岐阜地方裁判所 昭和38年(わ)42号 判決 1965年1月18日
被告人 西村ふき子
大一二・六・一五生 無職
主文
被告人を懲役四月に処する。
但しこの裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。
押収にかゝる外国製たばこバイスロイ七カートン(証三四号)、同ウインストン三カートン(証三五号)、同セーラム三カートン(証三六号)はこれを没収する。
被告人より金四五、〇〇〇円を追徴する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は別紙犯罪一覧表記載のとおり、昭和三六年一二月二九日から同三七年九月三日までの間、前後五回に亘り、被告人の肩書居宅において、法定の除外事由がないに拘らず、分離前の相被告人松野耕一より日本専売公社の売渡さない外国製々造たばこマルボーロ等合計一〇〇カートンを譲受けたものである。
(証拠の標目)(略)
(法令の適用)
判示各事実につきたばこ専売法第六六条第一項、第七一条第一号(いずれも懲役刑選択)
刑の併合罪加重につき刑法第四五条、第四七条本文、第一〇条(最も重い別表3の罪の刑に法定の加重)
没収につきたばこ専売法第七五条第一項
追徴につき同法第七五条第二項(但し別表3のマルボーロ三〇カートンについてのみ)別表1、2、4及び5の内銘柄不明の各外国製たばこの価額の追徴については、たばこ専売法第七五条第二項にいわゆる価額の追徴とは、当該犯罪にかゝる物件が没収できないときは没収に替る処置として規定され、その物件の犯行時における客観的に適正な価額の追徴を意味するものであり、一方日本専売公社発行の「輸入たばこ小売定価表」によれば、外国製たばこの小売価額は必ずしも一様でなく、その銘柄により小売価額の異るものがあることが認められるから、追徴の前提としてその物件の銘柄を特定することが必要であると考えられるので、その特定が不可能な右外国製たばこについては追徴の算定は不可能であるという外はない。銘柄不明の外国製たばこの価額の追徴は最低価額をもつて追徴すべきであるとする検察官の主張は前記理由に照し採用し難い。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 重富純和)
別紙犯罪一覧表
番号
犯罪日時
数量
銘柄
1
三六、一二、二九
一〇カートン
不明
2
三七、一、三一
二四カートン
不明
3
三七、三、一七
三〇カートン
マルボーロ
4
三七、七、一
一八カートン
不明
5
三七、九、三
一八カートン
バイスロイ七カートン
ウインストン三カートン
セーラム三カートン
残余五カートンの銘柄は不明