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山形地方裁判所 昭和43年(ワ)210号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、既登録自動車に、即時取得の規定が適用されるか否かについては、見解がわかれているところであるが、道路運送車両法五条、四条の立法趣旨に加え、自動車のもつ財産的価値等を併せ考えると、既登録自動車に、即時取得のもつ保護を与えるのは相当でないものと解するのが相当であるから、既登録である本件自動車には、即時取得の適用がないと言うべきであり、従つてその要件につき判断するまでもなく、被告のこの点に関する抗弁は採用しない。

二、(不法行為の成否)

(二) 故意、過失

1 被告において、本件自動車占有につき、原告がその所有者であり、従つて被告に所有権がないことを知り、若くは過失によりこれを知らなかつた場合、被告は右(一)の事実を併せ、原告に対し、損害賠償責任を負担する。

2 故意

本件に提出された全証拠によるも、被告に、右1の意味における故意があつたことは認められない。

3 過失

(1) 本件自動車につき、その登録原簿上の所有名義が、終始原告であり、かつ、原告と訴外人間における売買契約が代金割賦による所謂所有権留保付で、その間転売を禁止したものであることは、右第一、一認定のとおりであるところ、現在自動車の売買が右の如く代金の支払を割賦とし、その完済に至るまで、所有権の移転を留保する方式でなされるのが通例であること、従つて、買受人がこれを転売する場合、転買人において、転売人に、その所有権が移転しているか否か、また、その移転の可能性(代金支払状況等将来のみとおしにつき)等について格別の関心を払い、事前に、一応それらの調査をした上、転売買契約の締結に至ることは、当裁判所に顕著な事実である。

(2) <証拠調の結果>によると、訴外人と被告間の前記売買契約締結当時本件自動車についての検査証には、所有者として原告名が表示され、同検査証は、訴外人から被告に右自動車の引渡しの際、交付されたが、被告は、その記載を閲覧せず、また右(1)の登録簿の調査もしないで、漫然、本件自動車が、既に、訴外人の所有に帰しているものと思料していたことが認められる。

右認定に反する証拠はない。

(3) 右(1)(2)認定の事実によると、訴外人と被告間の右売買契約締結時、被告においてその閲覧が容易である本件自動車に関する、右自動車登録原簿及び検査証を閲覧さえすれば、その所有権が原告に存することの認識を得るはいとも容易であつたものと言うべきであるから、この認識がなかつたことにつき、被告には、過失があつたものと認めるのが相当である。

4 以上の認定によると、結局、被告は、過失による不法占有により、本件自動車についての、原告の所有権を侵害したものと言うべきである。(伊藤俊光)

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