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広島地方裁判所 昭和44年(行ク)11号 決定 1969年10月11日

申請人 広島緑地建設株式会社

被申請人 国

訴訟代理人 平山勝信 外一名

主文

本件申請をいずれも却下する。

申請費用は申請人の負担とする。

理由

一、申請の趣旨および理由

別紙のとおり。

二、当裁判所の判断

(一)  <証拠省略>と手続の全趣旨によれば、被申請人が申請人に対し、申請人主張の土地上に存在する物件を国道二号改築工事用地外に除却するよう、書面で催告し、あるいは被申請人の係官が申請人会社の事務所を訪れて、同様のことを口頭で催告したことが疎明される。しかしながら、被申請人が右土地明渡を実現しようとして実力で申請人主張の土地建物に立ち入り右建物を取りこわす等して申請人の土地建物に対する占有権等を侵害しようとしているとの疎明はなく、かえつて、<証拠省略>と手続の全趣旨によれば、被申請人は申請人に対し本件土地上の物件の除却を求めるため、道路法所定の手続を進めていることが疎明される。のみならず、申請人主張のような、道路法にもとづく建物とりこわし命令が将来発せられた場合には、その行政処分に対する不服申立によつて争えば足りるものというべきであるから、将来受けることが予想される行政処分を避けるために、民訴法上の仮処分を求めることは許されないというべきである。

(二)  そうすると本件仮処分申請は保全の必要性に関する疎明がないことに帰し、かつ疎明にかわる保証を立てさせて仮処分命令を発することも妥当ではないと認められるから申請人のその余の主張について判断するまでもなく、これを却下すべきものである。

よつて申請費用につき民訴法八九条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 辻川和正 北村恬夫 喜久本朝正)

申請の趣旨<省略>

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