大判例

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岡山地方裁判所 昭和43年(ワ)541号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、原告主張の日時場所で訴外長坂信義の運転する自動二輪車と、被告戸田鉄之助の運転する普通貨物四輪自動車とが衝突し、その結果、右訴外信義が死亡したこと、ならびに原告長坂茂平治が右訴外人の父、同長坂芳子がその母であつて訴外信義の遺産を法定の相続分に応じて相続したこと、被告国は被告戸田の運転していた本件加害自動車の所有者であつて、これを運行の用に供しており、本件事故は被告国のための運行の際に起きたものであることはいずれも当事者間に争いがない。

二、そこで本件事故発生につき被告戸田に過失があつたか否かについて判断する。

本件事故につき前記争いのない事実と<証拠>を綜合すると次の事実を認めることができ、この認定を覆えすに足る証拠はない。

本件事故現場は、高知県高岡郡越知町野老山国鉄バス停留所付近の国道三三号線路上であり、該道路現場付近で北に向かつて右にカーブはしているが、カーブ内側には障害物はなく、いずれの方向からも見透しの良い幅員約7.5メートル、中央にセンターラインがひかれているアスフアルト舗装道路であるところ、被告戸田は時速約四〇キロメートルで、右国道を南から北へ向けて進行中、本件事故現場付近手前で訴外信義の友人訴外梶田素積の運転する二人乗りの自動二輪車がセンターラインに寄りすぎて、かなりの高速度で対向してきたので危険を感じ、これを避けるため、とつさに左にハンドルを切つて、車を左側に寄せるとともに、ブレーキを踏んで減速した状態の直後、自車進行道路と進行方向左側で交差する幅員二メートルの道路の交叉点付近で、訴外信義が運転し、訴外足達進が後部に同乗する自動二輪車が前方から対向して前車と同じように高速度でセンターライン付近を曲り切れずに被告戸田の運転する自動車の方へ向けて走行してくるのを認め、被告戸田はすかさず急ブレーキを踏んで停車せんとした。訴外信義は、運転していた自動二輪車のカーブに対する速度が早すぎて容易には曲り切れないところに二人乗りで安定性を欠いてり、曲ろうと思う余り自動二輪車を進行お方向左側にあまりにもバンクを取りすぎたため、左側ステップおよびスタンド部分が路面に接触して路面をこするようになり全くハンドルがきかない横すべりの状態のままセンターラインを越えて対向車線の中央付近まで突進し、道路左側から三、四〇センチメートルの位置まで避譲して停車しようとした被告戸田の車両の右前部に激突し、約6.3メートル逆に押し飛ばされた。

右認定事実によれば、本件事故は、訴外信義のカーブに対する速度調整運転操作を誤つたという一方的過失によつて惹起せしめられたものというべく、被告戸田には対向車両がセンターラインを越えて突進してくることを予測してあらかじめ停車その他の回避措置をとるべき義務があるとはなしがたく、その他なんら責むべき過失はないと言わざるをえない。

三、さらに<証拠>によれば、本件事故直前まで被告戸田の自動車にはなんら機能上の障害、構造上の欠陥はなく、また被告国についても運行に関して注意を怠らなかつたと認められ、右認定に反する証拠はない。

四、以上の次第で、原告らの被告戸田に対する本訴請求は請求原因事実の証明がなく、また被告国に対する本訴請求は被告国の抗弁事実を認めることができるので、爾余の点を判断するまでもなく、いずれも失当として棄却すべきものである。(裾分一立 東条敬 佐々木一彦)

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