大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島地方裁判所 昭和47年(わ)821号 判決 1973年9月28日

本店所在地

広島県豊田郡川尻町大字川尻字小仁方七七番地の二五

ベンダ工業株式会社

右代表者代表取締役

八代泰宏

本籍

呉市宮原通四丁目四九番地

住居

呉市見晴町二丁目九番地

会社役員

八代一芳

大正三年一〇月七日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官中尾巧出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社ベンダ工業株式会社を罰金三、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人八代一芳を懲役六月にそれぞれ処する。

被告人八代一芳に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社ベンダ工業株式会社(以下「被告会社」という)は、広島県豊田郡川尻町大字川尻字小仁方七七番地の二五(昭和四七年一一月一四日までは呉市本通五丁目一一番二二号)に本店を置き、各種型鋼の曲げ加工等の事業を営む株式会社(資本金四〇〇万円、昭和四六年一、二〇〇万円に増資)であり、被告人八代一芳は被告会社の取締役会長として被告会社の実質上の経営にあたりその業務全般を統轄しているものであるが、被告人八代一芳は被告会社の業務に関し、所定の法人税を免れようと企て、

第一、被告会社の昭和四三年一一月一日から昭和四四年一〇月三一日までの事業年度における実際の所得金額が別紙(一)のとおり少なくとも一四、五五四、二一八円であり、これに対する法人税額が四、八八三、九〇〇円であるのにかかわらず、被告会社の受入手数料収入金を公表帳簿上除外し、架空経費の計上および機械部品の売上除外などを行ない、あるいは被告会社の利益分散を目的として関連会社であるベンダ商事株式会社の公表帳簿に被告会社の受入手数料収入の一部を計上する等の行為により所得を秘匿したうえ、昭和四四年一二月二六日所轄呉税務署長に対し、その所得金額が二、九四五、二五二円で、これに対する法人税額が八二四、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度における法人税四、〇五九、三〇〇円を免れ、

第二、被告会社の昭和四四年一一月一日から昭和四五年一〇月三一日までの事業年度における実際の所得金額が別紙(二)の1および2のとおり少くとも三七、五五一、四〇三円であり、これに対する法人税額が一三、三七一、四〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により所得を秘匿したうえ、昭和四五年一二月二五日所轄呉税務署長に対し、その所得金額が一、九六八、〇五九円で、これに対する法人税額が四五五、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度における法人税一二、九一六、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

全事実につき、

一、被告人八代一芳の当公判廷における供述

一、同被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書四通

一、同被告人作成の上申書一一通

一、同被告人の検察官に対する供述調書三通

一、山川精三、面迫知可子、松本正雄、道中剛徳、黒田重一の検察官に対する各供述調書

一、登記官後藤頼男作成の登記簿謄本

一、大蔵事務官山本守人、同田中悟、同山本嘉啓、同柴田元隆、同菅近保徳、同遠藤登芽夫作成の各調査事務報告書

一、山村守正、熊沢弘、戸田隆夫、下睦公夫、中野良馨、山田安平、山田勇作成の各証明書

一、山川精三作成の上申書

一、大蔵事務官岡田隆明、同柴田元隆作成の各現金有価証券等現在高検査てん末書

一、押収してある法人税決定決議書一綴(昭和四八年押第七六号の1)

一、押収してある法人税決議書一綴(同号の2)

一、押収してある所得税確定申告書一綴(同号の3)

一、押収してある所得税確定申告書一綴(同号の4)

一、押収してある法人税確定申告書一綴(同号の5)

一、押収してある元帳一冊(同号の6)

一、押収してある元帳一冊(同号の7)

一、押収してある元帳一冊(同号の8)

一、押収してある補助簿一冊(同号の9)

一、押収してある補助簿一冊(同号の10)

一、押収してある補助簿一冊(同号の11)

一、押収してある銀行勘定帳一冊(同号の12)

一、押収してある銀行勘定帳一冊(同号の13)

一、押収してある手形受払帳一冊(同号の14)

一、押収してある手形受払帳一冊(同号の15)

一、押収してある手形受払帳一冊(同号の16)

一、押収してある帳簿一綴(同号の17)

一、押収してある帳簿一綴(同号の18)

一、押収してある受渡台帳一綴(同号の19)

一、押収してある帳簿一綴(同号の20)

一、押収してある帳簿一綴(同号の22)

一、押収してある割引手形記入帳一冊(同号の23)

一、押収してある固定資産台帳一冊(同号の24)

一、押収してある固定資産台帳一綴(同号の25)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の26)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の27)

一、押収してある振替伝票一〇枚(同号の28)

一、押収してある総勘定元帳綴一綴(同号の29)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の30)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の31)

一、押収してある金銭出納帳一冊(同号の32)

一、押収してある金銭出納帳一冊(同号の33)

一、押収してある帳簿一綴(同号の34)

一、押収してある領収書控三冊(同号の35)

一、押収してある売上票綴一綴(同号の40)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の41)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の42)

一、押収してあるウメトク御見積書一綴(同号の45)

一、押収してある受渡台帳一綴(同号の48)

一、押収してある元帳一綴(同号の49)

一、押収してある元帳一綴(同号の50)

一、押収してある帳簿一綴(同号の52)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の53)

第一の事実につき、

一、押収してある振替伝票一綴(昭和四八年押第七六号の46)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の47)

一、押収してある振替伝票一綴(同号の51)

第二の事実につき、

一、相原三一作成の上申書

一、押収してある帳簿一綴(昭和四八年押第七六号の21)

一、押収してある納品書控一冊(同号の36)

一、押収してある納品書控一冊(同号の37)

一、押収してある納品書控一冊(同号の38)

一、押収してある請求書控二冊(同号の39)

一、押収してあるアングルベンダー関係綴一綴(同号の43)

一、押収してあるベンダー関係綴一綴(同号の44)

(法令の適用)

被告会社および被告人八代一芳の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項(被告会社につきさらに同法一六四条一項)に該当するところ、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人八代一芳につき所定刑中いずれも懲役刑を選択したうえ同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をなし、被告会社につき同法四八条二項により各罰金額を合算し、それぞれの合算金額ないし刑期の範囲内で被告会社を罰金三、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人八代一芳を懲役六月に各処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間被告人八代一芳に対する右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 宮城京一)

右は謄本である。

前同日於同庁

裁判所書記官 来山淳雄

別紙(一) 修正貸借対照表

昭和44年10月31日現在

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

昭和45年10月31日現在

<省略>

<省略>

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例