至約50mgとするべきである.

下記の処方は、本発明に従つた動物及び人間被験体での全身系(systemic)投与に適する投与単位形態の典型的な制吐性医薬組成物を説明するものである.

経口用滴剤(oral drops):

下記の処方は1ml当り10ミリグラムの5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾインダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを含有して成る経口滴剤溶液50lを与える.

A.1 500g

2-ヒドロキシプロパン酸 0.5l

サツカリンナトリウム 1750g

ココアフレーバー 2.5l

精製水 2.5l

ポリエチレングリコール 50lとする十分な量.

A.1を2-ヒドロキシプロパン酸及び1.5lのポリエチレングリコール中に60~80℃で溶解する.30~40℃で冷却した後、ポリエチレングリコール35lを加えそして混合物を十分に攪拌する.次いで精製水2.5l中のサツカリンナトリウムの溶液を加えそして攪拌しながらココアフレーバー及び十分な量のポリエチレングリコールを加える.得られる溶液を適当な容器中に充填する.

注射可能な溶液

下記の処方は、1ml当り活性成分として2ミリグラムの5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾインダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを含有して成る非経口的溶液20lを提供する.

A.Ⅰ 40g

2・3-ジヒドロキシブタン二酸 20g

メチル4-ヒドロキシベンゾエート 36g

プロピル4-ヒドロキシベンゾエート 4g

注射用水 20lとするに十分な量

メチル及びプロピル4-ヒドロキシベンゾエートを沸騰している注射用水約10l中に溶解する.約50℃に冷却した後攪拌しながら2・3-ジヒドロキシブタン二酸を加え、次いでA.Ⅰを加える.溶液を室温に冷却しそして十分な量の注射用水を追加する.溶液を〓過により無菌化し(アメリカ薬局方ⅩⅦp.811)そして無菌容器中に充填する.

経口用溶液剤

下記の処方は、テイースプーンフル(5ml)り活性成分として5ミリグラムの5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイングゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを含有し成る経口用溶液剤20lを提供する.

A.Ⅰ 20

2・3-ジヒドロブタン二酸 10

サツカリンナトリウム 40

1・2・3-プロパントリオール 12

70%ソルピトール溶液 3

メチル4-ヒドロキシベンゾエード 9

プロピル4-ヒドロキシベンゾェード 1

エゾイチゴ(Raspberry)エツセンス 2

セイヨウスグリ(Gooseberry)エツセンス 2

精製水 20lとするに充分な

メチル及びプロピル4-ヒドロキシベンゾエトを沸騰している精製水4l中に溶解する.こ溶液3l中に先ず2・3-ジヒドロブタン二酸溶解し、次いでA.Ⅰを溶解する.後者の溶液前者の溶液の残つた部分と一緒にしそしてそれ1・2・3-プロパントリオール及びソルビトル溶液を加える.サツカリンナトリウムを水0.5l中に溶解しそしてエゾイチゴ及びセイヨウスグリのエツセンスを加える.後者の溶液を前者と一緒にし水を十分な容量になるまで加え、そして得られる溶液を適当な容器中に充填する.

フイルム被覆した錠剤

1個の錠剤当り活性成分として10ミリグラムの5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイソダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを含有する10000個の圧縮された錠剤を下記の処方より調製する:

錠剤芯:

A.1 100g

ラクトース 570g

澱粉 200g

ポリビニルビロリドン(KollidonK90) 10g

結晶セルロース(Avicel) 100g

ドデシル硫酸ナトリウム 5g

水素化植物油(Slerolex) 15g

被覆:

メチルセルロース(Melhocel 60HC) 10g

エチルセルロース(Ethocel 22cps) 5g

1・2・3-プロパントリオール 2.5ml

ポリエチレングリコール6000 10g

濃縮色素懸濁液(Opaspray K-1-2109) 30ml

ポリピニルピロリドン(Povidone) 5g

オクタデカン酸マグネシウム 2.5g

錠剤芯の調製

A.1ラクトース及び澱粉の混合物を十分に混合し次いで水約200mlのドデシル硫酸ナトリウム及びポリピニルピロリドンの溶液で調湿する.湿つた粉末混合物をにかけ、乾燥しそして再びにかける.次いで徴結晶性セルロース及び水素化植物油を加える.全体を十分に混合しそして錠剤に圧縮する.

被覆:

変性エタノール75ml中のメチルセルロースの溶液に、ジクロロメタン150ml中のエチルセルロースの溶液を加える.次いでジクロロメタン75mlを加えそして1・2・3-プロバントリオールを加える.ポリエチレングリコールをジクロロメタン75ml中に溶かしそして溶解する.この溶液を上記溶液に加え次いでオクタデカン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン及び濃縮色素懸濁液を加えそして全体を均質化する.

錠剤芯をかくして得られた混合物による被覆装置中で被覆する.

坐剤:

1個につき活性成分として5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイングゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン30ミリグラムを含有する坐剤100個を下記の処方から調製する:

A.1. 3g

2・3-ジヒドロオキシブタン二酸 3g

ポリエチレングリコール400 25g

界面活性剤(span) 12g

トリグリセリド(Witepsol 555) 300gとするに十分な量.

A.1をポリエチレングリコール400中の2・3-ジヒドロブタン二酸の溶液中に溶解する.界面活性剤及びトリグリセリドを一緒に溶かす.この混合物を上記溶液と共に十分に混合する.かくして得られた混合物を37~38℃の温度で金型中に注ぎ坐剤を形成させる.

本発明の化合物の制吐性活性により、本発明は、制吐的有効量の式(Ⅰ)の化合物及び医薬的に許容し得るその酸付加塩を医薬的担体との混合物として全身系に投与することにより温血動物における嘔吐を抑制する方法を提供することは明らかである.

本発明の活性化合物5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾインダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンのLD20値(経口)は下記の通りである:

マウス(雄) >1280mg/kg体重

〃(雌) >1290〃

ラツト(雄) >1280〃

〃(雌) >1280〃

犬(雄+雌) >160〃

下記の実施例は説明することを意図するものであり本発明の範囲を限定することを意図するものではない.特記しない限りすべての部は重量によるものとする.

参考例 1

1-クロロ-2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン100部、3-アミノ-1-プロパノール90部及びブタノール200部の混合物を攪拌しそして還流するまで加熱する.還流下の攪拌を一夜続行する.反応混合物を冷却しそして蒸発させる.水を残留物に加えそして全体を塩化水素酸溶液で酸性にする.生成物をメチルベンゼンで抽出する.抽出物を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.固体残留物を石油エーテルから結晶化させる.生成物を〓別しそして乾燥して3-(〔2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)フエニル〕アミノ)-1-プロバノール141部(100%)を得る.

参考例 2

実施例Ⅰの方法に従い且つ当量の適当な出発物質を使用して下記のものを製造する:

残留物として3-〔(4-メチル-2-ニトロフエニル)アミノ〕-1-プロパノール:3-〔(4・5-ジクロロ-2-ニトロフエニル)アミノ〕-1-プロパノール、融点97℃:及び残留物として3-〔(2-クロロ-6-ニトロフエニル)アミノ〕-1-プロパノール.

参考例 3

3-〔(4-ノチル-2-ニトロフエニル)-アミノ〕-1-プロパノール70部及びメタノール400部を木炭上のパラジウム触媒10%10部を使用して常圧室温で水素化する.計算された量の水素が吸収された後、触媒を〓去しそして〓液を蒸発させて3-〔(2-アミノ-4-メチルフエニル)アミノ〕-1-プロパノール54部(91%)が残留物として得られる.

参考例 4

3-(〔2-ニトロ-4-(トリフルオロメチル)-フエニル〕アミノ)-1-プロパノール141部及びメタノール1200部の混合物をラネーニツケル触媒15部を使用して常圧室温で水素化する.計算された量の水素が吸収された後、触媒を〓去しそして〓液を蒸発させる.残留物を2・2'-オキシピスプロパンから結晶化させて、3-(〔2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フエニル〕アミノ)-1-プロパノール110部(100%)を得る.

参考例 5

実施例Ⅳの方法に従い且つ当量の適当な出発物質を使用して下記のものを製造する:

3-〔(2-アミノ-4・5-ジクロロフエニル)アミノ〕-1-プロパノール塩酸塩、融点185℃:

残留物として3-〔(2-アミノ-6-クロロフエニル)アミノ〕-1-プロパノール:及び油状残留物として3-〔(2-アミノ-4-クロロフエニル)アミノ〕-1-プロパノール:

参考例 6

10%塩酸溶液30部中の3-〔(2-アミノ-4-メチルフエニル)アミノ〕-1-プロパノール54部及び水200部の攪拌され冷却された溶液に、水50部中のシアン酸カリウム28部の溶液を10℃より低い温度で滴滴加える.終了すると、攪拌を先ず室温で1時間続行しそして更に還流温度で24時間続行する.室温に冷却した後、生成物をトリクロロメタンで抽出する.抽出物を5%塩酸溶液で洗浄し、乾燥し〓過しそして蒸発させる.残留物を4-メチル-2-ペンタノンから結晶化させて1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-5-メチル-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン19.5部(31%):融点114.1℃が得られる.

参考例 7

実施例Ⅵの方法に従いそして当量の適当な出発物質を使用して下記のものを製造する:

1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

5・6-ジクロロ-1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-2H-ベンゾイミグゾール-2-オン:融点174.7℃:

4-クロロ-1・3-ジヒドロ-3-(3-ヒドロキシプロピル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:及び

5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:融点148.8℃.

参考例 8

ジクロロメタン325部中の1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-5-メチル-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン18.5部の攪拌された溶液にN・N-ジエチルエタンアミン11.9部を加える.次いで塩化メタンスルホニル11.5部を滴々(ゆつくりと)加える.終了すると攪拌を還流温度で1時間続行する.冷却後、反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、〓過しそして蒸発させる.固体の残留物を4-ノチル-2-ペンタノンから結晶化させて1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-5-メチル-2H-ベンゾイミグゾール-2-オンメタンスルホネート15部(58%):融点125℃を得る.

参考例 9

実施例Ⅷの方法に従いそして当量の適当な出発物質を使用して下記のものを製造する:

油状残留物として3-(5・6-ジクロロ-2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピルメタンスルホネート:

3-(7-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピルメタンスルホネート:及び

3-(5-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピルメタンスルホネート、融点±140℃.

参考例 10

1H-ベンゾイミダゾール30部、2-(4-クロロブトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン49部、水酸化カリウム21部及びエタノール200部を攪拌しそして一夜還流する.反応混合物を室温に冷却し、〓過しそして〓液を蒸発させる残留物を水中で攪拌しそして希塩酸溶液で酸性にする.全体を攪拌しそして水浴中で30分間加熱する.室温に冷却後、生成物をメチルベンゼンで抽出する.水性相を分離しそして水酸化アンモニウムでアルカリ性にする.生成物をジクロロメタンで抽出する.抽出物を乾燥し、〓過しそして蒸発させて、1H-ベンゾイミダゾール-1-ブクノール50部が油状残留物として得られる.

参考例 11

トリクロロメタン150部中の1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-5-(トリフルオロノチル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン23部の攪拌された混合物にスルフイニルクロリド32部を滴々加える.終了すると、全体を還流るままで加熱しそして攪拌を還流温度で1時間続行する.冷却後、反応混合物を蒸発させそして残留物を2・2'-オキシピスプロパンから結晶化させて、1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン14部(56%)が得られる.

参考例 12

実施例ⅩⅠの方法に従いそして出発物質として当量の適当なヒドロキシ化合物を使用して下記の塩化物を製造する:

5-クロロ-1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

6-クロロ-1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン融点122℃:及び

1-(4-クロロプチル)-1H-ベンゾイミダゾール、油状残渣.

参考例 13

ジメチルベンゼン270部中の4-フルオロ-1・2-ベンゼンジアミン35部の攪拌され且つ還流している混合物に、ジメチルベンゼン90部中のエチルαーアセチルベンゼンアセテート57部の溶液を2時間にわたり加え、この間生成された水及びエタノールを溜去する(水分離器).反応混合物を蒸発させそして残留物を2-プロパノールから結晶化させる.生成物を〓別しそして溶出剤としてトリクロロメタン及びメタノールの混合物(98:2容量)を使用してシリカゲル上へのカラムクロマトグラフイーにより精製する.純粋なフラクシヨンを集めそして容出剤を蒸発させて、6-フルオロ-1・3-ジヒドロ-1-(1-メチル-2-フエニルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点190℃:11部が得られる.

参考例 14

N・N-ジメチルホルムアミド45部中の1・3-ジヒドロ-1-(1-メチルーエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン8.5部の攪拌された溶液に、78%水素化ナトリウム分散液1.7部を分割的に加える.室温で1時間攪拌後、全体を0~5℃に冷却しそして1-プロモ-3-クロロプロパン8.65部を滴々(ゆつくりと)加える.終了すると、攪拌を室温で3時間続行する.反応混合物を砕氷上に注加しそして生成物をメチルベンゼンで抽出する.抽出物を水で洗浄し、乾燥し、〓過しそして蒸発させる残留物を2-プロパノールから結晶化させて、1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン5.5部(44%).融点115℃:が得られる.

参考例 15

1・3-ジヒドロ-5・6-ジメチル-3-(1-メチル-2-フエニルエテニル)-2H-ベンゾイミグゾール-2-オン22.2部、N・N・N-トリエチルベンゼンメタンアミニウムクロリド3部及び60%水素化ナトリウム溶液112.5部の攪拌され且つ熱い(55℃)混合物に、1-ブロモ-3-クロロプロパン15.8部を適加する(僅かに発熱反応).終了すると、攪拌を55℃で5時間続行する.冷却後、水を加えそして油状生成物をメチルベンゼンで抽出する.抽出物を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を2・2'-オキシピスプロパンから結晶化させて、乾燥後、1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-5・6-ジメチル-3-(1-メチル-2-フエニルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン55部(88.5%)、融点98℃:が得られる.

参考例 16

実施例ⅩⅤの方法に従いそして当量の適当な出発物質を使用して下記のもを製造する:

残留物として1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-(2-プロペニル)2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

残留物として1-(3-クロロ-2-メチルプロピル)-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:及び油状残留物として1-(3-クロロプロピル)-5-フルオロ-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチル-2-フエニルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン.

参考例 17

塩酸溶液6部及びエクノール40部中の1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン13部の溶液を室温で2時間攪拌する.反応混合物を蒸発させそして固体残留物を2-プロパノールから結晶化させて、1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン9.5部(90%)融点115℃:を得る.

参考例 18

1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-5.6-ジメチル-3-(1-メチル-2-フエニルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン25部、6N塩酸溶液165部及びエタノール160部の混合物を6時間攪拌還流する.反応混合物を蒸発させそして残留物をトリクロロメタン中に溶解する.この溶解を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を2・2-オキシピスプロパン及び2-プロパノールの混合物から結晶化させて、乾燥後、1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-5・6-ジメチル-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン16部(94.7%)融点140℃:を得る.

参考例 19

メタノール200部及び10N塩酸溶液100部中の3-〔(2-ニトロフエニル)アミノ〕-1-プロパノール180部の溶液を常圧且つ50℃の温度で、木炭上のパラシウム触媒10%5部を存在せしめて水素化する.計算された量の水素(3モル)が吸収された後、水素化を停止する.触媒を〓別しそして〓液を蒸発させる.残留物(主として3-〔(2-アミノフエニル)アミノ〕-1-プロパノール塩酸塩)を水500部中に溶解する.この溶液に水150部中のイソシアン酸カリウム88.8部の溶液を加えそして全体を15時間攪拌還流する.反応混合物を冷却しそして生成物をトリクロロメタンで抽出する.抽出物を乾燥しそして蒸発させる.残留物を沸騰水250部中に溶解し、活性炭で処理しそして室温で結晶化させる.沈殿物を〓別しそして水400部から再結晶させ、続いて酢酸エチルから再結晶させることにより1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン水和物58部、融点48-65℃:が得られる.

ピリジン200部中の1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシープロピル)-2H-ベンゾイミグゾール-2-オン水和物52.5部の溶液に塩化メタンスルホニル63部を滴加する.混合物を2時間攪拌及び空冷する.ビリジンを蒸発させる.残留物に水500を加えそして生成した沈澱物を〓別する.それをトリクロロメタン350部中に溶解する.この溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥しそして蒸発させる.残渣をメチルベンゼン40部から結晶化させて、1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンメタンスルホネート25.5部、融点118-120℃:が得られる.

無水のエタノール40部中のナトリウム-0.5部の溶液に、冷い1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-2H-ベンゾイミグゾール-2-オンモタンスルホネート5.4部を加える。全体を、すべての固体が溶液に入る(enters)まで攪拌する.溶液を2時間更に攪拌及び還流させる.冷却後、反応混合物をいくらかの無機物質から〓過しそして〓液を蒸発させる。残渣をメチルベンゼン80部中に溶解し、活性炭と共に沸騰させ、〓過しそして〓液を再び蒸発させる.固体残渣を冷いメチルベンゼンで洗浄しそしてメチルベンゼン160部から結晶化させて、3・4-ジヒドロ-2H-〔1・3〕オキサジノ〔3・2-a〕ベンゾイミダゾール2.6部、融点116.5-118.5℃:を得る.

2-プロパノン80部中の3・4-ジヒドロ-2H〔1・3〕オキサジノ〔3・2-a〕ベンゾイミグゾール5.7部の溶解にヨードメタン5.7部を加えそして全体を2時間50分間攪拌還流する.次いで第二のヨードメタン5.7部を加えそして全体を更に2時間50分攪拌還流する.溶媒を蒸発させて、1・3-ジヒドロ-1-(3-ヨードプロピル)-3-メチル-2H-ベンゾイミグゾール-2-オンが油状残留物として得られる.

参考例 20

エチル4-〔(4-クロロ-2-ニトロフエニル)-フミノ〕-1-ビベリジンカルポキシレート84部及び水中の48%臭化水素酸溶液750部の混合物を4時間攪拌還流する.沈澱した生成物を〓別し、水及び石油エーテルで洗浄しそして乾燥してN-(4-クロロ-2-ニトロフエニル)-4-ビベリジンアミン臭化水素酸塩71部(81%)、融点275℃:を得る.

1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン105部、N-(4-クロロ-2-ニトロフエニル)-4-ビベリジンアミン臭化水素酸塩71部、炭酸ナトリウム53部、ヨウ化カリウム0.2部及び4-メチル-2-ペンタノン320部の混合物を水分離器を使用して24時間攪拌還流する.反応混合物を冷却し、水を加えそして層を分離させる.有機相を乾燥し、〓過しそして蒸発させて、1-〔3-(4-〔(4-クロロ-2-ニトロフエニル)アミノ〕-1-ピベリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルーエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン98.5部(100%)が残留物として得られる.

メチルベンゼン360部中の1-〔3-(4-〔(4-クロロ-2-ニトロフエニル)-アミノ〕-1-ピベリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン98.5部の溶液を、予めガス状塩化水素で飽和せしめられた2-プロパノールで酸性にする.しばらく沸騰させた後油状物が沈澱する.上澄相をデカントしそして残りの油状物を水中に懸濁させる.懸濁液を濃水酸化アンモニウム溶液でアルカリ性にする.生成物をメチルベンゼンで抽出する.抽出物を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を4-メチル-2-ペンタノンから結晶化させる.生成を〓取しそして乾燥して、1-〔3-(4-〔(4-クロロ-2-ニトロフエニル)アミノ〕-1-ピペリジニル)-プロビル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン68部(75.5%)を得る.

1-〔3-(4-〔(4-クロロ-2-ニトロフエニル)-アミノ〕-1-ピペリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン21.5部及びメタノール240部の混合物をラネーニツケル触媒5部を使用して常圧且つ室温で水素化する.計算された量の水素が吸収された後、触媒を〓去しそして1-〔3-(4-〔(2-アミノ-4-クロロフエニル)アミノ〕-1-ビペリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベゾイミダゾール-2-オン20部が残留物として得られる.

参考例 21

1-〔3-(4-〔(4-クロロ-2-ニトロフエニル)アミノ〕-1-ビペリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン21.5部及びメタノール240部の混合物を木炭上のパラジウム触媒10%10部を使用して常圧室温で水素化する.計算された量の水素が吸収された後、触媒を〓去しそして〓液を蒸発させて、1-〔3-(4-〔(2-アミノフエニル)アミノ〕-1-ビペリジニル)-プロピル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンイミダゾール18.5部(100%)が残留物として得られる.

参考例 22

3-(2-ニトロフエニル)-アミノ-1-プロパノール39.2部及びトリクロロメタン225部の攪拌された混合物に、スルフイニルクロリド35.7部を滴加する(発熱反応:温度は40℃に上昇する).終了すると、攪拌を還流温度で6時間続行する.反応混合物を蒸発させて、N-(3-クロロプロピル)-2-ニトロベンゼンアミン43部(100%)が残留物として得られる.

N-(3-クロロプロピル)-2-ニトロベンゼンアミン48部、5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピベリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン47.8部、N・N-ジエチルエタンアミン30.3部及びN・N-ジメチルアセトアミド180部の混合物を100℃で6時間攪拌加熱する.反応混合物を冷却しそして、水1500部上に注ぐ.沈澱した生成物を〓別し、水及び2・2'-オキシビスプロパンで洗浄しそて乾燥して、5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(1-〔3-(2-ニトロフエニルアミン)プロピル〕-4-ピベリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン64部(78.3%)、融点220℃を得る.

メタノール200部及びテトラヒドロフラン225部中の5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(1-〔3-(2-ニトロフエニルアミノ)プロピル〕-4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン64部の混合物をラネーニツケル触媒10部を使用して常圧且つ室温で水素化する.計算された量の水素が吸収された後、触媒をハイフロ(hyllo)上で〓別しそして〓液を蒸発させる.残留物を2-プロパノール及びエタノールの混合物から結晶化させる.生成物を〓別しそして乾燥して1-〔1-(3-〔N-(2-アミノフエニル)アミノ〕プロピル)-4-ピペリジニル〕-5-クロロ-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン42部(70.5%)、融点196℃:を得る.

実施例 1

1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン2.3部5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン2.5部、炭酸ナトリウム3.2部、ヨウ化カリウム0.1部及び4-メチル-2-ペンタノン80部の混合物を24時間攪拌還流する.反応混合物を室温に冷却しそして水を加える.未溶解の生成物を〓取しそして溶出剤としてトリクロロメタン及びメタノール10%の混合物を使用してシリカゲル上でのカラムクロマトグラフイーにより精製する.純粋なフラクシヨンを集めそして溶出剤を蒸発させる.残留物を4-メチル-2-ペンタノンから結晶化させる.生成物を〓別しそしてN・N-ジメチルホルムアミド及び水の混合物から再結晶して5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点242.5℃、1.3部(30%)を生成する.

実施例 2

実施例ⅩⅩⅨの方法に従いそして当量の適当な出発物質を使用して下記の化合物を製造する:

残留物として5-クロロ-1-〔1-(3-〔2・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル〕-2-メチルプロピル)-4-ピペリジニル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

6-クロロ-1-(3-〔4-(5-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ビペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン水和物、融点179.6℃:

1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピベリジニル〕-プロピル)-1・3-ジヒドロ-5・6-ジメチル-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン2-プロパノレート、融点159℃:

6-クロロ-1・3-ジヒドロ-1(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点273℃:

1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕-プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点225℃:

1・3-ジヒドロ-1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点263.4℃:

5-クロロ-1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキシ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点253-255℃:

5-クロロ-1-〔1-(3-〔2・3-ジヒドロ-2-オキソ-3-(2-プロベニル)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル〕プロピル)-4-ピペリジニル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダンール-2-オン、融点153.4℃:

1-(3-〔3・6-ジヒドロ-4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-(2N)-ピリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点206.6℃:

5-クロロ-1-〔1-(3-〔2・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル〕プロピル)-4-ピペリジニル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点165.2℃:及び

1-(1-〔4-(1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)ブチル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点157.1℃.

実施例 3

1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-5-メチル-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン5.3部、1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン4.3部、炭酸ナトリウム6.4部及び4-メチル-2-ベンタノン200部の混合物を水分器を使用して一夜攪拌還流する.冷却後、水を加えそして層を分離させる.4-メチル-2-ベンタノン相を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.油状残留物を溶出剤としてトリクロロメクン及びメタノールの混合物(90:10容量)を使用してシリカゲル上でのカラムクロマトグラフイーにより精製する.純粋なフラクシヨンを集めそして溶出剤を蒸発させて、1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-5-メチル-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン6部(67%)が油状残留物として得られる.

実施例 4

実施例XXXⅠの方法に従いそして当量の適当な出発物質を使用して下記の化合物を製造する:

油状残留物として1-(3-〔4-(5-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-5-メチル-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:油状残留物として3-(3-〔4-(5-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-5-メチル-1-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

1-(1-〔3-(1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-5-クロロ-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点224℃:及び

5-クロロ-1-(1-〔3-(2-オキソ-3(2H)-ベンゾオキサゾリル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点212.3℃.

実施例 5

3-(3-プロモプロピル)-2(3H)-ベンゾテアゾロン5.4部、5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2Hベンゾイミダゾール-2-オン4.5部、炭酸ナトリウム5.3部、ヨウ化カリウム0.1部及び4-メチル-2-ベンタノン200部の混合物を水分離器を使用して3時間攪拌還流する.冷却後、水を加えそして層を分離させる.有機組を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を4-メチル-2-ベンタノン及び2-プロパノンの混合物から結晶化させる.生成物を〓別しそして乾燥して、5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(1-〔3-(2-オキソ-3-(2H)-ベンゾチアゾリル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点184.1℃:2.5部(31%)を得る.

実施例 6

実施例XXXⅢの方法に従い、1-(3-プロモプロピル)-1H-ベンゾトリアゾールを5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンと反応させることにより1-(1-〔3-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-5-クロロ-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点203.4℃:、を製造する.

実施例 7

1・3-ジヒドロ-1-(3-ヨ-ドプロピル)-3-メチル-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン5部、5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン3.75部、炭酸ナトリウム2.65部及びN・N-ジメチルホルムアミド22.5部の混合物を70~80℃で2時間攪拌する.反応混合を冷却し、水に注ぎそして沈殿した生成物を〓別する.それをトリクロロメクン中に溶解する.溶液を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を4-メチル-2-ベタノンから結晶させて、5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-3-メチル-2-オキソ-2H-ベンゾイミダール-1-3イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点166.5℃:3部(43%)を得る.

実施例 8

5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(3-ヒドロキシプロピル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンメタンスルホネート7.6部、5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン5.5部、炭酸ナトリウム5部及びN・N-ジメチルホルムアミド63部の混合物を油浴中50~60℃で2時間攪拌還流する.反応混合物を水に注加する.沈殿した生成物を〓別し、乾燥しそして溶出剤としてトリクロロメタン及びメタノール10%の混合物を使用してシリカゲル上でのカラムクロマトグラフイーにより精製する.純粋なフラクシヨンを集めそして溶出剤を蒸発させる.固体の残留物を4-メテル-2-ベンタノンから結晶化させる.生成物を〓別しそしてN・N-ジメチルホルムアミド及び水の混合物から再結晶する.それを再び〓別しそして4-メチル-2-ベンタノン及び少量のN・N-ジメチルホルムアミドの混合物中に溶解する.溶液を透明になるまで〓過しそして〓液を約10部の容量に濃縮する.濃縮物をメタノール中ですり砕く.沈殿した生成物を〓別しそして乾燥して5-クロロ-1-(3-〔4-(5-クロロ-1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2N-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点229-235℃:1.27部を得る.

実施例 9

1-(3-クロロプロピル)-5-フルオロ-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチル)-2-フエニルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン7部、5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン5部、炭酸ナトリウム4.25部、ヨウ化カリウム0.1部及び4-メチルベンタノン200部の混合物を一夜攪拌還流する.混合物を室温に冷却し、水を加えそして層を分離させる.有機相を乾燥し〓過しそして蒸発させる.残留物をエタノール40部中の6N塩酸溶液55部の溶液と共に一夜攪拌還流する.溶媒を蒸発させそして残留物を水中に溶解する.全体を水酸化アンモニウムでアルカリ性にしそして生成物をトリクロロメタンで抽出する.抽出物を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を溶出剤としてトリクロロメタン及びメタノールの混合物(95:5容量)を使用してシリカゲル上でのカラムクロマトグラフイーにより精製する.純粋なフラクシヨンを集めそして溶出剤を蒸発させる.残留物を2-プロパノール中で塩酸塩に転換する.塩を〓別しそして乾燥して1(3-〔4-(5-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-5-フルオロ-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン塩酸塩水和物、融点250℃:1.2部を得る.

実施例 10

実施例ⅩⅩⅩⅦの方法に従い、1-(4-クロロプチル)-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンと反応させることにより、5-クロロ-1-(1-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキン-1H-ベンゾイミダゾール1-イル)-プチル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンヘミハイドレート、融点258℃:を製造し、及び1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを1-(1-メチルエチル)-3-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンと反応させることにより1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-3-(1-ノラルエテル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点174.3℃:を製造する.

実施例 11

1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-5-メチル-3-(1-メチルエテニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン6部、塩酸溶液12部、水30部及びエタノール40部の混合物を先ず50℃でしばらく攪拌しそして室温で更に1時間攪拌する.反応混合物を蒸発させそして残留物を4-メチル-2-ベンタノン及び2-プロパノールの混合物から結晶化させる.生成物を学別しそして乾燥して1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-5-ノチル-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン塩酸塩水和物、融点251.4℃:3.7部(40%)を得る.

実施例 12

実施例ⅩⅩⅩⅨの方法に従い、下記の化合物を対応する(1-メチルエテニル)-置換された類似体から誘導する:

5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-5-メチル-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン塩酸塩水和物、融点213.3℃:

5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-6-メチル-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンヘミハイドレート融点195.4℃:及び

5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-2-メチループロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点244℃.

実施例 13

二硫化炭素38部、1-〔1-(3-〔N-(2-アミノフエニル)アミノプロピル〕-4-ピペリジニル)-5-クロロ-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン6部及びエタノール32部の混合物を24時間攪拌還流する.反応混合物を蒸発させそして残留物をエタノールから結晶化させる.生成物を〓別しそしてN・N-ジメチルホルムアミド及び水の混合物から再結晶して5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-チオキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点266.6℃:3部(45.5%)を得る.

実施例 14

1-〔1-(3-〔N-(2-アミノ-5-クロロフエニル)アミノ〕プロピル)-4-ピペリジニル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン4部、濃塩酸塩溶液6部及びギ酸30部の混合物を一夜攪拌還流する.反応混合物を蒸発させそして水を残留物に加える.全体を希釈された水酸化アンモニウム溶液でアルカリ性にしそして生成物をトリクロロメタンで抽出する.抽出物を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を4-メチルー2-ベンタノンから結晶化させる.生成物を〓別しそして2-プロパノールから再結晶させて、1-(1-〔3-(6-クロロ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ビベリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点214.9℃;1.1部(27%)を得る.

実施例 15

1-〔3-(4-〔(2-アミノ-4-クロロフエニル)アミノ〕-1-ピペリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン20部、二硫化炭素52部及びエタノール120部の混合物を24時間攪拌還流する.反応混合物を冷却後〓過しそして〓液を蒸発させる.残留物を2-プロパノールから結晶化させる.生成物を〓別しそしてエタノールから結晶化させて、乾燥後、1-(3-〔4-(5-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-チオキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点254.3℃7.5部(34%)を得る.

実施例 16

実施例ⅩLⅢの方法に従い、1-〔3-(4-〔(2-アミノフエニル)アミノ〕-1-ピペリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを二硫化炭素と反応させることにより1-(3-〔4-(2・3-ジヒドロ-2-チオキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点248.5℃を製造する.

実施例 17

1-(3-〔4-(5-クロロ-2・3-ジヒドロ-2-チオキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン2.21部、ヨードメタン0.71部、ナトリウムメタノラート0.28部及びメタノール40部の混合物を室温で一夜攪拌する.反応混合物を蒸発させる.残留物物を水と共に攪拌しそして生成物をトリクロロメタンで抽出する.抽出物を乾燥し、〓過しそして蒸発させる.残留物を4-メチル-2-ベンタノンから結晶化させる.生成物を〓別しそして乾燥して1-〔3-(4-(5-クロロ-2-(メチルテオ)-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル〕-1-ピペリジニル)プロピル)-1・3-ジビドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点196.1℃;1.1部を得る.

実施例 18

5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン5部、無水酢酸10部及びメチルベンゼン90部の混合物を一夜攪拌還流する.反応混合物を冷却し、水を加えそして全体を希な炭酸ナトリウム溶液でアルカリ性にする.層を分離させ、そして有機相を乾燥し、〓過しそしてさせる.残留物をメチルベンゼンから結晶化させる.生成物を〓別しそしてメチルベンゼンから再結晶して3-アセチル酸5-クロロ-1-(1-〔3-(3-アセチルー2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、融点185.3℃:4.5部を得る.

実施例 19

エタノール32部中5-クロロ-1-(1-(3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル)-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン1部の攪拌された溶液に、エタノール8部中の(±)-2・3-ジヒドロキシ-1・4-プタン二酸0.35部の溶液を加える.攪拌して生成物を結晶化させる.それを〓別しそして乾燥して(±)-5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン2・3-ジヒドロキシプタンジオエート、エタノラート、融点153.5℃:1部を得る.

実施例 20

エタノール20部中の5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン1部の攪拌された溶液をガス状塩化水素で飽和させる.生成した塩酸塩を攪拌しながら結晶化させる.それを〓別しそして乾燥して、5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン塩酸塩水和物、融点195.7℃;0.6部(53%)を得る.

実施例 21

エタノール40部中の5-クロロ-1(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピベリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミグゾール-2-オン1部の溶液を、予めガス状塩化水素で飽和された2-プロパノールで酸性にする.冷却しながら、生成した塩酸塩を結晶化させて、5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロビル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン塩酸塩、エタノラート、融点213.7℃;1部(83%)を得る.

実施例 22

5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロビル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン10.2部を運流温度で水100部中で(±)-2・3-ジヒドロキシープタンジオエート塩に転換する.溶液を活性炭0.5部及びハイフロ0.2部の混合物で10分間処理する.後者をハイフロ上で〓別しそして〓液を油状沈殿物が生成するまで冷却する.油状生成物をしげらくの間加熱して凝固させる.全体を室温に冷却せしめそしてこの温度で3時間攪拌する.生成物を〓別し、水で洗浄しそして60℃で18時間真空中で乾燥して5-クロロ-1-(1-〔3-(2・3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンヘミ-〔R-(R・R)〕(+)-2・3-ジヒドロキシプタンジオエート水和物、融点184.1℃;〔α〕=+5.13°(c=1%CH3OH);10.24部(85.3%)を得る.

実施例 23

実施例1の方法に従いそして当量の適当な出発物質を使用して、下記の化合物を更に得る:

5-クロロ-1-(3-〔4-(1・3-ジヒドロ-5-メチル-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

5-クロロ-1-〔3-(4-〔1・3-ジヒドロ-2-オキソ-5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル〕-1-ピペリジニル)プロピル〕-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

1-(3-〔4-(5・6-ジクロロ-1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン;融点263.1℃

5-クロロ-1-(3-〔4-(5-クロロ-1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕-2-メチルプロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン:

5-プロモ-1-(3-〔4-(5-クロロ-)1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール〕-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン、-2-プテンジオエート(1:1)塩、融点255.6℃:及び

1-(3-〔4-(5-プロモ-1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル〕プロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン.1塩酸塩1水和物、融点292.3℃

なお、本発明の関連事項を以下に記載する.

1式

<省略>

〔式中、R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群から各々独立的に選ばれ、

Bは二価の基

<省略>

-N=N-、及び-N=CH-から成る群から選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群から選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、

R2は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、

m及びnけ各々1乃至2の整数であり、そして基

<省略>

は、

(a) 式

<省略>

(式中、R4は水素及び低級アルキルから成る群より選ばれた一員でありそしてR3及びR4は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれる)

を有する基、

(b) 式

<省略>

(式中、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジン核の3及び4炭素原子間は単結合でありそしてMは水素であるものとする)

を有する基、

(c) 式

<省略>

(式中、R7及びR8け水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれる)

を有する基、及び

(d) 式

<省略>

(式中、R9は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群より選ばれそしてR10は水素及びハロから成る群上り選ばれる)

を有する基から成る群から選ばれた一員である〕

で示される1-(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体及び医薬的に許容され得るそれらの酸付加塩から成る群より選ばれた化合物を製造するに当り、

(Ⅱ)

<省略>

〔式中、B1は前記式ⅠにおけるBと同じであるが-NH-C(S)-以外のものであり、Xは対応するアルコールから誘導された適当な反応性エステル基であり、そしてR1、R2、R3、m及びnは前記した通りである〕

の化合物を、

(Ⅲ)

<省略>

〔式中

<省略>

は前記した通りである〕

の化合物と適当な有機溶媒中で反応させて、

<省略>

〔式中、B1、R1、R2、R3、

<省略>

m及びnは前記した通りである〕

の化合物を製造するか、

(b) 式

<省略>

〔式中、Pは保護基であり、そしてR1、R2、R3、

<省略>

m及びnは前記した通りである〕

の化合物から公知方法により保護基Pを除去して

<省略>

〔R1、R2、R3、

<省略>

m及びnは前記した通りである〕の化合物を製造するか、

(c) 式

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、

<省略>

m及びnは前記した通りである〕

の化合物を公知方法に従い適当な環化剤により閉環に付して、式

<省略>

〔式中、B2は-NH-C(O)-、-NH-C(S)-又は-N=CH-、であり、そしてR1、R2、R3、

<省略>

m及びnは前記した通りである〕

の化合物を製造するか、

(d)式

<省略>

〔式中、B1、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは前記した通りである〕

の化合物を、適当な環化剤を便用して公知方法により環化させて、式

<省略>

〔式中、B1、R1、R2、R3、R7、R8、Y、m及びnは前記した通りである〕

の化合物を製造するか、

(e)式

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは前記した通りである〕

の化合物中の両ベソゼンジアミン基を適当な環化剤を使用して公知方法により一反応工程において環化させて、式

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは前記した通りであり、2個のY基は両方がO又は両方がSである〕

の化合物を製造するか、

(f) 式

<省略>

〔式中、M1は低級アルキル又は低級アルキルカルボニルであり、そしてB1、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは前記した通りである〕

の化台物に対応する未置換の化合物を適当なアルキル化剤又はアシル化剤で公知方法によりそれぞれN-アルキル化するか又はN-アシル化することにより式(Ⅰ-f)の化合物を製造し及び、上記化合物(Ⅰ-f)中のB1が-NH-C(O)-である場合には、好ましくは、式

<省略>

〔式中、R11及びR12は異なつた有機基を表わすことができ、好ましくはR11は低級アルキルであり、R12は水素、低級アルキル又はフエニルであり、そしてR1、R3、R7、R8、m及びnは前記した通りである〕

の化合物から出発し、このものをN-アルキル化又はN-アシル化し、然る後置換エテニル保護基を公知方法において酸加水分解により除去することにより上記式(Ⅰ-f)の化合物を製造し、並びに上記式(Ⅰ-f)中の

B2がN(L)-C(O)-であり、ここでLがM1と同一の低級アルキルカルボニル又は低級アルキル基である場合には、YがOである前記式(Ⅰ-e)の適当な化合物から出発して一反応工程においてその両1H-ベンゾイミダゾール基をアルキル化又はアシル化することにより式(Ⅰ-f)の化合物を製造するか;成いは

(g) YがSである前記式(Ⅰ-d)の化合物を標準的S-アルキル化方法によりS-アルキル化して式

<省略>

の化合物を製造し:且つ所望により工程(Ⅰ-a)から(Ⅰ-g)に到るすべての工程の生成物の医薬的に許容し得る酸付加塩を製造することを特徴とする前記1-(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体及び酸付加塩の製造方法.

2 1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンを5-クロロ-1・3-ジヒドロ-1-(4-ピペリジニル)-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンと反応させ且つ所望により、その生皮物の医薬的に許容し得る酸付加塩を製造することを特徴とする5-クロロ-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-ブビル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン及び医薬的に許容し得るその酸付加塩から成る群から選ばれた化合物の製造方法.

3 1-(3-クロロプロピル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミグゾ-ル-2-オンを1-(p-フルオロフエニル)-1・3・8-トリアザスピロ〔4・5〕-デカン-4-オンと反応させ、且つ所望によりその生成物の医薬的に許容し得る酸付加塩を製造することを特徴とする、8-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロビル〕-1-(4-フルオロフエニル)-1・3・8-トリアザスピロ〔4・5〕デカン-4-オン及び医薬的に許容し得るその酸付加塩から成る群より選ばれた化合物の製造方法.

4 式

<省略>

〔式中、R1R2、R3、

<省略>

m及びnは下記式〔Ⅴ〕において記載した通りである〕

の化合物中のニトロ基を標準的なニトロからアミンへの還元方法によりアミノ基に還元することを特徴とする

<省略>

〔式中、R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、m及びnはそれぞれ1乃至2の整数であり、そして基

<省略>

は、

(a) 式

<省略>

(式中、R4は水素及び低級アルキルから成る群から選ばれた一員であり、そしてR3及びRは水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれる)

を有する基

(b) 式

<省略>

(式中、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合には該ピペリジン核の該3及び4炭素原子間結合は単結合であり且つMは水素であるものとする〕

を有する基、

(c) 式

<省略>

(式中、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれる)

を有する基、及び

(d) 式

<省略>

(式中、R9は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群より選ばれ、そしてR10は水素、及びハロから成る群より選ばれる)

を有する基から成る群より選ばれた一員である〕

で示される化合物の製造方法.

5 式

<省略>

〔式中、B1、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは下記式(Ⅵ)に記載したと同じ意味を有する〕の化合物中のニトロ基を標準的ニトロからアミンへの還元力法により還元することを特徴とする、

<省略>

〔式中、R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、B1は二価の基

<省略>

-N=N-及び-N=CH-、から成る詳より選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群より選ばれた一員であり、そして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、R3は水素及びメチルから成る群より選ばれた一員であり、m及びnは各々1乃至2の整数であり、そしてR7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれる〕

で示される化合物の製造方法.

6 式

<省略>

〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、m及びnは下記式(Ⅶ)に記載したと同じ意味を有する〕

の化合物中の両ニトロ基を標準的ニトロからアミンへの還元によりアミノ基に還元することを特徴とする、

<省略>

〔式中、R1、R2、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、R3は水素及びメチルから成る群より選ばれた一員であり、そして

m及びnは各々1乃至2の整数である〕

で示される化合物の製造方法.

7 式

<省略>

〔式中、R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、

Bは二価の基

<省略>

-N=N-及び-N=CH-、から成る群から選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群から選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、

R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、m及びnけ1乃至2の整数であり、そして基

<省略>

は、

(a) 式

<省略>

(式中、R4は水素及び低級アルキルから成る群より選ばれた一員でありそしてR及びRは水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれる)

を有する基、

(b) 式

<省略>

(式中、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、YはO及びSから成る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジン核の3及び4炭素原子間は単結合でありそしてMは水素であるものとする)

を有する基、

(c) 式

<省略>

る群より選ばれた一員であり、Mは水素、低級アルキル及び低級アルキルカルボニルから成る群より選ばれた一員であり、そして破線はピペリジン核の3及び4位置の炭素原子間結合が適宜二重結合であつてもよいことを示し、ただしYがSである場合にはピペリジン核の3及び4炭素原子間は単結合であり、そしてMは水素であるものとする)

を有する基、

(c) 式

<省略>

(式中、R7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれる)

を有する基、及び

(d) 式

<省略>

(式中、R9は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群より選ばれそしてR10は水素及びハロから成る群より選ばれる)

を有する基から成る群から選ばれた一員である〕

で示される1-(ベンゾアゾリルアルキル)ピペリジン誘導体及び医薬的に許容し得るその酸付加塩から成る群より選ばれた化合物.

9 関連事項2に記載された方法又はそれと明らかに化学的に均等な方法により製造されたものである5-クロロ-1-(1-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピル〕-4-ピペリジニル)-1・3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン及び医薬的に許容し得るその酸付加塩から成る群より選ばれた化合物.

10 関連事項3に記載の方法又はそれと明らかに化学的に均等な方法により製造されたものである8-〔3-(1・3-ジヒドロ-2-オキソ-2H-ベンゾイミダゾール-1-イル)プロビル〕-1-(4-フルオロフエニル)-1・3・8-トリアザスピロ〔4・5〕デカン-4-オン及びその医薬的に許容し得る酸付加塩から成る群より選ばれた化合物.

11 関連事項4に記載の方法又はそれと明らかに化学的に均等な方法により製造されたものである、式

<省略>

(式中、R1及びR2は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれ、R3は水素及びメチルから成る群から選ばれた一員であり、m及びnはそれぞれ1乃至2の整数であり、そして基

<省略>

は、

(a) 式

<省略>

(式中、R4は水素及び低級アルキルから成る群から選ばれた一員であり、そしてR5及びRは水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルォロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれる)

選ばれた一員であり、ここでLは水素、低級アルキル、低級アルキルカルボニル及び低級アルケニルから成る群より選ばれた一員でありそして該二価の基はそれらのヘテロ原子によりベンゼン核に結合しており、R3は水素及びメチルから成る群より選ばれた一員であり、m及びnはそれぞれ1乃至2の整数であり、そしてR7及びR8は水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群からそれぞれ独立的に選ばれる〕

で示される化合物.

13 関連事項6に記載の方法又はそれと明らかに化学的に均等な方法により製造されたものである

<省略>

〔式中、R1、R2、R3及びRは水素、ハロ、低級アルキル及びトリフルオロメチルから成る群よりそれぞれ独立的に選ばれ、Rは水素及びメチルから成る群より選ばれた一員であり、

m及びnはそれぞれ1乃至2の整数である〕

で示される化合物.

14 実質的に本明細書中及び実施例に記載された式(Ⅰ)の化合物の製造方法.

15 関連事項14に記載の方法に従つて製造されたものである式(Ⅰ)の化合物.

平成一〇年(モ)第九六号

更正決定

原告 ジャンセン・ファーマシユーチカ・ナームローゼ・フェンノートシャップ

被告 日新製薬株式会社

右当事者間の当庁平成八年(ワ)第二三三号特許権侵害予防請求事件につき、平成一〇年三月一七日に当裁判所が言渡した判決に明白な誤謬があるから、被告の申立てにより、次のとおり決定する。

主文

右判決の第四五ページの二行目から三行目に、

「本件試験が特許法六九条一項にいう『試験又は研究』に該当しないことは」

とあるを、

「本件試験が特許法六九条一項にいう『試験又は研究』に該当することは」

と更正する。

平成一〇年三月三〇日

山形地方裁判所民事部

裁判長裁判官 山野井勇作

裁判官 宍戸充

裁判官 白川純子

特許公報

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