広島地方裁判所 平成6年(わ)13号 判決 1994年5月31日
本店所在地
広島市中区土橋町二番四〇号
株式会社
ダイケンクロレラ
右代表者
大久保健二
本籍
広島市南区皆実町四丁目八五一番地
住居
同市西区己斐中町三丁目八番一六号
会社役員
大久保健二
昭和一五年九月二八日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官上田高広出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
一 被告人株式会社ダイケンクロレラを罰金一六〇〇万円に、被告人大久保健二を懲役一年二月にそれぞれ処する。
二 被告人大久保健二に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社ダイケンクロレラ(平成三年八月二六日の商号変更前は中国クロレラ食品株式会社(以下「被告会社」という。))は、広島市中区土橋町二番四〇号に本店を置き、健康食品の販売等を業とする会社、被告人大久保健二は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人大久保は、被告会社の法人税を免れようと企て、その会社の業務に関し、架空の経費を計上し、雑収入の一部を除外するなどの方法により所得を隠匿した上、
第一 平成二年八月二一日から平成三年八月二〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が九八四八万〇八三五円で、これに対する法人税額が三六〇三万六〇〇〇円であったにもかかわらず、平成三年一〇月二一日、広島市西区観音新町一丁目一七番三号所在の所轄広島西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四三四一万八一〇三円で、これに対する法人税額が一五三八万七七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額二〇六四万八三〇〇円の法人税を免れ、
第二 平成三年八月二一日から平成四年八月二〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が二億二〇五五万七三一九円で、これに対する法人税額が八一五九万八四〇〇円であったにもかかわらず、平成四年一〇月二〇日、前記広島西税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八〇八三万五九五八円で、これに対する法人税額が二九二〇万二七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額五二三九万五七〇〇円の法人税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人大久保健二の当公判廷における供述
一 被告人大久保健二の検察官に対する供述調書(検30号)
一 被告人大久保健二の大蔵事務官に対する質問てん末書六通(検31ないし36号)
一 伊豆本敏朗(検18号)、枝吉光功(検19号)、藤井美枝子(検20号)、狩野美代子(検21号)、木村重治(検22号)、福田秀雄(検23号)、並川義彦(検24号)、尾山正明(検25号)及び若林和芳(検26号)の検察官に対する各供述調書
一 敷地光則(検27号)及び寺越愼一(検28号)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の広告宣伝費調査書(検1号)、紹介手数料調査書(検2号)、役員報酬調査書(検3号)、修繕費調査書(検4号)、接待交際費調査書(検5号)、管理諸費調査諸(検6号)、受取利息割引料調査書(検7号)、雑収入調査書(検8号)、雑損失調査書(検9号)、交際費損金不算入額調査書(検10号)及び事業税認定損調査書(検11号)
一 検察官作成の捜査報告書二通(検12、13号)
一 検察事務官作成の捜査状況報告書(検17号)
一 登記簿謄本(検39号)
判示第一の事実について
一 押収してある法人税確定申告書(平成六年押第二七号の1)
判示第二の事実について
一 押収してある法人税確定申告書(同押号の2)
(法令の適用)
一 被告人株式会社ダイケンクロレラについて
1 罰条
いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
2 併合罪の処理
刑法四五条前段、四八条二項
二 被告人大久保健二について
1 罰条
いずれも法人税法一五九条一項(懲役刑を選択)
2 併合罪の処理
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)
3 刑の執行猶予
刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 野島香苗)