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広島地方裁判所 昭和39年(行ウ)32号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕……を綜合すると、甲山町東地区は従来公認の保育所である宝性寺保育園と、無認可で保育所と同種の児童保育を行う双葉園が存し、両園の間で児童の奪い合い等の紛争が絶えなかつたので、甲山町は住民の要望もあつて同地区中央部に町立の保育所を設置することを計画し、昭和三七年頃から宝性寺保育園、双葉園の各関係者らと協議を重ねてきたが、容易に協議が調わないので、保育所の設置は将来のこととしてひとまず児童福祉法第四〇条の児童厚生施設として町立児童館を設立することとし、被告町長は昭和三九年二月七日広島県知事に対し右設立認可申請をなすとともに町議会の議決(甲山町厚生施設々置条例、昭和三九年度児童館にかんする予算書)をえて、その準備をすすめ、同年六月五日付で県知事の認可を受け、その頃本件児童館を開館したところ、昭和四〇年一月頃宝性寺保育園の園児(当時約三〇名)が同園を一斉退園して児童館に入館したこと、右児童館の運営は児童に給食を提供しない等若干の相違を除いて、略保育所と同様になされているものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。ところで、保育所と児童厚生施設は目的、趣旨を異にし(児童福祉法第三九、四〇条参照)、両施設が同一地区に併存することは、児童福祉のためむしろ望ましいことであり、本件児童館が宝性寺保育園と同一地区の住民を対象として設置されたということだけでは前示右設置に至つた過程、動機を考慮しても右が違法であり、その設備費等の支出が違法支出であるとは解しえず、また児童館の運営が保育所の運営と類似したとしてもこれが児童の福祉増進のために有益なものである限り、直ちにこれを違法視することはできない。もつとも、証人岡田了憲、堀健太郎の各証言によると、前示宝性寺保育園を一斉退園した児童はすべていわゆる措置児(児童福祉法第二四条参照)であつたが、被告町長はこれら児童につき措置すべき事由が存するのに措置児として取扱わないこととして本件児童館に入館させたことが認められ、右に反する証拠はない。しかし、右各証言及び弁論の全趣旨によると、右一斉退園について一部甲山町の議員あるいは双葉園の関係者らが前示措置児の父兄らに働きかけ同園退園、児童館入館を策し、あるいは父兄間の感情的もつれ等もあつて、前示措置児らが町の勧告にもかかわらず宝性寺保育園に通園しなくなつたことが認められる。そうすると、右策動等が宝性寺保育園の業務を妨害したこととなるか否かは別として、前示被告町長の措置は、児童の保護という見地からやむをえないものであつたと認められ、児童福祉法第二四条但書の規定のやむを得ない事由に該当するものとして違法であるとは解しがたい。(長谷川茂治 雑賀飛竜 河村直樹)

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