広島地方裁判所 昭和53年(わ)308号 判決 1979年3月13日
本店の所在地
広島市安古市町大字古市一、三三一番地の二
法人の名称
株式会社章栄商事
代表者の氏名
田中章雄こと 姜小永
国籍
韓国(慶尚南道陜川郡大陽面陽山里)
住居
広島市安古市町大字古市一、三三一番地の二
会社役員
田中章雄こと姜小永
一九三一年一〇月一一日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官松島道博出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社章栄商事を罰金六〇〇万円に、被告人姜小永を懲役一〇月にそれぞれ処する。
被告人姜小永に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社章栄商事(以下被告会社という。)は、広島市安古市町大字古市一、三三一番地の二に本店を置き、金融、不動産売買等の事業を営むもの、被告人田中章雄こと姜小永(以下被告人という。)は、同会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一 昭和四九年四月一日から昭和五〇年三月三一日までの事業年度における同会社の所得金額が四七、一九一、一〇六円で、これに対する法人税額が二〇、七八九、九〇〇円(内、土地譲渡利益金に対する税額二、六六四、〇〇〇円)であるのにかかわらず、受取利息の一部及び受取手数料を除外するとともに架空の債権償却特別勘定繰入損を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年五月三〇日、広島市可部町大字四日市九四六番地の二所在可部税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一八二、六九一円で、これに対する法人税額が二、六八四、五〇〇円(内、土地譲渡利益金に対する税額二、六六四、〇〇〇円)である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税と右申告税額との差額一八、一〇五、四〇〇円の法人税を免れ
第二 昭和五〇年四月一日から昭和五一年三月三一日までの事業年度における同会社の所得金額が三二、六〇八、〇九三円で、これに対する法人税額が一三、三〇〇、四〇〇円(内、土地譲渡利益金に対する税額一、一一一、六〇〇円)であるのにかかわらず、受取利息の一部を除外し架空外注費(仕入高)を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五一年五月三一日、前記可部税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が七八〇、九四四円で、これに対する法人税額が一七三、二〇〇円(内、土地譲渡利益金に対する税額一八七、六〇〇円)である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税と右申告税額との差額一三、一二七、二〇〇円の法人税を免れ
たものである。
(右各事業年度における所得及び税額の計算は、別紙修正損益計算書((昭和四九年四月一日~同五〇年三月三一日分、昭和五〇年四月一日~同五一年三月三一日分))及び脱税額計算書((右同年度分))のとおりである。)
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する昭和五三年五月一一日付供述調書
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一、根石康雄、正田博文、栗末義則及び花本勇の検察官に対する各供述調書
一、西尾秀雄の検察官(二通)及び大蔵事務官(二通)に対する各供述調書
一、大田頼徳の検察官に対する供述調書
一、広瀬群郎の検察官(四通)及び大蔵事務官(五通)に対する各供述調書
一、本岡孝一の検察官に対する供述調書
一、種清和夫の検察官及び大蔵事務官(昭和五二年九月九日付)に対する各供述調書
一、鄭紛徳の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
一、金玉子、姜岳(昭和五三年三月二四日付)、山木洋、姜永、倉本弘(同年一月一九日付)及び土井信之、(同年三月二三日付)の大蔵事務官に対する各供述調書
一、李龍洙及び朴莫月の検察官に対する各供述調書
一、藤原巧の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
一、武田喜美栄の検察官に対する供述調書二通
一、大蔵事務官作成の各調査事績報告書(但し記録第三五二号、第三九三号、第三五五号、第三七六号、第三五一号、第三六五号、第三七〇号、第三六九号、第三六〇号、第三七五号、第三九六号、第三六七号、第三六八号)
一、谷山親兄、清水武彦、磯野勝男各作成の各証明書
一、登記官作成の被告会社の商業登記簿謄本
一、押収してある総勘定元帳二綴(昭和五四年押第九号の3、4)、法人税決議書一綴(同号の5)、
判示第一の事実につき
一、三戸武司の検察官に対する供述調書
一、住田義三の検察官及び大蔵事務官(三通)に対する各供述調書
一、石原光登の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
一、長谷川龍三の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
一、谷村彦二郎の大蔵事務官に対する供述調書
一、大蔵事務官作成の各調査事績報告書(但し記録第三九〇号、第三九一号、第三九二号、第三九五号、第三八二号、第三五三号、第三五七号、第三七七号、第三五九号)
一、大谷謙二、能美島農業協同組合鹿川支店、近藤収造(但し一〇枚綴)広島信用金庫土橋支店、辻田博郎及び菅田章各作成の各回答書
一、藤井暁(昭和五二年一〇月一四日付)、松本仁寿及び渡辺輝明作成の各証明書
一、藤井暁作成の藤井一成宛照会に対する現物の写送付書
一、小田康幸作成の捜査関係照会事項について回答
一、土屋博司作成の取引内容照会に対する回答
一、押収してある経理に関する台帳綴一綴(前同押号の1)、銀行勘定綴一綴(同号の2)及び補助元帳一冊(同号の6)
判示第二の事実につき
一、鄭鵬煥の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
一、三輪得男の検察官(二通)及び大蔵事務官に対する各供述調書
一、大蔵事務官作成の各調査事績報告書(但し記録第三五四号、第三五六号、第三五八号。)
一、大蔵事務官作成の昭和五四年三月一二日付調査事績報告書
一、久城毅作成の証明書
一、白土輸作成の回答書
一、押収してある補助元帳二冊(前同押号の7、8)、金融台帳一冊(同号の9)及び個人台帳(同号の10)
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも歩人税法一五九条一項(七四条一項)に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑のみを選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予し、被告会社については、その代表者である被告人が被告会社の業務に関し判示各行為をしたので、法人税法一六四条一項に従い同法一五九条一項所定の罰金刑をそれぞれ科し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪につき定めた罰金を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金六〇〇万円に処することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 正木勝彦)
別紙1 修正損益計算書
自昭和49年4月1日
至昭和50年3月31日
<省略>
別紙2 修正損益計算書
自昭和50年4月1日
至昭和51年3月31日
<省略>
別紙3
脱税額計算書
自昭和49年4月1日
至昭和50年3月31日
<省略>
別紙4
脱税額計算書
自昭和50年4月1日
至昭和51年3月31日
<省略>