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山形地方裁判所 昭和55年(わ)5号 判決 1980年3月12日

本店所在地

山形県最上郡最上町大字若宮八〇番地の四

株式会社 中嶋組

(右代表者代表取締役 中島政則)

本籍

山形県最上郡最上町大字若宮一一八番地

住居

右同

会社役員

中島政則

昭和二年三月二〇日生

被告人両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官吉田博視出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社中嶋組を罰金八〇〇万円に、

被告人中島政則を懲役一〇月に

それぞれ処する。

被告人中島政則に対し、この裁判確定の日から二年間

右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社中嶋組(以下、被告人会社と略称する。)は、山形県最上郡最上町大字若宮八〇番地の四に本店を置き土木建築請負業及びこれに付随する一切の業務を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社、被告人中島政則(以下、被告人と略称する。)は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括掌理していたものであるが、被告人は被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、材料費、外注費及び労務費を水増し計上するなどの不正手段により、所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が八、三六六万五、五六四円で、これに対する法人税額は三、二六二万六、〇〇〇円であるにもかかわらず、昭和五二年二月一四日山形県新庄市五日町字宮内二四一番地所在の所轄新庄税務署において、同署長に対し、所得金額が四、三七七万六、八九六円でこれに対する法人税額が一、六六七万〇、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一、五九五万五、六〇〇円をほ脱し

第二  昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四、五九七万二、五五〇円で、これに対する法人税額は一、七五四万八、八〇〇円であるにもかかわらず、昭和五三年二月二一日前記新庄税務署において、同署長に対し、所得金額が一、一九九万〇、四二八円でこれに対する法人税額が三九五万六、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一、三五九万二、八〇〇円をほ脱し

第三  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三、九四二万八、三七六円で、これに対する法人税額は一、四九三万一、二〇〇円であるにもかかわらず、昭和五四年二月一六日前記新庄税務署において、同署長に対し、所得金額が二、三四五万八、三三六円でこれに対する法人税額が八五四万三、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額六三八万八、〇〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書四通

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通(昭和五四年一一月一三日付のものを除く。)

一、中島ツタ子の大蔵事務官に対する昭和五四年一〇月一八日付、同月一九日付、同月二〇日付、同月二一日付、同月二二日付、同月二三日付、同月二四日付、同年一一月一二日付、同月一六日付(一〇丁のもの)、同月三〇日付(八丁のもの)各質問てん末書

一、中島ツタエ(二通)、矢野次男(二通)、菅英子、下山幸男、近岡理輔、柿崎栄吉の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、中島ツタ子、中島ツタエ、矢野次男の検察官に対する各供述調書

一、矢野次男及び中島ツタ子(同年一一月一五日付)作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の材料仕入調査書、特別償却費否認額調査書、直接工事原価調査書、間接費配賦額調査書、原価計算調査書及び簿外預金等調査書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、検察事務官作成の電話要旨

判示第一及び第二の各事実につき

一、中島ツタ子の大蔵事務官に対する同年一一月三〇日付(一〇丁のもの)及び同年一二月一日付各質問てん末書

一、中島ツタ子作成の同年一一月三〇日付上申書

一、大蔵事務官作成の同年一二月三日付架空労務費調査書

判示第一の事実につき

一、被告人の大蔵事務官に対する同年一一月一三日付質問てん末書

一、中島ツタ子(本文七丁のもの)、金田太(二通)、森幸吉、荒川修司、鹿野二夫(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、鹿野二夫の検察官に対する供述調書

一、森幸吉作成の申述書

一、中島ツタ子作成の同年一一月一五日付上申書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五一年度分のもの)

一、押収してある法人税確定申告書(昭和五一年度分)一綴(昭和五五年押第八号の一)

判示第二及び第三の各事実につき

一、検察事務官作成の捜査報告書

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五二年度分のもの)

一、押収してある法人税確定申告書(昭和五二年度分)一綴(前同押号の二)

判示第三の事実につき

一、中島ツタ子作成の同年一一月一〇日付上申書

一、大蔵事務官作成の同年一一月一五日付架空労務費調査書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五三年度分のもの)

一、押収してある法人税確定申告書(昭和五三年度分)一綴(前同押号の三)

(法令の適用)

判示所為中、被告人会社に対する各点は法人税法一五九条一項(七四条一項二号)、一六四条一項に該当するのでその所定刑中罰金刑を選択して処断すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人会社を罰金八〇〇万円に処することとし、被告人に対する各点は法人税法一五九条一項(七四条一項二号)に該当するのでその所定刑中懲役刑を選択して処断すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

以上の理由によつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 泉山禎治)

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