山形地方裁判所 昭和62年(わ)100号 判決 1987年9月08日
本店の所在地
山形県新庄市大字鳥越字南沢山神沢二〇八一番地
法人名称
有限会社マルミツ観光
代表者の住所
山形県新庄市若葉町十五番三号
光山富子こと
孫賛翼
国籍
韓国
住居
山形県新庄市若葉町一五番三号
会社役員
光山昌義こと
盧在根
西暦一九三六年七月二三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官南部義廣出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社マルミツ観光を罰金一三〇〇万円に、
被告人盧在根を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人盧在根に対し、この裁判確定の日から三年間、
右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社マルミツ観光は、山形県新庄市大字鳥越字南沢山神沢二、〇八一番地に本店を置き、遊技場等の経営を業とするもの、被告人光山昌義こと盧在根は、被告人会社の取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人盧在根は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 昭和五七年一一月一日から同五八年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三、六八一六、一五〇円で、これに対する法人税学が一四、四八五、八〇〇円であったにもかかわらず、同五八年一二月三〇日、山形県新庄市五日町字宮内二四一番地所在の所轄新庄税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八、五四三、一七四円で、これに対する法人税額が二、六一一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における世紀の法人税額と右申告税額との差額一一、八七四、七〇〇円を免れ
第二 同五八年一一月一日から同五九年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が七〇、四八九、〇一四円で、これに対する法人税額が二九、四九四、一〇〇円であったにもかかわらず、同五九年一二月三一日、前記新庄税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七、二六七、〇一〇円で、これに対する法人税額が六、四四九、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二三、〇四四、二〇〇円を免れ
第三 同五九年一一月一日から同六〇年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四六、〇八七、九七八円で、これに対する法人税額が一八、九〇三、九〇〇円であったにもかかわらず、同六〇年一二月二八日、前記新庄税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二三、六〇二、二二六円で、これに対する法人税額が九、一六七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額九、七三六、〇〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人会社代表者孫賛翼および被告人盧在根の当公判廷における供述
一 被告人盧在根の検察官に対する昭和六二年三月一八日付および同年四月一六日付(一〇四枚綴りのもの)各供述調書
一 大蔵事務官作成の被告人盧在根に対する同年一月二九日付(四三枚綴りのもの)並びに同月一四日付(六〇枚綴りのものおよび三四枚綴りのもの)各質問てん末書
判示冒頭記載事実につき
一 大蔵事務官作成の被告人会社代表者孫賛翼に対する質問てん末書
一 登記官大場聰作成の登記簿謄本
判示第一ないし第三の各事実につき
一 被告人盧在根の検察官に対する同年四月一六日付供述調書(二二枚綴りのもの)
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五七年三月二九日から同年一〇月三一日までの事業年度分のもの、昭和六二年押第三〇号の一)
一 国税査察官阿保哲作成の写真撮影報告書
一 大蔵事務官作成の簿外現金調査書、簿外預金等調査書、簿外仮受金調査書および盧在根勘定調査書
判示第一事実につき
一 大蔵事務官作成の被告人盧在根に対する昭和六一年一二月一九日付質問てん末書
一 大蔵事務官作成の簿外貸付金調査書および長期借入金調査書
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五七年一一月一日から同五八年一〇月三一日までの事業年度分のもの、昭和六二年押第三〇号の二)
判示第二および第三の各事実につき
一 大蔵事務官作成の仮払金調査書
判示第二事実につき
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五八年一一月一日から同五九年一〇月三一日までの事業年度分のもの、昭和六二年押第三〇号の三)
判示第三事実につき
一 大蔵事務官作成の被告人盧在根に対する昭和六二年一月二九日付質問てん末書(一九枚綴りのもの)
一 大蔵事務官作成の簿外建物調査書、簿外構築物調査書および預かり金調査書
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五九年一一月一日から同六〇年一〇月三一日までの事業年度分のもの、昭和六二年押第三〇号の四)
(法令の適用)
法律に照らすと、判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人盧在根については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社につついては同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金一、三〇〇万円に、被告人盧在根については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年にそれぞれ処し、被告人盧在根に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 渡辺正夫)