大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島地方裁判所 昭和51年(モ)1048号

申請人

松本久男

右訴訟代理人弁護士

阿左美信義

被申請人

出島運送株式会社

右代表者代表取締役

城庄一

右訴訟代理人弁護士

河村康男

主文

一  本件につき当裁判所が昭和五一年一一月四日にした仮処分決定を認可する。

二  申請費用は被申請人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  申請の趣旨

主文第一、二項同旨

二  申請の趣旨に対する答弁

1  本件につき当裁判所が昭和五一年一一月四日にした仮処分決定を取り消す。

2  本件申請を却下する。

3  申請費用は申請人の負担とする。

第二当事者の主張

一  申請の理由

1  被申請人会社は、昭和五〇年四月一日設立され、申請外中国生コンクリート株式会社の製造する生コンクリートを納入先へ輸送するについての一切の事業及びこれに附帯関連する事業をおこなうことを営業目的としている会社であり、昭和五一年三月当時輸送関係従業員は三六名であった。

2  申請人はその設立当初から被申請人会社の従業員として雇用され、コンクリートミキサー車の運転業務に従事していた。また、申請人は被申請人会社従業員で組織される労働組合(総評全国一般労組広島地方本部中国生コン支部)の組合員でもある。

3  ところが、被申請人は昭和五一年四月二三日申請人に対し、被申請人会社就業規則第一九条第三号の「已むをえない事業上の都合によるとき」に該当するとして、同月二四日付で解雇する旨通告してきた。

4  しかし、右のような事由での指名解雇(以下本件解雇という)を正当化するには、

(イ) その人員整理が会社側において他のあらゆる経営上の努力を尽したうえでの必要やむをえざる最後的手段であること。

(ロ) その必要にもとづき、客観的妥当性のある整理(解雇)基準を設定し、しかもそれを当該企業の全労働者に明示したうえでなされること。

(ハ) 整理(解雇)対象者は、右基準に明白に該当する者であること。

などの諸条件が具備されていなければならない筈であるにもかかわらず、本件においては右の要件は全く具備されておらず、むしろ本件解雇は会社側において申請人個人を嫌悪するが故になされたとしか解さざるをえない、恣意的な且つ不当な解雇である。

5  したがって、本件解雇は労働基準法第三条に規定する均等待遇の原則に違反し、また労働組合法第七条一号の不当労働行為に該当する疑もあり、いずれにしても解雇権の濫用であって無効と言わざるを得ない。

6  以上の次第で、申請人は被申請人会社の従業員としての地位と権利を有するところ、申請人は本件解雇の意思表示を受けた当時、被申請人会社から毎月二五日限り、賃金として一ケ月当り平均一九五、七三〇円の支払いを受けていたが、本件解雇の翌日から就労を拒否され毎月の賃金の支払いを受けられなくなったので、申請人は被申請人に対し、申請人が未だ被申請人会社の従業員としての地位を有することの確認と、本件解雇の意思表示がなされた日の翌日からの賃金の支払を求める本案訴訟を提起すべく準備中である。

7  しかし、申請人は被申請人会社から支払を受けていた賃金収入により家族の生活を維持してきていたものであるから、右収入の道を奪われた現状においては、本案訴訟判決の確定を待っていたのでは、申請人及びその家族の生活が危殆に瀕することは明白であるので、申請人が被申請人に対し労働契約上の権利を有する地位を仮に定めることと、被申請人が申請人に対し、本件解雇の翌日である昭和五一年四月二五日以降、本案判決確定に至るまで毎月二五日限り、金一九五、七三〇円の賃金相当金を仮に支払うことを求めるため、本件仮処分申請に及んだ。

二  申請の理由に対する答弁

1  1ないし3記載の事実は認める。

2  その余の事実は争う。

三  被申請人の主張

本件解雇は次の理由により有効である。

1  人員整理の必要性

(1) 本件解雇は、不況による業績悪化の結果、被申請人会社の従業員に過員を生じ、やむなく人員整理を行ったものであって、経営的措置につき最終的に経済上の危険を負担する経営者として正当な措置である。

(2) すなわち被申請人会社は、吉見運送株式会社出島営業所の設備、人員等一切を承継する形で昭和五〇年四月一日設立されたものであるが、右承継当時保有車両は三〇台、運転業務に従事するもの三八名、その他の職員五名であった。

(3) 生コン業界は、いわゆるオイルショック及び新幹線等の特需終了の影響を受けて昭和四九年春ころから急激に受注量が減少し始めたので、吉見運送時代からの余剰人員の削減は急務であった。

(4) そこで被申請会社は生コン運送量の減少に伴い、保有車両を減車し、昭和五〇年五月の保有車両は二七台、同年六月には二五台、同年八月以降は二二台とした。

(5) 被申請人会社(吉見運送時代を含めて)の昭和四八年度以降の生コンの出荷量は次のとおりである。

<イ> 昭和四八年度 二六七、八九五立方メートル

<ロ> 昭和四九年度 一三五、七三八立方メートル

<ハ> 昭和五〇年度 一〇七、四二七立方メートル

(6) 右の出荷量は日本経済の高度成長時代から、低成長時代への移行に伴い、今後とも増えることは望み薄であり、よくみても一営業年度の出荷量は最大限一二〇、〇〇〇立方メートルと見込まれる。

(7) 右の最大限出荷量に見合う適正保有車両数は二二台であり、右車両数に相応する適正人員(運転手数)は二四名である。

(8) これに対し、被申請人会社の輸送関係従業員数は昭和五一年三月当時三六名であったため、その経営状態は恒常的な赤字経営となり、人員整理をしなければ、企業の維持存続が危殆に瀕する情況となった。

2  人員整理に関する労働組合との交渉経過

(1) 被申請人会社は右のような情況を打開するため危機突破対策委員会の設置を企図し、かねて組合に申入れていたが、昭和五〇年六月二八日の準備委員会後同年七月七日までの間に前後四回委員会を開催し、さらに同月一四日から一七日までの間、これに関連する団交を三回開催し、組合に会社の窮状を説明するとともに、この窮状を突破するため、一時帰休、金融対策、時差出勤、休日出勤の合理化、燃料の節約等について組合に提案しその協力を求めた。この結果、同年七月から八月にかけて約一・五ケ月間の一時帰休の実施及び燃料の節約については組合の協力を得られたが、その余については協力が得られなかった。

(2) 一方会社も支払方法の変更、購入価格の切下げ、修理外注の制限等による経費削減を図った。

(3) しかしながら、被申請人会社の収益に対する人件費の比率が極めて高いため、右のような施策では到底根本的解決をみることはできず、昭和五〇年九月四日会社は組合に対しやむなく人員整理に関する申入れをした。

(4) 会社が組合に対して提案した人員整理要領は次のとおりである。

<イ> 九月八日以降速かに解雇の目的について労使協議する。

<ロ> 九月一六日から希望退職者を募り、同月二五日をもって締切る。

<ハ> 整理人員数一三人

<ニ> 希望退職者が整理人員に達しなかったときは勧告退職を行い、なお員数が満たないときは解雇する。但し解雇基準及び人員数については事前に組合と協議する。

<ホ> 特別退職金等

(5) 会社と組合は右の件に関し、同年九月から昭和五一年四月までの間前後四二回に亘る交渉を行ったが、その概要は次のとおりである。

交渉を重ねていくうち、組合は一定人員数の希望退職者を募るのはやむを得ないが、解雇は反対であるとの意向を示した。そこで会社は同年一一月一〇日から一七日までの間希望退職者を募集し、その結果松本惣一が希望退職を申出、運転関係従業員は三六名となった。その後更に交渉を重ねた結果、組合は適正保有車両数が二七台、これに対する適正人員数三〇名との主張をなし、組合の主張をもってしても現在人員数三六名は六名の余剰人員を生ずることとなった。そこで会社は事態の速かな解決を図るため、当面組合の主張する人員数で妥協することとし、更に六名の希望退職者を組合の協力のもとに募集することにした。その結果、昭和五一年四月一七日までに五名の退職希望者があり、希望退職の募集は一応の成果をみた。

(6) しかしながら、残る一名の剰員については、組合は依然として解雇反対の意思を堅持していたが、組合役員立会の退職勧告については敢えて反対する態度を示さなかった。そこで、会社の整理基準に該当する申請人に対し退職勧奨を試みたが奏功しなかった。

3  申請人を被解雇者に選定した理由

会社は組合に対し、いわゆる点数制による整理基準を提示したが、組合は右提案を受けるやこれを拒否したため、会社は右提案を撤回せざるを得なかった。その後、会社と組合の間で整理基準についてさらに討議を重ねた結果、就業規則第三条にいう「従業員は誠実・勤勉・調和を旨とし、その綜合力を結集して働く集団としての実を挙げ、以て社業の発展に努めなければならない。」を整理基準の基本原則とすることに合意をみた。

そこで、右条項に掲げられている誠実、勤勉、調和を基準の大綱とし、具体的事実をもって被解雇者を選定した結果、申請人は次の点において右基準に該当し、他にこれを上廻る者はいなかった。

<イ> 作業上、上司の指示に反抗し従わないことがあるなど、上司や同僚との協調性に欠ける。

<ロ> 作業能力が著しく劣り、動作緩慢で積極性に之しい。

<ハ> 欠勤、遅刻、早退など勤務状況は不良であり、勤労意欲に乏しい。

以上のとおり、右基準にあてはめれば最低に位置する申請人に対して、その退職を勧奨したわけであるが、申請人の受け入れるところとならなかったので、被申請人会社は、就業規則第一九条三号の「やむを得ない事業上の都合によるとき」を適用して本件解雇に及んだ次第である。

四  被申請人の主張に対する答弁

1  会社の経営状態及び労働組合との交渉経過の点は不知、その余の点は争う。

第三証拠(略)

理由

一  (本件解雇の存在等)

1  被申請人会社は、申請外中国生コンクリート株式会社の製造する生コンクリートを納入先へ輸送するについての一切の事業及びこれに附帯する事業を行うことを営業目的として、昭和五〇年四月一日設立された会社であり、昭和五一年三月当時輸送関係従業員は三六名であったこと。

2  申請人は被申請人会社にその設立当初から雇用され、コンクリートミキサー車の運転業務に従事していたこと。また申請人は右会社従業員で組織される労働組合(総評全国一般労組広島地方本部中国生コン支部)の組合員でもあること。

3  被申請人会社は、昭和五一年四月二三日申請人に対し、同会社就業規則第一九条三号の「已むをえない事業上の都合によるとき」に該当するとして、同月二四日付で解雇する旨の意思表示をしたこと。

以上の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  (本件解雇の効力について)

1  一般に労働者は企業からその労働の対価として得ている賃金によってのみ自己及び家族の生活を支えているものであるから、解雇によってその職場を失うことが当該労働者にとって経済的、精神的に極めて大きな打撃であることは明らかであり、特に本件のようないわゆる整理解雇の場合は、懲戒解雇などと異なり労働者に特段責められるべき事由がないのに、使用者(企業)の都合により一方的になされるものであることを併せて考えると、整理解雇の有効性については、その前提要件を厳格にし、且つ公平の見地から慎重に判断すべきである。

2  したがって当裁判所は、申請人主張のように、整理解雇が有効であるための前提として

(イ)  その解雇が企業において他のあらゆる経営上の努力を尽したうえでの必要やむをえざる最後的手段であること(解雇の必要性)。

(ロ)  その必要にもとづき、公平の見地から客観的妥当性のある整理基準を設定し、しかもそれを当該企業の全労働者に明示したうえでなされること(解雇基準および基準運用の合理性)。

(ハ)  整理対象者は、非整理対象者らと比べて、公平の見地からも右基準に明白に該当する者であること(解雇手続の合理性)。

以上の三条件が少くとも充足されなければならないと考える。

3  よって、右見解にもとづき本件解雇の有効性につき検討するに

(一)  (証拠略)を総合すれば、被申請人主張事実中1、2各記載の事実はすべてこれを認めることができ、右認定に反する疏明はない。

(二)  そうすると、本件解雇の行われた昭和五一年四月当時、被申請人会社において、人員整理を必要とする過剰人員を抱えていたことは一応肯認できる。

(三)  そこで進んで、被申請人のなした申請人への本件解雇通告が理由あるものであるか否かにつき検討することとする。

(イ) 先ず(証拠略)によれば、会社は労働組合と整理基準について討議を重ねた結果、就業規則第三条に「従業員は誠実・勤勉・調和を旨とし、その綜合力を結集して働く集団としての実を挙げ、以て社業の発展に努めなければならない。」とある条項を整理基準の基本原則とすることに合意をみたこと、そこで会社は右条項に掲げられている誠実・勤勉・調和を基準の大綱とし、具体的事実をもって整理対象者を選定した結果、申請人が全従業員の中で、<1>上司や同僚との協調性、<2>作業能力、<3>勤労意欲の各点において最も劣るとして解雇通告をなしたものであることを一応認めることができる。

(ロ) 次に(証拠略)によれば、被申請人会社が昭和五一年四月一九日申請人に対して示した本件解雇の理由は次のとおりであることが認められる。すなわち「本人は社長の指示に反する行為があり、明らかに反抗的な態度や勤務軽視の言動があって職場の秩序を乱し、就業規則第三条に示す誠実・勤勉・調和の観念に乏しい。又欠勤、遅刻、早退など勤怠状況は極めて不良であり、勤務については動作緩慢積極性に乏しい。

以上綜合勘案した結果該当者となったものである。」と結論し、これを裏づける事実として、次の<1>ないし<7>の事項が列挙されている。

「<1> 昭和五〇年四月一〇日猟銃所持の許可を受けるため警察に出頭したいので早退したい旨の申出があり許可を与えた。七月一四日今度は銃砲検査のため七月一七日遅刻したい旨申出があった。私用で再々遅刻早退することは好ましくないので、年休の利用や月一回の公休のやりくりはつかぬのかと聞いたが出来ないということでやむなく許可したが、他の従業員(森田)も猟銃を所持しており、同人は年休で用を達したこともあり勤務軽視でないかと注意した。

<2> 同年七月五日午前七時五〇分頃電話があり、本日欠勤したいという申出があった。理由は住宅購入手続のためということであったが、このような事は予め判明している筈であり、手続後出勤を指示し、本人は一四時四〇分ころ出てきた。よって私事と会社業務とどちらが大切かと注意を与えたが、本人は欠勤の場合は給料を差引かれるのだからやかましく言われる筋合はない旨、理づめ逆ネジで喰ってかかった。当社の給料は一日欠勤の場合一日分全部が差し引かれる仕組ではなくて若干残るようになっているし、本筋は雇用契約により誠実に勤務すべきであり、やむをえない場合でも前日までに申し出て調整するのがきまりであって、右のような言動は誠に勝手な放言で社長として厳重に注意した。

<3> 同年七月前後頃(月日不詳)、ある地域住民反対の陳情のため早退の申出があった。地域住民の代表なのかと聞いたところ、委員から参加するように頼まれたというので、業務本位でやって欲しい旨注意して説得した。

右<1>~<3>で例示したように本人の勤務に対する考え方、熱意とも極めて不十分であって会社としては、団交の席で組合に事情を話して協力を求めたことがある。

<4> 本人は平常より動作が緩慢であり、他に比べ非常に目に立つ存在である。始業点検時などみているとノロノロ塗布用油をとりにきたりしているが、積極的に仕事に取り組む姿勢に乏しい。

<5> 同年一〇月一四日昼頃、洗車場で水タンクに給水していたが、タンクから水が溢れ放しのままの車があったので暫らく見ていたところ、それは本人の車であった。

<6> 修理作業場で、他の者は働いているのに本人はぼんやりしているのを二回程見かけたことがあるので、調査したところ、本人は他人には働かせて自分だけ楽をするようなところがあることが判明した。また本人は帽子を常に横にかぶっていたので社長が強く注意したところ、かぶり直したが室外へ出るときまた横にして出て行った。このような態度は社長に対する反抗とみるほかはない。

<7> 本人の昭和四八年一一月以降昭和五〇年三月までの勤怠状況は別表記載のとおりである。」

(ハ) そして申請人本人尋問の結果によれば、右<1>ないし<7>に記載された事項は、申請人が被申請人会社代表者等から記載のような注意を明示的に受けたか否かというような些細の点を除き、大筋においてほぼ真実であることが認められ、これに反する疏明はない。

(ニ) しかしながら右<1>ないし<7>記載の各事実は、これを総合して客観的に評価した場合、被申請人主張のように、申請人において若干誠実さ、勤勉さに欠ける点がないとは言えないかも知れないが、そのいずれをとりあげても極めて些細なことであり、社会生活をしている通常人としてこの程度の私用欠勤等、または不注意な動作は、時にはあり得ることであるし、右欠勤等も無断でなしたわけではなく、必ず事前に届出をしているのであるから、これらの事実があったからと言って、特に申請人を勤務態度不良として強く非難しなければならない程のものでないことは一見明白である。また申請人の勤怠状況についても欠勤等が比較的多かった昭和四九年度は、被申請人会社の前身である吉見運送時代のことであって、しかも当時は申請人本人尋問の結果によれば、有給休暇の制度が採用されていなかったことが認められるのであるから、そのことからすると特に非難すべき程度のものでないことは言うまでもない。

(ホ) そのほか、被申請人は申請人が全従業員中誠実・勤勉・調和の点において最も劣っていると主張しているが、右基準は出勤簿等により評価できる勤怠状況の点を除き、極めて抽象的且つ主観的な評価に頼らざるを得ないものであるところ、本件整理の対象とならなかった他の従業員と比較すべき資料について全く疏明がなく、かえって申請人本人の供述によれば、本件整理の対象とならなかった被申請人会社の現従業員三〇名と申請人とを、被申請人会社の前身時代をも含めて、雇傭年数、年令等で単純に比較した場合、申請人の会社に対する過去及び将来へわたっての貢献度は、少くとも全従業員のうち中位にあることが認められ、結局本件においては、申請人のみ唯ひとりを解雇しなければならない合理的な事由(換言すれば、被解雇者が申請人でなければならないという)は存しないものと言わなければならない。

4  以上を総合すると、本件解雇は、解雇基準および基準運用の面において合理性を欠くばかりでなく、解雇されなかった他の従業員との比較(すなわち、何故申請人のみが解雇されたか)の点において合理的な理由がないことになるので、その余の争点について仔細に判断するまでもなく、解雇権の濫用として無効たることを免れない。

三  (申請人の賃金請求権について)

右のとおり、本件解雇が無効である以上、申請人は被申請人会社に対し依然として労働契約上の権利を有しているところ、成立に争いのない(証拠略)によれば、申請人は本件解雇の通告を受けた当時、被申請人会社から、毎月二五日限り一ケ月平均一九五、七三〇円の賃金を受けていたことが認められ、右認定に反する疏明はないので、被申請人会社としては申請人の労務提供を拒否している限り申請人に対し右月平均賃金額の支払義務あるものと言わねばならない。

四  (保全の必要性について)

申請人が本件申請につき被保全権利を有することは前認定のとおりであるところ、申請人の供述および右供述により成立の認められる(証拠略)によれば、申請人には右賃金以外には特段の収入がなく、右賃金により自己及び家族の生活を支えていることが認められるので本案判決確定に先だち「申請人が被申請人に対し労働契約上の権利を有する地位を仮に定めること。」「被申請人が申請人に対し、本件解雇の翌日である昭和五一年四月二五日以降本案判決確定に至るまで毎月二五日限り、金一九五、七三〇円の賃金相当額を仮に支払うこと。」を求める保全の必要性は一応肯定できる。

五  (結論)

以上によれば、本件につき当裁判所が昭和五一年一一月四日にした仮処分決定は相当であるので、これを認可することとし申請費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 植杉豊)

松本久男 勤怠状況

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!