岡山地方裁判所 昭和53年(ワ)430号 判決 1981年1月27日
原告
林美貴子
ほか三名
被告
インターナヨナル宣伝株式会社
ほか一名
主文
被告らは各自原告林美貴子に対し金四四一万一〇〇四円とうち四〇一万一〇〇四円につき、その余の原告ら三名に対し各金二九四万六六九円とうち二六七万四〇〇二円につき、それぞれ昭和五三年七月二三日から各完済まで年五分の割合による金員を各支払え。
原告らのその余の請求を棄却する。
訴訟費用は三分し、その一を原告らの、その余を被告らの各負担とする。
この判決は原告ら勝訴部分に限り仮に執行できる。
事実
原告ら訴訟代理人は「被告らは各自原告美貴子に対し金六六〇万円とうち六〇〇万円につき、その余の原告らに対し各金四四〇万円とうち四〇〇万円につきそれぞれ昭和五三年七月二三日から各完済まで年五分の割合による金員を各支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決及び仮執行の宣言を求め、その請求原因として別紙一、被告らの主張に対し別紙二のとおり述べた。〔証拠関係略〕
被告ら訴訟代理人は「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求め、答弁として別紙三、四のとおり述べた。〔証拠関係略〕
理由
一 原告ら主張の日時、場所において東進してきた被告車が右国道を右折中、対向車両の右側を西進中の亡林義定運転の被害車と衝突したことについては当事者間に争いがない。
二 右争いない事実に、成立に争いない甲第七号証、原本の存在、成立に争いない甲第二号証、被告新美本人尋問の結果により成立が認められる乙第四号証及び原告林美貴子、同淳一、被告新美各本人尋問の結果(但し被告新美についてはその一部)を総合すると、本件事故現場は東西に通ずる各一車線の国道南側、両備バス株式会社倉敷営業所前の路上であり、当時交通が渋滞し右西行車両が数珠つなぎとなつていたこと、被告新美は被告車(普通乗用自動車)を運転して右国道を東進し、右両備バス営業所に立寄るべく右折信号を出し、右東行車線の中央線寄りに停車して対向直進車の進行のとぎれるのを待つていたところ、偶々対向の大型貨物自動車が停車して被告車に進路を譲つて呉れたこと、そこで被告新美は被告車を右折発進させ、右営業所構内に進入すべく、西行車線を横断進行中、右貨物自動車の左側を西進してきた被告車(自動二輪車)が右車両の影より前方に出てきたのを発見したが、これを避ける間もなく、被告車の前部が被害車に衝突し、右車両は前方に転倒したこと、一方亡林義定は右被害車を運転し、本件道路の西行車線の東側帯を進行中であつたが、当時右側同車線上は西行車両が数珠つなぎの状態にあり、特に被告車は前記大型貨物自動車のため全く見えなかつたこと、右義定は右転倒により頭部打撲、頸部捻挫等の傷害を負つたことが認められ、被告新美本人尋問の結果中右認定に反する部分は弁論の全趣旨に照らしこれを信用し難く、他に右認定に反する証拠はない。
右認定事実によれば、被告車は右道路状況の下に対向停止車の前部を右折進行するについては、見通しのできない右車両の左後方より進行して来る単車等のあることは十分予測され、かつ右折車は右直進車の正常な交通を妨害してはならないのであるから、被告新美は右車両の有無を十分確かめ、右進路妨害とならないよう安全運転をなすべき業務上の注意義務があるところ、同被告には右注意義務を尽くさなかつた過失のあることは明らかである。
一方亡義定についても右車側帯を進行するについて、交差点等当然に右折、横断車等の予想される場所ではないけれども、渋滞車が進路を譲つて他の車両に右折横断させ、或いは歩行者がその間を縫つて横断する例もあるから、なお見通しの悪い前方及び右方に対する注意を怠ることなく安全な速度と方法によつて進行すべき注意義務を負うところ、右注意義務を欠いたところに一端の責任なしとしない。そこで以上一切の事情を考慮し双方の過失の程度を斟酌するときは、同被告七、亡義定三の割合とするを相当とし、原告らにつき被害者側の過失として後記過失相殺をなすこととする。
よつて被告新美につき本件事故に対する不法行為責任が、また被告会社については同被告が被告新美の使用者であることは当事者間に争いがないところ、被告新美本人尋問の結果によると、同被告が当時被告会社の業務のため被告車を運転中であつたことが認められるから、右使用者責任がそれぞれ肯定される。
三 成立に争いない甲第三号証及び証人延藤栄男の証言によると、義定は昭和五〇年七月一九日神経性食欲欠乏症に肺炎を併発して死亡したことが認められるが、右死亡の結果と本件事故との因果関係につき争いがあるので、以下検討する。
前掲甲第二、第三号証に、成立に争いのない甲第八号証の一ないし三、第九号証の一、二、原告林淳一本人尋問の結果により成立が認められる甲第一〇号証の一ないし四及び証人岩藤隆昭、延藤栄男の各証言、原告林美貴子、同淳一各本人尋問の結果を総合すると、義定は本件転倒により後頭部を強打し(ヘルメツト着用)、右痛みを訴え、同日より松田病院に来診し、当時意識障害、嘔吐、悪心等の異常はなかつたが、両側大後頭神経圧痛、両側頸部痛、頭重感、上肢腱反射亢進があり、同年一〇月、一一月は略毎日、同一二月は三日に一回位の割合で通院治療を受けながら勤務を続けたこと(但し一部欠勤及び遅、早退あり)、しかし右症状はその後も軽快化せず翌五〇年二月ころ以降同人は食欲不振に陥つて体重が減り、家庭では頭を押えて時々寝ている状態となつたこと(その間同年二月一六日から四月二四日までは松田病院へは来診せず)、同年四月二五日義定は同病院で受診し頭痛及び悪心を訴え、更に五月一〇日ころからは頭痛著るしく、食欲障害及びめまい等の症状があり、医師は慢性硬膜下血腫を疑い、脳波の検査を行つたが正常範囲であるため、右原因を突止めるに至らなかつたこと、そのため同人は同月二二日帯江脳外科病院へ転医し、延藤医師は右症状により脳下垂体腫瘍、神経性食欲欠乏症、うつ病、内分泌障害、心因性頭痛、頸性頭痛の各疾患を疑い、翌二三日入院、治療を続けたが、頭痛、嘔吐、傾眠状態と症状は悪化し、全身状態が低下し、同年六月末には全身衰弱、意識状態混濁となり、翌七月半ばに肺炎を併発し、同月一九日死亡したことが認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
そこで以上認定事実によつて考えるに、亡義定の死亡に至る症状の経過、特に後頭部を強打し、当初著るしい症状は出なかつたが、その後半年足らずのうちに右頭部及び頸部外傷に帰因すると思われる頭痛、悪心、嘔吐等の諸症状が発現し、更にこれが悪化して全身衰弱を来し遂に肺炎を併発して死亡した転帰、原告林美貴子本人尋問の結果によつて認められる。亡義定は本件事故前は健康であつて格別体質的に右負因を考え難いこと及び証人延藤栄男の証言によつて認められる。同医師も右死因につき本件事故の可能性を否定しているものではないこと等の事実に照らし、亡義定の死亡の結果と本件事故との相当因果関係を認めるべきものと解する。
四 従つて被告新美は不法行為責任により、被告会社は使用者責任により本件事故による亡義定の死亡に至る全損害を賠償すべき義務を負うこととなるが、被告らは同人の生存中の請求損害につき消滅時効の完成を、原告らは再抗弁として自賠責保険の保険金支払による中断を主張するので判断する。
前掲亡義定の死亡の日以前の右傷害による損害分につき既に三年の時効期間を経過していることは明らかである。そして右自賠責保険金の支払をもつて当然に債務者らによる右債務の承認と解し得ないことも明白であるから右中断の主張は失当であり、少くとも亡義定の生存中の損害については時効により消滅したものである。
五 そこで以下亡義定の死亡に再づく損害について判断する。
(一) 葬儀費 三〇万円
右金額をもつて本件事故と相当因果関係のある損害と認める。
(二) 逸失利益 八八九万二〇円
亡義定は本件事故時貝原コンクリート株式会社に勤務し平均月収一六万七八七円を得ていたので、死亡時の四六才より稼働可能年限である六七才までの間生活費としてその二分の一を控除しホフマン式により右現価を計算。
16万787円×12×0.5×9.21511077=889万20円
(前掲甲第三号証、成立に争いない甲第五号証の一ないし六)
(三) 死亡慰藉料 八〇〇万円
右金額をもつて相当と認める。
以上合計額は一七一九万二〇円となるところ、前記過失相殺分三割を減ずるときは一二〇三万三〇一四円となることは計数上明らかである。
そこで弁護士費用については金一二〇万円をもつて本件事故と相当因果関係のある損害と認める。
六 原告らの身分関係については当事者間に争いがないので、原告らは亡義定の妻または子として同人の右損害賠償請求権を各相続分に応じ妻原告美貴子は金四四一万一〇〇四円(但しうち四〇万円は弁護士費用分)、他の原告らは各二九四万六六九円(但しうち二六万六六六七円は弁護士費用分)を相続承継した。
よつて被告らは各自原告美貴子に対し四四一万一〇〇四円とうち四〇一万一〇〇四円に対し、その余の原告ら三名に対し各金二九四万六六九円とうち二六七万四〇〇二円に対するいずれも右死亡の日の後である原告ら主張の昭和五三年七月二三日以降各完済まで年五分の割合による遅延損害金の支払義務を負うことは明らかである。
七 よつて原告らの本訴請求は右の限度で理由があるので認容し、その余は失当として棄却し、民事訴訟法八九条、九三条、九二条、一九六条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 川鍋正隆)
別紙一 請求の原因
一 被告新美清は、昭和四九年九月三〇日午後〇時三〇分頃、倉敷市昭和町二丁目一―五先の国道を東進して右折しようとした際、対向の車両が停止したので直ちに右折を開始したため停止した右対向車両の横を西進して来た訴外亡林義定運転の原動機付自転車に衝突した。
二 被告新美清は、前記右折の際前方及び左方の安全を確認する注意を怠つた。被告インターナシヨナル宣伝株式会社は、被告新美清の使用者である。
三 右訴外人は、本件事故によつて、後頭部打撲、右でん部打撲、左手打撲擦過傷、右関節部打撲、けいつい捻挫の傷害を蒙り、同日直ちに倉敷市鶴形一丁目三番二八号松田病院外科で治療を受け、応急手当をほどこしたが、当時外見的に重大な外傷もなく、そのまゝ帰宅して約一〇日間位家で静養しつゝ松田病院に通院した。而して、右訴外人は一時頭部のどん痛やめまい、肩こりなどの症状も軽くなつたので、再び勤務先である貝原コンクリート株式会社に家計を支えるため勤務を始め、暇を作つては松田病院に通院して、投薬加療を続けていた。しかし、昭和五〇年二月中旬頃からだんだんと頭痛、けい部痛などの痛みがはげしくなり、また目まい、吐気などの症状もひどくなつて来たので、右病院で更に各種検査を受け、通院の上安静加療を続けた。(典型的な後頭部打撲およびけいつい捻挫による後発症状の発生。)
安静加療をするとやゝ症状も軽くなることから、右同人は一家の家計を維持するため、多少の無理を押しても、右会社に勤めざるを得なかつたので(同会社は日給システムで休むと収入がなくなるため。)、同年四月末頃まで、再三の休業安静加療と通院を繰り返しながら勤務していた。ところが、前記のような症状は一進一退を繰り返しながら日増しに悪くなり、四月下旬頃からは極めて烈しい頭痛、めまいにおそわれるようになり、食欲も極度に落ちて体力が衰弱して来た。
松田病院では、諸検査を行なつたが、頭痛、けい部痛、めまいが頑固に持続することから同人に脳外科への転院をすゝめ同人は家族らと相談の上、昭和五〇年五月二二日倉敷市加須山二五六―七にある帯江脳外科、外科医院に転院するとともに、右転院を被告らに通告した。
同人は右医院に入院し、諸検査を受け、治療を続けたが、後頭部打撲、けいつい捻挫を主因とする神経性食欲欠乏症は、悪化の一途をたどり、家族の献身的な看護もむなしく、昭和五〇年七月中旬頃体力衰弱による肺炎併発を起し、同月一九日午後九時四〇分不帰の人となつた。
右直接の死因は肺炎ということになつているが、これは原因は体力衰弱による抵抗力の欠如で、右体力衰弱は、あくまで本件事故による後頭部打撲とけいつい捻挫と頑固な頭痛、めまい、吐気をともなう食欲不振によるものであり、本事故前殆んど寝たことのない働き者の右訴外人の死亡は、残された家族にとつて真に悪夢のような出来事であつた。
四 損害
(一) 積極損害 計金五四万七、五〇〇円
(1) 治療費 自賠責および健康保険にて支払済
但し、入院差額ベツド費については原告らが負担したが、現在負担額調査中。
(2) 付添費 金二、〇〇〇円×五九日=一一万八、〇〇〇円
(3) 入院諸雑費 金五〇〇円×五九日=二万九、五〇〇円
(4) 葬儀費 金四〇万円
(二) 消極損害 計金一、一六〇万一、七四八円
本件事故前の半年間の平均月収額金一六万〇、七八七円、従つて年間所得は一九二万九、四四四円
192万9,444円-(192万9,444円生活費×0.3 57才の平均余命の半数のホ系数)×8.59=1160万1,748円
(三) 慰藉料 計金九一三万三、〇〇〇円
(1) 入通院慰藉料 金一一三万三、〇〇〇円
(2) 死亡慰藉料 金八〇〇万円
以上合計金二、一二八万二、二四八円
前記訴外人の過失を若干考慮して、右の内金一、八〇〇万円を損害額とする。
(四) 弁護士費用 金一八〇万円をもつて相当とする。
五 原告林美貴子は右訴外人の妻であり、他の原告三名は右訴外人の直系卑属であり、故林義定の死亡により損害賠償請求権を相続した。
よつて、原告林美貴子に対し六六〇万円と弁護士費用を除く六〇〇万円に対する民法所定の遅延損害金を、その他の原告に対し、それぞれ金四四〇万円と同じく弁護士費用を除く各四〇〇万円に対する遅延損害金の各支払を求めるものである。
別紙二
(被告らの抗弁に対する認否)
一 被告らの別紙三第二事故状況の主張は、単に被告新美清の過失を否認しているものか、過失相殺を主張しているものか不明であるが、仮に亡義定の過失を抗弁として主張しているものであれば、右亡義定の過失の事実は争う。
二 右書面第三の時効の成立の項では亡義定の生存中の損害については既に三年が経過しているので民法第七二四条にしたがい時効で消滅したと主張されているようである。しかしながら民法第七二四条は損害および加害者を知りたるときより三年間であり、本件における損害は亡義定の死亡により始めて知り得たものであつて、死亡が昭和五〇年七月一九日であり、本訴提起が同五三年七月一八日であるから本訴提起により時効は中断した。
三 仮に生存中の損害(被告らもこのように表現しているので多分死亡による損害については時効を主張されてないと思料されるが)について、民法第七二四条にいう三年間が経過しているとしても、受傷当時予想し得なかつたような後遺症に基づく損害賠償請求権はその治療を受けるまで消滅時効は進行しないとする(最高裁判所昭和四二年七月一八日判決最高裁民集二一巻六号一五五九頁)判例を敷衍するならば、本件交通事故に基づく亡義定の死亡は受傷当時予想もし得なかつたことであり、且つ死亡という損害は正に後遺症害の最たる性質を有するものであり、少なくとも死亡による損害については、時効は完成していない。
四 又、生存中の損害についても自賠責保険より支払いを受けたことにより疑問はあるが、時効は中断したと認むべきである。消滅時効制度が権利の上に眠る者は、法の保護に値いしないという理論から認められている制度である以上、自賠責保険金の請求も、権利者による一種の権利行使であり、右受給に消滅時効中断の効果を認めるべきだと思料する。そうだとすると、昭和五一年一二月九日の受給の翌日から新たに時効期間が進行すべきところ、本訴提起により時効は中断した。
五 被告ら主張の第五自賠責保険の取扱いの項で主張している事実は争わない。従つて右の範囲で被害弁償のあつた事実を認める。
別紙三
第一 請求原因に対する認否
一項 原告ら主張の日時、場所における本件衝突は認めるが、事故状況の詳細は争う。
二項 被告会社が被告新美の使用者であることは認め、その余は否認する。
三項 死亡と事故との因果関係は否認する。その余は不知。
四項 すべて争う。
五項 身分関係のみ認め、その余は争う。
第二 事故状況
東進してきた事故車は右折すべく、停止して、右折信号を出し対向車を待つていたところ、西進中の大型貨物車が停車して進路を譲つたので、右折進行していたところ、貨物車の左側から西進してきた被害車が前方を注視せず事故車に当つてきた。
よつて、本件事故は、ひとえに亡義定の過失にもとづく。
第三 時効の成立
仮に被告新美に多少の過失ありとするも、亡義定の生存中の損害については、既に事故発生より四年弱の年月が経過しており、本件事故後民法七二四条にしたがい三年の経過をもつて時効消滅している。
第四 死亡との因果関係なし
亡義定は、本件事故前から松田病院で治療を受けていたと聞いているし、事故自体軽微なもので、すりきず程度であつたし(事実、勤務を続け、治療には一時間外出した程度)、その年令、病歴からして事故とは関係なく死亡したものである。なお、同人は被告らに対し、示談などいらんと言明していたもので、本訴提起についても、事前に何らの要求もなく寝耳に水であつた。
第五 自賠責保険の取り扱い
自賠責保険については、故人および相続人代理人林淳一の請求により、
治療費など 四、二〇〇円
文書料 一、六二〇円
休業損害 七万五、〇〇〇円
慰藉料 二〇万四、〇〇〇円
の合計金二八万四、八二〇円がそのうち、金一〇万円については、昭和五〇年七月八日、故人に、そのうち、金一八万四、八二〇円については、昭和五一年一二月九日、林淳一にそれぞれ支払われた。自賠責ではいずれも故人の「傷害」による保険金の支払いを認め、「死亡」によるそれは認めていない。
別紙四
昭和四九年九月三〇日発生の交通事故(以下本件事故と称す)と亡義定の死亡とは法律上の相当因果関係は全くない。
加害車は交差点を徐行しながら発進したところで速度は出ておらず(乙第四号証)、被害車(乙第六号証)と加害車(乙第七号証)の接触は、極く軽微なものであつた。
事故直後の被害車両には、肉眼で確認できるような損傷すらない。その修理費もわずか金一万二、八〇〇円と見積もられているにすぎない(乙第五号証)。
事実、事故後も、原告は元気に勤務を続けていた。医学上も、原告の死因は、肺炎と明確にされており、被告らが原告の死について責任を問われるゆえんは全くない。