大判例

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岡山地方裁判所 昭和24年(行)35号 判決

原告 宇野春夫

被告 岡山税務署長

一、主  文

原告の訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、請求の趣旨

原告訴訟代理人は、被告が原告の昭和二十二年度の所得金額を金参拾万円、所得税額を拾六万五千百参拾円と定めた決定は之を取消す、訴訟費用は被告の負担とする旨の判決を求めた。

三、事  実

(一)  原告は岡山税務署より昭和二十二年十二月十五日付予定納税額更正(決定)通知書を以て更正額参拾万円、予定納税額拾六万五千百参拾円の更正通知を同年同月二十日頃受けたが右更正額が不当なので昭和二十三年一月十五日審査の請求をしたのにかかわらず今日に至るまで何等の審査決定をしない。

(二)  原告が肩書地において旅館営業をしていた期間は昭和二十二年十二月八日営業を始め同年十二月三十一日までの二十三日間でその間の総收入は六千六百円であつてこれに要した支出は七千四百五拾五円に上りなお招待費(開店に付て業者並びに関係者を招待した費用)五千円を費し差引五千八百五拾五円の損失をしている。

(三)  原告は旅館営業のかたわら「ダンスホール」を経営したが昭和二十一年十一月十八日英印軍により接收せられ該接收は昭和二十二年二月二十日解除され右接收解除通知書を昭和二十二年三月三日受領し、原告が右「ダンスホール」営業を開始したのは昭和二十二年四月一日から同年十二月三十一日までの期間でその間の総收入参拾五万参千八百弐拾六円弐拾五銭であるのに対し支出は(イ)入場税参万八千五百五拾弐円五拾銭、(ロ)チケツト拾万四千弐百六拾六円弐拾五銭、(ハ)ダンサー拂戻金七万八百九拾七円、合計弐拾壱万参千七百拾五円七拾五銭で原告の收入金は拾四万百拾円五拾銭となりなお原告は経営費として弐拾六万千百七拾六円八拾銭の支拂いを要したから、これが收入金より右支拂金を控除すると拾弐万千六拾六円参拾銭(訴状に拾弍万千六拾壱円八拾銭とあるのは拾弍万千六拾六円参拾銭の誤記と認む)の損失となり更に前記旅館営業による損失五千八百五拾五円を加算するときは拾弍万六千九百弍拾壱円参拾銭(訴状に拾弍万六千九百拾六円八拾銭とあるは拾弍万六千九百弍拾壱円参拾銭の誤記と認む)の損失となり被告の爲した前記所得税の更正決定は不当であるからこれが取消を求めるため本訴請求に及んだと陳述したる上被告の出訴期間経過の主張に対し行政事件訴訟特例法に定めてある期間は出訴者の権利であつて義務ではないから六箇月以上経過するも適法である旨付陳した。(立証省略)

被告訴訟代理人は本案前の答弁として、主文第一、二項同旨の判決を求めその理由として、(一)原告は被告岡山税務署長のなした昭和二十二年度所得税賦課処分を不当としてこれが取消を求めるため本訴を提起したもののようであるが、かくの如く行政廳である岡山税務署長のなした賦課処分の取消しを求める訴は所得税法第五十一條第二項、行政事件訴訟特例法第二條の規定により所轄廣島国税局長(当時は廣島財務局長)に審査の請求を爲し、其の決定を経た後か、もしくは審査の請求をしてから其の決定がなくても三箇月を経た後でなければ出訴することができないのであつて、原告は被告岡山税務署長のなした昭和二十二年度所得税賦課処分に対して適法な審査の請求をしていないものでありもち論その決定も存しないのであるから本訴は訴訟要件を欠く不適法な訴として却下さるべきものである。(二)原告は被告岡山税務署長のなした昭和二十二年度所得税賦課処分を不当として、これが取消を求めるため、本訴を提起したもののようであるがかゝる行政廳の処分を不当として出訴するには行政事件訴訟特例法第五條第一、二項により処分のあつたことを知つた日から六箇月以内に訴を提起しなければならないのであるが本訴の提起は六箇月を遙かに経過した昭和二十四年八月二十九日であるから本訴は不適法として却下さるべきものであると述べ、本案の答弁として、原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする、との判決を求め原告主張の請求原因事実中被告岡山税務署長が原告主張の如く昭和二十二年度分所得税賦課処分を原告に対しなしたことは認めるがその余の事実は爭う旨陳述した。(立証省略)

四、理  由

先ず被告の本案前の答弁につき按ずるに原告が岡山税務署から昭和二十二年十二月十五日附予定納税額更正(決定)通知書により更正額参拾万円、予定納税額拾六万五千百参拾円の更正(決定)通知を受けたことは当事者間に爭いなく、しかして証人山本進の証言によれば原告は右更正(決定)通知を昭和二十二年十二月十五日受領しその後一月内の昭和二十三年一月十五日該更正(決定)に対し審査の請求をしたことを認め得べく他に右認定をくつがへすに足る証拠はない。しかりしかして本件につき審査請求に対する決定のないことは当事者間に爭のないところであるから原告は行政事件訴訟特例法第五條の趣旨に從い右審査の請求をした昭和二十三年一月十五日の翌日から起算して三箇月を経過した昭和二十三年四月十六日から六箇月以内に訴を提起すべきものなるところ原告が本訴を提起した日は本件訴状に押なつの受付日付印により昭和二十四年八月二十九日なることを明認し得るから原告の本訴は出訴期間を経過した不適法のものと謂はなければならない。右に反する出訴期間に関する原告の見解は採用しない。被告の本案前の答弁は理由がある。果してしからば本訴はこれを不適法として却下すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九條を適用し主文の通り判決する。

(裁判官 中島貢 菅納新太郎 辻川利正)

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