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岐阜地方裁判所 昭和46年(わ)30号 判決 1972年3月22日

本籍及び住居

高山市吹屋町一一六番地

会社役員

池田一三

大正一五年四月一一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官山岸赳夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金二五〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は池田産業株式会社の代表取締役として同社から給与を得るとともに自己の資金を知人に貸し付けて利息収入を得るなどしていたものであるが、所得税を免れようと企て、右利息収入を架空名義で預金して隠匿するなどの不正の行為により、

一、昭和四二年分の所得金額が一二、四二一、五四二円でありこれに対する所得税額が五、〇四四、五〇〇円であるのにかかわらず、昭和四三年三月一五日、所轄高山税務署において、同署長に対し所得金額が六七四、四〇〇円でありこれに対する所得税額が一、四〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、よって同年分の所得税額五、〇四三、一〇〇円を免れ

二、昭和四三年分の所得金額が一一、八九八、一〇八円でありこれに対する所得税額が四、六六二、一〇〇円であるのにかかわらず、昭和四四年二月二五日所轄の前記税務署において、同署長に対し所得金額が一、一八九、四〇〇円でありこれに対する所得税額が二、四〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、よって同年分の所得税額四、六五九、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全般の事実につき

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通

一、被告人作成の上申書一二通

一、関道介、土川八百子(二通)、桑山昭の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の調査報告書五通

一、株式会社北陸銀行高山支店長作成の証明書三通(但し昭和四四年八月五日付、同年九月一七日付、同年一〇月一六日付のうち記録証第二二二号の分)

一、株式会社十六銀行高山支店長作成の証明書二通

一、坂口克郎、三川俊治、上木浩司各作成の上申書

一、白川三郎、吉田柳子、船坂良、中山光子、長瀬澄子、洲岬静子、角川清蔵、桑山とし、笠井敏昭、有巣はま子各作成の回答書

一、押収してある補助簿一冊(昭和四六年押第四五号の一)

一、押収してある金銭出納帳(昭和四二年四月一日から昭和四三年三月三一日までの分)一冊(同号の三)

一、押収してある雑綴(昭和四二年度の分)一冊(同号の五)

一、押収してある現金出納帳一冊(同号の六)

一、押収してあるメモ綴一綴(同号の七)

一、押収してあるメモ帳二冊(同号の八及び九)

一、押収してある手形控ノート二冊(同号の一〇及び一一)

一、押収してある銀行関係重要メモ三枚(同号の一四)

一、押収してある担保品受取通帳二冊(同号の一五)

一、押収してある手帳一冊(同号の一六)

一、押収してある手控帳一綴(同号の一七)

一、押収してあるクロ帳二枚(同号の一八)

判示第一の事実について

一、高山税務署長作成の証明書(但し記録証第三〇六号の分)

一、北陸銀行高山支店長作成の証明書(但し昭和四四年一〇月一六日付で記録証第二一三号の分)

一、押収してある金銭出納帳(昭和四一年四月一日から昭和四二年三月三一日までの分)一冊(同号の二)

一、押収してある雑綴(昭和四〇年、四一年度)一冊(同号の四)

一、押収してある給与明細一冊(同号の一二)

一、押収してある賃金台帳一冊(同号の一三)

判示第二の事実について

一、高山税務署長作成の証明書(但し記録証第三〇七号の分)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法第二三八条第一項に該当するので所定の懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法第四八条第二項により、各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び罰金額の範囲内において被告人を懲役四月及び罰金二五〇万円に処し、同法第一八条により右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法第二五条第一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 小島裕史)

右は謄本である

同日於同庁

裁判所書記官 纐纈成和

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