岡山地方裁判所 昭和26年(ヨ)151号 決定
申請人 片山滝男 外二〇名
被申請人 品川白煉瓦株式会社
一、保証 無保証
二、主 文
被申請人が昭和二十五年七月二十九日なした申請人Bに対する解職及びその他の申請人等に対する懲戒解雇の各意思表示はいずれもその効力を停止する。
申請費用は被申請人の負担とする。
三、事実及び理由
申請代理人は、主文第一、二項同旨の裁判を求め、その理由として、申請人等はいずれも被申請人に雇われている従業員であつて、被申請人の従業員をもつて組織している品川白煉瓦株式会社岡山工場労働組合(以下組合と略称する。)の組合員である。組合は昭和二十五年初頃から、被申請人に対し、賃金制度の改正を要求して団体交渉を行つたが妥当に至らず、同年四月十九日からストライキを含む争議行為に入つた。
そして同年六月十九日に至つて漸く争議の解決をみるに至つたのであるが、その際被申請人は組合に対し、争議を理由としての解雇者は出さぬと言明しながら、同年七月二十九日右争議の指導的分子であつた被申請人等に争議中就業規則違反の行為があるとし、その事由をもつて主文第一項掲記の解雇並に解職の処分をした。しかしながら右処分は被申請人において申請人等が右争議の前及び争議中を通じ叙上争議行為等の正当な組合活動をしたことの故をもつてなした不当労働行為であつて、その効力を生ずることは許されないものといわなければならない。申請人等は岡山県地方労働委員会(以下地労委と略称する。)に提訴してその違法を争つた結果約一ヵ年半に亘る調査審問等の手続を経て、地労委は昭和二十六年十一月二十日申請人等の申立を認容し右解雇並に解職処分の取消等の命令を発し、右命令書の写は即日被申請人に交付されその効力を生じたのである。しかるに被申請人は当初右命令に従い一時申請人等を就労させながら、中途該命令に対し、中央労働委員会に再審査の申立をしたからといつて、何等正当の理由もないのにこれに従わず申請人等の工場立入を禁止し、就労を拒否している。そこで申請人等は御庁に対し本件解雇並に解職処分の無効確認の訴を提起する準備をしているが、既に約一ヵ年半を地労委において争い、さらに本案訴訟の確定を待つ場合は、申請人等の家庭生活はさらに一層の困窮を来し、肉体的精神的に回復し難い損害を蒙る実情にあるので、とりあえず、叙上解雇並に解職処分の効力の停止を求めるため、本件仮処分の申請に及んだと述べた。
申請人等提出の各疎明資料に申請人A審尋の結果を綜合すると一応申請人等主張の事実関係を認めることができる。被申請人代表者a審尋の結果によつても右認定を覆すことができない。しかして、該事実に基く申請人等の本件仮処分の申請は理由があるのでこれを認容し、申請費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十五条を適用して主文の通り決定する。
(裁判官 井上開了 菅納新太郎 辻川和正)