大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。
官報全文検索 KANPO.ORG
月額980円・今日から使える・メール通知機能・弁護士に必須
AD

広島地方裁判所 昭和43年(モ)445号 決定 1968年4月06日

原告 阿藤周平 外三名

被告 吉岡晃

被審人 広島刑務所長

決  定

原告 阿藤周平 外三名

被告 吉岡晃

右当事者間の昭和三〇年(ワ)第一一二号名誉回復請求事件につき原告から、被告および広島刑務所長に対し、各その所持する

「昭和四〇年八月三一日以降に被告が作成した最高裁判所、広島高等裁判所、広島地方裁判所、広島高等検察庁、弁護士原田香留夫、佐々木哲蔵宛のいわゆる八海事件について原告等が共犯者である旨の被告の供述、証言が虚偽であり右事件は被告の単独犯行である旨の上申書、信書もしくは右に類する文書」の提出命令申立があつたので、当裁判所は、当事者及び広島刑務所長を審尋した上、次のとおり決定する。

主文

本件申立をいずれも却下する。

理由

被告が原告等申立にかかる文書を所持していることを認むべき証拠はない。

審尋の結果により、広島刑務所長が別紙目録記載の文書を所持しており、右各文書には、被告が、いわゆる八海事件が自己の単独犯行である旨を記載してあることを推知しうる。そこで、右各文書が、原告等主張の民事訴訟法第三一二条第三号の「文書が挙証者の利益のために作成された」ものであるかどうかであるが、右規定にいう挙証者の利益のために作成された文書とは、その文書により挙証者の地位、権利、権限が直接明らかにされるものを指すと解すべきであり(大阪高等裁判所昭和四〇年九月二八日昭和四〇年(ラ)第一五五号事件決定、判例特報四三四号四一頁参照)前掲各文書に八海事件が原告等の犯行でない旨の記載であつても、右により原告等の地位、権利、権限が直接明らかにされるものとは認めがたく、したがつて、原告等は右各文書の提出申立権を有しないものというべきである。

よって主文のとおり決定する。

(裁判官 長谷川茂治 荻田健治郎 篠森真之)

別紙目録<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例