岐阜地方裁判所 昭和52年(わ)66号 判決 1977年5月06日
本籍
岐阜市加納水野町二丁目一二番地
住居
同右
トルコ風呂経営
棚瀬博通
昭和三年二月二八日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官宇野博出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
一、主文
被告人を懲役一〇月及び罰金一、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
一、罪となるべき事実
被告人は、岐阜市加納水野町二丁目一二番地において特殊公衆浴場「トルコ入船」を営むものであるが、所得税を免れようと企て、入浴料収入の一部を除外する等の不正行為により所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和四八年分の実際の所得金額が三、九六二万〇、八九六円で、これに対する所得税額が二、〇一〇万四、〇〇〇円であるのに、同四九年三月一日、所轄の同市加納清水町四丁目二二番地の二所在の岐阜南税務署において、同署長に対し、所得金額が八四〇万七、三一一円で、これに対する所得税額が二一六万四、六〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて、昭和四八年分の所得税一、七九三万九、四〇〇円を免れ
第二 昭和四九年分の実際の所得金額が三、七七六万七、一三七円で、これに対する所得税額が一、七四〇万七、二〇〇円であるのに、同五〇年三月三日、所轄の前記税務署において、同署長に対し、所得金額が八八五万一、九一三円で、これに対する所得税額が一八三万九、七〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて、昭和四九年分の所得税一、五五六万七、五〇〇円を免れ
第三 昭和五〇年分の実際の所得金額が三、二六六万五、五〇九円で、これに対する所得税額が一、三七七万五、二〇〇円であるのに、同五一年三月一日、所轄の前記税務署において、同署長に対し、所得金額が八八七万五、五〇一円で、これに対する所得税額が一六三万七、八〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて昭和五〇年分の所得税一、二一三万七、四〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書
一 被告人作成の各上申書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 小森則夫(昭和五一年一二月一〇日付)及び山本昌俊(一五枚綴りのもの)各作成の証明書
一 坂井邦久(同年八月二六日付)、長野好一、紫田勝一、山本晃平、岡田雅男、大塚俊明及び真島昌治各作成の上申書
判示第一の事実につき
一 小森則夫作成の昭和四八年度分の確定申告書に係る証明書
一 市川昭一郎、篠田清、大塚昭夫、武藤庄一、稲葉幸彦、吉田武夫、臼井星雄及び坂井邦久(同月二四日付)各作成の各上申書
判示第二の事実につき
一 小森則夫作成の昭和四九年度分の確定申告書に係る証明書
判示第三の事実につき
一 小森則夫(昭和五〇年度分の確定申告書に係るもの)、小林良行及び山本昌俊(三三枚綴りのもの)各作成の証明書
一 石原孝子、岩田金治(昭和五一年九月二一日付)、中島重幸、渡辺正一郎、紫田博、小島艶子、平井祐司及び大窪美恵子各作成の各上申書
(法令の適用)
一、判示各所為につき 所得税法二三八条一項、二項
一、(刑種の選択) 所定刑中懲役刑、罰金刑を併科
一、(併合加重) 刑法四五条前段、四七条(懲役刑につき)、四八条(罰金刑につき)、一〇条(もつとも犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)
一、(労役場の留置) 同法一八条
一、(刑の執行猶予) 同法二五条一項(懲役刑につき)
(裁判官 北島佐一郎)