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広島地方裁判所尾道支部 平成2年(手ワ)2号 判決 1990年12月21日

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは、原告に対し、合同して三一八万二〇七二円及びこれに対する平成二年九月二日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  主文一及び二項同旨

2  仮執行免脱宣言

第二  当事者の主張

一  請求の原因

1  原告は、別紙手形目録のとおりの記載のある約束手形一通(以下「本件手形」)を所持している。

2  被告らは、拒絶証書作成義務を免除して本件手形にそれぞれ裏書をした。

3  原告は、支払場所において呈示期間内に本件手形の呈示はしていないが、振出人である分離前の相被告株式会社独活腕建築事務所に満期日以前に裁判上の請求をなしているので、支払場所における手形の現実の呈示は必要でない。

よって、原告は被告らに対し手形金及びこれに対する満期日からの手形法所定の利息の支払を求める。

二  請求の原因に対する認否

1  請求の原因1は認める。

2  同2は否認する。被告らの裏書は偽造されたものである。

3  同3は争う。裏書人に対する関係では支払場所における手形の現実の呈示が必要であり、被告らは本件手形につき遡求義務を負うものではない。

第三  証拠(省略)

理由

約束手形金の請求において、主債務者たる振出人に対しては、振出人はもともと手形金債務を負担しているものであるから、訴状の送達によって手形金とこれに対する遅延損害金の支払を求めることができるが、裏書人に対する関係では、呈示期間内における手形の現実の呈示が実体上の遡求義務発生の要件であるため、右現実の呈示がない以上、裏書人は遡求義務を負うものではない。

したがって、本件においては、支払場所において呈示期間内に本件手形の呈示がなされていないことは争いがないから、結局、原告の裏書人らに対する手形金の請求は要件を欠き、いずれも棄却を免れない。

よって、主文のとおり判決する。

(別紙)

別紙

手形目録

金額 金三一八万二〇七二円

支払場所 広島県信用組合尾道支店

満期 平成二年九月二日

振出日 平成二年四月一〇日

振出地 尾道市

支払地 右同

振出人 (株)独活腕建築事務所

受取任人兼第一裏書人 被告西中洋志

第一秘裏書人 白地

第二裏書人 島田博幸

第二被裏書人 白地

第三裏書人 被告島田四郎

第三被裏書人 原告

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