岡山地方裁判所 平成9年(ワ)424号 判決 2000年4月28日
反訴原告
武内明男
反訴被告
株式会社アサヒ装業
ほか一名
主文
一 反訴被告らは、反訴原告に対し、各自金二〇五〇万二八五七円及びこれに対する平成八年九月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 反訴原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを二分し、その一を反訴被告らの負担とし、その余を反訴原告の負担とする。
四 この判決は第一項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
反訴被告らは、反訴原告に対し、各自金四五〇〇万円及びこれに対する平成八年九月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、次の交通事故(以下「本件事故」という。)により受傷した反訴原告が、反訴被告らに対し、後記二3記載の損害賠償金の内金四五〇〇万円及びこれに対する本件事故の日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
一 争いがない事実等
1 本件事故の発生
(一) 日時 平成八年九月二〇日午後四時一〇分ころ
(二) 場所 岡山県備前市伊部一四一番地の一先市道上
(三) 加害車 普通貨物自動車(岡山四六た九九六一号)
(四) 加害者 反訴被告黒田幹雄
(五) 被害車 普通乗用自動車(岡山五九み三四五四)
(六) 被害者 反訴原告
(七) 態様 反訴被告黒田が、加害車を後進させていた際、被害車に衝突したもの
2 責任原因
(一) 反訴被告黒田
後方不注視の注意義務違反の過失
(二) 反訴被告株式会社アサヒ装業(以下「反訴被告会社」という。)
加害車の所有者であり、自賠法三条による責任
3(一) 反訴原告は、本件事故により腰椎捻挫、腰部打撲、頸椎捻挫、両肩打撲等の傷害を負ったが、その後、岡山協立病院において、平成八年九月二一日から同月二五日まで通院治療(実通院三日)を受け、同日から同年一〇月四日まで入院治療(一〇日間)を受け、同月五日から同月二七日まで通院治療(実通院一二日)を受け、同月二八日から同年一二月一日まで入院治療(三五日間)を受け、同月二日から平成一〇年六月一五日までの間、通院治療(合計実通院一二六日)を受けた(甲三の1ないし20、乙一、二の1、2、三の1、2、乙二八ないし三一)。
(二) また、反訴原告は、右(一)の間、長島病院において、平成八年一二月七日から平成九年二月三日まで入院治療(五九日間)を受けた(甲四の1、2、乙四の1、2、五の1、2、六、乙三五)。
4 損害の填補として反訴被告らから反訴原告に五〇万円が支払われた。
二 争点
1 反訴原告の症状と本件事故との間の相当因果関係の有無ないし症状固定時期
(反訴原告の主張)
症状固定日は、平成一〇年三月二四日である。
(反訴被告らの主張)
本件事故後二か月経過後の症状は、本件事故との間に相当因果関係がない。
2 反訴原告の後遺障害の有無ないしその等級
3 反訴原告主張の次の損害が認められるか。
(一) 治療費
(1) 岡山協立病院分(平成八年九月二一日から平成一〇年八月三一日まで) 二一八万一五三六円
(2) 長島病院分(平成八年一二月七日から平成九年七月一日まで) 一一〇万二三一〇円
(二) 交通費 六万八一六〇円
平成八年九月二一日から平成九年三月三一日まで、自宅から岡山協立病院までの交通費で、備前から天満屋までのバス代五七〇円、路面電車代一四〇円の片道合計七一〇円の往復一四二〇円の四八日分
(三) 入院雑費 一四万四二〇〇円
一日一四〇〇円で、岡山協立病院と長島病院での入院期間一〇三日分
(反訴被告らは、平成八年一〇月二八日以降の入院について争う。)
(四) 休業損害等 二一六三万三五三三円
(1) 反訴原告は、株式会社たけうち(土木工事業)、株式会社備葬社(葬祭業)の各取締役として稼働し、フラワーショップタケウチ(生花植木販売業)を経営し、本件事故当時、少なくとも月額一〇三万二八三二円の所得(月収)があった。
(2) 本件事故日である平成八年九月二〇日から症状固定日である平成一〇年三月二四日までの一八か月間の休業損害は、一八五九万〇九七六円を下らない。
(3) 反訴原告がフラワーショップタケウチを休業したため、別紙「植木生花の損害」(略)記載の生花の水補給等の手入れができなくなり、各生花が枯れるなどして、その商品価値三〇四万二五五七円が喪失した。
(五) 後遺症逸失利益 六八一六万三九三七円
反訴原告は、腰椎打撲による反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)による強度の腰痛、両下肢のしびれ、下半身の発汗過多等の後遺障害が残り、これは後遺障害等級七級(労働能力喪失率一〇〇分の五六)に該当する。反訴原告は、本件事故当時、満五四歳であったから、前記月収による満六七歳(ホフマン係数九・八二一)までの逸失利益は、六八一六万三九三七円である。
(六) 入通院等慰謝料 二五〇万円
(七) 後遺症慰謝料 九〇〇万円
(八) 弁護士費用 一八〇万円
4 反訴被告ら主張の次の労災給付金が損害填補として認められるか。
(一) 休業損害給付金(休業期間・平成八年九月二〇日から平成九年一一月三〇日) 六七九万二九六八円
(二) 休業損害給付金(休業期間・平成九年一二月一日から平成一〇年九月七日) 三二九万八六五九円
(三) 障害補償給付金 七七二万六九四二円
第三争点に対する判断
一 前提としての本件事故前後の経緯について
証拠(甲七、一五、乙二三の1、2、反訴被告黒田幹雄本人、反訴原告本人)によれば、次の事実が認められる。
反訴被告黒田は、同僚のトラックとともに、本件事故現場を西進していたところ、先行する同僚のトラックがT字交差点に差しかかり、同交差点を右折(南進)し、JR赤穂線の高架下を通過しようとしたが、トラックに積んでいた荷物が高かったために、同高架下を通過できなくなった。そこで、同トラックがUターンして、右交差点を北進するために逆進し、進行してきた方にトラックの前部を突っ込もうとしたため、反訴被告黒田は、これを避けるために加害車である二トントラックを約一・五メートル通常の速度で後進させたところ、後ろにいた被害車と衝突した。右衝突のためドーンとした衝撃音が聞こえ、被害車は、ボンネットの真ん中辺りが凹んだ。反訴原告は、このため、右の後頭部を被害車の窓ガラスで打ったが、被害車から降りてきて反訴被告黒田に対し「おどりゃあ、どこを見とんな」と怒鳴り、反訴被告黒田はこれに謝罪した。その後、反訴原告と反訴被告黒田は、それぞれの車に乗って近くの備前警察署に行き、警察官に事故があったことを伝えた後、反訴原告の体調が思わしくなかったため、反訴原告の車で一緒に同警察署の近くの武田整形外科に行った。そこで、反訴原告は、「全治五日ぐらい」との診断を受けて、備前警察署に帰ってきたが、反訴原告は、体調不良のため、自宅に帰り、反訴被告黒田のみが同日に実況見分に立ち会った。反訴被告黒田は、同日の夜、反訴原告宅に謝罪に行ったが、反訴原告は、腰が痛いとのことであった。反訴被告黒田は、翌日も反訴原告の見舞いに行ったところ、反訴原告は、その場にはいなかったが、しばらくして自転車で帰宅したため、反訴被告黒田は、反訴原告に見舞金を交付した。
二 争点1について
1 反訴原告の既往症について
証拠(乙三〇)によれば、反訴原告は、本件事故前である平成八年六月七日に岡山協立病院で受診し、腰痛があると訴えたため、そのための治療がなされたことが認められる。
2 岡山協立病院への二回目の入院について
(一) 反訴原告は、前記のとおり、岡山協立病院において、平成八年九月二一日から同月二五日まで通院治療(実通院三日)を受け、同日から同年一〇月四日まで入院治療(一〇日間)を受け、同月五日から同月二七日まで通院治療(実通院一二日)を受け、同月二八日から同年一二月一日まで入院治療(三五日間)を受けたが、反訴被告らが本件事故との相当因果関係を争う平成八年一〇月二八日以降の入院から検討する。
(二) 証拠(乙二九、三〇)によれば、次の事実が認められる。
反訴原告は、前記岡山協立病院を退院後、午後は仕事をし、一心堂病院に通院し、痛み止め、湿布の処方をしてもらっていたが、右腰から足先にかけて痛みが増強してきたため、同病院の紹介により、平成八年一〇月二八日から岡山協立病院へ入院することになった。
反訴原告は、同病院へ入院中、胃の痛みも訴え、胃潰瘍のための処方を受けることになったが、その後も腰部の痛みは治まらず、外出しては飲酒したりして気を紛らわしていたところ、同年一一月一四日から同病院のペインクリニックで受診することになり、痛みの軽減のためにブロック注射を受けるなどの治療を受けた。なお、反訴原告は、同年一二月一日に同病院を退院した。
(三) 右(二)認定の事実によれば、反訴原告の岡山協立病院への入院中には、胃潰瘍の治療の部分もあり、右治療については本件事故との間に相当因果関係はないと考えられるが、全体として、反訴原告の腰部の痛みの治療のために右入院は必要であったと認められ、また、右の腰部の痛みは反訴原告の既往症からのみ来ているものと即断することもできないから、右入院及び腰痛等の治療と本件事故との間に相当因果関係が認められる。
3 長島病院への入院について
(一) 証拠(乙三〇、三一、三五)によれば、次の事実が認められる。
反訴原告は、前記岡山協立病院を退院後も同病院に通院していたが、平成八年一二月四日に再び腰痛を訴え、同病院で要入院の診断を受けて、同月七日から長島病院に入院したところ、その後、胃の痛みを訴え、肝臓食を与えられたりもしたが、腰痛や下肢の痛みも持続し、その痛みの緩和のための治療を受けていた。しかし、平成九年一月二六日以降は特段の治療を受けることなく外出も重ねていたところ、同年二月三日、同病院を退院した。なお、反訴原告は、長島病院に入院中も岡山協立病院のペインクリニックにおいて痛み止めのためにブロック注射の処方を受けていた。
(二) 右(一)認定の事実によれば、反訴原告の同病院への入院中には、胃の痛みの治療部分もあるが、全体として、腰痛や下肢の痛みの治療のために、少なくとも平成九年一月二五日までは入院を要したと認められ、また、右腰痛等が前記反訴原告の既往症からのみ来ているものと即断することもできないから、右時期までの入院及び腰痛等の治療と本件事故との間に相当因果関係が認められる。
4 平成九年二月以降の岡山協立病院での治療について
証拠(乙一八、一九、二二、三一、証人武田明)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(一) 反訴原告は、長島病院を退院した後、岡山協立病院のペインクリニックにおいて、主に腰部及び頸部の痛み止めのためにブロック注射等を受ける治療を継続した。その回数は、平成九年二月に五回、三月に七回、四月に七回、五月に五回、六月に六回、七月に五回、八月に五回、九月に五回、一〇月に五回、一一月に四回、一二月に五回、平成一〇年一月に四回、二月に四回、三月に四回であり、その後も少なくとも同年一〇月まで同様の治療を受けていた。
(二) 反訴原告が右の治療を受けていたのは、反訴原告が反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)に罹患しているためであった。RSDは、古くは一八六四年のアメリカにおける南北戦争時代に唱えられた病気であるが、日本でも最近になって痛みに対する処方として認知されてきた。RSDは、腰部打撲のように肉体に外力が加わった場合に、患者の素因によって、右外力を受けた部位に関係する交感神経に異常を来す病気で、痛みやしびれのほか異常発汗が見られ、他覚的にも診断できるものである。そして、反訴原告の症状にも、右のような他覚的所見が見られた。
(三) 反訴原告の症状は、前記のとおりブロック注射等を受けることにより、一時的に痛みが軽減される一方、注射をするたびに少しずつ症状が改善されていったが、平成一〇年三月二四日には、右注射の処方も対症療法の域となり、症状固定するに至った。
(四) 前記一認定の本件事故及びその後の経緯並びに右(一)ないし(三)認定の事実によれば、反訴原告のRSDの症状は、本件事故によって反訴原告が腰部に打撲を受けたことが引き金になって発症したと認められ、右症状固定の日までの症状、治療と本件事故との間に相当因果関係を認めるのが相当である。しかし、腰部の打撲とRSDの発症との間には、前記のとおり、患者の素因が介在しているといわざるを得ないことから、後記反訴原告の損害認定に際しては、その損害の全部を反訴被告らに負担させるのは衡平を欠くというべきであり、一定の割合で過失相殺の法理を適用するのが相当である。
三 争点2(後遺障害の有無)について
証拠(乙一八、一九、二二、三六、証人武田明、反訴原告本人)によれば、反訴原告の症状固定時の症状は、前記RSDの症状であって、腰痛、両下肢のしびれ、下半身の発汗過多、右肩痛があり、重い荷物を持ったりしない方がよいし、デスクワークも長時間は無理であるが、通院は可能であって、歩行や車の運転はできる状態であったこと、RSDの予後は必ずしもよくないことが認められる。
右事実によれば、反訴原告は、神経系統の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限された状態にある(後遺障害第九級相当)と認めるのが相当である。
四 争点3(損害額)
前記二、三の認定・判断に基づいて判断する。
1 岡山協立病院の治療費・一万三三九〇円
証拠(甲三の1、4、6、9、11、13、15、18)によれば、反訴原告の岡山協立病院における治療費のうち、労働基準監督署から支払われていない残額は一万三三九〇円であると認められる。
2 長島病院の治療費・一一〇万二三一〇円
証拠(乙四の1、五の1、六、三九)によれば、反訴原告の長島病院における治療費として一一〇万二三一〇円が認められる。
3 交通費
反訴原告は、自宅から岡山協立病院までの通院費としてバス代、路面電車代を請求しているが、反訴原告が右バス及び路面電車を利用して通院したことを認めるに足りる証拠はない(自家用車で通院したとすれば、その実費の立証がない。)。
4 入院雑費・一三万三〇〇〇円
岡山協立病院での平成八年九月二五日から同年一〇月四日までの一〇日間、同月二八日から同年一二月一日までの三五日間、長島病院での同月七日から平成九年一月二五日まで(前記二3参照)の五〇日間の合計九五日間について、一日当たり一四〇〇円の入院雑費を認めるのが相当である。
5 休業損害等・一〇三四万円
(一) 証拠(甲六、乙七の1、2、八の1、2、九ないし一二、一四、一五、二五、反訴原告本人)によれば、次の事実が認められる。
反訴原告は、本件事故当時、土建や造園の仕事をしている株式会社たけうち及び葬式の業務を行う株式会社備葬社の各取締役をしており、それぞれ反訴原告が現場の指揮を取ったり、自ら稼働して、本件事故前三か月の間、株式会社たけうちから月額六〇万円、株式会社備葬社から月額三〇万円の収入を得ていた。また、反訴原告は、フラワーショップタケウチを経営して生花・植木の販売を行っていたが、仕入れ、従業員への給与支払等の経費を差し引いた利益は月額四万円である(同額を越える部分については、乙九、一〇も裏付けの資料がなく採用できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。)。
そうすると、反訴原告は、本件事故当時、月額九四万円の収入があったと認められる(反訴被告らは、反訴原告の収入には取締役としての役員報酬部分があると主張するが、前認定のとおり、反訴原告が自ら稼働したことによる労働の対価と認めるのが相当である。)。
(二) そこで、右収入を前提として、反訴原告の休業損害を算定する。
前記のとおり、反訴原告が長島病院での入院が必要であったと認めた平成九年一月二五日までの四か月余りの期間は、一〇〇パーセントの休業損害を認めるのが相当である。その額は、三七六万円となる。
その後、症状固定日までの一四か月の期間は、反訴原告が岡山協立病院へ通院できていたこと、その期間の反訴原告のRSDの症状は、反訴原告の素因にも基づくことを考慮すれば、五〇パーセントの休業損害を認めるのが相当である。その額は、六五八万円となる。
(三) 反訴原告本人は、フラワーショップタケウチの生花等への水補給等の手入れは反訴原告でなければできないものであるが、本件事故により右水補給ができなくなったため、生花等が売り物にならなくなったと供述し、証拠(乙一六、一七)を提出している。しかし、生花等への水補給が反訴原告のみしかできないということもにわかに措信し難い上、証拠(反訴原告本人)によれば、フラワーショップタケウチにはアルバイトの従業員がいたこと、反訴原告の長女も働いていたことが認められるから、右従業員らが生花等の手入れをし、販売もできたと考えられ、生花等の販売ができなかったことを直ちに反訴原告の損害と認めることはできない(いずれにしても、別紙「植木生花の損害」記載の損害額を裏付ける証拠はないので、損害の査定はできない。)。
6 後遺症逸失利益・一四八七万二三一三円
前記三のとおり、反訴原告の後遺障害等級は九級(労働能力喪失率三五パーセント)と認められるところ、RSDの予後が必ずしもよくないことを考慮すれば、反訴原告は、症状固定日(満五六歳)から満六七歳まで労働能力を三五パーセント喪失したものと認めるのが相当である。
しかし、前記のとおり、反訴原告のRSDの罹患が反訴原告の素因にも基づくことを考慮すれば、過失相殺の法理により、その損害の五〇パーセントを反訴被告らに請求できると解するのが相当である。
なお、中間利息の控除につきライプニッツ係数を採用する。
そうすると、後遺症逸失利益は、次のとおり一四八七万二三一三円と認められる。
94万円×12×0.35×0.5×(9.3935-1.8594)=1487万2313円
7 入通院慰謝料・二二〇万円
前記認定の反訴原告の症状固定日までの入院期間、通院期間等を考慮すれば、入通院慰謝料は二二〇万円が相当である。
8 後遺症慰謝料・六四〇万円
前記認定の後遺障害等級等を考慮すれば、後遺症慰謝料は六四〇万円が相当である。
五 争点4(損害填補)について
1 反訴原告は、休業損害給付金(休業期間・平成八年九月二〇日から平成九年一一月三〇日)として六七九万二九六八円の支給を受けている(甲八)から右額は、反訴原告の前記休業損害金から損害填補として控除されるべきである。
2 反訴原告は、休業損害給付金(休業期間・平成九年一二月一日から平成一〇年九月七日)として三二九万八六五九円の支給を受けている(甲一六)ところ、当裁判所が認定した反訴原告の休業期間は、平成一〇年三月二四日までであるから、右支給金額を同日まで日割計算をした一三三万八二四六円について、反訴原告の前記休業損害金から損害填補として控除されるべきである。
3 反訴原告は、障害補償給付金七七二万六九四二円の支給を受けている(甲一六)から、右額は、反訴原告の後遺症逸失利益から控除されるべきである。
4 右労災給付金の損害填補額合計は一五八五万八一五六円となる。
六 まとめ
1 以上、反訴原告の損害合計は三五〇六万一〇一三円となるところ、これから既払額五〇万円及び労災給付金一五八五万八一五六円を控除すると残額は一八七〇万二八五七円である。
2 右認容額及び本件訴訟の経緯等を考慮すると、弁護士費用として一八〇万円を認めるのが相当である。
3 したがって、反訴原告の反訴請求は、二〇五〇万二八五七円及びこれに対する本件事故の日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余の部分は理由がない。
第四結論
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 塚本伊平)