大判例

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岐阜地方裁判所 平成10年(わ)116号

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官山田利行出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人大和工業株式会社を罰金二六〇〇万円に、被告人北川重光を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人北川重光に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人大和工業株式会社(以下「被告会社」という)は、岐阜市正木一六九番地の二に本店を置き、空調設備の設計及び施工並びに空調機器の販売及び裾付等を目的とする資本金七五〇〇万円の株式会社であり、被告人北川重光(以下「被告人北川」という)は、昭和四八年七月七日から平成八年五月まで被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるが、被告人北川は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げや雑収入の一部を除外するとともに架空外注費を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上

第一  平成四年九月二一日から平成五年九月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億二一五六万七一一一円であったにもかかわらず、平成五年一一月二二日、岐阜市千石町一丁目四番地所在の所轄岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億五八五七万七九六六円であり、これに対する法人税額が五七四一万三三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八一〇三万四六〇〇円と右申告税額との差額二三六二万一三〇〇円を免れ

第二  平成五年九月二一日から平成六年九月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億〇八二五万七〇〇二円であったにもかかわらず、平成六年一一月二一日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三億〇六一三万九九三四円であり、これに対する法人税額が一億一三〇四万五三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億五一三三万九六〇〇円と右申告税額との差額三八二九万四三〇〇円を免れ

第三  平成六年九月二一日から平成七年九月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億五〇二七万二五〇六円であったにもかかわらず、平成七年一一月二〇日、前記岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二億〇八六〇万一五五四円であり、これに対する法人税額が七六七六万八四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億二九八九万五〇〇〇円と右申告税額との差額五三一二万六六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

なお、括弧内に付した甲、乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。

判示全部の事実につき

一  被告人北川の当公判廷における供述

一  被告人北川の検察官に対する供述調書七通(乙二、四ないし九)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一五通(甲四ないし一八)

一  河合正己の検察官に対する供述調書(甲一九)

一  中野信子(甲二〇、二一)、竹田秀宣(甲二二)、白井博明(甲二三)、河島正教(甲二四)、高坂喜一(甲二五)、高坂冨美子(甲二六)、平林明男(甲二七)、森上勝生(甲二八)、山田一男(甲二九)、柴田弘治(甲三〇)、高橋幸雄(甲三一)、甲斐隆興(甲三二)、木村眞策(甲三三ないし三五)、角谷孝子(甲三六、三七)、高橋夏三郎(甲四一、四二)、森武幸(甲四三)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官報告書(甲三八)

一  大蔵事務官作成の写真撮影報告書二通(甲三九、四〇)

一  登記官作成の商業登記簿謄本(乙一〇)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(甲一)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(甲二)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(甲三)

(法令の適用)

一  被告会社

1  罰条 法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

2  刑種の選択 罰金刑

3  併合罪加重 刑法四五条前段、四八条二項

二  被告人北川

1  罰条 法人税法一五九条一項

2  刑種の選択 懲役刑

3  併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加算をする)

4  刑の執行猶予 刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、昭和六二年以降雇われ社長となってしまった被告人北川が、被告会社を将来買い戻すための資金を貯めようなどとして、被告会社の平成四年から平成六年までの三事業年度にわたって、所得を合計で約三億〇六〇〇万円過少申告し、合計約一億一五〇〇万円の脱税をしたものである。ほ脱所得額、ほ脱税額のいずれも多額であり、動機に酌量の余地もない。しかも、脱税の方法は、脱税協力者と結託した上、休眠会社まで利用するなど計画的で巧妙である。改めて言うまでもなく、脱税は、租税の公平負担を損ない、国家の課税権を侵害するものであって、国家社会に及ぼす影響は大きい。かかる事情を併せ考慮すると、被告人北川及び被告会社の刑事責任は重い。

しかし、他方、被告会社は、既に修正申告書を提出し、本税、重加算税、延滞税のすべてを納入していること、本件は、前記のとおり、被告人北川の個人的動機から実行されたものであり、被告会社には、監督体制の不備があったといえるものの、脱税によって利得を求めようとする意図がなかったこと、被告人北川は被告会社の代表取締役を解任されていること、被告人北川と被告会社との間で示談が成立し、被告人北川は現在までに約一億五四〇〇万円を返還していること、被告人北川及び被告会社はいずれも事実を率直に認め反省していること等、被告人北川及び被告会社にとって有利な事情もある。

かかる事情を総合考慮すると、被告人北川及び被告会社を主文のとおり量定するのが相当である。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑・被告会社に対し罰金三〇〇〇万円、被告人北川に対し懲役一年六月、弁護人・平松勇二)

(裁判官 澤田経夫)

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