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広島地方裁判所 昭和46年(わ)63号 判決 1974年3月13日

本籍

広島県安芸郡矢野町一、六一三番地の三

住居

広島市西蟹屋二丁目四番二号

会社代表取締役

木村三郎

昭和七年二月七日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官久富進出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月および罰金二五〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、高等学校を卒業したのち父木村慶作の営む「かもじ」等の製造業を手伝っていたが、昭和三〇年父の事業を受け継ぎ、広島県安芸郡矢野町に工場を持ち、「丸木屋商店」の屋号のもとに「かつら」、「かもじ」、「ガーゼ」等の製造を営んでいたものであるが、所定の所得税を不正に免れようと企て、営業帳簿も作成しないで取引事実を隠蔽し、多数の偽名による銀行預金を設定し、あるいは親戚、知人等の名義で株式を取得するなどの方法で所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四二年分の所得金額は別紙(一)修正貸借対照表その一、別紙(三)税額計算その一記載のとおり少くとも二一、六五八、一二一円であり、これに対する所得税額が九、九六九、八〇〇円であったにもかかわらず、昭和四三年三月一日広島市大手町四丁目一番七号所在の所轄広島東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、六〇二、〇〇〇円であり、これに対する所得税額が二〇万円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額九、七六九、八〇〇円をほ脱し、

第二  昭和四三年分の所得金額は別紙(二)修正貸借対照表その二、別紙(三)税額計算その二記載のとおり少くとも八七四一、八四〇円であり、これに対する所得税額が二、四一七、二〇〇円であったにもかかわらず、昭和四四年三月六日前記広島東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、二一七、〇〇〇円であり、これに対する所得税額が三五七、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額二、〇五九、六〇〇円をほ脱し、

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、 被告人の当公判廷(第一〇回公判)における供述

一、 被告人の検察官(昭和四六年一月二七日付、同年二月一八日付)に対する各供述調書

一、 木村民男、木村忠雄、木村良平、黒川アサコの検察官に対する各供述調書

別紙修正貸借対照表の勘定科目につき

現金

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年八月二七日付質問てん末書

当座預金

一、 第一銀行広島支店長牧四郎作成の昭和四五年三月九日付証明書

普通預金、同利息

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年三月三日付、同月五日付各質問てん末書

一、 野地保夫の大蔵事務官に対する昭和四五年三月三日付質問てん末書

一、 野地保夫作成の上申書

一、 野地良夫作成の供述書

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年八月四日付、同月二六日付各調査事績報告書

一、 大蔵事務官岡田隆明作成の現金有価証券等現在高検査てん末書

一、 第一銀行広島支店長牧四郎(昭和四五年六月四日付)第一銀行銀座支店長久保正夫(同年五月一四日付)第一銀行梅田支店長浅羽賢吉、三和銀行広島支店岡嶋利雄、広島銀行八丁堀支店長船倉邦彦、広島信用金庫海田支店長西村鉄雄作成の各証明書

定期預金、同利息

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年三月五日付、同年六月二日付各質問てん末書

一、 野地保夫の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する昭和四五年三月七日付質問てん末書

一、 野地良夫作成の供述書

一、 野地保夫、堀田浩司、吉田浩二、上平秀夫作成の各上申書

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年一二月一八日付調査事績報告書

一、 大蔵事務官蔵田計作成の現金有価証券等現在高検査てん末書

一、 第一銀行広島支店長牧四郎(昭和四五年三月九日付-同年六月四日付)、広島信用金庫海田支店長西村鉄雄、三和銀行広島支店長大塚謙一、広島銀行白島支店長茶木勲三、広島信用金庫広島駅前支店長渋下輝夫(昭和四五年三月六日付)、厚生信用組合本店理事長田中章一作成の各証明書

一、 押収してある日記帳一冊(昭和四七年押第三二号の一)、手形記入帳一冊(同号の二)

定期積立預金、同利息

一、 大蔵事務官岡田隆明作成の現金有価証券等現在高検査てん末書

一、 広島信用金庫海田支店長西村鉄雄、広島信用金庫広島駅前支店長渋下輝夫(二通)作成の各証明書

郵便貯金、同利子

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年一二月一八日付調査事績報告書

一、 大蔵事務官岡田隆明作成の現金有価証券等現在高検査てん末書

売掛金、受取手形

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月八日付供述調書および大蔵事務官に対する昭和四五年八月二七日付、同年六月二四日付、同月二五日付各質問てん末書

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年八月三一日付調査事績報告書

一、 浅田隆一、あらたき糸店代表者荒滝義行、安藤純一郎、芦田鉦太郎商店代表取締役芦田鉦太郎、宮村あさ子、石井圭一商店石井章、岩良商事代表取締役岩本良夫、ウエダ代表取締役植田吾一、梅田美容商事代表取締役靏谷義行、ウスキ代表取締役臼杵計夫、石谷商店代表取締役石谷孝雄、大場豊太郎、小川商店取締役社長谷口清士、大西取締役社長吉沢好明、岡田治平、川内野伝次、加藤商事取締役社長加藤弁三、金鵄文具取締役社長地岡正雄、木戸磯太郎商店取締役社長木戸則武、共栄商会池崎邦子、銀座商事取締役社長江口芳雄、銀座商事九州出張所長岩本福次郎、久保田英夫、倉田商事代表取締役倉田芳明、光陽商事代表取締役清田定、小西武雄商店社長小西武雄、香麗屋代表取締役坂口卯八、三久商会代表取締役植木一郎、西大寺天満屋岡崎秀太、清水商店代表取締役尾田達雄、セクテイ商会福岡営業所長津田信夫、滝川利英、高山本店代表取締役高山清、竹藪定夫、タカラ本舗代表取締役古賀年男、たから屋取締役社長井上俊子、高木理器取締役社長高木光雄、滝川商店高木代表取締役高木安太、辻豊代表取締役辻善弘、中川正義、長原商店取締役社長長原三蔵、中山商店中山憲之西岡商事代表取締役西岡清、野上商事野上小四郎、羽柴忠彦、ひさや商店代表取締役佐伯雄一、不二屋商店代表取締役大平晋、藤井玉商店前田瑞子、福水商店代表取締役福水定夫、松田健嗣商店代表者松田健嗣、井川和代、松野一雄、丸和商事代表取締役佐久間康徳、松崎商店代表取締役松崎正幸、宮野商店代表取締役宮野実、みなとや代表取締役木原秋三、村上初雄、盛田新生堂代表取締役盛田逸夫、森川常春、森田隆夫、八木本店八木辰己、八木産業代表取締役八木美治、吉原小間物店代表取締役吉原秀雄、ワシズ代表取締役鷲津光男、山田陽造、見寺政志、森本商店代表取締役森本曠、槇屋商店浜里和代作成の各証明書

一、 旧伊藤常商店常務取締役伊藤博、河本知也商店、柴田光栄社代表取締役柴田光男、永井万見、藤原寛商店丸双、松本商会、三島美容商事青木君枝、盛田屋本店、ヤマダ商店、高倉正友、彦田商店取締役社長彦田彦男、山本章蔵作成の各回答書

一、 小野増治、滝波孝作、戸倉敬二、中山商店中山憲之、三島美容商事三島正夫、山本勘一郎、川見賢義、西尾博之、宝井克之作成の各上申書

一、 押収してある売掛帳三冊(昭和四七年押第三二号の八、九、一八)、売上帳一冊(同号の一六)

売掛金

一、 アボシヤ代表取締役原田公照、イサオ美容室代表取締役衣川太重郎、生本商店取締役生本悦子、石川糸店取締役石川智意、稲田正行、岩田七三郎、稲葉商店代表取締役稲葉昌一、榎市次郎、大羽商店取締役社長森下保、奥田正次、大島商店高垣登茂恵、大島一市、河村一、勝本商会勝本かつ子、かつらや商店代表取締役山下重義、菊星代表取締役竹鼻実、木村喜代志、木村勝広、栗原作次、熊谷商事吉武五十美、日下寿糸商取締役社長日下寿太郎、来栖正男、小林信男商店小林広子、古賀刃物商会代表取締役古賀恵、三栄代表取締役木村周一、作田商事作田辰雄、貞金商店代表取締役小林恭嗣、貞金坂富、深村輝次、ヤマキ高橋代表取締役高橋貞行、高垣正商店代表取締役高垣正、中央産業代表取締役小川一郎、飛川商店代表取締役飛川恵一、西村福治、野坂正信、林逸郎、橋本末蔵、久行隼人、田中芳枝、丸屋産業代表取締役藤田福三、松枝博男、丸正代表取締役増田正晴、光本美容商事取締役社長光本清重、三船化粧品店代表取締役岡本芳雄、毛利元一、荒木加津美、山伝代表者山口伝、山本愛次郎、籔根商店、行武久雄、横川商店代表取締役横川正行、吉田商店代表取締役吉田實、ダリヤ代表取締役高木静子、大商取締役社長高津正治、泰徳貿易取締役社長松本泰徳山内小太郎作成の各証明書

一、 小沢商店、小林理美容器具店、清水商店代表取締役清水義正、高松商事、ダリヤ、つつみ商店代表取締役提タツエ、中塚紙工、中山憲三商店、百本国夫、久屋取締役社長石田嘉作、ペルレ美容室、ミクラヤ、やまとや商店、油本化粧品店代表取締役油本喜代治、中村勝作成の各回答書

一、 菊星代表取締役竹鼻実、深村輝次、高松商事、野田玉、羽田初信、佐藤賢一、平尾フミ子、正守産業代表取締役正守毅、木村里子、木村国助、園杭実夫、高倉正友、佐野正男作成の各上申書

一、 押収してある手紙一綴(昭和四七年押第三二号の一四-昭和四三年貸倒分)、ノート一冊(同号の一五)

受取手形

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年七月六日付調査事績報告書

受取小切手

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月八日付供述調書

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年七月六日付、同年八月三一日付各調査事績報告書

一、 押収してある売掛帳三冊(昭和四七年押第三二号の八、九、一八)

株式、配当金、配当所得

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月八日付、同月一六日付各供述調書

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年三月三日付、同年七月二八日付、同月二九日付、同月三一日付、同月二三日付、同月二四日付、同年八月四日付、同月二六日付各質問てん末書

一、 被告人作成の昭和四五年一一月六日付、同年八月一〇日付各上申書

一、 東洋信託銀行株式会社証券代行部作成の照会回答文

一、 東洋信託銀行株式会社大阪支店証券代行部長加茂貞郎作成の照会回答文および株式異動調査回答票

一、 八幡証券株式会社代表取締役松原正治作成の証明書二通

一、 大和証券株式会社広島支店深町満作成の証明書三通

一、 八幡証券株式会社山口支店長伊藤明正作成の証明書二通

一、 グンゼ株式会社株式課長作成の照会回答文

一、 住友信託銀行株式会社証券代行部作成の照会回答文二通

一、 中央信託銀行株式会社証券代行部作成の株式の異動等照会に対する回答と題する書面二通

一、 三菱信託銀行株式会社証券代行部作成の照会回答文二通

一、 三井信託銀行株式会社証券代行部作成の株式移動状況等の調査の回答についてと題する書面

一、 安田信託銀行株式会社登録課作成の調査回答書

一、 中央信託銀行株式会社証券代行部総務課長作成の株式の異動等照会に対する回答と題する書面

一、 三ツ星ベルト株式会社取締役社長岡田重吉作成の証明書

一、 若狭一作成の上申書

一、 押収してある日記帳一冊(昭和四七年押第三二号の一)、大学ノート一冊(同号の三)、配当金支払証明書入り封筒(同号の五)、配当関係記載ノート一冊(同号の一二)、ノート一冊(同号の一九)、メモ五枚(同号の二〇)、所得税確定申告書綴一冊(同号の二七)

証券投資信託

一、 池田浩の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 大和証券株式会社広島支店長深町満作成の昭和四五年三月三日付、同年六月五日付各証明書

立替金(各年度につき)

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月八日付供述調書

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年八月二七日付質問てん末書

一、 木村保人、尾崎昭子、尾崎善次郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、 押収してある日記帳一冊(昭和四七年押第三二号の一)、手形記入帳一冊(同号の二)、借用証書二枚(同号の一一)、借入金利息支払領収書二枚(同号の二一、二二)

立替金(昭和四二年度、四三年度につき)

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年八月二六日付、同月三一日付各質問てん末書

一、 被告人の昭和四五年八月一〇日付上申書

一、 木村民男の大蔵事務官に対する昭和四五年六月一〇日付質問てん末書

一、 広島信用金庫海田支店長西村鉄雄作成の証明書

一、 八幡証券株式会社代表取締役松原正治作成の昭和四五年三月四日付証明書

たな卸商品

一、 証人青木頼夫の当公判廷における供述

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年一月二七日付供述調書

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年一一月六日付、同年一二月二五日付各質問てん末書

一、 被告人作成の昭和四五年一〇月二七日付上申書

建物、機械装置、車両、器具備品、電話加入権

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月一六日付供述調書

一、 被告人作成の昭和四五年七月一三日付上申書

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年九月九日付調査事績報告書

買掛金、未払金

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年八月三一日付調査事績報告書

一、 押収してある請求書および領収書入り封筒(昭和四七年押第三二号の七)、仕入帳一冊(同号の一七)、納品複写簿三冊(同号の二三)、納品書一冊(同号の二四)、請求書一冊(同号の二五)、請求書綴三冊(同号の二六)、雑書綴類一綴(同号の二八)

買掛金

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月八日付供述調書

一、 共花堂代表取締役相川喜久次、白鳩本舗代表取締役横井正男、サンラツク商会相馬順一、ソーコー株式会社、大和テープ取締役社長佐伯八十次、新潟人毛取締役社長谷川信雄、日新興業広島出張所長、西中製紐代表取締役西中為吉、広島交易代表取締役玖村芳男、牧野弘、丸北商店取締役社長北野真一、三倉貿易取締役社長団忠夫(二通)、山田貿易代表取締役山田正雄、吉本佳弘、吉松清美作成の各証明書

一、 岩田高一郎、佐野晃司、仁井本信一作成の各上申書

一、 白井理市、関屋商店作成の各回答書

未払金

一、 被告人作成の昭和四五年七月二三日付上申書

一、 岩田高治、稲吉仲二、佐野すえの大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、 岡山県貨物運送難波康博、木村勝広、広陵印刷取締役社長藤井義隆、沢守、三和染料商店飯川萬、讃岐登瀬戸内海印刷代表取締役飯尾即二、高山商会代表取締役高山宗通、中国西濃運輸取締役社長山田春雄、チヤンテー、千代田紙工業田村昭春、戸谷染料商店古室敏子、中野製薬藤ノ井桂子、日本化学製品、日本通運広島支店長山田角三、西鉄運輸、荻貨物自動車専務取締役中村公栄、広島路線トラツク理事長渋谷昇、フジグラビア印刷代表取締役佐々木利男、扶桑ゴム産業上山武男、福山通運広島支店長田島健三、富士石油取締役社長檜垣昌人、丸和商事代表取締役佐久間康徳、丸政取締役社長村山政治郎、宮原産業代表取締役宮原良三山本ミシン八幡重子作成の各証明書

一、 遠藤龍一、沢守、三原幸子作成の各上申書

一、 山田自動車商会山田照男、和気屋紙器工業所代表取締役山岡明作成の各回答書

支払手形

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月八日付供述調書

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年五月四日付質問てん末書

一、 大蔵事務官作成の昭和四五年八月三一日付調査事績報告書

一、 木村勝弘、三和染料店飯川萬、讃岐登、瀬戸内海印刷代表取締役飯尾即二、千代田紙工業田村昭春、中野製薬藤ノ井桂子、日新興業広島出張所長、西中製紐代表取締役西中為吉、フジグラビア印刷代表取締役佐々木利男、扶桑ゴム産業上山武男、富士石油広島支店長田島健三、牧野弘、宮原産業代表取締役宮原良三、三倉貿易取締役社長団忠夫(二通)、吉本佳弘、吉松清美作成の各証明書

一、 岩田高一郎、遠藤龍一、佐野晃司、三原幸子作成の各上申書

借入金

一、 被告人の検察官に対する昭和四六年二月八日付供述調書

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年八月二七日付質問てん末書

一、 第一銀行広島支店長牧四郎作成の昭和四五年五月三日付証明書

前渡金

一、 広島交易株式会社玖村芳男作成の証明書

店主勘定

(生活費)

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年五月二一日付質問てん末書

一、 木村雅子、木村順子作成の各上申書

(公租公課)

一、 広島市税務部第一出納課長作成の証明書

一、 広島東税務署長作成の納税証明書

(個人費用等支出)

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年六月二六日付質問てん末書

一、 西野忠夫作成の上申書

一、 押収してある日記帳一冊(昭和四七年押第三二号の一)、葬式費用関係書類入り封筒(同号の四)、墓関係書類(同号の一三)

(個人保険料)

一、 押収してある生命保険関係書類入り封筒(昭和四七年押第三二号の六)、所得税確定申告書綴一冊(同号の二七)

(年金)

一、 押収してある所得税確定申告書綴一冊(昭和四七年押第三二号の二七)

(贈与)

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年七月三一日付、同年八月四日付、同月二六日付、同月三一日付、同年一〇月二三日付各質問てん末書

一、 被告人作成の昭和四五年一一月六日付上申書

一、 木村民男、木村忠雄の検察官に対する各供述調書

一、 木村民男(昭和四五年六月一二日付)、木村忠雄、黒川アサコの大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、 東洋信託銀行株式会社大阪支店証券代行部長作成の昭和四五年六月三〇日付照会回答文

一、 三井信託銀行株式会社証券代行部作成の照会回答文

受取給付備金

一、 広島信用金庫海田支店長西村鉄雄作成の証明書

一、 広島信用金庫広島駅前支店長渋下輝夫作成の昭和四五年三月九日付証明書

非課税所得

(証券投資信託解約益)

一、 大和証券広島支店長深見満作成の昭和四五年三月三日付証明書

(株式譲渡益)

一、 被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年八月二六日付質問てん末書

一、 若狭一作成の上申書

一、 大和証券広島支店長深町満作成の昭和四五年三月三日付証明書

一、 八幡証券山口支店伊藤明正作成の昭和四五年七月一一日付証明書

(香典)

一、 押収してある葬式費用関係書類入り封筒(昭和四七年押第三二号の四)

配当金、配当所得

一、 東洋経済新報社発行の会社四季報四編

公表金額

一、 押収してある所得税確定申告書綴一冊(昭和四七年押第三二号の二七)

(たな卸資産について)

弁護人および被告人は、各年度における人毛原材料の在庫数量については、いずれも実地たな卸を行っておらず、昭和四四年四月二八日に行ったたな卸の数値をもととして、これに各年度の推定使用人毛原材料を加算して求めたものであるところ、右使用人毛原材料を推定するにあたり被告人がロス率の計算方法を間違えていたため実際の在庫よりも低い数値が出ていると主張する。

被告人は大蔵事務官に対する昭和四五年一一月六日付質問てん末書においては人毛原材料から製品に至るまでのロス率は三五パーセントであると述べる一方、同年一〇月二七日付上申書においては製品重量を一・三五倍したものが使用原材料である(この場合ロス率は約二六パーセントにすぎない)として計算しており、そのロス率という用語あるいは計算方法のいずれかに誤りがあることは弁護人主張のとおりである。しかし証人青木頼夫の当公判廷(第八回公判)における供述および被告人の大蔵事務官に対する昭和四五年一二月二五日付質問てん末書によれば、被告人は五〇グラムの製品を作るのにはその間に合計一五ないし一七グラムのロスを見込んで製品重量に一・三五倍したものを原料として用いると説明している(右の製品重量かける一・三五倍というのは実際の製造においても利用しうる実用的な計算方法である)のみならず、大蔵事務官に対する同年一一月六日付質問てん末書においてはこうして計算した人毛使用料は、計算前に推定していた各年度の使用料(昭和四二年度四トンないし四・五トン、昭和四三年度約三・五トン)とも合致する旨述べており、被告人のいうロス率が計算上でなく経験的に導き出されているものであることからすると、被告人が実際の減耗量および、製品重量かける一・三五倍が原料であると述べている処がむしろ実体を正しく説明したものであると解される。従って被告人の誤解は計算方法にはなくむしろそのロス率という用語にあったものと思料され、この点についての前記弁護人および被告人の主張は理由がない。

(店主勘定科目のうち、木村民男、木村忠雄、黒川アサコに対する贈与分について)

被告人は、判示の事業に実弟木村民男、木村忠雄および実姉黒川アサコを使用しているが、右民男に対し昭和四二年一〇月末に武田薬品株六、五〇〇株(但し名義は同人の長女および次女)八八〇、七五〇円相当、同年一一月鹿島建設株二、〇〇〇株三三九、六〇〇円相当、同年一二月に東洋レーヨン株四、〇〇〇株四三九、六〇〇円相当を、右忠雄に対し同年一〇月末七、〇〇〇株(但し名義は同人のもの三、五〇〇株、同人の長女のもの三五〇〇株)九四八、五〇〇円相当、同年一一月鹿島建設株二、〇〇〇株三三九、六〇〇円相当、東洋レーヨン株四、〇〇〇株四三九、六〇〇円相当、昭和四三年六月東芝電気株五、〇〇〇株(但し名義は同人の長女)三八二五〇〇円を、右黒川アサコに同年三月および四月に富士製鉄株合計七、〇〇〇株三七六、五〇〇円相当をいずれも与えており、検察官は右はいずれも贈与であると主張するが、被告人は大蔵事務官に対する昭和四五年七月三一日付質問てん末書をはじめほぼ一貫してこれは同人らの稼働に対する賞与であると述べ、民男もこれに沿う供述を続け、忠雄もまた検察官に対する供述調書において同旨の供述をなしている。右支給額、支給の方法および被告人と同人らとの関係に照らすとこれらすべてを賞与とみることはできないが、他のパートタイムの従業員に対してすらボーナスが支給されたにもかかわらず、黒川アサコが三万円を貰ったという他は右三名は全くボーナスの支給を受けていないこと、右株式の支給時期、数額および同人らの給料等に照らすと、民男および忠雄に対する鹿島建設株および東洋レーヨン株(金額合計は各人につき七七九、二〇〇円)ならびに黒川アサコに対する支給はいずれも賞与としての性格を否定しえないものと思われるのでこれを贈与に計上しない。

(広島相互銀行海田支店木村三郎名義の金額一七〇、〇〇〇円の定期預金について)

右については、被告人が真正の預金者であるかどうか本件関係証拠によるも確認することができなかったのでこれを昭和四三年度の被告人に帰属すべき資産としては計上しない。

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、情状により懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから懲役刑について同法四七条本文、一〇条により重い判示第一の罪の刑に法定の加重をなし、罰金刑について同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その刑期ならびに金額の範囲内で被告人を懲役四月および罰金二五〇万円に処し、同法一八条一項により被告人が右罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文により被告人に負担させることとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤野博雄 裁判官 宮城一 裁判官 竹崎博允)

別紙(一) 修正貸借対照表(その一)

昭和42年12月31日現在

(過年度金額は昭和41年12月31日現在

<省略>

<省略>

別紙(二) 修正貸借対照表(その二)

昭和43年12月31日現在

(過年度金額は昭和42年12月31日現在

<省略>

<省略>

別紙(三)

(その一)

税額計算

昭和42年度

<省略>

(その二)

税額計算

昭和43年度

<省略>

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