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広島地方裁判所 昭和56年(わ)283号 判決 1981年11月24日

本店の所在地

広島市中区千田町三丁目二番一六号

法人の名称

有限会社 柴崎不動産

代表者の住所

広島市中区千田町三丁目二番一六-四〇一号

代表者の氏名

代表取締役 柴崎希徳

本籍

広島県安芸郡蒲刈町大浦五、五九二番地

住居

広島市中区千田町三丁目二番一六-四〇一号

会社役員

柴崎こと

柴崎希徳

昭和七年五月二一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官山田廸弘出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社柴崎不動産を罰金一、〇〇〇万円に、

被告人柴崎希徳を懲役八月に、

各処する。

被告人柴崎希徳に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社柴崎不動産は、広島市中区千田町三丁目二番一六号に本店を置き、宅地建物取引業を営んでいるもの、被告人柴崎希徳は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人柴崎希徳において、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五二年一二月一日から同五三年一一月三〇日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が三、一九八万九、九一〇円(当期利益金科目の、公表金額と犯則金額との合計額。判示第二においても同じ。)で、これに対する法人税額が一、六七九万六〇〇円であるにもかかわらず、売上の一部を除外し、架空経費を計上するなどの方法により右所得の一部を秘匿したうえ、同五四年一月三一日、同区加古町九番一号所在広島西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、一七二万九、五八二円で、これに対する法人税額が七〇九万六、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税九六九万四、〇〇〇円を免れ、

第二  同五三年一二月一日から同五四年一一月三〇日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が一億一、六五九万一、〇七六円で、これに対する法人税額が五、一一三万七、〇〇〇円であるにもかかわらず、前同様の方法で右所得の一部を秘匿のうえ、同五五年一月三一日、前記広島西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、六九三万八、〇七一円で、これに対する法人税額が九九一万六、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税四、一二二万一、〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人柴崎希徳の当公判廷における供述

一、被告人柴崎希徳の検察官に対する供述調書

一、被告人柴崎希徳の大蔵事務官に対する質問てん末書(一八通)

一、柴崎敬子、岡村真、山本昭夫、重廣保光、原田由美子、堅田恵子、門田辰二、松下新三、小早川チクエ、福本ササコ、畑中スサエ、久保朝男、柴崎龍雄(二通)、岡本昭弘(三通)、田川ミトノ、石田岸夫、茶山勢津子、久田晶子、二神兵藏、柴崎義春、久保優二、柴崎ハヤノ、菅原隗の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書六通

一、宮本順子、柴崎蓮子各作成の上申書

一、登記簿騰本

一、押収の総勘定元帳二綴、伝票綴二綴、売買契約書綴一綴、土地売買契約書領収証綴一綴、決算申告書綴一綴、立替精算メモ二枚、売掛帳買掛帳一綴、昭和五四年度未払金買掛金売掛金補助簿一覧表一綴、請求書及び請求明細書控綴一綴、総勘定元帳一綴、取引台帳契約書写綴一綴、取引台帳一綴、法人税決議書綴一綴(昭和五六年押第一二九号の1ないし15)

(法令の適用)

被告人柴崎の判示各所為は、いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中各懲役刑を選択し、被告人有限会社柴崎不動産については同法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑を科することとし、右は被告人らにとつていずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人有限会社柴崎不動産については刑法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人柴崎については同法四七条本文一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に併合加重をした刑期範囲内で各処断することとなるところ、本件において免れた法人税額は相当多額であつて、被告人らの責任は決して軽くはないが、調査査察については積極的に協力し、潔く自己の非を認め、早期に調査の終結を見ており、当然の義務とはいえ検察官の取調を受ける以前に、本税・重加算税・延滞税等を完納し、改悛の情を示しているのであつて、これらを含む各般の情状を考慮し、かつ同種事件の量刑をも参酌したうえ、前記の金額、刑期の範囲内において、被告人有限会社柴崎不動産を罰金一、〇〇〇万円に、同柴崎を懲役八月に各処するが、被告人柴崎については刑法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 谷口貞)

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