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広島地方裁判所 昭和53年(わ)113号 判決 1978年8月29日

本籍

広島市江波西一丁目四六八番地

住居

同市江波西一丁目二九番一九号

職業

医師

吉本邦夫

昭和五三年一〇月二五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官原伸太郎出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二、五〇〇万円に処する。

被告人において右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、広島市江波西一丁目二九番一九号において、吉本外科病院を経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、一般診療収入の一部を除外して割引債券を取得するなどの不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四九年分の自己の実際の所得金額が、九五、六九八、七八九円で、これに対する所得税額が、五四、四五九、四〇〇円であるのにもかかわらず、昭和五〇年三月一四日、広島市加古町九番一号所在の広島西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が、五八、三六三、八八七円で、これに対する所得税額が、二七、七〇六、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当な所得税額との差額二六、七五二、六〇〇円を免れ

第二  昭和五〇年分の自己の実際の所得金額が、一〇四、四四八、八六五円で、これに対する所得税額が六〇、二九三、〇〇〇円であるのにもかかわらず、昭和五一年三月一二日、前記広島西税務署において、同税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五七、六九一、五〇三円で、これに対する所得税額が二六、五五三、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当な所得税額との差額三三、七四〇、〇〇〇円を免れ

第三  昭和五一年分の自己の実際の所得金額が一〇八、三五四、〇六三円で、これに対する所得税額が六二、七〇一、二〇〇円であるのにもかかわらず、昭和五二年三月一四日、前記広島西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五九、二三六、五一四円で、これに対する所得税額が二七、〇三八、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正当な所得税額との差額三五、六六二、四〇〇円を免れ

たものである。

(右各年度における所得および税額の計算は別紙各修正損益計算書および各税額計算書のとおりである。)

(証拠の標目)

判示全事実につき、

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する供述調書一一通

一、被告人作成の上申書三通

一、和田トシエの検察官に対する供述調書

一、和田トシエの大蔵事務官に対する供述調書八通

一、吉本英子の検察官に対する供述調書

一、中村順子、都築スミエ、江藤美代子(二通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一、大蔵事務官松岡正之作成の調査事績報告書(記録第一九〇号と表示された分以下単に番号のみ示す)

一、右同(記録第一九一号)

一、金川義治作成の健康診断報酬等の照会に対する回答と題する書面

一、矢野隆作成の健康診断報酬等に関する回答と題する書面

一、達川泰男作成の健康診断報酬等の照会に対する回答と題する書面

一、大蔵事務官松岡正之作成の調査事績報告書(記録第一九二号)

一、大蔵事務官岩崎清吉郎作成の調査事績報告書(記録第一九三号)

一、大蔵事務官亀井明作成の調査事績報告書(記録第一九四号)

一、大蔵事務官松浦道男作成の調査事績報告書(記録第二三三号)

一、広島銀行江波支店長中島敏直作成の証明書二通

一、広島相互銀行舟入支店長清水武彦作成の証明書

一、右同人作成の上申書

一、大蔵事務官亀井明作成の調査事績報告書(記録一八九号)

一、右同(記録一九五号)

一、右同(記録二〇八号)

一、大蔵事務官岩崎清吉郎作成の調査事績報告書(記録二〇九号)

一、右同(記録一九六号)

一、大蔵事務官松岡正之作成の調査事績報告書(記録一九七号)

一、右同(記録一九八号)

一、大蔵事務官亀井明作成の調査事績報告書(記録一九九号)

一、右同(記録二〇〇号)

一、大蔵事務官松岡正之作成の調査事績報告書(記録二〇一号)

一、大蔵事務官亀井明作成の調査事績報告書(記録二〇二号)

一、大蔵事務官松岡正之作成の調査事績報告書(記録二〇三号)

一、右同(記録二〇四号)

一、大蔵事務官岩崎清吉郎作成の調査事績報告書(記録二〇五号)

一、右同(記録二〇六号)

一、大蔵事務官松岡正之作成の調査事績報告書(記録二〇七号)

一、右同(記録二三四号)

一、大蔵事務官亀井明作成の調査事績報告書(記録二一〇号)

一、右同(記録二二七号)

一、大蔵事務官坂藤要作成の調査事績報告書(記録二一二号)

一、右同(記録二一三号)

一、大蔵事務官松岡正之作成の調査事績報告書(記録二一八号)

一、広島西税務署長作成の証明書(被告人にかかる昭和四九年、五〇年および五一年分の所得税の修正申告書謄本添付のもの)

一、確定申告書綴一綴(昭和五三年押第六六号の1)

一、青色申告書類つづり一綴(前同押号の2)

一、交通事故書類提出済帳(前同押号の6)

一、コカコーラ、赤電話入金帳一冊(前同押号の12)

判示第一の事実

一、49年交通事故入金関係帳一冊(前同押号の3)

一、交通事故帳(自昭四七・一・一~至昭四九・一二末)一冊(前同押号の7)

一、診断書・私費入院費帳(自昭四九・一・一)一冊(前同押号の9)

一、総勘定元帳(自昭四九・一・一~至昭四九年一二・三一)一綴(前同押号の13)

判示第二の事実

一、昭和五〇年交通事故入金関係帳一冊(前同押号の4)

一、診断書・私費入院費帳(自昭五〇・一・二~至昭五〇・一一・二七)一冊(前同押号の11)

一、総勘定元帳(自昭五〇・一・一~至昭五〇・一二・三一)一綴(前同押号の14)

判示第二及び第三の事実

一、交通事故帳(自昭五〇・一・一)一冊(前同押号の8)

一、診断書・私費入院費帳(自昭五〇・一一・二八~至昭五二・一・二一)一冊(前同押号の10)

判示第三の事実

一、昭和五一年交通事故入金関係帳一冊(前同押号の5)

一、総勘定元帳(自昭五一・一・一~至昭五一・一二・三一)一綴(前同押号の15)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するので、それぞれ懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑につき同法四七条本文一〇条により、犯情最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で、罰金刑につき同法四八条二項によりその合算額の範囲内でそれぞれ処断すべきところ、(罰金刑についてはさらに所得税法二三八条二項を適用し、)以上の刑期ならびに罰金額の範囲内で、被告人を懲役一年および罰金二、五〇〇万円に各し、刑法一八条により被告人において右罰金を完納できないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により刑法二五条一条を適用して、この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 野曽原秀尚)

別紙(一)

修正損益計算書

( )内はうち犯則金額

自 昭和49年1月1日

至 昭和49年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

( )内はうち犯則金額

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

( )内はうち犯則金額

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(四)

脱税額計算書(単位円)

自 昭和49年1月1日

至 昭和49年12月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

別紙(五)

脱税額計算書(単位円)

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

別紙(六)

脱税額計算書(単位円)

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

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