岐阜家庭裁判所 昭和43年(少)1025号 決定 1968年8月01日
少年 A(昭○・○・○生)
主文
窃盗保護事件につき少年を初等少年院に送致する。
強制措置許可申請事件につき少年に対し強制的措置をとることを許可しない。
理由
一、審判に付すべき事由
(一) 強制措置許可申請事件
少年は両親の監護態度が極めて悪い環境にあつて、窃盗の触法行為があつたので昭和三八年一一月六日小学校長より児童相談所に通告があり、同月一五日教護院a学院入所の措置をとり無断外出が数回あつたが、昭和四一年三月三一日右措置を解除した。出所一か月後頃より家出が再三あつたため児童委員の通告により同年六月一四日養護施設b園入園の措置をとり、無断外出、施設内外での窃盗触法行為が頻発したので昭和四二年八月一日a学院入所の措置変更手続がとられた。同院においても素行改まらず次のとおり無断外出、外泊があつた。
(1) 昭和四二年九月二三日午後一一時頃外出し、翌二四日午前五時頃帰寮する。
(2) 同月二七日午後七時三〇分頃外出し、三〇分後に職員に保護される。
(3) 昭和四三年三月三日午後七時三〇分頃外出し、同月八日午前一一時頃大垣警察署に保護される。
(4) 同年五月二九日午前八時三〇分頃外出し、六月○日万引現行犯で逮捕され帰寮する。
(5) 同年六月一四日午前二時頃外出し、七月八日川崎警察署に保護される。
右(1)、(3)ないし(5)の外出中に窃盗行為が、(3)ないし(5)の外出中に異性との不純性交遊があり、特に(5)の外出に際しては、東京都、川崎市まで放浪し喫茶店に勤めるなど一般教護施設での指導も限界にきており、強制的措置を加えて性格の矯正と生活の指導が必要である。
(二) 窃盗保護事件
(1) 非行事実
少年は昭和四三年六月○日午後二時三〇分頃、岐阜県美濃加茂市△△町駅前cストアー店舗において、B管理にかかる女物空色ブラウス一枚外衣類、化粧品、缶詰等二九点時価合計九、三五〇円相当を窃取したものである。
(2) 適用すべき法令
刑法第二三五条。
二、処遇理由
少年の経歴は右一、(一)記載のとおりであつて、無断外出、外泊は常習的であり、かつ外泊日数も漸次長期化し外出中の行状も悪化してきているので一般教護院での教護はもはや限界に達しているものといわざるを得ない。そして右経歴、非行事実、少年の情緒不安定な性格並びに両親に保護能力のない家庭環境に徴すると、強制措置のとりうる施設に収容するほかはないものと考えるが、その場合、教護院と少年院の何れが少年の保護に適するかについては、少年の盗癖はかなり進行していることが窺えるうえ、多数異性との性的経験を通じて性道徳に対する意識も低下し非行性が深化していること並びに本件申請が許可された場合に入所が予定されている教護院c学院の所在地が少年院の所在地に比し保護者住居(岐阜県美濃加茂市)とかなりの遠隔地にあるためこれが少年に与える精神的影響を併せ考えると、少年院に収容して規律ある生活のもとにおいて性格の矯正を図るのが相当であると思料する。
よつて窃盗保護事件につき少年法第二四条一項三号、少年審判規則第三七条一項、少年院法第二条を適用し主文第一項のとおり、強制措置許可申請事件については、少年を少年院に送致する以上その必要がないこととなるから主文第二項のとおり各決定する。
(裁判官 宮地英雄)